上 下
231 / 380

3人融合

しおりを挟む
 その様子を見たセンは、




(……あれー? なんでだ? サイと融合した今のアダムは、あの時と、状況的には同じのはずなんだが……)




 そこで、プロパティアイでアダムを見てみた。




(存在値……1500ちょっと……んー?)




 思っていたよりも遥かに低い数字。

 普通に素存在値で3000、MAX存在値17兆になると思っていたのだが、




(なんだ、このクソみたいな数字は……融合じゃダメってことか? サイに喰われる形じゃないとダメ? ……いや、でも、サイと融合している今の状態だと、間違いなく、アダムの神種は芽吹いている)




 神独特のオーラ。

 現世の者では絶対に出せない上質な気配。




(奪われていた時の話とはいえ、事実、アダムは、一度、目覚めている。この状態ならば自由に覚醒できるはず……なのに、出来ていない……んー、なんでだ?)




 必死に覚醒しようとしているアダムを見つめながら、センは心の中でつぶやく。




(もしかして、サイのコアオーラを書き換えたから? それとも、他の何か……)










「はぁ……はぁ……ど、どうして……」










 アダムは、バカみたいに気合いを入れるだけではなく、サイを意識のベースに置いてみたり、体の状態を、あの時に最も近い状態にしてみようとしてみたり、頭をフル回転させながら色々と試してみた。




 しかし、どれだけ気合いを入れても覚醒できなかった。




 その姿を見て、




(むりか……マジでわけわかんねぇ……まさか、誰かが邪魔をしている?)




 答えのシッポに触れた気がした。

 しかし、理由は分からない。




(……いやがらせか、それとも……)




 センは、考えてみたが、当然、情報が少なすぎて、答えの本核には辿りつけない。







(まあ、いい。いま考えても分からない事は後回しだ……それよりも当面も問題。どうやら、アダムは神化できねぇらしい……こいつはなかなかの大問題。ぶっちゃけ、カンスト級のアダムがいるって事を前提に練武プランを立てていたからなぁ……さーて、どうすっかなぁ……予定が狂ってきたぞ……)




 プランを練り直していると、そこで、ユンが、




「ねぇ、ちょっといい」




 センにそう声をかけた。




「どうした?」




「ワタシも融合したいから、あの指輪を用意してくれない?」




「……どうした、急に」




「正直なところ、ワタシ、何の役にもたっていないじゃない?」




「そうだな。情報も、ぶっちゃけ、大したものはなかったし。今では、ちょっとした下界の監視役でしかない……まあ、それも重要な仕事と言えなくもないが……別にお前でなくてもいい」




 すでに、ユンからの情報収集は終わっている。




 《天国の最奥に封印されている『謎の箱』について》

 や、

 《原初の『創世』に関する伝説》




 などなど、それなりに面白い知識もあったが、

 どれも、なんだか都市伝説的で、核心には触れておらず、

 そもそもにして、

 もっとも欲しかった『原初の深層を解明するための手掛かり』などはなかった。




「だから、少しくらいは役に……と思っただけよ」




「……んー、三人合体になると、デメリットが増えるからなぁ……」




 三人合体は可能。

 しかし、合体時間が極端に短くなったり、戦闘力がわをかけて大幅に低下したりと、大きな問題が発生する。




『存在値100(戦闘力:かなり強い)』

『存在体90(戦闘力:かなり強い)』

『存在値80(戦闘力:かなり強い)』

 仮にこの三者が融合した場合、

 ほぼ確実に、存在値『150(戦闘力:ハナクソ)』となる。










 合体すればするほど強くなれるという訳ではない。

 むしろ、合体は、すればするほど弱くなる。




 もちろん、『異常に相性がいい場合』などの例外はある。




 そして、異常なほど相性がいい場合だと、




『存在値50(戦闘力:まあまあ)』

『存在体50(戦闘力:まあまあ)』

 が融合して、

 存在値『170(戦闘力:強い)』となる場合も、なくはない。

 が、とうぜん、そんなものはかなり稀である。




 相性とは『双子である(遺伝子がほぼ同じ)』とか『同じ系統の学者である(脳のシステムがほぼ同じ)』とか、共通点があればあるほどいい――という訳でもなかったりと、色々複雑。




 ただ、もちろん、完全な同一人物の場合、話は別。

 たとえば、ゼンとセンのように――
















「……まあ、いいか。ものはためしだ」




 そこで、センは、創造の魔法を使い、ユン用の指輪を製作しはじめた。




 まちがいなく究極超神器だが、今のセンなら、数分で創れる。

 センの創造魔法は、もはや、極致の向こう側にある。
















 ――数分後、指輪を受け取ったユンも、当り前のように、左手の薬指に装着する。

 そして、アダムのもとまで近づいて、




「アダム、手を出して。まさか、いやだなんて言わないわよね?」




「……主上様がお決めになられた事に反するつもりはない」




 言いながら、




「しかし、貴様程度が加わったところで、どうにかなるとは思わないがな。というか、戦闘力がダダ下がりするだけのような気がする……」




「もしそうなったとしても、解除すればいいだけの話でしょ?」




「……まあ、そうだな」




 言って、アダムは、手の甲を差し出した。




 ユンが、ソっと指輪を合わせる。




 そして、はじまる。



















 ――暴愛のアリア・ギアス発動――




























 ――ガチィイイイイイイイイイイイイ!!!
















 まるで、世界の全てがかみ合ったかのような音がした。

 そして、全てを包むような輝き。

 暴風のような光の嵐。







 研ぎ澄まされた神のオーラが、銀河のように渦をまく。
















 アダムが――










 --完成する。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

チュートリアルと思ったらチートリアルだった件

へたまろ
ファンタジー
唐突にダンジョンの中で、サラリーマン倉田良樹(クラタヨシキ)は目を覚ます。 その部屋の真ん中にはフヨフヨと浮かぶ綺麗な宝石が。 触れる事でセーブが出来る宝石。 セーブという言葉を聞いて、ゲームのモニターか何かだと勘違いする倉田。 いや、勘違いしてしまった倉田。 死んでも、セーブポイントで復活する仕様。 軽い現実逃避とも取れる思考と勝手な思い込みで、他にやれることも無い為これはチュートリアルだなと判断して、トライ&エラーよろしく体当たりで色々と学ぶ事にする。 だが、チュートリアルだと思っていた一連の活動の中で明かされた衝撃の事実。 半信半疑で、チュートリアルにありがちな初心者の館と思い込んでいたダンジョンの先で、色々な事に巻き込まれていく。 やがてチュートリアルの先に待ち受けるチートリアル(チートな現実)に気付く。 可愛いペットや、女の子に出会いつつもまったりと進んでいく物語です。 一話あたりは短めで。 話も淡々と。 気楽に進んでいく物語です。

処理中です...