150 / 380
強奪
しおりを挟む
(あ、そうそう、戦利品を回収しないと)
などと心の中でつぶやきながら、ゼンは、地面に刺さったままの剣を抜いて、まじまじと眺める。
左目を閉じて、集中すると、
「……『いくつかの条件をクリアする』か『500以上のMP』を注ぎ込めば、空間系の魔法が使用できる剣、か……ザーノの特殊能力じゃなくて、これが魔剣だったってだけの話だったか……」
クオリティ6の魔剣『注文の多い多目的室』。
もともとは、大帝国の秘宝の一つ。
『絶頂期の大帝国』が結成した調査団(冒険者を陣頭指揮においた正式で巨大な調査団)が、『当時は未開拓だったパラザイア古墳』の最奥で発見した高位アイテム。
『今』を生きている者は誰も知らないが、実は、数百万年にも及ぶ、幾度とない『奪い、奪われ』の歴史を持つ呪われた魔剣。
ザーノが、シグレの魔の手から逃走するさいに、こいつを持ち出す事に成功したエピソードも、実はなかなかのスペクタクル。
他にも、山ほどの『壮大な歴史』を持つ魔剣『注文の多い多目的室』。
それが、めぐりめぐって、今、ゼンの手におさまった。
(ふふっ、レベルが上がり、魔法を覚え、ついには、良い感じの武器まで手に入れてしまった。クオリティ6は、神様視点だとゴミらしいけど、この世界の基準で言うと、かなり上位のアイテム。おまけに、俺のイカれたMPがあれば、クソめんどうくさい条件を満たす必要がない。ほとんど無条件で、超性能の効果を発揮させる事ができる)
MPをボられるか、もしくは面倒な条件をクリアしなければ特殊効果が使えない。
武器としての火力は微妙。
その二つが、『注文の多い多目的室』の欠点なのだが、ゼンなら、前半の条件は楽勝。
そして、後半の問題点も、別の武器を用意すればいいだけの話。
『使用者は限定空間内で武器が使えない』というのも、前半の問題点の延長でしかなく、MPを消費して『限定空間』を使用した場合、その問題点はなくなる。
(雷術&呪縛のコンボをひたすら磨いて、この剣の空間魔法でタイマンに持ち込めば……おぉ、いけるな。……このセットなら、相手がどれだけ巨大な軍でも、勝てるんじゃね? こっちの努力値次第で、常に確定有利が取れる構成。……ふふふ……見えてきたぞ。超魔王軍の攻略法」
ゼンは、ニヤニヤしながら、ザーノの腰から鞘を奪い取って、剣をおさめると、そのまま自分の腰に巻きつける。
そして、忘れずに、ザーノの懐から、コンパス的な宝石を奪い、
ついでに、『金貨5枚と銀貨7枚が入っていたザーノの財布』を、ありがたくちょうだいし、己の懐におさめた。
「よっしゃ。準備万端。超順調。未来はバラ色! さぁて、それじゃあ、セファイル王国めざしてレッツゴー」
宝石が示す方に向かって歩き出した、
――その時、
(……ん?)
ダダダダッっと、遠くから、足音が聞こえてきて、ゼンは、
(断定はできないけど、この音、動物じゃなく、人間が走っている足音っぽい……もしかして、シグレから逃げてきた逃走者か?)
考えながら、ゼンは、近場の木に手をひっかけ、スルスルと上へ登っていく。
(それなりに腕力が上がっているから、結構、簡単に登れるな……ふふっ、なんか、自分の体じゃないみたいだ。軽いし強いっ! たのしいっ!)
登り切ると、ゼンは、枝の上で身を小さくし、気配を消して、足音がする方を睨みつける。
左目を閉じて、集中。
すると、
(……ん? あれ、アカコーの制服……あの女……もしかして、シグレか? ……うん、確認完了。間違いなくシグレだ。……ぇ? ……なんで、あいつが逃げてんだ?)
頭にスライムを乗せている、バリバリ見覚えのある制服を着た黒髪の女が、時折、背後を振りかえりながら、大量の汗をふりまきつつ、必死の形相で全力逃走をしていた。
000000000000000000000000000000000000000
『シグレ』
『第一アルファ人』
《レベル》 【6】
[HP] 【39/82】
[MP] 【20/32】
「攻撃力」 【3】
「魔法攻撃力」 【8】
「防御力」 【5】
「魔法防御力」 【9】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【7】
111111111111111111111111111111111111111
000000000000000000000000000000000000000
『正式登録名:20ミリオンスライム 特別個体識別名:ニー』
『ゴッドエンシェントスライム』
《レベル》 【39】
[HP] 【???/???】
[MP] 【989/1599】
「攻撃力」 【8】
「魔法攻撃力」 【7】
「防御力」 【99】
「魔法防御力」 【99】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【99】
111111111111111111111111111111111111111
などと心の中でつぶやきながら、ゼンは、地面に刺さったままの剣を抜いて、まじまじと眺める。
左目を閉じて、集中すると、
「……『いくつかの条件をクリアする』か『500以上のMP』を注ぎ込めば、空間系の魔法が使用できる剣、か……ザーノの特殊能力じゃなくて、これが魔剣だったってだけの話だったか……」
クオリティ6の魔剣『注文の多い多目的室』。
もともとは、大帝国の秘宝の一つ。
『絶頂期の大帝国』が結成した調査団(冒険者を陣頭指揮においた正式で巨大な調査団)が、『当時は未開拓だったパラザイア古墳』の最奥で発見した高位アイテム。
『今』を生きている者は誰も知らないが、実は、数百万年にも及ぶ、幾度とない『奪い、奪われ』の歴史を持つ呪われた魔剣。
ザーノが、シグレの魔の手から逃走するさいに、こいつを持ち出す事に成功したエピソードも、実はなかなかのスペクタクル。
他にも、山ほどの『壮大な歴史』を持つ魔剣『注文の多い多目的室』。
それが、めぐりめぐって、今、ゼンの手におさまった。
(ふふっ、レベルが上がり、魔法を覚え、ついには、良い感じの武器まで手に入れてしまった。クオリティ6は、神様視点だとゴミらしいけど、この世界の基準で言うと、かなり上位のアイテム。おまけに、俺のイカれたMPがあれば、クソめんどうくさい条件を満たす必要がない。ほとんど無条件で、超性能の効果を発揮させる事ができる)
MPをボられるか、もしくは面倒な条件をクリアしなければ特殊効果が使えない。
武器としての火力は微妙。
その二つが、『注文の多い多目的室』の欠点なのだが、ゼンなら、前半の条件は楽勝。
そして、後半の問題点も、別の武器を用意すればいいだけの話。
『使用者は限定空間内で武器が使えない』というのも、前半の問題点の延長でしかなく、MPを消費して『限定空間』を使用した場合、その問題点はなくなる。
(雷術&呪縛のコンボをひたすら磨いて、この剣の空間魔法でタイマンに持ち込めば……おぉ、いけるな。……このセットなら、相手がどれだけ巨大な軍でも、勝てるんじゃね? こっちの努力値次第で、常に確定有利が取れる構成。……ふふふ……見えてきたぞ。超魔王軍の攻略法」
ゼンは、ニヤニヤしながら、ザーノの腰から鞘を奪い取って、剣をおさめると、そのまま自分の腰に巻きつける。
そして、忘れずに、ザーノの懐から、コンパス的な宝石を奪い、
ついでに、『金貨5枚と銀貨7枚が入っていたザーノの財布』を、ありがたくちょうだいし、己の懐におさめた。
「よっしゃ。準備万端。超順調。未来はバラ色! さぁて、それじゃあ、セファイル王国めざしてレッツゴー」
宝石が示す方に向かって歩き出した、
――その時、
(……ん?)
ダダダダッっと、遠くから、足音が聞こえてきて、ゼンは、
(断定はできないけど、この音、動物じゃなく、人間が走っている足音っぽい……もしかして、シグレから逃げてきた逃走者か?)
考えながら、ゼンは、近場の木に手をひっかけ、スルスルと上へ登っていく。
(それなりに腕力が上がっているから、結構、簡単に登れるな……ふふっ、なんか、自分の体じゃないみたいだ。軽いし強いっ! たのしいっ!)
登り切ると、ゼンは、枝の上で身を小さくし、気配を消して、足音がする方を睨みつける。
左目を閉じて、集中。
すると、
(……ん? あれ、アカコーの制服……あの女……もしかして、シグレか? ……うん、確認完了。間違いなくシグレだ。……ぇ? ……なんで、あいつが逃げてんだ?)
頭にスライムを乗せている、バリバリ見覚えのある制服を着た黒髪の女が、時折、背後を振りかえりながら、大量の汗をふりまきつつ、必死の形相で全力逃走をしていた。
000000000000000000000000000000000000000
『シグレ』
『第一アルファ人』
《レベル》 【6】
[HP] 【39/82】
[MP] 【20/32】
「攻撃力」 【3】
「魔法攻撃力」 【8】
「防御力」 【5】
「魔法防御力」 【9】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【7】
111111111111111111111111111111111111111
000000000000000000000000000000000000000
『正式登録名:20ミリオンスライム 特別個体識別名:ニー』
『ゴッドエンシェントスライム』
《レベル》 【39】
[HP] 【???/???】
[MP] 【989/1599】
「攻撃力」 【8】
「魔法攻撃力」 【7】
「防御力」 【99】
「魔法防御力」 【99】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【99】
111111111111111111111111111111111111111
0
お気に入りに追加
1,559
あなたにおすすめの小説
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う
馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない
そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!?
そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!?
農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!?
10個も願いがかなえられるらしい!
だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ
異世界なら何でもありでしょ?
ならのんびり生きたいな
小説家になろう!にも掲載しています
何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします
森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
事故で死んで異世界に転生した。
十年後に親によって俺、テオは奴隷商に売られた。
三年後、奴隷商で売れ残った俺は廃棄処分と称されて魔物がひしめく『魔の森』に捨てられてしまう。
強力な魔物が日夜縄張り争いをする中、俺も生き抜くために神様から貰った転生特典の【重力】を使って魔物を倒してレベルを上げる日々。
そして五年後、ラスボスらしき美女、エイシアスを仲間にして、レベルがカンスト俺たちは森を出ることに。
色々と不幸に遇った主人公が、自由気ままに世界を旅して貴族とか王族とか絡んでくるが暴力と脅しで解決してしまう!
「自由ってのは、力で手に入れるものだろ? だから俺は遠慮しない」
運命に裏切られた少年が、暴力と脅迫で世界をねじ伏せる! 不遇から始まる、最強無双の異世界冒険譚!
◇9/25 HOTランキング(男性向け)1位
◇9/26 ファンタジー4位
◇月間ファンタジー30位
スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する~もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
どうやら異世界転移したらしいJK田崎 唯は、気がついたら異世界のスラムにどこかから堕ちていた。そこにいたる記憶が喪失している唯を助けてくれたのは、無能だからと王都を追放された元王太子。今は、治癒師としてスラムで人々のために働く彼の助手となった唯は、その規格外の能力で活躍する。
エブリスタにも掲載しています。
もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~
ゆるり
ファンタジー
☆第17回ファンタジー小説大賞で【癒し系ほっこり賞】を受賞しました!☆
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。
最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。
この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう!
……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは?
***
ゲーム生活をのんびり楽しむ話。
バトルもありますが、基本はスローライフ。
主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。
カクヨム様にて先行公開しております。
【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?
仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。
そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。
「出来の悪い妹で恥ずかしい」
「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」
そう言ってましたよね?
ある日、聖王国に神のお告げがあった。
この世界のどこかに聖女が誕生していたと。
「うちの娘のどちらかに違いない」
喜ぶ両親と姉妹。
しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。
因果応報なお話(笑)
今回は、一人称です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる