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 朝ご飯は簡単に済ませるため、食パンをトースターで焼いてチョコバターをぬったもの。
 パンを食べながらタブレットを操作し、昨日のウィキで情報集めだ。

 お、町のページが出来てるな。


・ティアナの町
・・雑貨屋×5。武器防具屋×4。生産工房×3。冒険者ギルド×1。
・・八百屋。肉屋。

・トール村
・・雑貨屋×2。武器防具屋×1。生産工房×1。

・ギブリ村
・・雑貨屋×1。武器防具屋×1。生産工房×1。

*村ではNPCに直接交渉して野菜や肉を買うことが出来た。


 うん。物凄く簡易データしかなかった。
 コメント欄見る限り、町や村はもっとあるようだ。
 町のほうが施設の数が多いみたいだな。その分、利用者も多いってことだろう。
 こうして見ると、俺の夢の王国に必要な最低限度の施設がわかる。
 
 雑貨屋はにゃんごがいる。あとは武器防具屋と工房か。
 町にはあって村には無い、冒険者ギルドってのはなんだろう?
 ログインしたらにゃんごに聞いてみよう。





「冒険者ギルドニャか? お仕事を紹介してくれたり、冒険の仲間を募集出来たりいろいろしてくれるニャよ」
「お仕事紹介……。紹介される程暇でもないしなぁ……。優先順位は下だな」
「まぁ冒険者ギルドを作る為にも、他のお客ニャんが増えなきゃいけニャいんだけどニャ」
「ふーん……んじゃまぁ、壁を完成させますかね」

 ゲーム内は日中だが、太陽の角度を見る限りもう少しで夕方になりそうだ。
 ちょうどいい。日中だと伐採しに行きたくなるからな。

「ワオール。丸太を切る作業をしている間は狩りをしててくれ。終わったら壁造りを手伝って欲しいから、その時は戻ってきてくれるか?」
『オォォーン』

 いつものように嬉しそうにモンスターを瞬殺しに行ったワオールを見送って、俺は大工スキルで丸太の切断作業っと。
 二百七十五のケヤキの丸太が、千三百七十五本に。
 作業が終わると、太陽が沈んでしまった。
 このタイミングでワオールが嬉しそうに戻ってくる。

「スキルを使ってみたのか?」
『ワホッ』
「そっか。楽しかったか?」
『オオォォーンッ』

 楽しかったようで、なによりだ。

 それじゃあ焚火で灯りを確保し、作業開始するか。
 今回も削りカスで焚火の燃焼時間の延長作戦!

 西側の壁に出入口用の扉を設置するための隙間を開けておく。
 ケヤキの丸太も十分にある。むしろ余るほどにだ。
 まぁ余ったと言っても、建設で使うから実際には余る訳じゃないんだけどね。

 こうして出来上がったのは、南北に80メートル、東西に100メートルの壁。

「うおおおぉぉぉぉぉっ!」
『ワオオォォォォーンッ!』
「あーはいはい。いつものやつニャね。けど扉がまだニャから、完成ではニャいニャー」
「うおおぉぉ、あ、そうか。ってことは朝までに完成できなかったな。残念」

 俺とワオールの雄たけびは、朝日に向かって行われていた。
 せっかく絵になってたのになぁ。

 じゃあ扉を作ろうか。
 
 扉は観音開きにするつもりでいる。
 普通に考えれば蝶番を使って、壁と扉を固定するんだけども――。
 にゃんごの販売道具リストに釘があったのは覚えているけど、蝶番はどうだったかなぁ。

「にゃんごぉ、蝶番って売ってたか?」
「蝶番? 丁番ならあるニャよ」
「それ同じもんだよ。売ってんのか。じゃあ釘と一緒に買う」
「釘は百本で250Gニャ。丁番は大・中・小とあって……壁に使うニャか?」

 俺が頷くと、大サイズになるとにゃんごは教えてくれる。
 価格は一つ500G。

 うぅん。
 扉だからなぁ。最低でも片側で二つはいるだろう。
 そして高さ4メートルの扉だ。二つで固定できるとも思えない。
 1メートルに付き一つは欲しいよなぁ。

 あ、壁の高さは3メートルなのに、扉だけ4メートルって……まぁいいか。そこだけ高いと、扉の位置も離れた所から見てわかりやすいだろうし。

 そして圧倒的にお金が足りない罠。
 ポーション作って駒田に買って貰おう。あいつの知り合いで買ってくれる人いないか、聞いて貰おう。

「ワオール。お金を稼ぐ為に採取するから、お前は狩りをしてくれないか?」
『ワオーンッ』

 そうだ。せっかくだし、ワオールの近くで採取しよう。そして解体スキルで素材ゲットだ!
 死体は放置していると、だいたい一分ほどで消えてなくなるようだ。
 なので手早く解体しなきゃな。

 ワオールが倒したホーンラビットの死体。
 スマホから解体スキルを選ぶと、解体用ナイフを持てとメッセージが浮かんだ。
 装備じゃなく持つのでいいんだな?
 アイテムボックスから取り出して握ると、転がっている死体にマーカーが出た。
 ウィキに書いてあった通りナイフを兎に当てると、ゲージが出てきて数秒後には光の藻屑に。

 あれ?
 アイテムは?
 ボックスを確認するが、ワオールがどんどんモンスターを倒していっているのでよくわからない。
 ワオールに一度手を止めてもらう。
 そこかしこに転がるマーカー付き死体にナイフを当てる。

 お、毛皮が一個増えた。
 だいたい五秒で解体が完了するし、まとめて解体したほうがいいな。
 その間に採取して――。

「あ、ワオール。戦ってていいぞ」
『ワホッ♪』

 倒す速度が速いし、消滅する死体も出るだろうけどまぁいいか。
 
 しばらく採取と解体とを繰り返し、一時間ほどでにゃんごのところへ。
 ふっふっふ。解体ってすんばらしい!
 ドロップと合わせて680G。

 うん、でもまだ全然足りない。
 しかし今回の狩りでは、なーんと!

「ボーンナイフってのが出たんだぜっ。ワオールは装備出来ないし、これを売るっ」
「お客ニャん。自分で装備しニャいのかニャ?」
「必要ない。買ってくれ」
「……いいニャけど。一本1650Gニャよ」

 おおおおぉぉぉ!
 キタキタキターッ。
 所持金3453Gになりましたーっ!

 切りのいいところで丁番六個購入。余ったお金で釘ワンセットと空き瓶四十本購入。
 ポーションを四十本作ってから駒田にチャットで……あれ?
 相手がログインしてないとチャット出来ないのか。

「にゃんご、今何時だかわかるか?」
「スマホに出てるニャよ?」
「あ――本当だ。なんだ、まだ二時か……ん?」

 スマホの時計表示が右上に二つある。
 上の段の数字が大きく、2:08とあった。その下には小さく13:08と。
 下が現実の時間か?

 あ、昼ごはん食べ損ねてる!
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