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2章

第──29

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「動物が好む木ねぇ。食べるっていう意味だろ?」
「そう。食べるっていう意味」

 前回と同じ植木屋さんに苗木を買いに来た。
 具体的にどれがいいかというのが分からず、店の人にお任せだ。
 もちろんリシェルとシェリルがチェックする。あと毛玉もだ。

 残り4800ルブのうち、宿泊代や食事代のことを考えて2000ルブで買えるだけ買うことにした。
 少し大きなものだとやっぱり値段が高く、数で勝負するために小さなものを選んだ。
 だいたい40本ぐらい買えたかな。

「毎度あり! また来てくださいよ、待ってるぜ」
「……どうも」

 そう何度も何度も来てたまるか!

 苗木を買ったあとはシェリルのブラシだ。
 ビーズのような光る小さな石で葉っぱの模様が描かれた、ザ・乙女! みたいなブラシを買うと、当然リシェルが羨ましそうにするわけで。

「リシェルの分も買おう。どうせ三人で稼いだお金なんだし」
「はい!」

 リシェルは花柄のブラシだ。
 こういう好みも二人は微妙に違うみたいなんだよなぁ。

 それから宿だが……。

「二人は宿に泊まればいいのに……」
「でもそれじゃあ私たちが納得できませんっ」
「そうよ。わたしたちいつだって一緒なんだから。だって……こ……ここ……こ」

 鶏か?

「ふふふ。空さんと私、それにシェリルは恋人同士ですもの。いつだって傍にいたいんです」
「あぁ、恋人の『こ』ね──」

 ってめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!?

 結局みんなで町の外にテントを張って寝ることになった。
 ご飯は屋台で好きな物を少しずつ買って分けて食べる。美味しいものをあれこれ食べられる、いい買い物の仕方だ。
 買い物をした一軒の屋台で、毛玉を見たオヤジさんが「ん」と不愛想な顔で野菜のクズをいろいろくれて……毛玉歓喜。

 屋台通りにはベンチがあちこちある。
 冷めては勿体ない。
 その辺で飯を食って、それから町をでた。
 出て人気を避けるために少し離れた所にテントを張る。

「実技テストって、何かしら?」
「実際にモンスターと戦うのでしょうか?」
「んー、違うんじゃないかなぁ」

 毛玉を洗うのに借りた井戸。その周辺は運動場のように土で固められた少し広い場所だった。
 あそこはギルドと他の建物でぐるっと囲まれていて、案山子というか、木人形っていうのかな。そういうのがいくつかあったし。
 たぶんあそこでテストするんだろう。

「明日行ってみれば分かるさ」
『ぎゅうぅぅぅぅ』
「お前はまた石鹸で洗われると思っているのか。大丈夫だって。──ヨゴレナケレバナ」
『きゅっ……!?』





 その翌日。
 朝食を町の屋台で済ませ、いざ冒険者ギルドへ!

「おはようございます。登録試験を受けに来ました」
「はい、おはようございます。今日は素材の鑑定、ありませんよね?」

 そう、受付のお姉さんは笑顔でそういう。何故か半歩後退して。

 よっぽど嫌なのか!?
 だって毎日定期的に売りに来れる訳じゃないし、仕方ないじゃん!

「今日はありません。それで、試験は?」
「ほっ。お待ちください。今試験官を呼んできますので」

 安堵しきった様子で、受付嬢は奥の部屋へと向かった。

「私たち、そんなに大量の素材を持ち込んでいたのでしょうか?」
「でも町まで遠いんだから、毎日来れないし仕方ないわよね」
「俺もそれ思った。仕方ないよなー」

 三人で頷きあってると、さっきの受付嬢がマッチョのギルドマスターを連れて戻って来た。
 まさかギルドマスターが試験官?

「おう。お前らか。まぁあんだけ魔物産の素材を持ってくるんだ、大丈夫だろう」

 ギルドマスターはそう言って白い歯を見せる。
 こっちだと案内されたのは、やっぱり裏手の運動場(仮)だ。
 そこで何やらギルドマスターが木材をあちこちに運ぼうとしている。

「あの、手伝いましょうか?」
「んお? いいのか、じゃあそれをあっちに持って行ってくれ」
「はい」
「じゃあわたしたちも」
「はい、お手伝いいたします」
「いや悪いねぇ、お嬢ちゃんたちにまで」

 運ぶのはいいとして、これどう見ても陸上競技で見るハードルなんですけど?
 それの木製版。
 他にも平均台、跳び箱、梯子──これは横倒しにしてくぐれってことか?

 おい、じゃあ試験って、

「障害物競争かよ!?」 

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