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元魔王は実技を受ける。
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午後の授業では中庭で行われる。
週に一度の授業だと言う実技は、神聖魔法を使う訓練だ。
「では実際に治癒を使ってみましょう。呪文は"癒しの光――ヒール"です」
この治癒魔法に関しては、どの神を信仰しようが呪文は同じだ。効果もまた然り。
それ以外でも神聖魔法の八割は呪文、効果共に同じものばかりだ。
豊穣の女神独自の神聖魔法は、確か補助系効果の物が多かったか。
「聖属性に開花していない子らも、同じように授業を行って貰います。何故なら――」
そう言って柔和な笑みを浮かべた老司祭は、子供たち全員の顔を見渡す。
二十人の学友の中には、聖属性を持たずに神殿へ来た者も多い。
実に五割の少年少女らは、聖属性を持っていなかった。
だが老司祭は言う。
「大神殿で実技を学ぶことで、聖属性が開花する子らも少なくはありません。開花と同時に魔法を習得する者もいるぐらいですから」
なんと!?
だ、大神殿という場が、魔法習得に適しているというのか。
やはり……やはりフィリアに同行してよかった!
そう言えば彼女は元気にしているだろうか。
また後でと伝えてから、その『後で』がなかなか出来ていない。
神殿のどこに居るのか――は、感知魔法を使えば直ぐにわかるが、随分奥の方に連れていかれていた。
夕食の前にでもこっそり会いに行くか。
さて今は授業だ。
治癒の練習台には何を使う?
傷を癒すのだから、怪我を負わせなければ練習にはならない。
ゴブリン? コボルト? スライム?
いやいや、手に入りやすい練習台とはいえ、これらを瀕死状態にするだけでも骨が折れる作業だ。
素手で殴り飛ばすだけでも、あっさり首は飛ぶし、胴を殴れば腹が破裂してやっぱり即死だし。
ぼくも治癒の練習台にと思って捕獲したものの、何百と即死させてしまったことか。
ようやく瀕死状態で捕まえることが出来たのは、獣を捕る為の古典的な罠を使った時だ。
ロープをわっかにし、真ん中に餌を置く。
釣られてやって来たゴブリンが輪に入ったらロープを引き、そのまま数メートル走れば瀕死ゴブリンの出来上がりだ。
これに行きつくまでに、狩場のゴブリンが絶滅しかけて苦労した。
まぁ治癒が発動せず、捕まえたゴブリンは数十分で息絶えるので、結果として絶滅してしまったが。
しかし奴らは繁殖能力が高く、所詮近隣の森に生息するゴブリンが居なくなっただけだ。
そのうちまた増えるだろう。
で、司祭が用意した練習台は――
「これを使います」
掲げた手には、ゴブリンもコボルトも、そしてスライムすら持っていない。
小さい物ではないので持てはしないだろうが、ならこれとはどれだ?
実は上空にキメラが居る?
見上げても何も居ない。
では地面の中からバジリスクが現れるとか?
いやいや、感知魔法を発動させてみたが、周辺に魔物の気配はないぞ。
「この木の実に魔力を注いでください。上手く聖属性の魔力を注ぎ込めれば、芽吹くでしょう」
「なっ。木の実だと!? そ、そんな物で治癒の練習が出来るのかっ」
「えぇっと、今回が実技初めてのルインくんでしたね。治癒の魔法は細胞の活性化効果もあります。傷ついていない者に使っても効果がない――という訳でもないのですよ」
な、なんだって!?
ではぼくがこれまでやってきた、魔物を瀕死状態にして練習台にしていたことが実は無駄だったのか?
どんなに……どんなに奴らを即死させず、瀕死状態に止めて置く事が困難だったか……。
木の実に治癒魔法を掛け細胞を活性化させることで、芽が出るのだと司祭は言う。
そんな程度でよかったとは。
くっ。元魔王たるぼく、不覚すぎ!
しかし本当に魔力を注ぐだけで芽吹くのだろうか。
この八年間、ただの一度も成功したことがない治癒魔法……。
ここはひとつ、先輩方を見て学んでみるか。
ぼくとどこか違う点が見つかるかもしれない。
全員が一つずつ木の実を手に持ち、各々呪文を詠唱していく。
ある者はぎゅっと木の実を握り、そして潰してしまったり。ある者は呪文を唱えず魔力を注ぐことに集中して――燃やしてしまったり。
あぁ、あれは火属性持ちだな。
なるほど。流し込む魔力もなんでもいい訳ではない。
ちゃんと聖属性として性質変化させたものでなければならないのだろう。
「はっ。この程度、簡単過ぎて授業にもならないな」
「デリントンさま、凄い!」
「一発で成功なさるとは……流石デリントンさまだ」
「さすデリ!」
おぉ! デリントンが手にする木の実が芽吹いたぞ!
素晴らしいルームメイトだ。
よし、ぼくも彼に続くぞ!
木の実を握り潰すのは、単純に握力の問題だ。
しかしこの木の実は確かに柔らかい。ぼくの腕力でも簡単に握りつぶしてしまうだろう。
だから力を込めてはいけない。
燃えるのは性質変化に失敗しているから。聖以外の属性を持っていて、何も考えず魔力を注げばああなる。
もちろん他の属性を流し込んでも、何かしらの現象が起こるだろう。
逆に変化がないのは、単純に魔力を上手く木の実に流せてない証拠だ。
人の身に転生することで生まれた、ぼくの中の聖属性。
魔力を聖性質に変え、優しく、そっと木の実へと流し込む。
一瞬だけ、木の実からまばゆい光が漏れた。
「うわっ。ルインくんの木の実、今すっごく綺麗に光ったわ」
「私も見たっ。ルインくん、すごーい」
「さすが聖属性3ですわ」
「ははは。ありがとう。でも光っただけで、芽が出ないんじゃ意味はないよ」
だが光るというのは今までにも見たことがない現象だ。
やはり大神殿か! 大神殿という場が、神聖魔法習得にうってつけなのか!
よし。次はもっと大量の魔力を注ぐぞ!
ふぬううぅぅぅぅっ、どりゃああぁあぁぁぁ!!
カァーッっと光った木の実は次の瞬間、ずごごごごごごごと芽が出て蔓が伸び、あっという間に辺り一面を埋め尽くした。
「め、芽吹いた!? 木の実が芽吹いたあぁぁ!」
「ルインくん、半端ない!」
「ルインくんの魔力凄すぎよぉ」
「誰か助けてえぇぇー」
もっと木の実を芽吹かせたかった。
だが老司祭にダメ出しをされ、その上せっかく芽吹かせた植物を全部刈り取らされることにもなった。
ぼくの植物……。
蔓を全て処分し終え、疲れた表情の学友らと下駄箱へと向かう。
「今日の夕食はなんだろうなぁ」
「ルインくん、いつもひとりで食事をしているけれど、今夜は一緒にどう?」
「おぉ、ありがたい。でもぼくはひとりではないよ。いつもデリントンと一緒だから」
「え……で、でも……」
「あ、デリントン!」
噂をすればなんとやら。
彼は下駄箱の前に立っていた。
もしかして誰かを待っている? それは友? そしてぼく?
「嬉しなぁ。今日もまた一緒にご飯を食べようデリントン」
下駄箱から出した上履きに足を通すと、なんとなく違和感があった。
ゴミでも踏んでしまったか?
脱いで確認してみると、やはり何か踏んでしまっていたようだ。
怪訝そうに一緒に覗き込んだ女生徒に、これがなんなのか尋ねてみた。
ぼくが摘まみ上げたのは、銀色の平ぺったくて小さな丸い形の物だ。
「それ……潰れた……押しピン?」
「押しピン……そうだ! これは押しピンだ! くっ、気付かず踏んでしまったのか」
「え? でもこれ潰れて――」
「そう! 踏んで潰してしまったのだっ。これではもう押しピンとして使えない。どうしよう、備品を壊してしまった……。司祭さまに謝ってこなければ」
押しピンの針の部分がぽっきり逝った程度なら、針を起こして再利用も可能かもしれない。
だが針を真上から踏んだことで、針そのものがぐしゃっと潰れた感じになっている。
これでは再利用は不可能だ。
潰れた押しピンを手に持ち、備品管理担当の司祭の下へと向かう。
その途中、唖然とした顔のデリントンとすれ違った。
「すまないデリントン。今日は夕食を共に出来そうにない。構わず先に食べてしまってくれ」
「な……なんで……」
「司祭さまの所へ行かねばならないから」
それほどまでにぼくとの食事を楽しみにしてくれているのか。
ルームメイトを気遣ってくれるとは、デリントンは優しい奴だ。
司祭の下へさっさと行って、早く戻ってこよう。
そうすれば彼との食事も出来るはずだ。
週に一度の授業だと言う実技は、神聖魔法を使う訓練だ。
「では実際に治癒を使ってみましょう。呪文は"癒しの光――ヒール"です」
この治癒魔法に関しては、どの神を信仰しようが呪文は同じだ。効果もまた然り。
それ以外でも神聖魔法の八割は呪文、効果共に同じものばかりだ。
豊穣の女神独自の神聖魔法は、確か補助系効果の物が多かったか。
「聖属性に開花していない子らも、同じように授業を行って貰います。何故なら――」
そう言って柔和な笑みを浮かべた老司祭は、子供たち全員の顔を見渡す。
二十人の学友の中には、聖属性を持たずに神殿へ来た者も多い。
実に五割の少年少女らは、聖属性を持っていなかった。
だが老司祭は言う。
「大神殿で実技を学ぶことで、聖属性が開花する子らも少なくはありません。開花と同時に魔法を習得する者もいるぐらいですから」
なんと!?
だ、大神殿という場が、魔法習得に適しているというのか。
やはり……やはりフィリアに同行してよかった!
そう言えば彼女は元気にしているだろうか。
また後でと伝えてから、その『後で』がなかなか出来ていない。
神殿のどこに居るのか――は、感知魔法を使えば直ぐにわかるが、随分奥の方に連れていかれていた。
夕食の前にでもこっそり会いに行くか。
さて今は授業だ。
治癒の練習台には何を使う?
傷を癒すのだから、怪我を負わせなければ練習にはならない。
ゴブリン? コボルト? スライム?
いやいや、手に入りやすい練習台とはいえ、これらを瀕死状態にするだけでも骨が折れる作業だ。
素手で殴り飛ばすだけでも、あっさり首は飛ぶし、胴を殴れば腹が破裂してやっぱり即死だし。
ぼくも治癒の練習台にと思って捕獲したものの、何百と即死させてしまったことか。
ようやく瀕死状態で捕まえることが出来たのは、獣を捕る為の古典的な罠を使った時だ。
ロープをわっかにし、真ん中に餌を置く。
釣られてやって来たゴブリンが輪に入ったらロープを引き、そのまま数メートル走れば瀕死ゴブリンの出来上がりだ。
これに行きつくまでに、狩場のゴブリンが絶滅しかけて苦労した。
まぁ治癒が発動せず、捕まえたゴブリンは数十分で息絶えるので、結果として絶滅してしまったが。
しかし奴らは繁殖能力が高く、所詮近隣の森に生息するゴブリンが居なくなっただけだ。
そのうちまた増えるだろう。
で、司祭が用意した練習台は――
「これを使います」
掲げた手には、ゴブリンもコボルトも、そしてスライムすら持っていない。
小さい物ではないので持てはしないだろうが、ならこれとはどれだ?
実は上空にキメラが居る?
見上げても何も居ない。
では地面の中からバジリスクが現れるとか?
いやいや、感知魔法を発動させてみたが、周辺に魔物の気配はないぞ。
「この木の実に魔力を注いでください。上手く聖属性の魔力を注ぎ込めれば、芽吹くでしょう」
「なっ。木の実だと!? そ、そんな物で治癒の練習が出来るのかっ」
「えぇっと、今回が実技初めてのルインくんでしたね。治癒の魔法は細胞の活性化効果もあります。傷ついていない者に使っても効果がない――という訳でもないのですよ」
な、なんだって!?
ではぼくがこれまでやってきた、魔物を瀕死状態にして練習台にしていたことが実は無駄だったのか?
どんなに……どんなに奴らを即死させず、瀕死状態に止めて置く事が困難だったか……。
木の実に治癒魔法を掛け細胞を活性化させることで、芽が出るのだと司祭は言う。
そんな程度でよかったとは。
くっ。元魔王たるぼく、不覚すぎ!
しかし本当に魔力を注ぐだけで芽吹くのだろうか。
この八年間、ただの一度も成功したことがない治癒魔法……。
ここはひとつ、先輩方を見て学んでみるか。
ぼくとどこか違う点が見つかるかもしれない。
全員が一つずつ木の実を手に持ち、各々呪文を詠唱していく。
ある者はぎゅっと木の実を握り、そして潰してしまったり。ある者は呪文を唱えず魔力を注ぐことに集中して――燃やしてしまったり。
あぁ、あれは火属性持ちだな。
なるほど。流し込む魔力もなんでもいい訳ではない。
ちゃんと聖属性として性質変化させたものでなければならないのだろう。
「はっ。この程度、簡単過ぎて授業にもならないな」
「デリントンさま、凄い!」
「一発で成功なさるとは……流石デリントンさまだ」
「さすデリ!」
おぉ! デリントンが手にする木の実が芽吹いたぞ!
素晴らしいルームメイトだ。
よし、ぼくも彼に続くぞ!
木の実を握り潰すのは、単純に握力の問題だ。
しかしこの木の実は確かに柔らかい。ぼくの腕力でも簡単に握りつぶしてしまうだろう。
だから力を込めてはいけない。
燃えるのは性質変化に失敗しているから。聖以外の属性を持っていて、何も考えず魔力を注げばああなる。
もちろん他の属性を流し込んでも、何かしらの現象が起こるだろう。
逆に変化がないのは、単純に魔力を上手く木の実に流せてない証拠だ。
人の身に転生することで生まれた、ぼくの中の聖属性。
魔力を聖性質に変え、優しく、そっと木の実へと流し込む。
一瞬だけ、木の実からまばゆい光が漏れた。
「うわっ。ルインくんの木の実、今すっごく綺麗に光ったわ」
「私も見たっ。ルインくん、すごーい」
「さすが聖属性3ですわ」
「ははは。ありがとう。でも光っただけで、芽が出ないんじゃ意味はないよ」
だが光るというのは今までにも見たことがない現象だ。
やはり大神殿か! 大神殿という場が、神聖魔法習得にうってつけなのか!
よし。次はもっと大量の魔力を注ぐぞ!
ふぬううぅぅぅぅっ、どりゃああぁあぁぁぁ!!
カァーッっと光った木の実は次の瞬間、ずごごごごごごごと芽が出て蔓が伸び、あっという間に辺り一面を埋め尽くした。
「め、芽吹いた!? 木の実が芽吹いたあぁぁ!」
「ルインくん、半端ない!」
「ルインくんの魔力凄すぎよぉ」
「誰か助けてえぇぇー」
もっと木の実を芽吹かせたかった。
だが老司祭にダメ出しをされ、その上せっかく芽吹かせた植物を全部刈り取らされることにもなった。
ぼくの植物……。
蔓を全て処分し終え、疲れた表情の学友らと下駄箱へと向かう。
「今日の夕食はなんだろうなぁ」
「ルインくん、いつもひとりで食事をしているけれど、今夜は一緒にどう?」
「おぉ、ありがたい。でもぼくはひとりではないよ。いつもデリントンと一緒だから」
「え……で、でも……」
「あ、デリントン!」
噂をすればなんとやら。
彼は下駄箱の前に立っていた。
もしかして誰かを待っている? それは友? そしてぼく?
「嬉しなぁ。今日もまた一緒にご飯を食べようデリントン」
下駄箱から出した上履きに足を通すと、なんとなく違和感があった。
ゴミでも踏んでしまったか?
脱いで確認してみると、やはり何か踏んでしまっていたようだ。
怪訝そうに一緒に覗き込んだ女生徒に、これがなんなのか尋ねてみた。
ぼくが摘まみ上げたのは、銀色の平ぺったくて小さな丸い形の物だ。
「それ……潰れた……押しピン?」
「押しピン……そうだ! これは押しピンだ! くっ、気付かず踏んでしまったのか」
「え? でもこれ潰れて――」
「そう! 踏んで潰してしまったのだっ。これではもう押しピンとして使えない。どうしよう、備品を壊してしまった……。司祭さまに謝ってこなければ」
押しピンの針の部分がぽっきり逝った程度なら、針を起こして再利用も可能かもしれない。
だが針を真上から踏んだことで、針そのものがぐしゃっと潰れた感じになっている。
これでは再利用は不可能だ。
潰れた押しピンを手に持ち、備品管理担当の司祭の下へと向かう。
その途中、唖然とした顔のデリントンとすれ違った。
「すまないデリントン。今日は夕食を共に出来そうにない。構わず先に食べてしまってくれ」
「な……なんで……」
「司祭さまの所へ行かねばならないから」
それほどまでにぼくとの食事を楽しみにしてくれているのか。
ルームメイトを気遣ってくれるとは、デリントンは優しい奴だ。
司祭の下へさっさと行って、早く戻ってこよう。
そうすれば彼との食事も出来るはずだ。
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