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17話 教会事件簿 ②

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「さてさて、ご覧いただけますでしょうか!?」


 わざとらしく、ソシエは大手を振って周囲の貴族たちからの注目を集めた。周囲のサクラではないと思われる貴族たちは、「なんだなんだ?」という感じで、ダンテ様とアイミー令嬢の周辺に集まってきている。


「ソシエ……一体、何をするつもりなの?」

「ですから、姉さま……ほら、公衆の面前でご興味を持っていらっしゃる方も居るんですし」


 ソシエは一旦そこで、話を止めた。そしてニンマリとした笑みを浮かべて……。


「大きな声でダンテ様に振られた時のことをお話しください!」


「そ、ソシエ……!?」


 さっきはダンテ様に婚約破棄の詳細を語るように言っていたのに、今度は私に話すように促すソシエ。これによって、周囲の貴族たちは怪訝な表情を見せるようになった。


 ダンテ様と私……その両方に婚約破棄の詳細を話すように、ソシエは言ったのだから。なんていうか……ダンテ様の立場がより一層、悪くなっているような……。


「どういうことだろうか……?」

「さあ……?」

「しかし、皇帝陛下の側室である、彼女の言葉だぞ?」


「ダンテ様……なにかやらかしたの?」


 という感じになっていた。当たり前だけれど、私に対する非難のような言動は皆無だ。


「ちょ、ちょっと、あなた!」

「なんですか、アイミー様?」


 その時、沈黙していたアイミー・ケリス侯爵令嬢が口を開いた。


「いくら皇帝陛下の側室であるとしても……流石に、この場では空気を読んでくれないかしら?」

「空気ですか?」

「そうよ」


 アイミー侯爵令嬢は、ソシエに対してはっきりとした口調で言った。ダンテ様と違って怯んでいる様子は見受けられない。こういうのって不敬罪にはならないのかしら? まあ、ソシエがこの場でそんなことを言いだすとは考えてないけれど。


 そして予想通り、ソシエの反撃が始まる。


「これは失礼いたしました、アイミー様。しかし……ダンテ様が、そういうご趣味をお持ちであることはご存じなんですよね?」


「え……そ、それは……」


 アイミー令嬢は顔を赤らめて視線を逸らし始めた。なんとなく理解は出来た、彼女はアブノーマルを許容してはいるようね。でも、ソシエの言葉に対して無言になりかけているから、もしかすると、あまり好んではいないのかも。


 好んではいないけど、家系の繋がりを重視してるんだとしたら、尊敬に値する女性かもしれない。私はとても、許容することは出来なかったから……。


「ダンテ様がアブノーマルプレイにご興味があるのは構わないんです、はい。誰にも迷惑を掛けなければ……」


 あれ……? なんだか、ソシエは一人で勝手に話し始めているんだけど。私やダンテ様に話させるんじゃなかったの?


「アブノーマル……!?」


 周囲の貴族や平民たちは、予期せぬ単語に驚きを隠せないでいた。一斉にその危険な言葉を反復していたのだから……。ダンテ様、ご愁傷様……。
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