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23:ラプトルさんと
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日曜日の朝。
ご飯を食べて、食器の後片付けをして、お腹を休めるためにインターネットを開く。
スキルの情報とか、詳しいこと書いてるサイトないかなぁ。
30分ほど探して、見つかったのは販売価格を値引きして貰う方法。
職業ギルド販売のものは、クエストをたっくさんすると少し値引きしてくれるようになるらしい。
でも錬金術師ギルドのお店で売ってるスキルで、今持ってないのは『研究』だけになっちゃったしなぁ。
あ、そうそう。INTの数値を上げるためには、スキルをたっくさん使うか、本をたっくさん読むって書いてあった。
町の中に図書館があって、そこで本を読むそうなんだけど……。
「ゲーム内の一時間で1000EN……しかもこの一時間INTは+1もしないって……うぅん。スキルをたっくさん使う方がいいのかなぁ」
わたしだと錬成?
採取はどうなんだろう?
草摘みで頭が良くなるとも思えないなぁ。
「ま、やってみれば分かるかな。よぉし、じゃあログイン!」
午前中は紅葉ちゃんがいないから、わたしとラプトルさんだけで頑張らなきゃね。
ゲームにログインすると、隣にラプトルさんが。
『あぎゃ』
「おっはようラプトルさん。今日はね、暫く紅葉ちゃんもいないから、わたしと二人だけだよ」
『んぎゃ』
「あ、おはようって言ったけど、こっちは夜なのかぁ」
見上げると、満天の星空。お月様も出ていて、現実と比べると凄く大きいの。だからなのかな、夜だけど明るく感じる。
「行こ、ラプトルさん」
『んくぉ』
今日も元気に走りまーす!
町の南側に出て、広い草原でスキルを使う。
「"発見"」
わぁっ。いっぱい薬草あるー!
「ラプトルさん。わたしは薬草を摘んでるから、周りにモンスターがやって来たらお願いね」
『くるぅ?』
首を傾げるラプトルさん。どうしたんだろう。
「もしかして、わたしが今言った言葉の意味が分からないのかなぁ?」
すると頷くラプトルさん。
か、賢いのか、そうじゃないのか……どっちなんだろう。
ホムンクルスっていうぐらいだし、やっぱり触れ合うことで賢くなっていくのかな。
じゃあ……。
「ラプトルさん、一緒に薬草摘みしよう」
こっちに来て座ってというようにジェスチャーすると、ラプトルさんがそれを理解して草の上に伏せる。
恐竜さんって、座り難そうな骨格してるのね。
「ほら、色の違う草があるでしょ?」
『んぎゃ』
「これがね、薬草なの。それをこうして──摘むんだよ」
葉っぱを茎からぷちっと千切ってラプトルさんに見せる。
するとラプトルさんは、何故かそれをぱくっと食べちゃった。
「違う違う。食べるんじゃ──」
『んぎゃっ』
首をふるふるさせて、口に入れた薬草をぺって吐いちゃった。
「美味しくなかったの?」
『んぎゅう』
こくこくと頷く。そっかぁ、薬草って美味しくないんだ。
良薬口に苦しって言うもんね。
それからラプトルさんは、草をじーっと見つめるんじゃなくって匂いを嗅いでいた。
『んぎゃっ』
何かを見つけたようで、手の爪で草をずばっとして一枚だけ器用に切る。
「それ、薬草なの?」
『ぎゃぎゃ』
ひらひら落ちてきた葉っぱを掴むと、一度アイテムボックスに入れて──
「ううん。せっかくだしスキルを使ってみようっと。"アイテム鑑定"」
ロックんさんに見せて貰った本を読んで習得したスキル、『アイテム鑑定』。
いろんな種類のアイテム情報が図鑑に書かれてあって、それを読んだ後ロックんさんが書かれていたアイテムを実際に見せてくれる。
これを二十回ぐらい繰り返すと、スキルを習得できたんだよね。
あれぐらいお手軽にスキルを覚えられるといいんだけど。
アイテム鑑定の結果は『低品質な薬草』だった。
わたしが『発見』スキルで見つけて『採取』した薬草と同じもの。
「ラプトルさん凄い! 匂いで薬草を見つけるなんて」
『あぎゃっぎゃ』
えっへんと胸を張るラプトルさん。
二人で薬草摘みを二時間ぐらい頑張ると、枚数は三百枚ぐらいになった。
「よぉし。次は狩りで素材集めをしよ」
『ぎゃ』
狩りをするのが嬉しいのか、ラプトルさんは大はしゃぎ。
そうだよね、肉食恐竜がモデルだもん。狩りが好きに決まってるよね。
「どこに行こうかなぁ。貝を集められれば、空き瓶も作れるんだけど……ラプトルさんがいるから、大丈夫かなぁ」
『んぎゃんぎゃ』
「うん、そうだね。行ってみなくちゃ分からないよね。よぉし、はっしるぞーっ」
たったったっと駆けると、ラプトルさんがドドドドドって追いかけてきて、追い抜いていく。
すぐにUターンして戻って来るけど、戻り過ぎてまたUターン。
それを繰り返しながら、シジミのいる小川までやって来た。
「ゲームだと疲れないからいいねぇ。あ、ラプトルさん。あの貝を倒すの。いい?」
『んぎゃっ』
今度は分かったみたい。近くにいた貝に走って行って──でもあれには頭突きできないもんね。小さいから。
小さいといってもわたしの手のひらより少し大きい。
そのシジミ貝に向かって走ったラプトルさんは、直前でピタリと止まって……。
『ぎゃっ』
と一声鳴いてから、大きな爪のある足で踏みつけた。
バキっていう凄い音がして、シジミさんは……天に召されました。
ラ、ラプトルさん……強いよぉ~。
ご飯を食べて、食器の後片付けをして、お腹を休めるためにインターネットを開く。
スキルの情報とか、詳しいこと書いてるサイトないかなぁ。
30分ほど探して、見つかったのは販売価格を値引きして貰う方法。
職業ギルド販売のものは、クエストをたっくさんすると少し値引きしてくれるようになるらしい。
でも錬金術師ギルドのお店で売ってるスキルで、今持ってないのは『研究』だけになっちゃったしなぁ。
あ、そうそう。INTの数値を上げるためには、スキルをたっくさん使うか、本をたっくさん読むって書いてあった。
町の中に図書館があって、そこで本を読むそうなんだけど……。
「ゲーム内の一時間で1000EN……しかもこの一時間INTは+1もしないって……うぅん。スキルをたっくさん使う方がいいのかなぁ」
わたしだと錬成?
採取はどうなんだろう?
草摘みで頭が良くなるとも思えないなぁ。
「ま、やってみれば分かるかな。よぉし、じゃあログイン!」
午前中は紅葉ちゃんがいないから、わたしとラプトルさんだけで頑張らなきゃね。
ゲームにログインすると、隣にラプトルさんが。
『あぎゃ』
「おっはようラプトルさん。今日はね、暫く紅葉ちゃんもいないから、わたしと二人だけだよ」
『んぎゃ』
「あ、おはようって言ったけど、こっちは夜なのかぁ」
見上げると、満天の星空。お月様も出ていて、現実と比べると凄く大きいの。だからなのかな、夜だけど明るく感じる。
「行こ、ラプトルさん」
『んくぉ』
今日も元気に走りまーす!
町の南側に出て、広い草原でスキルを使う。
「"発見"」
わぁっ。いっぱい薬草あるー!
「ラプトルさん。わたしは薬草を摘んでるから、周りにモンスターがやって来たらお願いね」
『くるぅ?』
首を傾げるラプトルさん。どうしたんだろう。
「もしかして、わたしが今言った言葉の意味が分からないのかなぁ?」
すると頷くラプトルさん。
か、賢いのか、そうじゃないのか……どっちなんだろう。
ホムンクルスっていうぐらいだし、やっぱり触れ合うことで賢くなっていくのかな。
じゃあ……。
「ラプトルさん、一緒に薬草摘みしよう」
こっちに来て座ってというようにジェスチャーすると、ラプトルさんがそれを理解して草の上に伏せる。
恐竜さんって、座り難そうな骨格してるのね。
「ほら、色の違う草があるでしょ?」
『んぎゃ』
「これがね、薬草なの。それをこうして──摘むんだよ」
葉っぱを茎からぷちっと千切ってラプトルさんに見せる。
するとラプトルさんは、何故かそれをぱくっと食べちゃった。
「違う違う。食べるんじゃ──」
『んぎゃっ』
首をふるふるさせて、口に入れた薬草をぺって吐いちゃった。
「美味しくなかったの?」
『んぎゅう』
こくこくと頷く。そっかぁ、薬草って美味しくないんだ。
良薬口に苦しって言うもんね。
それからラプトルさんは、草をじーっと見つめるんじゃなくって匂いを嗅いでいた。
『んぎゃっ』
何かを見つけたようで、手の爪で草をずばっとして一枚だけ器用に切る。
「それ、薬草なの?」
『ぎゃぎゃ』
ひらひら落ちてきた葉っぱを掴むと、一度アイテムボックスに入れて──
「ううん。せっかくだしスキルを使ってみようっと。"アイテム鑑定"」
ロックんさんに見せて貰った本を読んで習得したスキル、『アイテム鑑定』。
いろんな種類のアイテム情報が図鑑に書かれてあって、それを読んだ後ロックんさんが書かれていたアイテムを実際に見せてくれる。
これを二十回ぐらい繰り返すと、スキルを習得できたんだよね。
あれぐらいお手軽にスキルを覚えられるといいんだけど。
アイテム鑑定の結果は『低品質な薬草』だった。
わたしが『発見』スキルで見つけて『採取』した薬草と同じもの。
「ラプトルさん凄い! 匂いで薬草を見つけるなんて」
『あぎゃっぎゃ』
えっへんと胸を張るラプトルさん。
二人で薬草摘みを二時間ぐらい頑張ると、枚数は三百枚ぐらいになった。
「よぉし。次は狩りで素材集めをしよ」
『ぎゃ』
狩りをするのが嬉しいのか、ラプトルさんは大はしゃぎ。
そうだよね、肉食恐竜がモデルだもん。狩りが好きに決まってるよね。
「どこに行こうかなぁ。貝を集められれば、空き瓶も作れるんだけど……ラプトルさんがいるから、大丈夫かなぁ」
『んぎゃんぎゃ』
「うん、そうだね。行ってみなくちゃ分からないよね。よぉし、はっしるぞーっ」
たったったっと駆けると、ラプトルさんがドドドドドって追いかけてきて、追い抜いていく。
すぐにUターンして戻って来るけど、戻り過ぎてまたUターン。
それを繰り返しながら、シジミのいる小川までやって来た。
「ゲームだと疲れないからいいねぇ。あ、ラプトルさん。あの貝を倒すの。いい?」
『んぎゃっ』
今度は分かったみたい。近くにいた貝に走って行って──でもあれには頭突きできないもんね。小さいから。
小さいといってもわたしの手のひらより少し大きい。
そのシジミ貝に向かって走ったラプトルさんは、直前でピタリと止まって……。
『ぎゃっ』
と一声鳴いてから、大きな爪のある足で踏みつけた。
バキっていう凄い音がして、シジミさんは……天に召されました。
ラ、ラプトルさん……強いよぉ~。
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