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第三章 異世界を満喫する

No.9

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話がずれた。
つまり、この世界での玉の輿だよ!

「まずさ、私たちが目指すものだよね。」

そう、それが大事。

「うん。私はさ。ロドさんたちの歌を聴いて、思った。」
「何を?」
「歌の布教活動がしたいって。
お経だけの世界なんて嫌だよ。自分が歌いたいのもあるけど、周りからお経しか聞こえないなんて!
私は嫌!冒険しながら歌を聴いてもらう!」

布教って……なんか嫌なフラグが立ちそうじゃないか?

「カフェは?どうなったん?」

そっちのが、平和そう?

「いや、いつかはやるにしても、今は良くない?だってさあ、ぶっちゃけ、寿命ってわかんないんでしょ?なら、ゆっくり冒険してさあ。
っていうか、昨日、思ったんだもん!もっと歌を歌いたいって!ほんとさあ、もっていた楽譜だけでも取り寄せたい!」

ああ、楽しそうだったもんね。なら、私がやるのは奏歌の応援。これしかない。

「まあ、楽譜は無理としてもさ。この世界にうちらの世界の音楽がない…なら似たフレーズでも裁判訴えられるとかにならないじゃない?なら、ソカが作ってもいいかもね?小さい頃から作って歌ってくれてたみたいにね。」
「うん。それもいい。」
「でもさあ、玉の輿って、この世界ならなんだろうねえ?」

ってのが、やっぱ一番の難点だよね?

「お金は、冒険者でいたら……結構、稼げるもんねえ?んー、私がさあ、玉の輿目指してたのは、ママに迷惑をかけず、歌っていたいから……って、かんじ?まあ、そこに『イケメン』『優しさ』『包容力』とか、いい意味のオプションつけば丸。」
「ママは、ソカを幸せにできるなら?音楽って、お金かかるし?ソカが楽しいなら。でも、今なら?お金は自分らでなんとかできるじゃない?じゃあ、相手に何を求めるか?」
「うん、歌はたくさんの人が聞いてくれたらいいし。リサイタルはお金と場所があればできるし……ママがいて、友達にしては年上だけど仲間がいて……あれ?旦那も彼氏も……めんどくさいしか生まない気がする。」
「んー、私もソカがいてくれたら……。」

あれ?そんな結論?確かに面倒?
でもなあ、孫は見たい気がする。

「「ねえ?」」

あ、かぶった。

「ソカからどうぞ?」
「じゃ、妹か弟がいたらいいなと。」
「え?私よりソカが生んだほうが早くない?私は、孫がほしい。」
「えーー?面倒。それより可愛いだけの兄弟がいいな。」

いや、それってどうなんだよ。お互いの子供が欲しいって。

「でもさ。すぐのすぐじゃないからさあ、ママが大人になってからでいんだし。でも彼氏くらいは欲しいかなあ。先生が言ってたもん。恋愛は音楽の糧になるって。」

ん、そうだね。
私にとっての『玉の輿』は、珠玉奏歌を割らずに守り愛しむ存在にしふとチェンジしよう。
親なら、望むことでしょう?
子供に最大限の幸せを。だからね、玉の輿はあきらめない。本来の意味とはかけ離れちゃうけど。

いつか、離れたくないけど離れる時が来るかもしれない。その時に守ることのできる相手を。

「じゃあ、とりあえずは、冒険だよね?」
「うん。」
「じゃあ、すっきりしたところで、片付けに行きましょうかね?みんな起きてるかな?」

ピリリリリリ!!!!!!

とデカいおとにびっくりした。
何のことはない、空間収納に入れていたスマホの呼び出し音だった。

えーー?なんか、またみてたのかな?

「んー。私の?みたい。」

と、奏歌がスマホを取り出した。

「電話じゃなくて、メールだ。」

『ハイハーイ。ラリホー元気してる?』

相変わらず軽いノリで……奏歌は魚が死んだような目をしてスマホを消してしまおうとした。

ピリリリリリ!!!!!!

「はあ、もう。」

しかたなく、スマホを開きメールを読む。

『ごめんなさい!おねがい閉じないで!謝るから。』
「はいはい。」
『よかった。』
「って、会話になってる?」
『うん、直接声は送れないんだけどね。なんとかここまで機能を高めるのに成功したよ。ただ、そっちからは返信できないんだけど。でも、祈りの声は必ず届いてるから、ぶっちゃけこっちからの連絡が来ること自体チート中のチートなんだよ。』
「で?その、えらい神様が何の御用なのですかね?」
『なんか、トゲを感じるぅ。えっと、一つ目はたぶんステイタスに僕が介入できない何かがあったの。確認よろしく。二つ目、僕以外の神に君らの存在がばれました。
三つ目、君らの死に関与していたやつが逃げた。それもその世界に……これについては、マジごめんなさい。あそこまで力つけてたなんて。だから、注意してほしい。
ごめん。これから、高位の神にお願いに行く。それまで頑張ってほしい。すぐにってことはないんだけど……下界に直接関与できない。
ただ、君らはなぜか運がいいみたい。僕の加護以外にもいろんな加護を引っ張ってきそう。』
「よくわからないんだけど、ママを子供にしたやつ?が、逃げた?ってこと?」
『そう、で、なぜか?わからないんだけど、君らに執着してるみたいなんだ。数年は彼には力はないはず……世界の理からはずれてるから。ただ、腐っても神の部類で……力を取り戻したら……わかんないんだ。どうなるか。だから、絶対的な力を持つ高位の神に頼むんだ。
それと、人心掌握ってスキルもちなの。だから、気を付けてほしい。』
「それって、いつまで?」
『すみません、わかりません。神に時間の観念はない。だから、数分かもだし、数百年かもです。』
「それって死ぬんじゃない?」
『いえ、二人とも普通じゃ死なないよ?えへ、君らの体いろいろしちゃった(あはっ)。
だ、だから、その、まってて!大丈夫、だと思うんだ!あ、もちろん君たちの保護者には伝えてほしい。
でないと、戦力たりないかも?じゃ、戻る時までアデュウー!』
「おい、こら!え?マジ切ったー!」

奏歌が一生懸命スマホをいじるが、それっきり神に連絡はつかなかった。

私たちは、なんだかよくわからないまま、下に降りて片づけをこなした。
高かったテンションが下がったのは言うまでもなく、ただね……これをロドリヌスたちにどう伝えるべきか……神様の言う『保護者』ってみんなのことだよね?
ああ。もう、面倒しか浮かばないよう……。絶対、過保護悪化するよね?




結局、神様ストーカー神様からはあれ以来連絡は来ないのだった。
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