132 / 380
――どれだけ――
しおりを挟む
「いやいやいや! もちろん、頑張りますよ?! せっかく、異世界に行けるんですから、そりゃ、死ぬ気で頑張りますよ?! けど、そういう問題じゃなくないっすか? ゴミ以下が、ただ頑張ったところで、エリートな戦闘民族には勝てないでしょ?!」
正論を並べるセンに、神は、静かに、
「どれだけ――」
「ぇ?」
「どれだけ苦しくても、積め」
「……」
「どれだけ辛くても、どれだけ惨めでも……どんなに痛々しくても、それでも泥臭く……嫌になって投げ出したくなっても……生きるのが嫌になるほど心砕かれても……それでも積み重ねろ。積み重ね続けろ」
「……」
「そうすれば……勝てる。絶対に勝てる」
「……なんで……言い切れるんですか?」
そんな、当り前の疑問に対して、神は、
「さぁ」
太陽を包み込むような、無邪気なガキのソレよりも遥かに眩しい満天の笑顔で、ハッキリと、
「なんでだろうな」
そう言った。
神の言葉は、あまりにもあやふやで、論理性にかけていて、バカ丸出しだったが、しかし、なぜか、
「……ただ積み重ねろ、か……」
センの心に響いた。
きっと、それは、確かな重さを感じたから。
神の言葉が、ただの拙いギャグなんかじゃない、『本気のメッセージ』だと、なぜだか認識できたから。
「まあ、いっか……いいよ、積んでやる。やってやる……全部、乗り越えてやる」
「よく言った、セン。それでこそ……サイヤ人だ」
「え、俺、サイヤ人なんすか?」
「お前は第一アルファ人に決まっているだろう。なに言ってんだ、大丈夫か?」
(……ぅ、うぜぇ……ぁあ、どうしよう、シバきたくなってきた……でも、今の俺じゃあ、近づくことさえ無理だしなぁ……)
本気でイライラしだしたセンは、心の中で決意する。
(よし、決めた。必死に強くなって、いつか、必ず一発シバく。それを俺の最終目標にしよう。神に一発ぶちこむとか、無謀を通り越した目標だが、俺はやる。やってみせる)
センが歯噛みしている向こうで、神は、ぽりぽりと頬をかきながら、
(やべぇな……『自分』に対して偉そうにしている『今の状況』がしんどくなってきて、つい、要所要所でふざけちまう……あれだけ、お気楽系の神を嫌ってたってのに、自分がソレをやってどうすんだよ、ったく。……もう少し、頑張れ、俺……あとは、チートを与えて送りだすだけだろ……気をひきしめろ。ギャグに逃げるな、ちゃんとしろ)
心の中でそう呟いてから、
「それでは、そろそろ、お前に与えるチートについての説明をはじめよう」
「え、俺、チートもらえるんすか? なんか、そういうのは、もらえなさそうな感じだったのに」
「当たり前だろうが、お前ごときが、チートもなしに、どうやって超魔王を倒すんだよ。うぬぼれんな、カスが」
(強くなって、ぜったい一発殴る……いや、二発、殴る)
決意をさらに固めているセンの向こうで、
(チートなしでも、2000年くらい積めば、余裕で勝てるようになるだろうが、そこまで待ってられねぇんだよ……なにより、こいつには……)
神は、心の中で、そんな事をつぶやきながら、センの目をジっと見つめる。
(……『無限転生が備わっていない』って問題がある)
なんともおかしな話だが、このセンには、無限転生の特性が備わっていなかった。
このセンは間違いなく、センエース。
その証拠に、『世界一レベルが上がりやすい』という、唯一無二の特性は所有していた。
だが、このセンは、無限転生は持っていない。
その理由は――
正論を並べるセンに、神は、静かに、
「どれだけ――」
「ぇ?」
「どれだけ苦しくても、積め」
「……」
「どれだけ辛くても、どれだけ惨めでも……どんなに痛々しくても、それでも泥臭く……嫌になって投げ出したくなっても……生きるのが嫌になるほど心砕かれても……それでも積み重ねろ。積み重ね続けろ」
「……」
「そうすれば……勝てる。絶対に勝てる」
「……なんで……言い切れるんですか?」
そんな、当り前の疑問に対して、神は、
「さぁ」
太陽を包み込むような、無邪気なガキのソレよりも遥かに眩しい満天の笑顔で、ハッキリと、
「なんでだろうな」
そう言った。
神の言葉は、あまりにもあやふやで、論理性にかけていて、バカ丸出しだったが、しかし、なぜか、
「……ただ積み重ねろ、か……」
センの心に響いた。
きっと、それは、確かな重さを感じたから。
神の言葉が、ただの拙いギャグなんかじゃない、『本気のメッセージ』だと、なぜだか認識できたから。
「まあ、いっか……いいよ、積んでやる。やってやる……全部、乗り越えてやる」
「よく言った、セン。それでこそ……サイヤ人だ」
「え、俺、サイヤ人なんすか?」
「お前は第一アルファ人に決まっているだろう。なに言ってんだ、大丈夫か?」
(……ぅ、うぜぇ……ぁあ、どうしよう、シバきたくなってきた……でも、今の俺じゃあ、近づくことさえ無理だしなぁ……)
本気でイライラしだしたセンは、心の中で決意する。
(よし、決めた。必死に強くなって、いつか、必ず一発シバく。それを俺の最終目標にしよう。神に一発ぶちこむとか、無謀を通り越した目標だが、俺はやる。やってみせる)
センが歯噛みしている向こうで、神は、ぽりぽりと頬をかきながら、
(やべぇな……『自分』に対して偉そうにしている『今の状況』がしんどくなってきて、つい、要所要所でふざけちまう……あれだけ、お気楽系の神を嫌ってたってのに、自分がソレをやってどうすんだよ、ったく。……もう少し、頑張れ、俺……あとは、チートを与えて送りだすだけだろ……気をひきしめろ。ギャグに逃げるな、ちゃんとしろ)
心の中でそう呟いてから、
「それでは、そろそろ、お前に与えるチートについての説明をはじめよう」
「え、俺、チートもらえるんすか? なんか、そういうのは、もらえなさそうな感じだったのに」
「当たり前だろうが、お前ごときが、チートもなしに、どうやって超魔王を倒すんだよ。うぬぼれんな、カスが」
(強くなって、ぜったい一発殴る……いや、二発、殴る)
決意をさらに固めているセンの向こうで、
(チートなしでも、2000年くらい積めば、余裕で勝てるようになるだろうが、そこまで待ってられねぇんだよ……なにより、こいつには……)
神は、心の中で、そんな事をつぶやきながら、センの目をジっと見つめる。
(……『無限転生が備わっていない』って問題がある)
なんともおかしな話だが、このセンには、無限転生の特性が備わっていなかった。
このセンは間違いなく、センエース。
その証拠に、『世界一レベルが上がりやすい』という、唯一無二の特性は所有していた。
だが、このセンは、無限転生は持っていない。
その理由は――
0
お気に入りに追加
1,558
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界転移パパは不眠症王子の抱き枕と化す~愛する息子のために底辺脱出を望みます!~
北川晶
BL
目つき最悪不眠症王子×息子溺愛パパ医者の、じれキュン異世界BL。本編と、パパの息子である小枝が主役の第二章も完結。姉の子を引き取りパパになった大樹は穴に落ち、息子の小枝が前世で過ごした異世界に転移した。戸惑いながらも、医者の知識と自身の麻酔効果スキル『スリーパー』小枝の清浄化スキル『クリーン』で人助けをするが。ひょんなことから奴隷堕ちしてしまう。医師奴隷として戦場の最前線に送られる大樹と小枝。そこで傷病人を治療しまくっていたが、第二王子ディオンの治療もすることに。だが重度の不眠症だった王子はスリーパーを欲しがり、大樹を所有奴隷にする。大きな身分差の中でふたりは徐々に距離を縮めていくが…。異世界履修済み息子とパパが底辺から抜け出すために頑張ります。大樹は奴隷の身から脱出できるのか? そしてディオンはニコイチ親子を攻略できるのか?
【R-18】記憶喪失な新妻は国王陛下の寵愛を乞う【挿絵付】
臣桜
恋愛
ウィドリントン王国の姫モニカは、隣国ヴィンセントの王子であり幼馴染みのクライヴに輿入れする途中、謎の刺客により襲われてしまった。一命は取り留めたものの、モニカはクライヴを愛した記憶のみ忘れてしまった。モニカと侍女はヴィンセントに無事受け入れられたが、クライヴの父の余命が心配なため急いで結婚式を挙げる事となる。記憶がないままモニカの新婚生活が始まり、彼女の不安を取り除こうとクライヴも優しく接する。だがある事がきっかけでモニカは頭痛を訴えるようになり、封じられていた記憶は襲撃者の正体を握っていた。
※全体的にふんわりしたお話です。
※ムーンライトノベルズさまにも投稿しています。
※表紙はニジジャーニーで生成しました
※挿絵は自作ですが、後日削除します
【R18】転生エルフ姫は魔王に溺愛される
雪月華
恋愛
ムーンライトノベルズにも掲載、アルファポリスでは、序盤から新たにエピソード複数を追加。プロローグから大幅に加筆修正して甘味成分を増量中(辛味成分はカット)。……勇者が魔王を滅ぼした後の世界に、エルフの少女として転生した渚。妖精の森で出会った魔族の王カインに連れ去られ、結婚させられてしまう。未熟な二人が少しずつ成長して、ドロドロに溶けていくような性愛の世界へ。剣と魔法の世界観だけど、カインと渚のふたりの愛の物語が主軸です。(3話に一度位の頻度でR18あり)
過去と未来を行き来し、甘く切なく愛し合う二人。女性向けファンタジー官能小説。
ゲロトラップダンジョン-女騎士は適量とペースを守って酒なんかに負けたりはしない!-
春海水亭
ファンタジー
女騎士ノミホ・ディモ・ジュースノーム(20)は王命を受け、ダンジョンの攻略に挑む。
だが、ノミホの屈強なる精神力を見込まれて赴いた先は、
すえた吐瀉物と濃いアルコールの臭いが立ち込めるゲロトラップダンジョンであった。
ノミホは先人が残した嘔吐マッピング機能を利用して、ゲロトラップダンジョンの攻略を開始する。
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
【猫画像あり】島猫たちのエピソード
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
【保護猫リンネの物語】連載中! 2024.4.15~
シャーパン猫の子育てと御世話の日々を、画像を添えて綴っています。
2024年4月15日午前4時。
1匹の老猫が、その命を終えました。
5匹の仔猫が、新たに生を受けました。
同じ時刻に死を迎えた老猫と、生を受けた仔猫。
島猫たちのエピソード、保護猫リンネと子供たちのお話をどうぞ。
石垣島は野良猫がとても多い島。
2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。
「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。
でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。
もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。
本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。
スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。
【完】大きな俺は小さな彼に今宵もアブノーマルに抱かれる
唯月漣
BL
「は? なんで俺、縛られてんの!?」
ゲイである事をカミングアウトの末、ようやく両想いになったと思っていた幼馴染みユウキの、突然の結婚の知らせ。
翔李は深く傷付き、深夜の繁華街でやけ酒の挙げ句、道路端で酔い潰れてしまう。
目が覚めると、翔李は何者かに見知らぬ家のバスルームで拘束されていた。翔李に向かってにっこり微笑むその小柄な彼……由岐は、天使のような可愛い外見をしていた。
「僕とセフレになってくれませんか。じゃないと僕、今すぐ翔李さんを犯してしまいそうです」
初めての恋人兼親友だった男から受けた裏切りと悲しみ。それを誤魔化すため由岐に会ううち、やがて翔李は由岐とのアブノーマルプレイの深みにハマっていく。
「お尻だけじゃないですよ。僕は可愛い翔李さんの、穴という穴全てを犯したい」
ただのセフレであるはずの由岐に予想外に大切にされ、いつしか翔李の心と体はとろけていく。
そんなおり、翔李を裏切って女性と結婚したはずの親友ユウキから、会いたいと連絡があって……!?
◇◆◇◆◇◆
☆可愛い小柄な少年✕がたいは良いけどお人好しな青年。
※由岐(攻め)視点という表記が無い話は、全て翔李(受け)視点です。
★*印=エロあり。
石鹸ぬるぬるプレイ、剃毛、おもらし(小)、攻めのフェラ、拘束(手錠、口枷、首輪、目隠し)、異物挿入(食べ物)、玩具(ローター、テンガ、アナルビーズ)、イキ焦らし、ローションガーゼ、尿道攻め(ブジー)、前立腺開発(エネマグラ)、潮吹き、処女、無理矢理、喉奥、乳首責め、陵辱、少々の痛みを伴うプレイ、中出し、中イキ、自慰強制及び視姦、連続イカセ、乳首攻め(乳首イキ、吸引、ローター)他。
※アブノーマルプレイ中心です。地雷の多い方、しつこいエッチが苦手な方、変わったプレイがお嫌な方はご注意ください。
【本編完結済】今後は時々、番外編を投下します。
※ムーンライトノベルズにも掲載。
表紙イラスト●an様
ロゴデザイン●南田此仁様
【完結】飛行機で事故に遭ったら仙人達が存在する異世界に飛んだので、自分も仙人になろうと思います ー何事もやってみなくちゃわからないー
光城 朱純
ファンタジー
空から落ちてる最中の私を助けてくれたのは、超美形の男の人。
誰もいない草原で、私を拾ってくれたのは破壊力抜群のイケメン男子。
私の目の前に現れたのは、サラ艶髪の美しい王子顔。
えぇ?! 私、仙人になれるの?!
異世界に飛んできたはずなのに、何やれば良いかわかんないし、案内する神様も出てこないし。
それなら、仙人になりまーす。
だって、その方が楽しそうじゃない?
辛いことだって、楽しいことが待ってると思えば、何だって乗り越えられるよ。
ケセラセラだ。
私を救ってくれた仙人様は、何だか色々抱えてそうだけど。
まぁ、何とかなるよ。
貴方のこと、忘れたりしないから
一緒に、生きていこう。
表紙はAIによる作成です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる