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十人蒼天

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「十人蒼天(天下の最高委員会)」




 アンドロメダ 「第2アルファ東方代表」

 アクエリアス 「第2アルファ西方代表」

 カシオペア  「第3アルファ代表」

 ペルセウス  「第5アルファ代表」

 ムスカ    「第6アルファ代表」

 ルプス    「第7アルファ代表」

 ライラ    「第8アルファ代表」

 レオ     「第9アルファ代表」







 長強            「楽連筆頭」

 ウルトラバイオレット001 「百済頭目」



















 ★










 まだ、本格的な冬まで時間は残っている。

 寒いが、雪は降っていない。

 静かで、厳かな夜だった。







 第六アルファは、中期のFFを彷彿とさせる、ファンタジーとテクノロジーが、幻想的に織り成っている世界。

 超高度な魔法文明を有する『ロ・ゼノリカ神帝国』によって世界全体がしっかりと支配されている、平和で豊かな半理想郷。

 もちろん『頭のおかしいヤツが暴走するだけのテロ』などは完全に無くなっていないし、『序列二位以下の国家間同士の小さないさかいは日常茶飯事』だが、正式な戦争などは、数千年単位で起こっていない(ロ・ゼノリカが強すぎて、ケンカにならない)、ほぼ完ぺきに平定された世界。

 魔法の力を借りて成長した世界なので、第一アルファとはだいぶ様相が違うものの、文化レベルはそこまで劣ってはいない。

 というか、一部の分野では上回っているほど。










 ロ・ゼノリカ神帝国の神都『ロ・ゼノリカ』の中央にある、第六アルファ最大の複合オフィスビル『エクトス』。

 華美さなどは一切なく、ただひたすらに実利だけを重んじて設計された、合理性の塊のような建物。




 第六アルファ全体の中枢であり、

 その最奥に、 







『世界の中心』がある。







 常時、『愚連のB級武士』という『どんなバケモノが暴れても、一瞬で鎮圧できる』過剰戦力が、しかも数十名単位で警備にあたっている、第六アルファで最も厳重に管理されている場所。










 裏ダンジョン『ゼノリカ』の『塔最下層』と繋がっているゲート。










 その、偉大なるゲートの前に、二十名ほどの、一目で高貴な存在と分かる集団が二列になって並んでいた。




 その集団の最前列のど真ん中に立っている、飛びぬけて地位が高そうな老人が、ゲートに向かって、一歩前に進み、







「……それでは……」







 第六アルファという超高位の世界全体を支配している大国の国家主席『ムスカ』は、背後に並んでいる『20人の国務大臣』に視線を向けながら、ゆっくりと口を開いた。

 誇り高きゼノリカの末端、一つの世界を、ほぼ完ぺきに支配している『超巨大組織』の、法務・財務・防衛など各分野における頂点たちを見渡して、




「行ってくる」




 決して、えらぶった態度ではないが、漂う空気感はハンパではない。

 真っ白な長い髪とヒゲ。

 顔はシワだらけで、無駄にボリュームのある白い眉毛のせいで目が見えない。

 間違いなく超越者。

 世界を背負っている者にしか出せないオーラを纏う、その老人に、




「代表……お気をつけて、行ってらっしゃいませ」




 総理の言葉の直後、他の19人がいっせいに頭を下げた。

 きっちり二秒、頭を下げてから、バっと顔をあげて、ムスカを見つめる。




 ムスカは、ニっと超越者然とした笑みを浮かべて、目を閉じ、右手を己の胸にあて、




「……リラ・リラ・ゼノリカ……」




 続くようにして、完璧なタイミングで、




「「「「「……リラ・リラ・ゼノリカ……」」」」」」




 20名の大臣たちも、心を統一するように、そうつぶやいた。




 大臣たちに背中を見送られ、ゼノリカ塔最下層へと足を踏み入れるムスカ。




 扉を抜けた先は長い通路があった。

 その通路に立つと、ムスカは懐から、何やら仰々しいケースを取り出した。

 そして、少し長めの呪文を唱える。

 最後に、




「……リラ・リラ、ゼノリカ……」




 讃美歌でしめると、ケースがパカっと開いた。

 そこには、華美な装飾のカギ。




 その鍵を取り出して、パチンと指をならす。




 すると、目の前に、『9999』と書かれた扉が出現した。




 ムスカは、カギ穴にカギを挿入してから、







「……ふぅ」







 気合いを入れ直す。

 二度、深呼吸をしてから、

 ムスカは、ガチャっと扉を開いた。



















「――おや? 私が最後かね。これは、申し訳ない」




 そう言って、ムスカは、『第六アルファに居る間は、どんな時でも絶対の高みにあり続ける、その、ぶっ飛びで高貴な頭』を、ゆっくりと下げた。







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