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第2章 幼馴染
第13話 魔法の使い方はどうやるの?
しおりを挟む勉強もどきを教えられ、この世界のこと、魔力のこと、モンスターのこと等、こんがりそうな程の知識を叩き込まれた。
途中、寝そうになったが、ヘンリーの持っていた分厚いモンスター図鑑で叩かれる。
「わかったか?今日はここまで。どうだ………、頭に入ったか」
「は……………はい。はいりました」
学校の先生みたいな、独特な雰囲気を纏い始めたヘンリー。あれ、さっきの壁を殴った人に見えない……。疲れすぎて棒読みになっている私は、微かに苦笑をした。
「よし。全て判ったところで、実践といこうか。項垂れてないで立て」
強制的に立たされた私は、左手を握られ、外に連れてかれた。勉強のせいでまだ、疲労感が抜けない。
町の近くにある草原に着くと、ヘンリーは何処から持ってきたのか、大きなかかしを地面に刺した。
「これが的だ。的に向かって魔法を放て」
「いきなり言われても………。使い方が分かんないよ」
「使い方が、分からない?………もしかしてだが、使ったことは」
「ないです」
増大にため息を出すヘンリー。正直なことを喋ったのが悪かったかな。身体が細かく震えている。
「へ、ヘンリー?」
「………魔法の使い方は、まず、魔力を感じることから始まる。感じるには自分の心臓を感じるのみ」
トントンと自分の胸を叩く。
(のみって………。それだけじゃ分からないよ)
「不満そうな顔をするな。心臓の動きを感じればいいだけの話。俺は教えるのが嫌いなんだ。何度も言わせるな!」
そう言ってる割には、先生みたいに見えたんですけど?教える上手さに気づいていない、本人。
本人が気づいていないからこそ、上手いのかもしれないね。
私は教えてもらった通り、手を胸の前に置き、心臓の動きを感じる。バクバクと動き続けている心臓。保険の授業でやったことがあるが、一つだけ、違和感があった。
(まさか、あの時の………炎?)
真顔神さんから受け取った、虹色の炎が魔力そのものだったのか。だから………こんなに胸が温かく思えるんだ。
これが魔力だったんだ。私は笑顔でヘンリーに言った。
「ヘンリーは教えるのが上手いね」
「判ったのか?」
(わかったが多いね)
「分かった分かった。魔力も感じたし、後は魔法だけだよ」
「手間が省けたな。やるぞ」
「はい!」
ヘンリー先生の指導が始まって、数分ーーー
というより、ほんの数分だけど………。
ボシュッ
魔力を込めた掌に、真っ青な炎が灯されている。ヘンリーは中途半端に『気合いでやれ』と教育を投げ捨てている。
呆れながら、もう気合いしかないなぁとやってみたら、簡単に出来てしまった。今まで魔法を使う機会がなかったので、私でさえ、コントロールできていることに驚いている。
(これを、的に投げるんだよね?)
青い炎をかかしに投げつける。すると、青い炎だったものがだんだん色を変え、最終的に『あの虹色の炎』に変わった。間近に目撃したヘンリーは、大きく口を開いている。
かかしに当たると、一瞬で塵になってしまった。私が困ってヘンリーの方を見るが、ヘンリーもどう言えばいいのか分からない様子。
「あの………ヘンリー先生、できました」
「できましたじゃない!何だ今のっ!?本当に使ったことがないのか!」
「うん。今、初めて使いました」
「……………もう、何も突っ込まん。魔法も使えたことだ。今度こそ、実践するぞ。準備はいいか?」
コントロールできたことで、自信がついた私は強く頷いた。
「言っとくが、戦ってもらうやつは俺の『ペット』だからな。死ぬなよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちょっと遅くなりました。
次回、ヘンリーのペット。
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