1 / 7
1話 王女殿下の婚約解消
しおりを挟む
「えっ……? 婚約解消?」
突然、そんな話が飛び出した……私の婚約者である、スターク・チャンドラー公爵令息かが言った言葉だ。
私は彼の妻になる予定のファリス・カリストロ。一応、今はまだ王女という立場になっている。結婚をすれば将来はチャンドラー公爵夫妻になるはずなんだけれど。
「済まない……ファリス。王女殿下である君にこんなことを言いたくはいんだけれど、どうしても別れて欲しいんだ!」
「ど、どうして……? そんなこといきなり言われても……」
チャンドラー公爵家はカリストロ王国の西方地域を管理している大貴族の1つだ。王家との繋がりを強化し、王国全体をより活性化させる狙いで、私とスタークは婚約することになったんだけれど。そんな婚約を反故にするなんてあり得ない……。
「スターク……王家出身である私との婚約を解消するなんて、いくらあなたでも簡単には出来ないわよ?」
「それは分かってるさ」
「それに……私の気持ちは考慮してくれないの?」
スタークと一緒に過ごしてから3か月程度……二人で幾つもの舞踏会にだって出席した。色々な思い出だってある……それなりに上手く生活出来ていたと思っていたのに。私に何か間違いがあったのだろうか?
「理由を聞かせて貰えないかしら?」
「理由は……隣国のフォビトン王国の貴族と婚約するからだよ」
「フォビトン王国の貴族と……?」
「ああ、アイシャ・シルバークという公爵令嬢さ。私の大切な幼馴染でもあるんだ」
「幼馴染……」
昔からの知り合いということか……私にも幼馴染と呼べる人は確かに存在する。私は一瞬、思考が止まってしまっていた。
「私はアイシャと一緒になりたいんだ……こればかりは、譲ることが出来ない。それほどに私は真剣なんだよ」
「で、でも……私とあなたは婚約をしていて、3か月間過ごして来たでしょう? その思い出は……」
「その思い出が大切じゃないとは言わない。でも……優先順位ではアイシャと一緒になることよりも下なんだ。分かって欲しい……ファリス。私は君と一緒になることが出来ない……」
「そんな……」
私は何を言ったら良いのか分からなくなってしまった……予想外の婚約解消という事実。スタークがそんなことを望むなんて考えてもいなかったから、それだけでもショックが大きい。しかも、その理由がアイシャという隣国の幼馴染と一緒になりたいからというのが、余計にショックだ。
彼との婚約生活は一体なんだったのだろうか……優先順位で下とここまでハッキリ言われてしまうとは。気を抜けば泣いてしまいそうだった。
「グスタフ国王陛下には後程、説明しようかと思っている」
「認められると思っているの?」
「彼女……アイシャとの婚約は、カリストロ王国にとっても利益になるはずだ。彼女の家系も大貴族だからね」
「スターク……もう、私が何を言っても無理なようね……」
「本当に済まない、ファリス。私と別れてくれ」
「……分かったわ」
もうスタークは一切聞く耳を持っていない。そう判断した私は婚約解消を承諾するしかなかった。こうして、王女という肩書きを持つ私は、婚約を解消する羽目になってしまったのだ。
突然、そんな話が飛び出した……私の婚約者である、スターク・チャンドラー公爵令息かが言った言葉だ。
私は彼の妻になる予定のファリス・カリストロ。一応、今はまだ王女という立場になっている。結婚をすれば将来はチャンドラー公爵夫妻になるはずなんだけれど。
「済まない……ファリス。王女殿下である君にこんなことを言いたくはいんだけれど、どうしても別れて欲しいんだ!」
「ど、どうして……? そんなこといきなり言われても……」
チャンドラー公爵家はカリストロ王国の西方地域を管理している大貴族の1つだ。王家との繋がりを強化し、王国全体をより活性化させる狙いで、私とスタークは婚約することになったんだけれど。そんな婚約を反故にするなんてあり得ない……。
「スターク……王家出身である私との婚約を解消するなんて、いくらあなたでも簡単には出来ないわよ?」
「それは分かってるさ」
「それに……私の気持ちは考慮してくれないの?」
スタークと一緒に過ごしてから3か月程度……二人で幾つもの舞踏会にだって出席した。色々な思い出だってある……それなりに上手く生活出来ていたと思っていたのに。私に何か間違いがあったのだろうか?
「理由を聞かせて貰えないかしら?」
「理由は……隣国のフォビトン王国の貴族と婚約するからだよ」
「フォビトン王国の貴族と……?」
「ああ、アイシャ・シルバークという公爵令嬢さ。私の大切な幼馴染でもあるんだ」
「幼馴染……」
昔からの知り合いということか……私にも幼馴染と呼べる人は確かに存在する。私は一瞬、思考が止まってしまっていた。
「私はアイシャと一緒になりたいんだ……こればかりは、譲ることが出来ない。それほどに私は真剣なんだよ」
「で、でも……私とあなたは婚約をしていて、3か月間過ごして来たでしょう? その思い出は……」
「その思い出が大切じゃないとは言わない。でも……優先順位ではアイシャと一緒になることよりも下なんだ。分かって欲しい……ファリス。私は君と一緒になることが出来ない……」
「そんな……」
私は何を言ったら良いのか分からなくなってしまった……予想外の婚約解消という事実。スタークがそんなことを望むなんて考えてもいなかったから、それだけでもショックが大きい。しかも、その理由がアイシャという隣国の幼馴染と一緒になりたいからというのが、余計にショックだ。
彼との婚約生活は一体なんだったのだろうか……優先順位で下とここまでハッキリ言われてしまうとは。気を抜けば泣いてしまいそうだった。
「グスタフ国王陛下には後程、説明しようかと思っている」
「認められると思っているの?」
「彼女……アイシャとの婚約は、カリストロ王国にとっても利益になるはずだ。彼女の家系も大貴族だからね」
「スターク……もう、私が何を言っても無理なようね……」
「本当に済まない、ファリス。私と別れてくれ」
「……分かったわ」
もうスタークは一切聞く耳を持っていない。そう判断した私は婚約解消を承諾するしかなかった。こうして、王女という肩書きを持つ私は、婚約を解消する羽目になってしまったのだ。
0
お気に入りに追加
1,628
あなたにおすすめの小説
完結】王太子が婚約者になりました。妹がいつものセリフを吐きます「お姉様、シェリア一生のお願い」って、あなた何回一生のお願いを使うつもりです?
紫宛
恋愛
わたくし、ミューティアには妹がひとりいます。
妹シェリアは、金の髪でふわふわで、青緑のぱっちりした瞳……比べて私はクリーム色した髪にストレート、青緑の瞳だけど吊り上がりキツめの印象を与える。
そのため、妹は自分の可愛さを武器に親の愛を独り占めしてきた。
私は公爵令嬢なので、王太子婚約者候補に選ばれ王妃教育を他の令嬢達と共に受けてきた。
そしてこの度、まさかの王太子の婚約者に選ばれました。
そして案の定、妹がいつものセリフを吐きました。
「お姉様、シェリア一生のお願い!クロード様を私に頂戴?」
「……良いわよ、あの方がそれを望むなら…ね」
「ほんと!?シェリア嬉しい!クロード様に聞いてくるわ!」
(まぁ、無理でしょうけど……あの、---王太子が貴方を選ぶとは思えないもの)
11月15日
第4話 追従→追随修正しました。
11月19日~21日
第1話~5話クロードの心の中?の台詞を修正しました。
11月29日
ご指摘下さった誤字の修正を致しました。
※素人作品です。矛盾などは多目に見て下さいです※
妹がいるからお前は用済みだ、と婚約破棄されたので、婚約の見直しをさせていただきます。
あお
恋愛
「やっと来たか、リリア。お前との婚約は破棄する。エリーゼがいれば、お前などいらない」
セシル・ベイリー侯爵令息は、リリアの家に居候しているエリーゼを片手に抱きながらそう告げた。
え? その子、うちの子じゃないけど大丈夫?
いや。私が心配する事じゃないけど。
多分、ご愁傷様なことになるけど、頑張ってね。
伯爵令嬢のリリアはそんな風には思わなかったが、オーガス家に利はないとして婚約を破棄する事にした。
リリアに新しい恋は訪れるのか?!
※内容とテイストが違います
だから違うと言ったじゃない
仏白目
恋愛
え?隣のギオンが伯爵様に怪我をさせた?・・平民が貴族様に怪我をさせるなんて厳罰が・・・まさか・・絞首刑?
え?妹を差し出せば罪には問わない?
・・隣の家には弟しかいないじゃない?
え?お前がいる??私?幼馴染だけど、他人よ?
「長年仲良くしてきたんだ妹も同じだろう?それとも、あの子が殺されてもいいのかい?」
だっておばさん、私は隣人であっておばさんの娘じゃないわ?
「なんて冷たい娘だ、お前の両親が死んでからあんなに面倒見てきてやったのに、この薄情もの!」
そんな事言っても、言うほど面倒なんて見てもらってないわ?むしろ、私の両親からお金を借りていたの知っているのよ?
「えーい、うるさい!うるさい!少し大人しく働けば許して貰えるだろうから、黙ってお行き!その代わり帰ってきたら、息子の嫁にしてやるから我慢するんだよ!
あ!迎えのお方達ですね、この娘です!はい、変なこと言うけど,気にしないで下さい、少し我儘で器量も悪い娘だけど、丈夫な子なんで、はい、いいんですよ、はい、可愛いがってやってください、本当にこの度は家の息子がご迷惑をおかけして ええ、分かっております
この事は内密にですね、はい勿論ですとも!
じゃあ、頑張るんだよ シンシア!」
「ちょっと!おばさん!あんまりよ!」
違うんです、私は他人だと、何度言っても取り合って貰えず 屈強な男性2人に両脇を抱えられ馬車に乗せられた
そうして連れてこられたのが、とても立派な伯爵家の邸宅だった・・・
私、いったいどうなっちゃうの?
作者ご都合主義の世界観でのフィクションです あしからず
第一夫人が何もしないので、第二夫人候補の私は逃げ出したい
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のリドリー・アップルは、ソドム・ゴーリキー公爵と婚約することになった。彼との結婚が成立すれば、第二夫人という立場になる。
しかし、第一夫人であるミリアーヌは子作りもしなければ、夫人としての仕事はメイド達に押し付けていた。あまりにも何もせず、我が儘だけは通し、リドリーにも被害が及んでしまう。
ソドムもミリアーヌを叱責することはしなかった為に、リドリーは婚約破棄をしてほしいと申し出る。だが、そんなことは許されるはずもなく……リドリーの婚約破棄に向けた活動は続いていく。
そんな時、リドリーの前には救世主とも呼べる相手が現れることになり……。
大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
婚約相手と一緒についてきた幼馴染が、我が物顔で人の屋敷で暮らし、勝手に婚約破棄を告げてきた件について
キョウキョウ
恋愛
カナリニッジ侯爵家の一人娘であるシャロットは、爵位を受け継いで女当主になる予定だった。
他貴族から一目置かれるための権威を得るために、彼女は若いうちから領主の仕事に励んでいた。
跡継ぎを産むため、ライトナム侯爵家の三男であるデーヴィスという男を婿に迎えることに。まだ婚約中だけど、一緒の屋敷で暮らすことになった。
そしてなぜか、彼の幼馴染であるローレインという女が一緒についてきて、屋敷で暮らし始める。
少し気になったシャロットだが、特に何も言わずに受け入れた。デーヴィスの相手をしてくれて、子作りを邪魔しないのであれば別に構わないと思ったから。
それからしばらく時が過ぎた、ある日のこと。
ローレインが急に、シャロットが仕事している部屋に突撃してきた。
ただの幼馴染でしかないはずのローレインが、なぜかシャロットに婚約破棄を告げるのであった。
※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開や設定は、ほぼ変わりません。加筆修正して、完成版として連載します。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる