上 下
62 / 69
第5章 王族

第56話 うざい騎士団様

しおりを挟む



男(おっさん以下略)にお礼を言い。宿を後にした俺とひーちゃん。
Jジェイはというと、部屋に入っても誰もいなかったので、何処かに出掛けたのかは不明だ。
ヘンリーの行方は騎士団が知っているとしても、会ったら王宮に連れてかれてしまう。
それだけは避けたいのだが………。


「何でこうなったのか………」

「ここまで考えれなかったね」

「そうだな、まさか尾行してたとはな」


宿を出て街の中まで歩くと、後ろから気配を感じた。
そそくさに振り向けば、どっかで見た顔があった。そうだ。先頭にいた騎士団の人だ。
着ている物は鎧ではなく私服っぽかったが、きっと変装なのだろう。黒いサングラスに黒く、ボサボサなカツラ。
変装にしては下手なもので、街を歩いてる人達は振り向いて怪訝な顔を浮かべている。


見ていた事に気づかれたのか、男は指示を出し、何処からか鎧を着た騎士団に捕まってしまった。
チッ、あいつ囮だったのか。


「さあ!大人しく王宮まで着いてこい。これは王命である!」

(いやいや、ここの国出身じゃないので拒否権あるよね?)

「拒否権って無いの?」


思ってた言葉をひーちゃんが言ってしまった。


「王命だと言ったはずだっ!拒否するようなら牢獄に永久監禁する!」

(こいつは嫌いだわ…)

「ごめん。貴方達の事嫌いだわ。あと煩い」


本当に思ってる事言っちゃうな!俺の心の声聴こえてるじゃないのか。あと、ストレート過ぎるよ!


「ふんっ!煩いのはお前達が大人しく着いてくればいいだけの話。さっさと来い!」


なんかやりきった感出しちゃってんだけど。え、何。俺達指名手配犯みたいじゃん。


まあ、そんなこんなで騎士団に捕まり、王宮に連れてこられた訳だが。
長い廊下は、高級な花瓶に赤いカーペットが何処までも伸びている。
通る度に、メイドが背筋を崩さずにお辞儀までして、社交辞令がちゃんとしてると分かってしまう。………ひーちゃんも合わせてお辞儀しなくていいから。
騎士団が止まったと思うと、部屋があり。着いた部屋を開けると、ヘンリーが厳つい顔で柔らかそうなソファーに腰かけている。


「よ、よっふ」

「なんで小僧達を巻き込んだ…。騎士団ども」

「なに、貴方『達』パーティーが魔人を討伐したのですから当たり前では?」

「周りを巻き込むなと約束したのにか!?王命だからといってやって良いことと悪いことがあるのを知らないのかっ!ガキかお前ら!」


ガチで怒ってる。あまりの迫力に後ろの騎士団二人はめっちゃ怯えてる。鎧がカタカタと揺れている。
しかし、金髪の男は堂々としていた。


「冒険者との約束など信用ならん。約束より王命を優先するのは当たり前だと思うだろ。優先順位が違うんだよ」

「チッ。だから貴族は嫌いなんだ」


貴族との縁あるとばかりの言い方だが。冒険者になると貴族と関わる機会が増えるってわけか。
ヘンリーのランクはAランクだったか。


「これから国王陛下の場所まで案内する。無駄な抵抗はご法度だからな」

(無駄な抵抗というより、権力使ってるだけだろ。ヘンリーの堪忍袋が切れる前になんとかしたいのだろうか)


怒りを抑えられずに騎士団に目の圧力を浴びせている。(睨み付けている?)
メイドが横を通る度々に何か訴えているように見られている。邪険とか忌々しいとかそういう意味ではなさそうだな。
大きい扉の横には傭兵が二人立っており、足が棒にならないのかと思った。


「陛下!探していた冒険者達を連れて参りました」









ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回、王様登場



貴族のいやらしさを出してみましたが、どうでしょうか?
(こういう人はざまぁかギャフンとさせたいですね( ^ω^ ))
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生調理令嬢は諦めることを知らない

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。  主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。  追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。  2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。

処理中です...