6 / 32
6話 皇帝陛下 ②
しおりを挟む
「教会に向かったダンテ様を……ふふふふふ……!」
「あの……怖いんだけど、ソシエ……」
「だって姉さま。ダンテ様は私の大切な実の姉を振ったお方なのですよ? しかも理由が……」
どうしよう……ソシエがとても怖いわ……。婚約破棄をされたのは私だけれど、ソシエの態度はまるで自分のことのように考えている。そこまで怒ってくれるのは嬉しいけどさ……う~ん。ソシエにはダンテ様がアブノーマルプレイを望んでいることは伏せておくべきだったかもしれないわね。
「ノーマルではなく、アブノーマルを好むか……確かに、貴婦人たちの前で言うセリフではないな。ダンテははっきりと、そのように言ったのだな?」
「はい陛下……それは事実でございます」
その事実について、私ははっきりと皇帝陛下に伝えた。皇帝陛下は頭を抱えている様子だ。
「シュール家は余も信頼をしている家系の1つだ。その次期当主であるダンテが歪んだ性癖を持っているとなれば……。いや、それ自体はともかく、それを理由にシェル殿と婚約破棄したというのであれば、然るべき処置が必要になる。見過ごしては、貴族社会全体のためにもならんからな」
「陛下……」
まさかまさかの皇帝陛下が味方になってくれた? これはとんでもないことだわ……。
「陛下、ダンテ・シュールの身辺調査については私にお任せください。合わせて、教会で何をするつもりなのかも調べておきます」
「わかった。では、ハロルドよ、よろしく頼むぞ」
「畏まりました、陛下。シェルを悲しませたダンテ・シュールを私は決して許しはしません……」
「ハロルド……」
ハロルドの決意は私にも真に伝わってきた。とても嬉しい言葉……でも、やり過ぎてしまわないかという不安が残るけど……。ハロルドの家系は皇帝陛下とは違って侯爵の立場。ダンテ様と同等だから、思わぬ反撃を受ける可能性だってある。
「ハロルド、気持ちはとても嬉しいけれど、無茶だけはしないでね?」
「ああ、任せてくれ。無茶はしないさ」
「うん……」
「シェルに対してアブノーマルを働こうとしたダンテ。うらやま……じゃなくて、許せないな。しっかりと身辺調査を行って来るよ!」
「……うん、期待しているわ」
なんだか、いけない言葉が聞こえた気がするけど、きっと気のせいよね。ほら、ソシエも陛下も聞こえない振りをしているし! あ、陛下は明後日の方向を向いて口笛を吹いていらっしゃるわ……めずらしい光景かも。
何にしても、私には心配してくれる人が居る……それを再確認できた瞬間だった。
「あの……怖いんだけど、ソシエ……」
「だって姉さま。ダンテ様は私の大切な実の姉を振ったお方なのですよ? しかも理由が……」
どうしよう……ソシエがとても怖いわ……。婚約破棄をされたのは私だけれど、ソシエの態度はまるで自分のことのように考えている。そこまで怒ってくれるのは嬉しいけどさ……う~ん。ソシエにはダンテ様がアブノーマルプレイを望んでいることは伏せておくべきだったかもしれないわね。
「ノーマルではなく、アブノーマルを好むか……確かに、貴婦人たちの前で言うセリフではないな。ダンテははっきりと、そのように言ったのだな?」
「はい陛下……それは事実でございます」
その事実について、私ははっきりと皇帝陛下に伝えた。皇帝陛下は頭を抱えている様子だ。
「シュール家は余も信頼をしている家系の1つだ。その次期当主であるダンテが歪んだ性癖を持っているとなれば……。いや、それ自体はともかく、それを理由にシェル殿と婚約破棄したというのであれば、然るべき処置が必要になる。見過ごしては、貴族社会全体のためにもならんからな」
「陛下……」
まさかまさかの皇帝陛下が味方になってくれた? これはとんでもないことだわ……。
「陛下、ダンテ・シュールの身辺調査については私にお任せください。合わせて、教会で何をするつもりなのかも調べておきます」
「わかった。では、ハロルドよ、よろしく頼むぞ」
「畏まりました、陛下。シェルを悲しませたダンテ・シュールを私は決して許しはしません……」
「ハロルド……」
ハロルドの決意は私にも真に伝わってきた。とても嬉しい言葉……でも、やり過ぎてしまわないかという不安が残るけど……。ハロルドの家系は皇帝陛下とは違って侯爵の立場。ダンテ様と同等だから、思わぬ反撃を受ける可能性だってある。
「ハロルド、気持ちはとても嬉しいけれど、無茶だけはしないでね?」
「ああ、任せてくれ。無茶はしないさ」
「うん……」
「シェルに対してアブノーマルを働こうとしたダンテ。うらやま……じゃなくて、許せないな。しっかりと身辺調査を行って来るよ!」
「……うん、期待しているわ」
なんだか、いけない言葉が聞こえた気がするけど、きっと気のせいよね。ほら、ソシエも陛下も聞こえない振りをしているし! あ、陛下は明後日の方向を向いて口笛を吹いていらっしゃるわ……めずらしい光景かも。
何にしても、私には心配してくれる人が居る……それを再確認できた瞬間だった。
1
お気に入りに追加
3,772
あなたにおすすめの小説
悪『役』令嬢ってなんですの?私は悪『の』令嬢ですわ。悪役の役者と一緒にしないで………ね?
naturalsoft
恋愛
「悪役令嬢である貴様との婚約を破棄させてもらう!」
目の前には私の婚約者だった者が叫んでいる。私は深いため息を付いて、手に持った扇を上げた。
すると、周囲にいた近衛兵達が婚約者殿を組み従えた。
「貴様ら!何をする!?」
地面に押さえ付けられている婚約者殿に言ってやりました。
「貴方に本物の悪の令嬢というものを見せてあげますわ♪」
それはとても素晴らしい笑顔で言ってやりましたとも。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
もううんざりですので、実家に帰らせていただきます
ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」
伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。
年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました
チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。
そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。
そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。
彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。
ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。
それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。
すべてが嫌になったので死んだふりをしたら、いつの間にか全部解決していました
小倉みち
恋愛
公爵令嬢へテーゼは、苦労人だった。
周囲の人々は、なぜか彼女にひたすら迷惑をかけまくる。
婚約者の第二王子は数々の問題を引き起こし、挙句の果てに彼女の妹のフィリアと浮気をする。
家族は家族で、せっかく祖父の遺してくれた遺産を湯水のように使い、豪遊する。
どう考えても彼らが悪いのに、へテーゼの味方はゼロ。
代わりに、彼らの味方をする者は大勢。
へテーゼは、彼らの尻拭いをするために毎日奔走していた。
そんなある日、ふと思った。
もう嫌だ。
すべてが嫌になった。
何もかも投げ出したくなった彼女は、仲の良い妖精たちの力を使って、身体から魂を抜き取ってもらう。
表向き、へテーゼが「死んだ」ことにしようと考えたのだ。
当然そんなことは露知らず、完全にへテーゼが死んでしまったと慌てる人々。
誰が悪い、これからどうするのか揉めるうちに、自爆していく連中もいれば、人知れず彼女を想っていた者の復讐によって失脚していく連中も現れる。
こうして彼女が手を出すまでもなく、すべての問題は綺麗さっぱり解決していき――。
男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~
富士とまと
恋愛
リリーは極度の男性アレルギー持ちだった。修道院に行きたいと言ったものの公爵令嬢と言う立場ゆえに父親に反対され、誰でもいいから結婚しろと迫られる。そんな中、婚約者探しに出かけた舞踏会で、アレルギーの出ない男性と出会った。いや、姿だけは男性だけれど、心は女性であるエミリオだ。
二人は友達になり、お互いの秘密を共有し、親を納得させるための偽装結婚をすることに。でも、実はエミリオには打ち明けてない秘密が一つあった。
家柄が悪いから婚約破棄? 辺境伯の娘だから芋臭い? 私を溺愛している騎士とお父様が怒りますよ?
西東友一
恋愛
ウォーリー辺境伯の娘ミシェルはとても優れた聖女だった。その噂がレオナルド王子の耳に入り、婚約することになった。遠路はるばる王都についてみれば、レオナルド王子から婚約破棄を言い渡されました。どうやら、王都にいる貴族たちから色々吹き込まれたみたいです。仕舞いにはそんな令嬢たちから「芋臭い」なんて言われてしまいました。
連れてきた護衛のアーサーが今にも剣を抜きそうになっていましたけれど、そんなことをしたらアーサーが処刑されてしまうので、私は買い物をして田舎に帰ることを決めました。
★★
恋愛小説コンテストに出す予定です。
タイトル含め、修正する可能性があります。
ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。
ネタバレ含むんですが、設定の順番をかえさせていただきました。設定にしおりをしてくださった200名を超える皆様、本当にごめんなさい。お手数おかけしますが、引き続きお読みください。
無能とされた双子の姉は、妹から逃げようと思う~追放はこれまでで一番素敵な贈り物
ゆうぎり
ファンタジー
私リディアーヌの不幸は双子の姉として生まれてしまった事だろう。
妹のマリアーヌは王太子の婚約者。
我が公爵家は妹を中心に回る。
何をするにも妹優先。
勿論淑女教育も勉強も魔術もだ。
そして、面倒事は全て私に回ってくる。
勉強も魔術も課題の提出は全て代わりに私が片付けた。
両親に訴えても、将来公爵家を継ぎ妹を支える立場だと聞き入れて貰えない。
気がつけば私は勉強に関してだけは、王太子妃教育も次期公爵家教育も修了していた。
そう勉強だけは……
魔術の実技に関しては無能扱い。
この魔術に頼っている国では私は何をしても無能扱いだった。
だから突然罪を着せられ国を追放された時には喜んで従った。
さあ、どこに行こうか。
※ゆるゆる設定です。
※2021.9.9 HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる