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「にゃーんだ。名前を知りたかっただけですかー。残念」
そこ。最後の残念って、どういう意味!?
「そう言えば自己紹介がまだだったにゃんね。私の名前は――」
「名前は?」
何故か彼女は止まってしまい、十秒ほど待って再び会話が始まった。
「マロンにゃん」
「栗!?」
「あっちのムキムキが、ロッソにゃん」
「ふんむっ! 筋肉、鍛えているか!」
「まぁぼちぼち」
販売NPCなのに、その無駄にカッコいい筋肉はなんなんだ?
ちょっと羨ましいんですけど?
俺ももう少し筋肉盛っておけば良かったなぁ。
誰も話しかけていないと、無駄に筋肉ピクピクさせているソッロはヒューマン。
小麦色に日焼けした肌――もしくは地黒? そんな肌に逆毛の金髪という組み合わせで、なかなか目を惹く容姿のおじさんだ。
猫人族で、今回初めての女の子であるマロンは茶トラ猫。
耳穴があるのか、赤紫色のキャスケット帽を被ったりしてお洒落な子だ。
ソッロは鍛冶や皮細工、彫金といった製造道具類を取り扱っている。
マロンは調薬、裁縫、木工、そして大工道具だ。
俺がお世話になるのは、主にマロンだな。
「マロン、薬草を水洗いしようと思うんだけど。そういうのに使える道具はある?」
「あるにゃん。ザルがお勧めにゃんよ」
「よし、買おう」
そう言うと、マロンの販売物リストが、可視化されて浮き上がった。
「他にもお鍋なんかどうにゃん?」
鍋はキットにも入ってたじゃないか。それをわざわざ販売するって――ん?
マロンの販売物リストを見ると、ここにも調薬キットが。
重複するアイテムを売るって……もしかして鍋は消耗品なのか!?
アイテムを鑑定してビックリ。
調薬キットは、調薬レベル1から使えるが、作業効率が低い――と書いてある。
キットの中にも入っている鍋やおたま。これらの単品として売られている物は、作業効率が良くなると書かれている。
どういうことだ?
「なぁマロン。単品で販売している鍋とキットの中の鍋、どう違うのか?」
「にゃん。キットの鍋は一度に十本までしか作れにゃいの。でも単品で売ってるのは、一度に五十本まで作れるにゃんよ」
「マジか!? じ、じゃあおたまは?」
「キットを買ってない人には、必要にゃんよ?」
あぁ、そうか。
鍋以外は基本、キットを買わずに単品をいきなり買う人向けのようだ。
他にも木工や細工で使うノコギリやのみだと、キットに入っている物より切れ味がいいだの、細かい加工も可能になるだのといった特典があった。
「お買い求めになるにゃん?」
マロンの青い瞳が俺をじっと見つめる。
そんなの――。
「買うに決まってるだろ」
鍋、ノコギリ、のみを購入して、所持金がレッドゾーンに突入した。
元気草が一度の採取で複数枚ゲット出来るようになったのは嬉しい。
おかげで短い時間でも、これだけは百枚ちょっと集まった。質の良いのは二十五枚と少なめ。
この他、今回は精神草が三十七枚と、毒消し草というのもゲット!
草のまま食べてもいいのだろうか?
まぁどうせならポーションにしてみるか。
まず毒消し草をザルに入れ、流し台の水で洗うっと。
水道はポンプ式。
キコキコとレバーを動かすと、一定量の水が出る。
ささっと洗い流し水切りをして、買ったばかりの大きい鍋――どう見ても大人数用の土鍋だろこれ――というのに水を入れ草を投入……あれ?
毒消し草は十八枚ある。なので土鍋にもおたま十八杯分の水を入れたのに、草は九枚しか受け付けようとしない。
もしかして、草一枚でポーション二本なのか?
まぁい、作ってみよう。
解毒ポーションの作り方も、ライフポーションとまったく同じだな。
あ! ここに材料書いてるじゃん。
なるほど。草の状態で食べれば、一度に一枚消費して解毒可能。
ポーションだと一枚で二本、つまり解毒二回分作れるってことのようだ。
お得!
では早速。
焦がさないようにかき混ぜながら煮立たせて、水の色が変化したら火から下ろす。
溢さないよう、慎重に空き瓶へと移し替えて――。
「うおおおおおぉぉぉぉっ、完成したぞおおぉぉぉっ!!」
『ワオワオワオオオォォォンッ!』
「にゃーっ!? な、何事にゃん!?」
「はっはっは。若者は元気があっていいなー」
完成したのは、緑色をした解毒ポーション。毒に侵された体を治してくれるそうだ。
こういうポーションがあるってことは、毒攻撃してくるモンスターが居るってことだな。
これが全部で三十六本――いや、三十九本出来てる!?
え? なんで??
「マロン、ポーションの完成品の数が違うんだけど、どうなってんだ?」
「にゃん? それはきっと、丁寧に水洗いしたにゃんから、薬草成分が十分に染み出したからにゃんね~」
「水洗いすると、少し多めに作れるのか……でも水は三十六本分しか入ってないはず」
「一本あたりの量が減ってるにゃんよ、きっと」
きっと――そう話すマロンの顔は無表情で、反論は許さないぞという感じにも見えて怖い。
そ、そういうことにしておこう。多く作れるならこっちとしてもラッキーなんだし。
「よぉし。他のも水洗いして調薬するぞ!」
さっきよりも気持ち丁寧に元気草を水洗いし、土鍋におたま五十杯の水を入れる。草も五十枚投入し、竈に掛けて火を起こす。
竈の火は薪だ。
さっきの解毒ポーション作りで使った火がまだ残っているので再利用っと。
焦がさないように、そして溢さないように……土鍋の底からおたまでゆっくりかき混ぜる。
この作業って、適当にやった場合はどうなるんだろう?
次の調薬で実験してみるか。
こうして出来たポーションは五十七本!
やった、増えたぞっ。
おや? なんかアイテム名に記号が見えるんだが。なんだろう?
鑑定っと。
***************************************
手作りライフポーション☆+:ポーション
効果:HP回復量40
クールタイム:300秒
***************************************
んん!?
回復量40!?
プラス記号が付いてるが、もしかして丁寧なのがいいのか!?
試しにひとり用土鍋て適当作成を開始。
おたまでガシガシかき混ぜると、鍋の水が飛び散りあっという間に無くなってしまった。
一本分の材料だったが、元気草すら残っていない。
次にかき混ぜないで放置してみた。
『焦げて苦いポーション液』になった。これは最初作ったときの、ぐつぐつ沸騰したアレと同じだな。
ふぅん。適当にやったら、それ相応の物になってしまうのか。
質の良い元気草で作ったポーションは、これまた回復量がいっきにアップ。
***************************************
手作りライフポーション★:ポーション
効果:HP回復量110
クールタイム:300秒
***************************************
星マークに色が付いた。
☆が二つになる訳じゃないのか。
ってことは、薬草の種類によってマークが変わる?
なら、草の枚数とか変えるとどうなる?
余っているのはただの元気草だけ。
ひとり用土鍋に水はおたま一杯。草を二枚入れる。
いや、待てよ。
さっきの解毒ポーションの時は、そもそも草を受け入れなかったじゃないか。
まるで磁石のS極同士をくっつけようとするかのごとく、弾かれていたんだぞ。
それが今はどうだ?
普通に二枚目入れられたぞ。
よ、よし。ここからは丁寧に――。
無事完成したポーションはというと、
***************************************
手作りライフポーション☆☆+:ポーション
効果:HP回復量70
クールタイム:300秒
***************************************
やっぱりか。
同じ草の枚数が、そのまま星の数になるんだな。
☆と★。クールタイムは同じだけど、どうなんだろう?
試しに☆を一本飲んで、直ぐに★を飲んで――飲めた!
ただし、プラス記号の有る無しは関係ないようだ。同一ポーションとみなされるらしい。
今後はきっちり水洗いして、丁寧にかき混ぜるようにしよう。
そこ。最後の残念って、どういう意味!?
「そう言えば自己紹介がまだだったにゃんね。私の名前は――」
「名前は?」
何故か彼女は止まってしまい、十秒ほど待って再び会話が始まった。
「マロンにゃん」
「栗!?」
「あっちのムキムキが、ロッソにゃん」
「ふんむっ! 筋肉、鍛えているか!」
「まぁぼちぼち」
販売NPCなのに、その無駄にカッコいい筋肉はなんなんだ?
ちょっと羨ましいんですけど?
俺ももう少し筋肉盛っておけば良かったなぁ。
誰も話しかけていないと、無駄に筋肉ピクピクさせているソッロはヒューマン。
小麦色に日焼けした肌――もしくは地黒? そんな肌に逆毛の金髪という組み合わせで、なかなか目を惹く容姿のおじさんだ。
猫人族で、今回初めての女の子であるマロンは茶トラ猫。
耳穴があるのか、赤紫色のキャスケット帽を被ったりしてお洒落な子だ。
ソッロは鍛冶や皮細工、彫金といった製造道具類を取り扱っている。
マロンは調薬、裁縫、木工、そして大工道具だ。
俺がお世話になるのは、主にマロンだな。
「マロン、薬草を水洗いしようと思うんだけど。そういうのに使える道具はある?」
「あるにゃん。ザルがお勧めにゃんよ」
「よし、買おう」
そう言うと、マロンの販売物リストが、可視化されて浮き上がった。
「他にもお鍋なんかどうにゃん?」
鍋はキットにも入ってたじゃないか。それをわざわざ販売するって――ん?
マロンの販売物リストを見ると、ここにも調薬キットが。
重複するアイテムを売るって……もしかして鍋は消耗品なのか!?
アイテムを鑑定してビックリ。
調薬キットは、調薬レベル1から使えるが、作業効率が低い――と書いてある。
キットの中にも入っている鍋やおたま。これらの単品として売られている物は、作業効率が良くなると書かれている。
どういうことだ?
「なぁマロン。単品で販売している鍋とキットの中の鍋、どう違うのか?」
「にゃん。キットの鍋は一度に十本までしか作れにゃいの。でも単品で売ってるのは、一度に五十本まで作れるにゃんよ」
「マジか!? じ、じゃあおたまは?」
「キットを買ってない人には、必要にゃんよ?」
あぁ、そうか。
鍋以外は基本、キットを買わずに単品をいきなり買う人向けのようだ。
他にも木工や細工で使うノコギリやのみだと、キットに入っている物より切れ味がいいだの、細かい加工も可能になるだのといった特典があった。
「お買い求めになるにゃん?」
マロンの青い瞳が俺をじっと見つめる。
そんなの――。
「買うに決まってるだろ」
鍋、ノコギリ、のみを購入して、所持金がレッドゾーンに突入した。
元気草が一度の採取で複数枚ゲット出来るようになったのは嬉しい。
おかげで短い時間でも、これだけは百枚ちょっと集まった。質の良いのは二十五枚と少なめ。
この他、今回は精神草が三十七枚と、毒消し草というのもゲット!
草のまま食べてもいいのだろうか?
まぁどうせならポーションにしてみるか。
まず毒消し草をザルに入れ、流し台の水で洗うっと。
水道はポンプ式。
キコキコとレバーを動かすと、一定量の水が出る。
ささっと洗い流し水切りをして、買ったばかりの大きい鍋――どう見ても大人数用の土鍋だろこれ――というのに水を入れ草を投入……あれ?
毒消し草は十八枚ある。なので土鍋にもおたま十八杯分の水を入れたのに、草は九枚しか受け付けようとしない。
もしかして、草一枚でポーション二本なのか?
まぁい、作ってみよう。
解毒ポーションの作り方も、ライフポーションとまったく同じだな。
あ! ここに材料書いてるじゃん。
なるほど。草の状態で食べれば、一度に一枚消費して解毒可能。
ポーションだと一枚で二本、つまり解毒二回分作れるってことのようだ。
お得!
では早速。
焦がさないようにかき混ぜながら煮立たせて、水の色が変化したら火から下ろす。
溢さないよう、慎重に空き瓶へと移し替えて――。
「うおおおおおぉぉぉぉっ、完成したぞおおぉぉぉっ!!」
『ワオワオワオオオォォォンッ!』
「にゃーっ!? な、何事にゃん!?」
「はっはっは。若者は元気があっていいなー」
完成したのは、緑色をした解毒ポーション。毒に侵された体を治してくれるそうだ。
こういうポーションがあるってことは、毒攻撃してくるモンスターが居るってことだな。
これが全部で三十六本――いや、三十九本出来てる!?
え? なんで??
「マロン、ポーションの完成品の数が違うんだけど、どうなってんだ?」
「にゃん? それはきっと、丁寧に水洗いしたにゃんから、薬草成分が十分に染み出したからにゃんね~」
「水洗いすると、少し多めに作れるのか……でも水は三十六本分しか入ってないはず」
「一本あたりの量が減ってるにゃんよ、きっと」
きっと――そう話すマロンの顔は無表情で、反論は許さないぞという感じにも見えて怖い。
そ、そういうことにしておこう。多く作れるならこっちとしてもラッキーなんだし。
「よぉし。他のも水洗いして調薬するぞ!」
さっきよりも気持ち丁寧に元気草を水洗いし、土鍋におたま五十杯の水を入れる。草も五十枚投入し、竈に掛けて火を起こす。
竈の火は薪だ。
さっきの解毒ポーション作りで使った火がまだ残っているので再利用っと。
焦がさないように、そして溢さないように……土鍋の底からおたまでゆっくりかき混ぜる。
この作業って、適当にやった場合はどうなるんだろう?
次の調薬で実験してみるか。
こうして出来たポーションは五十七本!
やった、増えたぞっ。
おや? なんかアイテム名に記号が見えるんだが。なんだろう?
鑑定っと。
***************************************
手作りライフポーション☆+:ポーション
効果:HP回復量40
クールタイム:300秒
***************************************
んん!?
回復量40!?
プラス記号が付いてるが、もしかして丁寧なのがいいのか!?
試しにひとり用土鍋て適当作成を開始。
おたまでガシガシかき混ぜると、鍋の水が飛び散りあっという間に無くなってしまった。
一本分の材料だったが、元気草すら残っていない。
次にかき混ぜないで放置してみた。
『焦げて苦いポーション液』になった。これは最初作ったときの、ぐつぐつ沸騰したアレと同じだな。
ふぅん。適当にやったら、それ相応の物になってしまうのか。
質の良い元気草で作ったポーションは、これまた回復量がいっきにアップ。
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手作りライフポーション★:ポーション
効果:HP回復量110
クールタイム:300秒
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星マークに色が付いた。
☆が二つになる訳じゃないのか。
ってことは、薬草の種類によってマークが変わる?
なら、草の枚数とか変えるとどうなる?
余っているのはただの元気草だけ。
ひとり用土鍋に水はおたま一杯。草を二枚入れる。
いや、待てよ。
さっきの解毒ポーションの時は、そもそも草を受け入れなかったじゃないか。
まるで磁石のS極同士をくっつけようとするかのごとく、弾かれていたんだぞ。
それが今はどうだ?
普通に二枚目入れられたぞ。
よ、よし。ここからは丁寧に――。
無事完成したポーションはというと、
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手作りライフポーション☆☆+:ポーション
効果:HP回復量70
クールタイム:300秒
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やっぱりか。
同じ草の枚数が、そのまま星の数になるんだな。
☆と★。クールタイムは同じだけど、どうなんだろう?
試しに☆を一本飲んで、直ぐに★を飲んで――飲めた!
ただし、プラス記号の有る無しは関係ないようだ。同一ポーションとみなされるらしい。
今後はきっちり水洗いして、丁寧にかき混ぜるようにしよう。
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