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「かぁー、やっちまった」
資源区画で石運びをしていると、掘削作業をしていたオッサンが声を上げた。
どうやらツルハシの柄を折ってしまったようだ。
「おいリヴァ。上に行って新しいのと交換して来てくれ」
なんで俺が──と思ったが、これは使えるかもしれない!?
「いいよ」
折れたツルハシを受け取り、それを抱えて地下街へと向かう。
備品の類は地下街の管理棟にある。
そこで新しいものと交換して貰う訳だが──管理棟に詰めている連中はロクに『管理』なんかしちゃいない。
そもそも仕事熱心な連中なら、こんな地下で働いていたりしないのだから。
「ツルハシが折れたので交換していいですか?」
ここではちょっと子供っぽく声をかけた。
昼間っから既に泥酔している従業員は、手を振って応えるだけ。
勝手に持っていけって意味だ。
倉庫に行って折れたヤツを隅に置いて、新品を一本抱える。
そして辺りを見渡し、採掘用のハンマーに手を伸ばした。
「うん、これぐらいなら振り回せそうだ」
ツルハシも重量的には問題ない。ただ今のこの体には大きすぎる。
採掘用のハンマーなら、服の下に隠して持ち出すのも簡単だ。
「ありがとうございました」
と言ってはみたが、従業員は夢の中。
作業場へと戻る前に教会へと向かい、裏口から入って植木の根元にハンマーを隠す。そうしてから急いで作業場へと戻った。
その日の仕事が終わるとお金を貰い、その足で教会へと向かう。
また裏口から入ってハンマーを取り出すと、ぼろぼろの背負い袋に入れて地下六階へと向かった。
ひとまず階段から顔を出してモンスターがいないか確かめる。出来れば一匹でうろついている奴を相手にしたい。
動きを止めている間に、ハンマーで殴る。
十秒しかないし、複数を相手にはしたくない。
階段下の踊り場で待ち構えること十分ぐらいだろうか。
奥の通路からモンスターが一匹、こちらに向かってやって来た。
体長50センチほどの巨大なネズミに似たモンスターは、俺に気づくと目を赤く光らせ突進してきた。
ギリギリまで引き付け、そして──止まれっ!
瞬きをすればモンスターの動きが止まる。
すぐさま駆け出し、ハンマーの尖った方を思いっきり振り下ろした。
「うらぁっ!!」
地面に叩きつけられたネズミは、それでもまだ生きている。
カウントは残り4──もう一度振り下ろす。
──ゼロ。
だけどネズミは動かなかった。代わりにドロリと溶けて、地面へと吸収された。
「た、倒せた。は、ははは。案外楽勝じゃん」
とはいえ、ネズミはこの階層で最弱モンスターだ。体力も低く、早い段階で強奪できなくなった奴だもんな。
ネズミの死体が消えたあとには、小さな魔石が落ちていた。
色はなく、半透明なだけだ。
ダンジョンモンスターの死体から出る魔石は、色によってさまざまな用途として利用される。
この半透明なのは衝撃を与えると光って、ランタン代わりに使われる。
地下街もこれのおかげで明るさを確保されていた。
「よし、もう少し狩りをしてみよう。戦えるようなら七階にだって行けるだろうしな」
そうしたらまたステータスの強奪スキルが使えるようになるだろう。
その後、一時間ほどでモンスターを七体倒した。
魔石は半透明が三つ、赤いのが一つ、水色が一つ。それとポーション瓶が一本。
赤いのは衝撃を与えると火が出る。もう一度衝撃を与えれば火は消えるので、料理をする時に重宝する。
水色は衝撃を与えれば水が出て、その量は魔石のサイズに依存した。
「この大きさならバケツ二、三杯ぐらいかな?」
俺ひとりならこれ一つで二、三日持つだろう。
地下街じゃ井戸水すら金を取られるので、石があると助かる。
それとも井戸水代より高く売れるだろうか?
とにかく今日は引き上げよう。
魔石を売るかどうかは、値段次第だ。
資源区画で石運びをしていると、掘削作業をしていたオッサンが声を上げた。
どうやらツルハシの柄を折ってしまったようだ。
「おいリヴァ。上に行って新しいのと交換して来てくれ」
なんで俺が──と思ったが、これは使えるかもしれない!?
「いいよ」
折れたツルハシを受け取り、それを抱えて地下街へと向かう。
備品の類は地下街の管理棟にある。
そこで新しいものと交換して貰う訳だが──管理棟に詰めている連中はロクに『管理』なんかしちゃいない。
そもそも仕事熱心な連中なら、こんな地下で働いていたりしないのだから。
「ツルハシが折れたので交換していいですか?」
ここではちょっと子供っぽく声をかけた。
昼間っから既に泥酔している従業員は、手を振って応えるだけ。
勝手に持っていけって意味だ。
倉庫に行って折れたヤツを隅に置いて、新品を一本抱える。
そして辺りを見渡し、採掘用のハンマーに手を伸ばした。
「うん、これぐらいなら振り回せそうだ」
ツルハシも重量的には問題ない。ただ今のこの体には大きすぎる。
採掘用のハンマーなら、服の下に隠して持ち出すのも簡単だ。
「ありがとうございました」
と言ってはみたが、従業員は夢の中。
作業場へと戻る前に教会へと向かい、裏口から入って植木の根元にハンマーを隠す。そうしてから急いで作業場へと戻った。
その日の仕事が終わるとお金を貰い、その足で教会へと向かう。
また裏口から入ってハンマーを取り出すと、ぼろぼろの背負い袋に入れて地下六階へと向かった。
ひとまず階段から顔を出してモンスターがいないか確かめる。出来れば一匹でうろついている奴を相手にしたい。
動きを止めている間に、ハンマーで殴る。
十秒しかないし、複数を相手にはしたくない。
階段下の踊り場で待ち構えること十分ぐらいだろうか。
奥の通路からモンスターが一匹、こちらに向かってやって来た。
体長50センチほどの巨大なネズミに似たモンスターは、俺に気づくと目を赤く光らせ突進してきた。
ギリギリまで引き付け、そして──止まれっ!
瞬きをすればモンスターの動きが止まる。
すぐさま駆け出し、ハンマーの尖った方を思いっきり振り下ろした。
「うらぁっ!!」
地面に叩きつけられたネズミは、それでもまだ生きている。
カウントは残り4──もう一度振り下ろす。
──ゼロ。
だけどネズミは動かなかった。代わりにドロリと溶けて、地面へと吸収された。
「た、倒せた。は、ははは。案外楽勝じゃん」
とはいえ、ネズミはこの階層で最弱モンスターだ。体力も低く、早い段階で強奪できなくなった奴だもんな。
ネズミの死体が消えたあとには、小さな魔石が落ちていた。
色はなく、半透明なだけだ。
ダンジョンモンスターの死体から出る魔石は、色によってさまざまな用途として利用される。
この半透明なのは衝撃を与えると光って、ランタン代わりに使われる。
地下街もこれのおかげで明るさを確保されていた。
「よし、もう少し狩りをしてみよう。戦えるようなら七階にだって行けるだろうしな」
そうしたらまたステータスの強奪スキルが使えるようになるだろう。
その後、一時間ほどでモンスターを七体倒した。
魔石は半透明が三つ、赤いのが一つ、水色が一つ。それとポーション瓶が一本。
赤いのは衝撃を与えると火が出る。もう一度衝撃を与えれば火は消えるので、料理をする時に重宝する。
水色は衝撃を与えれば水が出て、その量は魔石のサイズに依存した。
「この大きさならバケツ二、三杯ぐらいかな?」
俺ひとりならこれ一つで二、三日持つだろう。
地下街じゃ井戸水すら金を取られるので、石があると助かる。
それとも井戸水代より高く売れるだろうか?
とにかく今日は引き上げよう。
魔石を売るかどうかは、値段次第だ。
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