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第5章 王族
第60話 ファイブドラゴン
しおりを挟む山といえば噴火する山もあったり自然が多い神秘的で綺麗な山もある。道のりが厳しい山もあったりするのだがこの話はやめよう。
ゾロア山は岩が多い山で、崩れたり小さい岩型モンスターが転がる姿がある。こちらを見ても襲ってくる事がないのでこっちから何もしなければ無害なモンスターだとわかる。
ヘンリーはモンスターを見つけると行きたそうに観察をしている。何気に図鑑を開いて習性まで知ろうとしている。モンスター博士を目指しているのかははっきり分からないので、黙っておこう。
「岩型のモンスターって小さいやつが多いんだな」
「手足が無いやつは特にな。転がって削れていくから小さくなっていくんだ。ほら、凝らして見たら動いてるだろ」
「あ、ほんとだ。蟻みたいに小さい………」
なんか持って帰れそうだけど、ファイブドラゴンがメインの依頼中なのでやめてね。
改めて戦闘になったらのために俺達のポジションを振り替えよう。
俺とヘンリーが前線。しかし、今回は防御力の高いドラゴンだということで、俺達はヘイトを取る役になる。 そしてメインがひーちゃんとJの魔法。防御力を下げる魔法もここでひーちゃんのチートである∞の魔力があるので遠慮なく使っていただこう。
あとは。
「ひーちゃん。ファイブドラゴンは硬いけど、もしかしたら状態異常には弱いかもしれない。キューカの毒でジワジワと弱らせよう」
「キューカに伝えとくね」
言葉のわかるドラゴンなら、戦闘にならずに済む。
もし交渉が成功すればマシになるけど………。
「皆。ファイブドラゴンは好意的にはいかないと思う。依頼はファイブドラゴンの鱗を欲しがっているが、もしもファイブドラゴンがこの交渉に応じなかったら戦闘になる」
「特に小僧は同じドラゴンだから敵意むき出しだろうな」
「うん。でも作戦では俺とヘンリーは引き寄せる側だから問題ないと思う」
「竜くん。本当に大丈夫なの?」
「………あのじーさんの言った通り。怪我一つじゃすまない。実際怪我をした冒険者がいるわけだし、無理に突っ込まなくていい。ひーちゃん達は魔法で攻撃とバフを中心にやって。キューカは状態異常を優先させて」
「わかったよ!」
「任せろ」
「キュー!」
「………キューカの鳴き声久しぶりに聞いたわ。ヘンリー先輩、ファイブドラゴンは何処に潜んでいるの」
「………………」
「ヘンリー?」
「………ここだ」
「ここって、?………まさかっ、だよな?」
ヘンリー先輩は目線を下に向ける。
ファイブドラゴンまでの大きさは理解しておらず、何処に隠れているのか図鑑には表記していなかった。
それが迂闊だった。俺達のいる場所がドラゴンの上に立っているのだから。それが合図とばかりに地面が揺れだしバランスを崩す。
「なっ………!」
「うわぁ!」
俺は直ぐ様風の力で子竜の姿に変え、上空を目指す。
ある程度上り止まると上から見上げれば一目瞭然だ。岩を鎧のようにしているドラゴンだと聞いたが、これは山に擬態する為に岩を纏っている。俺達でも気づけなかったが、ファイブドラゴンが動いたことで大地が揺れ始める。
あまりの大きさにひーちゃん達がまるでリスの様な小さいサイズである。ヘンリーも気づくのに遅かったからかひーちゃん達を連れて離れる。
「ファイブドラゴンはこいつだ!丁度背中に乗っているジャン!」
「え!地面がドラゴンなの!?」
「よし。ヘンリー、ヒトミ。我に掴まれ。一旦飛ぶぞ」
「え、わかった」
「ああ」
言われた通りに両肩に掴まり、Jが何をしようとしているのか二人は分かっていない。
もう正体を明かしてもいいと判断したんだろう。Jは器用に二人を持ち上げ背中に乗せる。その瞬間Jの本当の姿を変わる。
赤と青の2色の鱗を纏うバカデカイドラゴンに。
『しっかり掴まっていろ』
大きな翼を羽ばたかせ俺も後を追う。
必死に翼にしがみつくひーちゃんと鱗が剥がれないのか、掴んでいるヘンリー。きっとJがドラゴンだったことに驚いているだろう。
ファイブドラゴンを下から見上げる形になり、ヘンリーはすぐに叫んだ。
「お前もドラゴンだったのかよ!危うく風圧で吹き飛ばされるところだったからな!」
『何。リューは元々人間だが、我は正真正銘のドラゴンだ。まあ、正体を隠していたのは謝る』
「いや、そう言わせたいんじゃなくてだな。~~~!!はぁーー」
何か納得いかないのか増大なため息をしている。呆れてしまったんだろうな。でも、俺自身ほっとしている気持ちがある。驚いてJが差別されるんじゃないかと。討伐なんてされてしまえば悲しい。
「Jはドラゴンだったの?」
『ふむ。人間に化けて人間界を観察していたくてな。隠し事をしてすまんな………』
「ん?別に気にしないよ。竜くんだってドラゴンになっているんだし。驚いたけど今の状況で助かったよ。ありがとう」
『………うむ////』
あれは完全に照れてるな。
現に助かったのは事実。背中にいた俺達がいなくなりファイブドラゴンの顔が出る。想像以上の牙の大きさにギラついている真っ赤な瞳が下から見ている。
それも、ドラゴンである俺とJを見ているかのようだ。ドラゴンに対しての闘争心が高いというが、あの目は飢えた捕食者の目だ。確実に狩ろうと待ち伏せている。
「J。このまま行くか?」
『我がヒトミを乗せて戦う。あれでは交渉のこも無いわ』
「決まりだな………あれ?ヘンリーはどうするんだ」
『リューの背中に乗せればよかろう。一人なら出来るだろう?』
「小僧。頼むぞ」
「えぇ………」
まだ小さいこの身体にヘンリーが乗るとなると大丈夫なのか不安になってきた。取り敢えず、言われた通りに背中に乗せてみる。
子竜の身体は大人一人乗せても平気なようで何ともない。二人だと重量オーバーになっていたかも。
「作戦は言った通りだ。頼んだジャン」
『了解した』
ファイブドラゴンの様子を見る限り、仕留めやすい俺の方を見ている。これはヘイトを集めなくても心配ないようだ。
上空から急降下してくる子竜を見て、早く来いとばかりにだらしなく舌が出ている。
ヘンリーはある程度地面に近づくと俺から飛び降り、回り込むように走り始める。
俺は空から誘導させる。ファイブドラゴンは身体が大きいせいか動きが遅い。後ろから水魔法で攻撃しているがまだ手応えがない。背中に飛び乗ったキューカの毒も硬い皮膚で覆われている身体では通じず、毒が通る所を汲まなく探している。
(これは時間がかかるな)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やっと60話いった。久しぶりにキューカの登場。
次回、ファイブドラゴンの攻撃
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