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3話 錬金術のお店 その1
しおりを挟む「あ、アリアンヌ姉さま……この機材は一体……」
「ふふふ、これだけあれば、調合も可能だしお店の経営に支障はないでしょう?」
「た、確かにそうかもしれませんが……」
アリアンヌ姉さまの提案からわずか1週間。屋敷の前には仮設の店舗が建てられ、必要な機材も揃えられた状態になっていた。仮説の店舗とは言っても、大き目のテントだけれど。
「この機材は……」
「ちゃんと許可は取ってあるから、心配することはないわよ」
「は、はあ……それはありがとうございます……」
全て姉さまが準備してくれたようなものだ。私がしたことと言えば……錬金術師として、再びアイテムを作る心構えを持つように、心の調整していたことだけかな?
「大体分かるとは思うけれど、スターク様の協力があってのことよ」
「あ、やっぱりそうなんですね……」
スターク・カンナバウ公爵……アリアンヌ姉さまの婚約者である。流石に姉さまだけでは、ここまでの用意は不可能だから、スターク様が関与しているとは思っていたけれど。ということは、出店の許可についてもスターク様から王家に行った形なのかしらね。
「これは……なんて感謝すれば良いのか、分かりません……」
「スターク様は感謝に来る必要はないとおっしゃっていたわよ。メドロアが元気にお店の経営をしてくれればそれで良いってね」
「そ、そうなんですか……」
「ええ」
本当に感謝しか出来ない……まさか、私の為にここまでのことをしてくれるなんて。姉さまにもスターク様にも、頭が上がらなかった。
「お父様とお母様も言っていたでしょう? とりあえず始めてみなさいってね」
「そういえばそうでしたね」
「お父様達も分かっているのよ。貴方の中にある悲しみを消す……少なくとも紛らわせるには、このくらいのことが必要だってね。幸いにも、貴方は錬金術師なんだし丁度良いじゃない」
「確かに……そうですね」
婚約破棄の悲しみを消す為には、それ以上のインパクトで覆い隠せば良い。凄い力技だけれど、確かに効果的かもしれない。何よりも、私の為に用意してくれたことが本当に嬉しかった。
成功するかどうかはともかくとして、お店経営を頑張ってみよう。私はそう決意することが出来た。
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