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「便利だなぁ~。光魔法」
「でしょ~。これね、攻撃にも使えるの」
そう言ってリリーチェさんが、新品の杖の先に灯った光を――投げた!
そして暗黒に包まれる!!
「リリー! あ、明かりっ」
「キャァーっ暗い、怖いぃ~」
自分でそうしたんじゃないか~っ。
で、彼女がスキルを使うと、再び穴の内部に光が灯った。
「じゃあその光を灯している間は、攻撃としては使えないんだね」
「うん。でも他のスキルは使えるの。だから二つの魔法を同時発動みたいな感じね」
そうじゃなかったら明かりの意味がないもんな。
でも他に灯りが欲しい。ランタンでもあれば良かったけど……せめて松明でもあればなぁ。
薪木があるんだし、出来ないか?
「ちょっと待っててくれ。松明が作れないかやってみるよ」
「松明ですか?」
「そそ」
こういう場合は錬金スキルかな?
左の枠に薪木をセットして……あと火打ち石はどうだろう?
――右側には何も出ないっと。
あぁ、さっき石炭拾ってたな。あれ使えるんじゃないか?
……お、松明できた。
じゃあ鑑定っと。
***************************************
松明:道具
効果:火打ち石で火を点けることで、
30分間周辺を明るく照らす。
半径3メートル範囲内明るさレベル5
***************************************
明るさは焚火と同じか。でも燃えている時間は断トツで長い。
石炭は残り三つ。
黒っぽい岩を砕いたのは一回だけなんだが、一度に四つ拾うってことか。
さっそく松明に火を点け俺がそれを持つ。
「魔法の明かりは予備ってことで」
「はーい」
改めて穴――洞窟の中を観察してみる。
足元は岩。壁は岩の部分もあり土の部分もあり。天上は土だ。
自然に出来た洞窟という感じではないけど、だからって綺麗に四角くくり抜かれている訳でもない。
入って50メートルぐらい進んだが、特にモンスターの姿も――。
『グルル』
「どうした、ワオール?」
ワオールが前方を指差す。
「その先にモンスターがいるのかしら? ねぇ、ワオールちゃん」
『ワオッ!?』
ワオールちゃん……と呼ばれたことに驚いているようだ。
ふさふさの尻尾の毛が逆立って、目も大きく見開いている。
すぐに首を振って前方に意識を戻したワオール。一流の戦士だな。
「警戒しましょう」
「そうだな」
「"ホーリーライト"投げてみる? あっちの方まで明るくできるし」
「それはいい。頼むよ」
先の通路はまだ明るさレベルの範囲外だ。真っ暗でなんにも見えやしない。
リリーチェさんの魔法が飛んでいき、壁にぶつかる。
その瞬間、何かの影のようなものが浮かんだ。
ネズミのように地面を這いつくばって移動するような、動物っぽいシルエットだ。
それが三つ。
『ウォオ?』
行ってもいい? そんな感じでワオールが通路の奥を指差す。
さっきのでこの奥がT字路になっているのはわかった。
「ワオールが走って行きたそうなんだけど」
「ワオールって強いんですか?」
「たぶん? 地上のモンスターはだいたい一撃で倒してる」
「つよっ!」
「ワオールちゃん、すっごく強いのね」
『ワフー』
おぉ、ワオールのドヤ顔だ。二足歩行だからふんぞり返ることも出来るんだよな。
「リリー、魔法の光を少し先の床に転がしてくれる?」
「わかったわ」
リリーチェさんの魔法がふわぁっと飛んでいく。そして地面に着地して、そのまま辺りを照らし始めた。
正面の壁にモンスターの影が浮かぶ。
あ、左からも来てるな。
「クーさん。ワオールに右をお願いします。僕たち三人で左の敵を迎え撃ちましょう」
「オケ。ワオール、行ってもいいぞ」
『ワオォーッ!』
ダダダダっと駆け出したワオールが角を曲がると、その瞬間にモンスターの悲鳴が聞こえてきた。
「行くぞ~」
松明を掲げ走り出す。
「ま、待ってくださいっ」
「ワオールちゃん……どうなってんの……」
T字路までやってくると、ワオールが勝利の雄たけびを上げる直前。
『ワオオォォォォォン』
「えぇ、もう倒しちゃったの!?」
「強すぎるよ、ワオール」
「俺たちも負けてらんないなっ」
左からやって来たのは泥の塊……モンスターか?
鑑定してみよう。
***************************************
ボロロ:泥モンスター
備考:泥で出来たモンスター故
物理攻撃に強い
***************************************
「名前はボロロ。物理攻撃に強いって書いてあるな」
「うわぁ。僕と相性が悪いなぁ」
「私の出番ね♪」
リリーチェさんがそう言って"ファイア"という火の魔法を使う。
が、そんなに効いてないっぽい?
『ぼわあぁわぁぁん』
なんとも気の抜ける声で近づいてくる。しかもスピードが遅い。
『ワフゥ?』
「いや、こいつは俺たちで倒すよ。お前に頼ってばかりもいられないし。ところでリリーチェさん」
「なぁにお兄さん」
「水とか氷の魔法って使えるかい?」
「うん。アイスって魔法持ってるけど」
泥――なんだから、水で洗い流すとか、凍らせて割ってしまうとか、そういうのが効果あるんじゃないかな。
そう思ってリリーチェさんに魔法をお願いした。
予想通り、魔法で凍りついて動きが止まる。
「たあぁっ!」
凍りついたボロロにティト君が剣を叩きつけると、名前通り奴の体はボロボロと崩れ落ちた。
「やった!」
「圧勝じゃない。ふふ、これならダンジョンも楽勝ね♪」
「だな」
ワオールが倒したモンスターの死体は消滅していて、解体する暇もなかった。
泥モンスターにも解体、使えるのかな?
試しにナイフを突き立てると――出来た!?
「モンスターだったら何でも解体できるのか……」
「何が出ました?」
「うん、今見るね」
アイテムボックスには『泥』が入っていた。
……煉瓦の材料、ゲットだぜー……ははは……はぁ。
「でしょ~。これね、攻撃にも使えるの」
そう言ってリリーチェさんが、新品の杖の先に灯った光を――投げた!
そして暗黒に包まれる!!
「リリー! あ、明かりっ」
「キャァーっ暗い、怖いぃ~」
自分でそうしたんじゃないか~っ。
で、彼女がスキルを使うと、再び穴の内部に光が灯った。
「じゃあその光を灯している間は、攻撃としては使えないんだね」
「うん。でも他のスキルは使えるの。だから二つの魔法を同時発動みたいな感じね」
そうじゃなかったら明かりの意味がないもんな。
でも他に灯りが欲しい。ランタンでもあれば良かったけど……せめて松明でもあればなぁ。
薪木があるんだし、出来ないか?
「ちょっと待っててくれ。松明が作れないかやってみるよ」
「松明ですか?」
「そそ」
こういう場合は錬金スキルかな?
左の枠に薪木をセットして……あと火打ち石はどうだろう?
――右側には何も出ないっと。
あぁ、さっき石炭拾ってたな。あれ使えるんじゃないか?
……お、松明できた。
じゃあ鑑定っと。
***************************************
松明:道具
効果:火打ち石で火を点けることで、
30分間周辺を明るく照らす。
半径3メートル範囲内明るさレベル5
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明るさは焚火と同じか。でも燃えている時間は断トツで長い。
石炭は残り三つ。
黒っぽい岩を砕いたのは一回だけなんだが、一度に四つ拾うってことか。
さっそく松明に火を点け俺がそれを持つ。
「魔法の明かりは予備ってことで」
「はーい」
改めて穴――洞窟の中を観察してみる。
足元は岩。壁は岩の部分もあり土の部分もあり。天上は土だ。
自然に出来た洞窟という感じではないけど、だからって綺麗に四角くくり抜かれている訳でもない。
入って50メートルぐらい進んだが、特にモンスターの姿も――。
『グルル』
「どうした、ワオール?」
ワオールが前方を指差す。
「その先にモンスターがいるのかしら? ねぇ、ワオールちゃん」
『ワオッ!?』
ワオールちゃん……と呼ばれたことに驚いているようだ。
ふさふさの尻尾の毛が逆立って、目も大きく見開いている。
すぐに首を振って前方に意識を戻したワオール。一流の戦士だな。
「警戒しましょう」
「そうだな」
「"ホーリーライト"投げてみる? あっちの方まで明るくできるし」
「それはいい。頼むよ」
先の通路はまだ明るさレベルの範囲外だ。真っ暗でなんにも見えやしない。
リリーチェさんの魔法が飛んでいき、壁にぶつかる。
その瞬間、何かの影のようなものが浮かんだ。
ネズミのように地面を這いつくばって移動するような、動物っぽいシルエットだ。
それが三つ。
『ウォオ?』
行ってもいい? そんな感じでワオールが通路の奥を指差す。
さっきのでこの奥がT字路になっているのはわかった。
「ワオールが走って行きたそうなんだけど」
「ワオールって強いんですか?」
「たぶん? 地上のモンスターはだいたい一撃で倒してる」
「つよっ!」
「ワオールちゃん、すっごく強いのね」
『ワフー』
おぉ、ワオールのドヤ顔だ。二足歩行だからふんぞり返ることも出来るんだよな。
「リリー、魔法の光を少し先の床に転がしてくれる?」
「わかったわ」
リリーチェさんの魔法がふわぁっと飛んでいく。そして地面に着地して、そのまま辺りを照らし始めた。
正面の壁にモンスターの影が浮かぶ。
あ、左からも来てるな。
「クーさん。ワオールに右をお願いします。僕たち三人で左の敵を迎え撃ちましょう」
「オケ。ワオール、行ってもいいぞ」
『ワオォーッ!』
ダダダダっと駆け出したワオールが角を曲がると、その瞬間にモンスターの悲鳴が聞こえてきた。
「行くぞ~」
松明を掲げ走り出す。
「ま、待ってくださいっ」
「ワオールちゃん……どうなってんの……」
T字路までやってくると、ワオールが勝利の雄たけびを上げる直前。
『ワオオォォォォォン』
「えぇ、もう倒しちゃったの!?」
「強すぎるよ、ワオール」
「俺たちも負けてらんないなっ」
左からやって来たのは泥の塊……モンスターか?
鑑定してみよう。
***************************************
ボロロ:泥モンスター
備考:泥で出来たモンスター故
物理攻撃に強い
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「名前はボロロ。物理攻撃に強いって書いてあるな」
「うわぁ。僕と相性が悪いなぁ」
「私の出番ね♪」
リリーチェさんがそう言って"ファイア"という火の魔法を使う。
が、そんなに効いてないっぽい?
『ぼわあぁわぁぁん』
なんとも気の抜ける声で近づいてくる。しかもスピードが遅い。
『ワフゥ?』
「いや、こいつは俺たちで倒すよ。お前に頼ってばかりもいられないし。ところでリリーチェさん」
「なぁにお兄さん」
「水とか氷の魔法って使えるかい?」
「うん。アイスって魔法持ってるけど」
泥――なんだから、水で洗い流すとか、凍らせて割ってしまうとか、そういうのが効果あるんじゃないかな。
そう思ってリリーチェさんに魔法をお願いした。
予想通り、魔法で凍りついて動きが止まる。
「たあぁっ!」
凍りついたボロロにティト君が剣を叩きつけると、名前通り奴の体はボロボロと崩れ落ちた。
「やった!」
「圧勝じゃない。ふふ、これならダンジョンも楽勝ね♪」
「だな」
ワオールが倒したモンスターの死体は消滅していて、解体する暇もなかった。
泥モンスターにも解体、使えるのかな?
試しにナイフを突き立てると――出来た!?
「モンスターだったら何でも解体できるのか……」
「何が出ました?」
「うん、今見るね」
アイテムボックスには『泥』が入っていた。
……煉瓦の材料、ゲットだぜー……ははは……はぁ。
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