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25話 事件簿の後始末 ③

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「私は姉さま、ハロルド様との密会……非常に嬉しく思っています!」


 間近に皇帝陛下と護衛たちを従え、妹のソシエは私に言った。ライドウ皇帝陛下もこれには苦笑いを隠せないようだ。ていうか、いくら貴族街だからって、皇帝陛下を連れまわすんじゃないわよ……まったく。


「ははは……恥ずかしい場面を見られてしまったな」

「うふふふ、本当にそうですね~!」


 ハロルドは特に怒っている気配はなく、ソシエに対しても優しく接していた。皇帝陛下も近くにいらっしゃるし、私もソシエに対して厳しくは当たりにくい。まさか、それすらも見越してこの子は……考えられないことはないわね。ソシエならやり兼ねないし。

「二人の恋路を邪魔するつもりはなかったのだがな。だが、結果として横やりになってしまった。そのことについては、謝罪ざせてほしい。済まなかった」

 なんと、帝国のトップであるライドウ様が、私たちに頭を下げた。こんな珍しい光景は、この先、一生見られないかもしれないわ! しっかりと目に焼き付けておいて……じゃなくて、すぐに皇帝陛下にやめるように促した。


「よ、よしてください、皇帝陛下……! 皇帝陛下が謝罪をしてくださる状況ではありませんので……!」


「そう言ってもらえるのはありがたいが、側室であるソシエの失態は私の責任でもある。実を言うと、ソシエについて来て欲しいと頼まれたのは事実だが、私も其方たちのことが気にはなっていたのだ」


「そ、そうだったのですか……?」


 どうやら、ソシエが無理矢理連れ出して来たわけではないようね。それを聞いて少し安心したわ。



「そういうことです、姉さま。私と陛下は姉さまたちのことが気になっていたのです。そして偶々、愛の告白場面に出くわしてしまった……全ては運命のいたずら、といえるでしょう」


「なにが偶々よ……」


 私はため息をついて、ソシエに軽くデコピンをお見舞いしておいた。ソシエは笑顔で痛がっている。ハロルドに対する大告白も全て見られていたわけね……はあ、このまま雲になって消えてしまいたいかもしれない……。



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「さてさて、ではそろそろ本題にはいりましょうか!」

「……そうだな。二人の微笑ましい表情も見れたことだし」


「えっ……?」


 今、本題って言わなかった? ライドウ皇帝陛下も、普通にソシエの言葉に乗っかってるし……皇帝陛下、ソシエに相当毒されているんじゃないかしら?


 私とハロルドはお互いの顔を見合わせていた。


「ダンテと、あの場に居た護衛たちの処遇が決まったので、それを二人にも伝えに来たのだ」

「ダンテ様たちの処遇でしょうか?」

「ああ、その通りだ」


 そっか……そう言えば、ダンテ様がどういう罰を受けるのか、私はまだ聞かされてなかったわね。それに、緊急事態になった時に、ほとんど動いていなかった衛兵や護衛の者たちの処遇も。


 ダンテ様はともかくとして、衛兵たちはとばっちりのような気もするけれど、仕方ないのかしら。

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