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破格の召喚士シグレ
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「ほな、改めて自己紹介しよか。あたしは、シグレ。見ての通り、召喚士や」
シグレは、そう言いながら、ハルスの向かいの席に腰をかけて、腕の中にいるニーをギュっと抱きしめる。
「召喚士……ねぇ」
ハルスは、その単語に耳をピクっとさせた。
逆なでされる響き。
反射的に、心拍数が高まったが、すぐに自分を律して鼓動を落ちつかせる。
「テイマーじゃねぇのか?」
「この子は捕獲したノラやなくて、ちゃんと契約した召喚獣やで。ウチんとこのニーをそこらのスライムと一緒に考えんといてや? 格とかケタとか色々ちゃうから。なんせ、存在値89億のスラ神やからな」
(……おいおい、だいぶキマってんな。もしかして、どえらいジャンキーに絡まれたパターンのやつか、これ)
心の中で呟きながら、ハルスは、サードアイを使って、シグレが抱えているスライムを覗き見る。
(……何の力も感じねぇ。やはり、この女、陽気にラリったヤバいヤツか……この時期、多いとは聞くが……さて、どうしたもんか……流石の俺様も、飛んでるヤツは相手にできねぇ)
どうやって逃げようかと、また、思考が振り出しに戻ったその時、
シグレの手の中にいるスライムが、スルっと目を合わせきて、ニコっと微笑んだ。
(ん? …………なっ?!)
突如、そのスライムから、強大なオーラが噴出しだした。
「……ぅ……っっ!!」
ハルスの額に汗が出る。
とてもスライムとは思えない、膨大な波動。
決して禍々しくはないが、その深い圧力に押されて脂汗が滲んだ。
(フェイクオーラを使っていやがったか。生意気な――てか、こいつ、強ぇ! もちろん、カースソルジャーとくらべればクソだが、あのイカれた例外を除けば、このスライムの強さは、召喚獣としては破格中の破格……)
世界一の召喚士であるラムドが召喚するバケモノ共は、『例外なく例外』なのだ。
『実際のラムド』が召喚した『最強の召喚獣』の存在値は驚愕の『60』。
それは、ほとんどありえない数字。
もちろん、魔王や勇者など、存在値60を超える者はいるのだが、
召喚獣というくくりでその数字は異常。
この世界で召喚される召喚獣の平均存在値は、20を切っている。
召喚出来る召喚獣の存在値が15を超えていれば及第点、25以上を使役できれば達人と呼ばれ、30を超えていれば歴史に名を残せる。
――ちなみに、『本物のラムド』が本契約を交わしている召喚獣は全部で7体いるのだが、すべて、存在値30を超えており、内2体は50を超えている。
召喚獣とは、契約さえ交わしてしまえば、いつでもどこでも、多少の魔力を消費するだけで召喚出来て、おまけに絶対服従で維持費もかからないという便利な味方。
その使い勝手のよさは圧倒的だが、当然、強大な魔を召喚するのは凄まじく難しい。
だからこそ、『最高位の召喚獣をアホみたいにポンポン召喚できるラムド』は、各国の上層部から『最大級の脅威』として警戒されているのだ。
(このスライムの力は……サーバンと同等……いや、流石に、サーバンよりは少し弱いか……しかし、ほとんど差はない。仮にサーバンの存在値を10とした場合、このスライムの存在値は9・5ってところか……はっ……)
ハルスはそこで、キっと、シグレを睨みつける。
(ハンパねぇモンを使役してんじゃねぇか……)
サーバンの強さは、冒険者の中でも、上から数えた方が早いレベル。
そのサーバンに限りなく近い力を持った召喚獣など、ラムドでも数体しか使役していない。
(スライムの姿は擬態だろうな。……おそらく、本来の姿は、龍か鬼……まあ、となれば、擬態してねぇと色々めんどうだわな)
龍を連れて街に入る訳にはいかない。
セファイル王国の場合、『龍を連れての入国が法律違反になる』という訳ではないが、それは、『そんな当たり前の事まで明文化されてはいない』というだけで、『国内で龍を連れまわしても問題にならない』という訳では決してない。
※ もちろん、セファイルの法律の中には、『国の許可なく高位の魔物を』を国内に入れてはならないというのもあるのだが、龍や召喚獣を、『魔物』とひとくくりにするべきなのかという問題が生じるため、まっこうからの法律違反になるかと言えば否となる。
(だが、スライムの姿なら、その手の面倒事は全てなくなる)
テイマーは便利な中級職なので、修めている者は多い。
そして、テイマーの大半が、スライムを手懐けている。
スライムは攻撃手段が皆無に等しく、魔法に弱い上、状態異常もかかりやすいが、HPが多く、物理攻撃に対して高い耐性を持っているため、戦士相手の盾としてはそれなりに使えるモンスター。
何よりも、捕獲しやすく、どこにでもいる。
(存在値89億ってのは、ちょっと何言っているのか分からねぇが……確かに、このスライム、そこらのモンスターとは格とケタが違う)
シグレは、そう言いながら、ハルスの向かいの席に腰をかけて、腕の中にいるニーをギュっと抱きしめる。
「召喚士……ねぇ」
ハルスは、その単語に耳をピクっとさせた。
逆なでされる響き。
反射的に、心拍数が高まったが、すぐに自分を律して鼓動を落ちつかせる。
「テイマーじゃねぇのか?」
「この子は捕獲したノラやなくて、ちゃんと契約した召喚獣やで。ウチんとこのニーをそこらのスライムと一緒に考えんといてや? 格とかケタとか色々ちゃうから。なんせ、存在値89億のスラ神やからな」
(……おいおい、だいぶキマってんな。もしかして、どえらいジャンキーに絡まれたパターンのやつか、これ)
心の中で呟きながら、ハルスは、サードアイを使って、シグレが抱えているスライムを覗き見る。
(……何の力も感じねぇ。やはり、この女、陽気にラリったヤバいヤツか……この時期、多いとは聞くが……さて、どうしたもんか……流石の俺様も、飛んでるヤツは相手にできねぇ)
どうやって逃げようかと、また、思考が振り出しに戻ったその時、
シグレの手の中にいるスライムが、スルっと目を合わせきて、ニコっと微笑んだ。
(ん? …………なっ?!)
突如、そのスライムから、強大なオーラが噴出しだした。
「……ぅ……っっ!!」
ハルスの額に汗が出る。
とてもスライムとは思えない、膨大な波動。
決して禍々しくはないが、その深い圧力に押されて脂汗が滲んだ。
(フェイクオーラを使っていやがったか。生意気な――てか、こいつ、強ぇ! もちろん、カースソルジャーとくらべればクソだが、あのイカれた例外を除けば、このスライムの強さは、召喚獣としては破格中の破格……)
世界一の召喚士であるラムドが召喚するバケモノ共は、『例外なく例外』なのだ。
『実際のラムド』が召喚した『最強の召喚獣』の存在値は驚愕の『60』。
それは、ほとんどありえない数字。
もちろん、魔王や勇者など、存在値60を超える者はいるのだが、
召喚獣というくくりでその数字は異常。
この世界で召喚される召喚獣の平均存在値は、20を切っている。
召喚出来る召喚獣の存在値が15を超えていれば及第点、25以上を使役できれば達人と呼ばれ、30を超えていれば歴史に名を残せる。
――ちなみに、『本物のラムド』が本契約を交わしている召喚獣は全部で7体いるのだが、すべて、存在値30を超えており、内2体は50を超えている。
召喚獣とは、契約さえ交わしてしまえば、いつでもどこでも、多少の魔力を消費するだけで召喚出来て、おまけに絶対服従で維持費もかからないという便利な味方。
その使い勝手のよさは圧倒的だが、当然、強大な魔を召喚するのは凄まじく難しい。
だからこそ、『最高位の召喚獣をアホみたいにポンポン召喚できるラムド』は、各国の上層部から『最大級の脅威』として警戒されているのだ。
(このスライムの力は……サーバンと同等……いや、流石に、サーバンよりは少し弱いか……しかし、ほとんど差はない。仮にサーバンの存在値を10とした場合、このスライムの存在値は9・5ってところか……はっ……)
ハルスはそこで、キっと、シグレを睨みつける。
(ハンパねぇモンを使役してんじゃねぇか……)
サーバンの強さは、冒険者の中でも、上から数えた方が早いレベル。
そのサーバンに限りなく近い力を持った召喚獣など、ラムドでも数体しか使役していない。
(スライムの姿は擬態だろうな。……おそらく、本来の姿は、龍か鬼……まあ、となれば、擬態してねぇと色々めんどうだわな)
龍を連れて街に入る訳にはいかない。
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※ もちろん、セファイルの法律の中には、『国の許可なく高位の魔物を』を国内に入れてはならないというのもあるのだが、龍や召喚獣を、『魔物』とひとくくりにするべきなのかという問題が生じるため、まっこうからの法律違反になるかと言えば否となる。
(だが、スライムの姿なら、その手の面倒事は全てなくなる)
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そして、テイマーの大半が、スライムを手懐けている。
スライムは攻撃手段が皆無に等しく、魔法に弱い上、状態異常もかかりやすいが、HPが多く、物理攻撃に対して高い耐性を持っているため、戦士相手の盾としてはそれなりに使えるモンスター。
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