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ミッション了解

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「ゼノリカってのがどういうものか、ぶっちゃけ、まだイマイチよくわかってねぇ。だが、あんたが在籍し、その尊い覚悟を賭しているという事だけはよく分かった。それだけでいい。それだけでも、充分、尽くすに値すると思えた」




 まだ、UV1の発言でしかゼノリカを知らない。

 だが、本当に心底から、『それで充分だ』と思った。

 彼女が所属している組織。

 なら、尽くすべきだと本気で思う。




 ゼノリカが彼女の言葉通りの組織なら、純粋に最高で完璧。

 ぜひ永久就職を希望したい最高の職場。







 ――もし、完璧な職場じゃなかったら?

 ――高潔なのは彼女だけで、上層部が腐っていたら?

 なら、当初の予定どおり、上にいる連中を全員潰して、彼女を頭にすればいい。




 それだけの話。

 極めて単純な話。




 UV1は示した。

 ゼノリカの意思。

 全てを照らす光。




 一方的で押しつけがましい対外的な正義なんかじゃない。

 極めて純粋で無垢な、『悪を殺す剣』になろうとする本物の覚悟。




 だから、ゴートは、




「……いい場所に再就職できたじゃねぇか」




 真剣にそう思った。

 少なくとも、第一アルファの番犬なんてカス職業よりも遥かにマシ。

 生ゴミしかいなかったあのクソ組織と比べれば、ゼノリカは天国だ。




 なんせ、確実に一人は『尊敬できる上司』がいるのだから。

 もし仮に上が腐っていたとしても、UV1という『信じられる上司』が一人はいる。




「絶対に生き残る。決めた。俺は、あんたを神にする!」




 覚悟を決めて、




「悟鬼! ワンダーナイト! ネオヘルズ覇鬼に、全力で攻撃しろっっ!!」




 突撃命令を出す。

 悟鬼もワンダーナイトもステータスが高いタイプ。

 つまり、脚力も申し分ない。




 二体が、全速で駆け、ネオに飛びかかろうとした――その直前、







「うるさい」







 ドンッ、グシャアっと、ほとんど一瞬で、ワンダーナイトと悟鬼が叩き潰された。







 あっさりと光の粒になって、世界に拡散していく二匹のモンスター。




 二体を破壊したネオは、静かな態度で、




「気合いを入れて、大声を出して……それだけでどうにかなる絶望があるとでも?」




 そう言い捨てた。




 その視線はUV1から一瞬たりとも外れなかった。

 UV1に対する警戒心をわずかも怠る事なく、

 ネオは、一瞬で、二体の召喚獣を排除した。




 瞬殺。

 ラムドにとってはエース級、この世界では最高峰クラスの召喚獣を、二匹とも。







「貴様は後だ。ゴミは引っ込んでいろ。こっちは今、真剣に命のやりとりをしている。遊んでいる余裕はない」







 そんな、ナメくさった事を言うネオに、

 ゴートは、睨みをきかせ、




「悪いな、ラムド……」




 ボソっと、




「あんたが長年愛用していた召喚獣、生贄にさせてもらった」




「?」




「ラムド印じるしのワンダーナイトと悟鬼を生贄にささげ……スリーピースカースソルジャーを強制召喚する!」




 ゴートの意思に従って、拡散していた光の粒が結集していき、
















「来いッッ! スリーピース・カースソルジャァアアアア!!」
















 その宣言の直後、







 ハチの巣になっていたはずの『やつら』が、

 全快状態で、禍々しいジオメトリから、這い上がってくる。




 悟鬼とワンダーナイトのコアオーラを媒体にして、完全回復までの時間を強制短縮。




 現れたるは、濃い紫に染まった、呪いの鎧に身を包む精悍な兵士。

 怪しく輝くは、左手に携えている『死色に染まった魔剣』。







「UV1様、先ほどの質問に対する回答、ちゃんと最後まで言うので聞いてください」







 ――カースソルジャー、召喚できる?







「あなたによってフルボッコにされたので、しばらくは、通常召喚不可能です。しかし、こういう形でなら、どうにかムリヤリ召喚することが出来ます」




 ニっと微笑み、




「さあ、次のご指示を」




 UV1は、目にグっと力を込めた。

 そして、絶望を殺すために叫ぶ!




「全力でヘルズ共を抑えなさい! ネオは……私が殺す!」




「あなたがネオヘルズ覇鬼を殺すまで、6体のヘルズ覇鬼を抑え込む」




 ゴートは、反芻してから、

 スゥウウっと、大きく息を吸い、叫ぶ。




「ミッション、了解っ!」







 ヒーロー(大役)は、UV1に任せ、

 ゴートはサイドキック(助手)に徹する。













 ――それでは、そろそろ、ダサイ時間は終わりにして、

 ゼノリカの一員らしく、堂々と、

 胸を張って、このクソみたいな絶望を殺すとしよう。

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