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閑話一覧(番外編のようなもの)
閑話 ハロウィン?いえ。モンスターパーティーです
しおりを挟む街や村によって変わるパーティー。
脅かせてお菓子をあげる行事だったり。モンスターの仮装をしてお菓子を貰う行事だったり、土地や地域によって微かに違う。
「ハロウィンといえば?」
「お菓子!」
「お化け!」
「モンスター!」
「ガキがたくさん!」
「おいおい、お前もガキだろうが」
今回はハロウィンパーティー(モンスターパーティー)をやるということで孤児院に来ている。暫く小さな町に泊まっていたが、依頼で狩った魔物の肉が余り棄てるのは勿体ないので孤児院に分けた結果、冒険者は珍しいのか元気な子供達が遊んでと休みの日に遊ぶことが増えていった。
院長の方は肉を貰ったお返しとして近々行われる行事に参加しないかと勧められた。
捨てられた子供や育児放棄。家族の事情で預かった子供たちがたくさんいる。ハロウィンの衣装はゴブリンやらハーピーやら様々なモンスターの仮装をして家を回る。孤児院の子供もそうだが一般の子供達も混ざって参加するそうだ。
俺もなりきろうとカボチャの形をした帽子を被りタキシードっぽい服装にしてある。
衣服店はこの季節だけ仮装用の服が大量生産される。しかもオーダーメイドという事でリクエストされたモンスターや魔物の衣装を作るそうだ。
「おにいちゃん!お菓子ちょうだい!」
「ほら」
「わーい!」
「わたしもちょーだい!」
「オレも!」
「お菓子をくれないとイタズラするぞ!」
「「ちょーだい!」」
「わ、わかったから並べ並べ、まずはよ」
何故か子供達が群がりこの為に買ったチョコや貰ったチョコを配っていくが、もう底が見えている。大体並ばせて配っていると肩を叩かれて振り返ると狼男ならぬ狼女の衣装を着たひーちゃんがいた。
モフモフが、狼耳かわいい………。
「竜くん人気者だね」
「他の大人から貰えばいいんだけどなぁ。何故だろう………」
「冒険者だからじゃないかな?この村って冒険者が少ないから」
「あー。それもあるかもな。ヘンリーの方も子供達に遊ばれてるし」
横目で見ていたがヘンリーはお菓子を配らずアスレチックの様に子供達を持ち上げている。子供達の笑い声や叫び声がここまで届いている。
「楽しそうだな」
「ねぇ。終わったらお菓子交換し合わない?こっちはイチゴのチョコなの」
「俺は焼きチョコかな。ほら、溶けにくいやつの」
「わぁ、好きなやつだ。サクサクして美味しいよね」
お菓子の事で盛り上がっていると幽霊の服装をした男の子が近付いてくる。
「お菓子ください!」
「溶ける前に食べるんだよ」
「味わって食べろよ。ん?そんなにお菓子を集めてどうするんだ」
その子供は籠にたくさんのお菓子が詰められている。お楽しみに取っておくにしては多い。
「これね。これなかったいもうとにあげるやつなの。ママが今日はいもうととようじがあってこれないって」
「用事か。それならおまけやるよ妹にもあげろよ」
「いいの!?ありがとうおじさん!」
「え、」
元気に走っていく姿を見てさっきの発言を撤回してもらうかどうかと迷ってしまった。おじさんって………(泣)
「竜くんがおじさん………w」
「おい笑うな。それだったらひーちゃんもおばさんになるから」
「はい、ごめんなさい」
まだ高校二年生の俺達でも、おじさんおばさんと言われれば傷つく。同い年のひーちゃんも、いや。全国の高校生が言われれば傷つくだろうな。
「そろそろお菓子を補充してこないとな」
「竜くんの焼きチョコって何処から貰ってるの?買ったもの?」
「実はこれ全部Jの試作なんだよ。で、失敗したやつが焼きチョコなんだけど」
「焼きチョコ作れるドラゴン………!?」
「だけど、焼きチョコは失敗作とかいって貰ってきたんだよ。考えていたチョコと違う!とか嘆いてた」
「え、明らかに成功してるよね!?」
「なんか納得できないんだと。何回も作り直してる」
「一体どんなチョコを作ろうとしてるんだろう。それはそれで気になる」
ドラゴンが人間になっていても手先が不器用なイメージがあるが、そんなことはなくJテキパキと容器にチョコを流し込んだり市販で買った形で固めたりと時々ドラゴンだということを忘れてしまいそうな動きだった。
失敗したという焼きチョコだがこれでも子供達には好評で、レシピを教えて欲しいという大人まで出てきた。失敗作だからJが覚えているかどうか。
「おーい」
呼び声が聴こえた方向へ向けるとチョコが完成したのか大きめのバケットを二つ抱えたJが走ってきた。
「J。どんなチョコにしたんだ?」
「それは子供達に配ってのお楽しみだ!これは自信作だぞ」
自信作満々な顔で抱えたバケットを大事そうに持っている。俺も少々気になってきた。
片方のバケットは失敗作の焼きチョコが大量に入っている。あれから失敗は続いたものの、やっとの思いで完成したという。
子供達が新しいお菓子が貰えるとわかってJに群がっている。バケットから一つ一つ子供達に配っていく。途中から大人もお菓子を貰う姿があった。
「フフフ…。計画通り」
「一体どんなチョコ作ったんだよ」
「私も気になる!実際に食べてみたいし」
「それはな。これだ!」
バケットから取り出されたチョコを二人で見つめる。これは……。
「ドラゴンを型どったチョコ?」
「ただ型どっただけではないぞ。よーく観察してくれ」
「あ!細かく鱗もある」
袋詰めされた二匹の白と黒のドラゴンチョコにはうっすらと鱗が並べられている。目の部分は小さいチョコを入れてある。
「この鱗の部分、これ全部削ったのか?」
「うむ!時間がかかってしまったが完成して満足したぞ。これを何百個も作ったのだからな」
「技術力高いね。本当にドラゴンなの?」
「我はドラゴンだが、他のドラゴンより器用で出来ることだってあるぞ」
「もう商売できそうな技術力だな……」
むしろそれで稼いでいけそう。
「子供達も喜んでいて良かった。やはりドラゴンな人気だな」
「失敗作の焼きチョコも評判良かったけどな。あ、このレシピって覚えてる?欲しい人が教えてくれと言われてさ」
「焼きチョコ?ただ焼いただけのチョコだぞ?それでもいいのなら教えるが……」
「このレシピが欲しいやつにあげたいから、紙に書いてくれない?説明するより書いた方が楽だろ」
「雑な説明よりそっちの方がいいな……。よし、わかった」
すんなり了承して紙に作り方を書いている。まだ子供達がお菓子をねだっているので代わりに俺達が焼きチョコとドラゴンチョコを配っていく。
月の光が村を照らしている中モンスターパーティーが終わり、子供達はそれぞれの家へ帰っていく。
残ったチョコは食べたが色んなチョコが置かれてあり、小さなチョコ展みたいなのが出来上がるような精彩なチョコや動物の形をしたチョコもたくさんあった。
しばらく食べるお菓子はチョコ続きだと思う。
次の日にはJの許可を得て、焼きチョコのレシピが欲しいと言った大人に話しかけレシピを渡した。レシピを何回も見て興奮気味に瞳が輝いて、跳び跳ねるような勢いで嬉しそうにしている。そんなに焼きチョコのレシピが欲しかったのか。
お礼として日持ちする食べ物や乾燥させた干し肉をくれた。長い旅になるだろうとわざわざ日持ちするものばかりをくれた事に感謝しても足りなさそう
その焼きチョコはこの村を発展させる名物になるとは俺達は知りもしなかった(嘘)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お菓子をくれないとチョコ吹っ掛けるぞ!………なーんてね。
ハロウィンの日の新宿ってヤバイよな。
更新遅れて申し訳ないです。
次回の番外編は未定です。
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