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さすが、神様は格が違った

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――ちなみに、どうして悪を目指すのか。

 その本当の理由は、至極単純。




 『中学時の俺なら、普通に、その方が燃えると思うんだよねぇ』




 それだけ。




 『勧善懲悪ってアレだよねぇ』などと高二的な事を言いながら、

 結局、『かっこよく、分かりやすい悪を倒す本物のヒーロー』に憧れる。
















 正義を騙る気はない。

 脳内お花畑に『愛』を叫びながら世界平和を謳うつもりは毛頭ない。




 しかし、

 『悪を滅するヒーロー』には焦がれる。




 純粋な感情。

 スレていながら、ピュアさを残す。

 高潔と言い切るにはあまりにも拙すぎるイノセンス。




 それが、センエースという男。

 かつてのセンエースもそうだった。







 巨悪を前にするほど、芯が燃えて、目の前にある限界を超えていった。

 どこかひねていながら、しかし、性根の芯は、確かに英雄だった。

 理想の英雄を貫いたからこそ辿り着いた世界が確かにあった。







 ――だからこそ、センは、『ゼンを鍛える装置』としてのゼノリカを悪に設定しようと決めた。




 ヒーローの敵となる、完璧な悪。

 他の悪すら許さない、異常なほど傲慢で超独悪的な、真に悪の中の悪、その大組織。

 カリスマ性と重厚感のある、

 明確なラスボス性を有した、

 全ての悪を飲み込むほどの巨悪。







 目の前の悪が大きければ大きいほど、閃壱番(究極の可能性)は強く眩しく輝く。







 『そういうアレ的な感じなら、ガキの頃の俺とか、超がんばるっしょ。いえー』







 ぶっちゃけ、それだけが理由。




 『己が欲望』のためだけに、世界を守るシステムを私的に利用しようとしている。

 ――それが、それだけが事実。

 上に立つ者がする事ではない。

 もはや、乱心と言ってもいい。
















 だが、今日も、センエースの評価はグングン上昇する。

 ――世界のために、より遠き果てまで見据えた計画を御立てになられたのですね。

 なんと、素晴らしい。




 ……これが、この先、延々に続いていく『さす神(流石、神様は格が違った)』のはじまりだったとさ。

























「――先生。少しお聞きしたい事が――」







 途中、ふいに、ジャミが、御茶を飲んでいたパメラノに声をかけた。




 声をかけられたパメラノは、少しだけ渋い顔をして、




「先生はやめよと言うておるのに……現状の立場は、ぬしの方が明確に上なんじゃぞ。上の者が下のものにへりくだっては、他の者へのしめしがつかんじゃろう。ゼノリカという組織は、ごっこ遊びではないのじゃぞ?」




 とはいえ、ジャミに敬語を使うのもまた違う話。

 『そこ』は、人間関係の領域。

 全てはバランス。

 他の者がパメラノに頭を下げるのは当然。

 敬意・好意により生じる当たり前の差異

 ルールという、ある種数学的な枠の外に、だからこそ産まれる当然の例外。

 大組織という人間関係の連鎖。

 ゆえのモノグラフィー。




「……失礼。つい、気をぬくと、幼少期のクセが出て……」




 生まれた瞬間から、その異常な『超天才性』をガンガンに発揮していたジャミは、すぐゼノリカに抱えられ、バブっていた頃から、徹底した英才教育を受けた。

 その際、パメラノは、ジャミの師を買ってでて、己が持つ全てをジャミに叩き込んだ。

 ジャミにとって、パメラノは、その人生で、親よりも遥かに長く一緒にいた、この世で最も信頼している恩師。







 ジャミは、パメラノから多くを学んだ。

 魔法や剣はもちろん、

 帝王学・哲学・倫理学、

 そして、命や愛についても、全てを教わった。







 ゆえに、立場がどうなろうと、頭が上がる事はない。

 ただ、立場上果たさねばならぬ義務はあるので、







「ごほんっ、パメラノ」




「何かの?」




「あなたは……神帝陛下と共に闘った事があると常々言っていたな。正直、これまでは真剣に聞いていなかったので……いい機会だし、その頃の話を、ちゃんと具体的に聞きたいのだが」







「ひゃひゃひゃ……ようやっと、まともに聞く気になったか」




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