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第4章 王都
第42話 緊急事態とは?
しおりを挟むあれから抱き抱えられ、そのままベッドで一夜を過ごしたが、これが中々眠れず。朝になるまで起きていた。
目をしぱしぱしながらもひーちゃんから抜け出し、人間に戻り畳んである服に着替えた。
眠気覚ましに冷たい水を飲み干すと、ドアをノックする音が聞こえた。
「はいはい。……Jか。どうしたんだ」
「目にクマができているではないか。………起こしにきたんだが、その必要はなかったな。朝食ができてるらしいからヒトミを起こすといいぞ。下で待っとるからな」
「わかった。ヘンリーにも言っといてくれ」
「任された」
横の階段を下っていく姿を眺めながら、ひーちゃんを起こしにいく。
まだ眠そうにしているが、朝食を取らないと何を言われるかわからない。ひーちゃんも着替え終わり、二人で階段を下ると朝食を用意していた店員に挨拶されたので、返した。
「リュー。こっちこっち」
遠くの席から手を振っているJと黙って座っているヘンリーの姿が見えたので、二人も前の席に座る。
朝食は赤い水玉模様の木の実に野菜が使われたサラダと、卵を軽く炙った感じの朝食だった。
黙々と食べていくと、今まで黙っていたヘンリーが口を開いた。
「二人に報告がある。昨日の夜、ギルドから直々に討伐の依頼がきた。緊急事態らしく、Bランクから最上級ランクまで、強制参加だと書かれた手紙が届いた。食べ終わったら急いで装備の点検と、ポーションを買いに出かける」
「緊急って……。どんな内容だよ」
「ほら、見ればわかるだろ。小僧」
(酷い言い草………)
受け取った紙にはこう書かれていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
緊急クエスト
通知 中央ギルド管理人『ギルドマスター』サボ・イングラムより。
只今、この王都に大量のモンスターが接近しております。
魔王の残骸の生き残りか何かは分かりませんが、討伐をお願いします。
Bランク以上は強制参加ですので、気を引き閉めて闘ってください。闘う直前、最小限のポーションを配布しますお。
※死人が出てもギルドは責任を負いません。ご了承下さい。
解決した際には、参加者全員に報酬をお渡しします。
内容:モンスターの数『何百匹以上』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
変な文章があるが確かに緊急事態であることはわかった。
二人ということは、Jにももう話してある事はわかる。ギルドの方からも少なからず、支援が回っている。
「唐突に討伐してこいとか。周りは納得しているのか?」
「これも冒険者ならではの事だ。それに、報酬と書かれている時点で皆目を光らせている。お金か、それとも………。いや、喋らないでおこう。内容がエグいからな」
「そっすか。ポーションとかはどこで売っているんですか。やっぱり専用の店とか、ギルドの中にあったりとか?」
「そうだな。ポーションは5コルくらいかかるからな。性質や店にやっては、低価格で買えることも稀しな。それでも高性能ほど、高くはねあがる」
そうだな。体力が千もあるとフル回復はまず出来なさそうだもんな。
もし全回復するなら、商売するほうも生活があるんだし、お求め価格にはできないよな。低価格だったらそれは、ブラック企業か裏から取引で手に入れることもあるかも。
「大体どれくらいの価格?」
「ちょっと回復するなら今言ったような5コルだ。全体力を回復するなら何万も下らんよ。其ほど、高価な薬草や素材を使われているからな」
「ヘンリーはそんなにお金持ってないよね?宝石とか買ったときに何万より少なかった気が………」
「横から話しかけるな。まあ、依頼に対応するなら高価なポーションを買わないのは、目に見えてる事だ。ヒトミは強い魔法を使わなければ、ああならないのだろう」
「あ、そうだね。簡単な魔法や、魔力を少なく使える魔法でなければ……大丈夫だと思う」
「回復魔法は使えるか?」
「ちょっと待って。使えるかステータスで見てみる」
ひーちゃんは周りから見えないようにギルドカードで確認するようだ。
俺もひーちゃんのステータスは、ここからでは見えない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇ハヤセ・ヒトミ
種族 人間
職業 フリー
称号 シン・カグヤの加護、死神に愛されし者
ランク X
レベル 12
体力 3104/3104
魔力 ∞測定不能(ペナルティ、性別逆転)
腕力 509
素早さ 3562
スキル
魔力極大上昇(自動)、死神の鎌、死神の声、全魔法(省略化)、死神召喚、ホーリーライフ(小)、××××××
白龍と黒龍のネックレス : 親友の友情(アイテム装備効果)魔力制御(激高)、魔力上昇(魔力極大と統一されております)、視界安定、幸運(高)、死亡回避(高)、魔力消費軽減
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何か驚いた顔をして、俺の事を覗いている。
自分のステータスの変化に気づいたのだろう。強くなれば、さっきの依頼にも受けられるな。………強制だから結局は行かないと駄目かー。
ヘンリーは俺たちを見渡し、様子を見ながら話しを進める。
「会議は集合場所に到着してから行う。到着する前は準備やら安く稼げるクエストやら依頼をこなす。それでいいか?」
「大丈夫だぞ」
「うん」
「了解しましたー」
俺達はヘンリーの言葉に強く頷き、準備を進める事になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回、集合場所
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