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心の底から、貴様が憎い

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センとの密談後、女神の中の女神『シューリ・スピリット・アース』は、アダムと闘った『闘の間隙』に戻っていた。




 アダムとの激闘を思い出しながら、

 魔法で出現させた『かなり大きめのソファー(もはやベッド)』に寝転がって、

 静かにゆったりと空を見ていた。




(強くなる方法か……そういえば、今まで、一度も考えた事がなかったな)




 などと、心の中でつぶやきながら、

 さてどうしようかと計画を立てていた。




(とりあえず、『ゼン』関係の『お遊び』に使える時間はなくなった……正直、『ゼン』をどうにかしている余裕はない)




 シューリは、センの願いを叶えるため、『ゼン』を強くするためのプランをいくつか考えていた。

 だが、『究極完全体アダム』という『おぞましいほど厄介な存在』の登場で、そんな事をしている余裕がなくなった。




(幼いとはいえセンエース……究極の可能性を背負った、この世で最も気高き魂を持つ無上のヒーロー。ぶっちゃけ、何もせずとも、勝手に咲く蕾)




 『最速』を目指すなら、もちろん、シューリが出ていった方がいい。

 シューリの初期プランは、『どこかの良きタイミングで、シューリ自身が表舞台に出て、ゼンに直接稽古をつけてやる』といったモノだった。

 バロールやパメラノと連携して、

 セファイルや魔王国を巻き込んで、

 『ゼン』とうまく接触し、

 なんやかんやを積み重ねて、手ほどきをする。

 ――予定だったが、

 今は、その時間すら惜しい。




(最低限の指示は出してやった。最小限の監督責任は果たした……センの願いは既に叶えてやっている。だから、もういい)




 お膳立てはしてやった。




(それで強くなれないようなら、その『ゼン』とかいうガキは、センエースではないという事。センの中には必要ない)










 という訳で、




「あ、バロ。オイちゃんでちゅ。ちょっと前に命じた諸々、オイちゃんが直で出るプランは全部キャンセルで。うん。オイちゃん、今回のミッシュンにはもう飽きちゃったんで、ここからはバロとパメに丸投げしまちゅ。これからは、二人の好きにやってくだちゃい。基本プランさえ弄らなければ、何をしても構いまちぇん。――ん? なんでちゅか?」




 『そんな身勝手な――』

 『あなたはいつだってそう――』

 『いったい、神の命をなんだと――』 




 といったような非難の声が聞こえてきたような気がしたが、そんな事はなかったぜ。




「あれ? なん……だか……聞こえないでちゅ。電波……が……遠く……ツー、ツー」







 てな感じで、テキトーに通信魔法を切断すると、




(さて、どうやって強くなろうか……とりあえず、究極超神化5に変身するための時間の短縮は必須。で――)




 と、その時、気配を感じて、シューリは、思考を止めた。

 そして、警戒心を上昇させる。




(……アダム……)




 流石に、この程度の休息だと、究極超神化5は使えない。

 だが、それは、アダムも同じだろうとシューリは推測する。

 別に、アダムの『究極完全体モード』について熟知している訳ではないが、

 普通に考えて、あれほどの力を無制限に使えるわけがない。

 とはいえ、絶対ではない。

 シューリは、懐に忍ばせておいた、切札の究極超神器にチラっと意識を向ける。

(最悪、逃げないといけないか……このあたしが……くっ)




 屈辱を飲み込みながら、シューリは、いつものニタニタ顔で、
















「……おや、アーちゃん、どうしたんでちゅか? なにか忘れものでちゅか?」
















 瞬間移動で戻ってきたアダムに対して、そう声をかけた。




 アダムは、シューリの問いかけにたいして、何も答えず、

 つかつかと、地面を踏み砕かんばかりの勢いで近づき、

 その、シューリが寝転がっているソファーの上、

 シューリの領域に土足で踏み込んで、

 シューリの胸倉をグっと掴み、

 スゥウウと大きく息を吸って、
















「貴様が、憎いぃいいいいいいい!」
















 恥も外聞も体裁も思慮も、何もないただの妬みを叫んだ。




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