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第二章 異世界というものは
No.50
しおりを挟むうーん!よく寝た~。
「はあ。ん?」
どこ?見覚えある気もする。天蓋付きのベッド……デカくね?
んー、右隣を見ると可愛い我が娘とティアが寝ている。
んんーと?
ガバッと起き上がると、左隣に……おいぃ、なんでロドリヌスが寝ているんだろうか?
奏歌の隣にはラナン。まあ、これはよいとしよう。でも、更に隣にいるのはミリオン……。まあ、ラナンとミリオンはバディだし、こうして雑魚寝も慣れてるのかな?
うら若き乙女と同じベッド……だけどな!
胡座をかいて頭をボリボリとかいた。……女の子にあるまじき行為と言えるかもしれないが、所詮は女男関係なく、何も考えていなければ皆おっさんくさい動作をするもんだ。
いつでも女らしいと言われる女など、幻想だと思いたまえ。いや、まあ、中にはいるけども。
で、何がどーしてこーなった?
んー?
思い出せない。
なんだか、すごーく暗い暗い暗い先の見えない道を一人震えながら歩いたような気がする。
いや、あるわけないよね?
お茶に毒が入ってるから飲んじゃダメって、言われて飲まなかった。
あれ?その後は?
毒を入れたメイドさんが捕まって、エレノアさんたちが連れて行ったんだ……よね?
そのくらいから記憶がない。
疲れて眠っちゃったのかな?
ふと、周りを見るとソファにはハリーが寝ている。
宰相様や王妃様はいないか。
当たり前か。自分の部屋があるだろうし。
しかし、皆んな……お疲れなのかな?
起きる気配がない。
んー、淡くロドリヌスの気配に包まれている感じがする。
つまり、ロドリヌスの結界の中かな?かなり、私も魔力探査?が上手くなったのではないかな。
スマホを出してチラリと見る。
10/30時間か。
え?10時?
皆んなわりかし朝早く起きるのにな。
ハロルドが心配していそう。
一人置いたまま、一晩帰らなかったわけだしね。
まあ、うちらが引っ越すのは明後日……もう明日か……だけどね。
「ん、んー、んん?ん!ママ!」
「あ、ソカ。おはよう。」
「ママ、ママ、ママ、大丈夫!なの?ねえ、痛いとことか、へんなとことかない?」
「ないよ?落ち着いて、一体何事?」
「何ごと、じゃないよー!
ん、いつものママかな?通常運転だあー、もう、よかったぁ。」
「え?……私、なんかしちゃったの?」
「……覚えてないの?」
「うん、と?メイドさんが毒をお茶に入れて、見つかって……エレノアさんに捕まったのは覚えてるよ?」
「捕まった?」
「うん、引きずられて連れていかれたじゃない?そっから記憶ないんだよねー。」
「引きずられて?ママ、本当に引きずられてるのを覚えてるの?
」
「うん。」
奏歌に微妙な顔をされた。
二人で普通に話していたため、その声でまず、ロドリヌスが起き、ミリオンが起き、ハリーが起きて……最後にラナンが起きた。
「……ママの記憶が変。」
「聞こえてた。」
「どういうこと?」
奏歌が失礼なことを言い、ロドリヌスはどうやら狸寝入りだったらしい。
それにミリオンが疑問をいだいたようだ。
しかし、記憶?
ズキリと頭が痛むが……この体になってはじめての偏頭痛だ。
まあ、昔はよくなっていたし?子供になってもあるのかもしれない。
記憶が変と言われても……寝てしまったものはしかたない。
もしかして、寝ぼけながら変なことでも言ったのだろうか?
「じゃあ、ママは、メイドが毒を盛って、エレノアさんが、そのメイドを捕まえて、引っ張って出て行った、までを覚えてるんだね?」
「うん、そう。」
噛んで言い含めるような言い方なのが、若干気になるが……その後、重要なことがあったのかな?
覚えてなくて、すいません。
「うーん。そっかあ。」
と皆が思案顔。
何故に?
「まっ、じゃ、そういうことで、いっかなあ。」
「だな。」
と奏歌の言葉にロドリヌスが納得して、さらにはミリオンたちまでウンウンと頷いた。
逆に気になりますー!
「いや、なんか忘れてるなら教えて欲しいんだけど?」
「知らない方がいいよ。うん。」
と奏歌の言葉に、恥ずかしい事をしてしまったのだろうか?と思った。
うん、なら忘れてる方がいいよね!
第一、子供なんだし!
後からしるのって、覚えてるより恥ずかしいしな!
「……わかった。でさ、結局ここは?で?あれから、どうなったの?」
「ここはロド様のお部屋ね。珍しく、ショウが無防備に寝てしまったから、安全なロド様の部屋にしたわけ。
やっぱり、城の中とはいえ毒薬を仕込もうとする人間がいるならってね?
でも、疲れてしまったせいか、ショウが寝てしまったので……とりあえず、今日改めて謁見ねえ。
……最初から次の日にすればいいのに……。
昨日は食事もしなかったからお腹すいてない?
食事にしましょう。」
とオカンのようなミリオンの言葉に頷く。でも、『オカン』とは言わない。魔王が降臨するのがわかってるから。
「そうそう。なんだか、母上が服を用意してくださったみたいなのよ。ソカとショウに。だから、着替えてから謁見しましょうね。
なんなら着替えの前に湯浴みする?」
「したい!」
だって、クリーンして綺麗だけどやっぱり日本人……1日一回はお風呂したい。
「じゃ、ママ一緒にはいろう!そうだ、ラナンさんも一緒にいこう?」
「そだな?護衛を兼ねて一緒に行こうか!」
「だーめに決まってるじゃないの!ラナンは、だめよ?
エレノアがつくわ。」
「なんで?女同士じゃん!」
「……ふふふ、ラナンはソカに恋愛感情を持ってるのに、女だってだけで許せないわよ?」
「ははは……ミリは、心狭いなあ。」
「あら?じゃあ、ロド様は許せて?」
「……うん、無理だな!」
「でしょう?」
うーん。
ラナンは、年の離れた(離れすぎだけどね。)姉のような感じが私はするんだけど。
慣れないけど、この世界……結婚も恋愛も自由度高いんだよね。
ラナンは、奏歌を気に入ってるらしいし。
でも、なんだろう。庇護欲のが勝ってる気がするくらい『危険』だと思えないんだよね。
私の『危険』センサーはミリオンとハロルドに振り切ってるんだよね。特にミリオンが大。
もう、パパ的なロドリヌスは……でももうパパとは言わない…怖いから。
だからあんまり、普段は危険な感じはしない。
まあ、なんにせよ。
お城の湯浴みって、どんなかなあ。
ちょっと、ワクワク。
「ピューッピッピー!(ママ、ママ、ママだーあ!)」
ティアが起きて抱きついてきた。
あれ?少し大きくなった?
どしんとした感じと手が回らない。
「あれ?ティア、少し大っきくなった?」
「ピーイ(うん)。」
「そっかあ。」
フードに入ろうとしたが入らないみたいだ。
……まあ、そうだよね。
スイカくらいになったもの。
前は、小玉スイカくらいの大きさだった。
なんで、スイカに例えるかって?
決まってんじゃん、食べたいからだよ……。
私にスリスリして、ティアは落ち着いたらしい。
急に寝ちゃったからびっくりしたのかな?
「さあ、ご飯にしましょう!」
ロドリヌスが結界を緩くしたのか、包む魔力が薄くなったように感じた。
その後にミリオンがチリンチリンとベルを鳴らす。
「失礼いたします。」
数人のメイドさんが入ってきた。
また、ツキリと頭が痛んだ。
なんだかな。
そうこうするうちに、広いローテーブルに沢山の料理がのった。
うーん、やはり肉食なのか……。
肉の塊が沢山ある。
……野菜はお供え程度。
お城だからなのか、肉は良さげな肉だ。きっと、前世では食べれなかったA5ランクとかなんじゃないかな?
何の肉かは、わからないけど。
「さあ!食おう。」
ロドリヌスの合図で食事が開始されたのだった。
ーーカーン
と、格闘技よろしくリングの鐘がなった気がしたのは……気のせいじゃないんじゃないかなあ。
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