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10話 ジーノの怒り その2
しおりを挟む「リガイン殿……婚約破棄をした家に事業の資金援助をしてくる時点で、既におかしいということに気付いてくれ」
「も、申し訳ありません……」
「そして、フォルナに対する態度はそれを上回る程に罪深いと知れ」
「は、はは……」
リガイン様は恐怖の余りか笑っているように見えた。ジーノ様が本気で怒っているので、どういう態度をすれば良いのか分からないのだと思う。それにしても笑うのはどうかと思うけれど……。
「この状況で笑える神経は流石としか言いようがないな」
「あ、ありがとうございます……ジーノ王子殿下」
誰も褒めていないのに、リガイン様は完全に勘違いしているようだった。情けな過ぎて、私まで溜息が漏れそうだわ。
「誰も褒めてなどいないぞ」
「えっ……? こ、これは失礼致しました……!」
「別に謝る必要はないが。まったく……お花畑な頭をしているんだな。マリーヌ嬢、少しは結婚する相手を考えた方が良いのではないか?」
「お、王子殿下……」
「まあ、お花畑の二人なので、お似合いと言えばそれまでなんだが……」
まさにジーノ様にしか許されない皮肉だった。お父様が言ったのだとしたら激昂していただろうけれど、流石にジーノ様が相手だと何も言えないようね。いい気味に見えてしまう。まあ、このくらいの恥はかいてもらわないと、アッバース家はやられっぱなしになってしまうしね。
「さて、話を戻そうか……マイケル殿は話を聞く限り、出資をするつもりはないようだ。間違いないかな?」
「はい、ジーノ王子殿下。間違いございません」
「う……うぐぐ……!」
リガイン様は歯を食いしばっている。余程、悔しいのか涙目にもなりながら……自分の考えていたこととは180度違うと理解出来たようね。ジーノ様も居るんだし、彼の望みは決して通ることはないわ。まあ、ジーノ様が居なくてもお父様が首を縦に振ることはなかったでしょうけれど。
「聞いた通りだ、リガイン殿……お前は反省し、しっかりとフォルナにも謝罪するんだな」
「フォルナに謝罪ですか……? それは……」
「なんだ? 何か不満があるのか?」
「先程、謝罪はいたしましたが」
「あれは謝罪とは言わんだろう? 土下座くらいはしてみたらどうだ?」
「……」
ジーノ様は明らかにリガイン様を挑発していた。おそらくは彼の反応を見極めているんでしょうけれど……リガイン様は無言になっていた。でも確かにジーノ様の言う通り、土下座くらいはしても良いんじゃないかとは思うわね。
リガイン様がどのような態度に出るのか……興味深いところだった。
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