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 おネエが持って来た二着。
 一着はビキニアーマーかよってデザイン。鎧じゃなくって布だから、ただの水着とそう変わらない。
 もう一着は金太郎だ! いや、金太郎の前掛けだ! それで胸隠してるだけ!!

「却下!!!!」
「あらぁん、こういうのは好みじゃないのねぇん。そもそもあの子、こういう背中がモロ見えの服だったじゃなぁい」
「そういう問題じゃない! ふ、普通、普通のでいいから!」

 好みで言えば金太──そうじゃなくて、こんなもん着せて町を歩けるか!
 背中が空いてるのは、飛ぶときに翼を出すからなんだよ! ってのは言えない。

「仕方ないわぁねぇ~。じゃあこれでいいかしら」

 背中はぱっくりと空いた丈の短い白と青のワンピース。同じカラーリングのショートパンツの組み合わせ、か。

「まぁそれなら」
「んっふ。お代はちゃーんと頂くわよぉ。まぁ予算がなければ交換するけどねぇん」
「そのつもりで来たんだ。他にも着替えと、ダンジョン攻略用の装備が欲しい」

 おネエはおさげの眼鏡っ娘に服を渡してこっちに振り返った。

「コレも坊やに着せたのも、服──だけどちゃーんとした防具よん。特殊素材が使ってあるから、見た目より頑丈なのよぉ」
「そんな風に見えないけど……」
「じゃあこれならどぉおん?」

 突然おネエがハサミを持って振り下ろした。

「ひぎっ」
「アタシの商売道具よぉ。んふふふ~♪」

 シャキーンっと振り下ろされたハサミの刃が、今着たばかりの服を──服──
 あれ?
 切れてなーい。

「このハサミは鉄製なの。生地だけでも鉄の刃も通さないわよ。これ、切るのにすっごい苦労するんだから」
「すげぇ……けど高価なもんなんじゃ!?」
「あなた、ギルドの子にここを紹介されて来たんでしょ?」
「あ、あぁ」

 ド派手なピンクの屋根のおかげで直ぐに見つかったけど、角を曲がってからここまで意外と遠かった。
 
「んふふ。ルーキーはね、このお店を勧められることなんて滅多にないのよ」
「は? なんでまた」
「うちは一流のお店ですもの。一流の冒険者しか相手にしないの。だからルーキーはこの店にはこ・な・いってね」

 そんな店を、なんで俺なんかに勧めたんだ?

「ふふ。ただ例外があってね」
「例外?」
「そうよ。ギルドから将来有望だと判断された子は、うちを紹介されるのよん」

 将来有望……そんなに高く買われているのか、俺は。
 いや俺たちは、か。

「坊やとあの子の二着で、15.000エル」
「いちまん……うげっ」
「ツケにしてあげる。それと、アタシからの依頼を受けてくれないかしらん?」
「い、依頼?」

 その瞬間──

「リヴァァー、みてぇ、ねぇすごー気持ちぃ服ぅ」

 隣の部屋から真新しい服に着替えたセシリアが出てきた。

 
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