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五話 怖い……なんで?こんなことに?
しおりを挟む気を失っていた私は、きつい匂いがして目が覚めた。
ぼーっと周りを見る。
どうやら周囲を沢山の人に囲まれている。
助かったのだろうか?
でも、今度はなに?
体は完全に裸の状態だ。あの時、剥かれたままの状態ということ。
それを沢山の人にジロジロと見られる。
なんて、羞恥。
『たて!』
「なに?なんて言ってるの?」
相変わらず、わからない言葉で強く言われた。
隠しようもないが、手で少しでも体を隠すようにして小さくなる。
脇に立っていた男が手を掴み引っ張られ、無理やり立たされた。
「離して!いたい。」
『なにを喚いてるのか、わからないが。立て。』
なになんなの?
無理やり引きずられるように連れて行かれる。
そこには水を張った……なんといえばいいのだろうか。
階段状になった四角い水遊び用の小さなプールのようなところで、沢山の男たちが待ち構えている。
『急げ。』
私を引きずってきた男は私をプールに投げ入れた。
日が暮れ始め、温度は体感的に二十度前後くらい。
裸で床に横たわっていた時間がどれくらいなのかわからないが、体は冷えて小刻みに震えている。
そこへ冷たい水にぶち込まれたのだ。
「いやあ、寒い。」
カタカタと震えて歯が噛み合わない。中にいた男達に体を洗い始められる。
「いや、いやあ。触んないでー!」
無理やり足を開かれあらぬところどこか、後ろの穴にまで水を入れて洗われる。
なんで?なんでこんなことされなきゃいけないの?
「いやあっ…ひっ、く…やめ…よ…。」
いかな私とて、筋骨隆々の男のたち相手に逃げることも出来ず……当たり前だ、今は子供の体格なのだから。
指を入れられる痛みと恐怖、寒さでガタガタと震える体を乱暴に布で拭かれ、生成りのマタニティの様なつっかぶりの服を着せられる。
下着はない。
…寒い。
一枚着せられた程度で暖かくなるわけもない。
そもそも袖すらない服で。
そのまま担がれ、乱暴に木でできたテーブルのようなところに降ろされる。
寝かされ上で手を掴まれる。
また聞いたことのない言葉で、何かを言われている。
『襲われていたとはほんとか?』
『はい。』
『では、幼いといえどわからんな。まあ、いい。生娘か確かめれば良いことだ。アレをもて!』
『しかし、裂けてしまうのでは。』
『一番細いものなら大丈夫だろう。多少裂けようがかまわん。』
腕をがっちりと抑えられ。さらに左右から膝を立てさせられて、持ち上げられる。あらぬところが下から丸見えにされた。
「やだあ。」
『うるさいわ!』
頰を叩かれる。
黙れとか言われたの?
なんで、こんな目に会わなきゃいけないの?
そして沢山の人が私の大事なところを見ているという羞恥……。
男女いるのに、皆がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべているのは、きっと気のせいじゃない。
神官みたいな長い服を着た人が持ってきたのは杭?なに?
まさか串刺しで殺されるとか。
怖い。
やだよ。
なんで?
同じ死ぬんだって……こんな怖い死に方をしなきゃいけないの?
『やれ!』
「きゃああああああああああ!」
痛い痛い痛い痛い痛い。
本当に串刺しにされた。
私の大事なところに太い杭をグサリとミリミリとの音を立てて刺したのだ。
痛いなんてものじゃない。
ブチブチと中で音がした。
知らず失禁していた…。
それすらも痛みに掻き消された。
クスクスと笑われている。見れば女性もいるのか……なのに、この仕打ち。
『生娘であることは証明された!』
『連れて行け!』
いきなり立たされて痛みがますなんてものじゃない。
ポタポタと滴り落ちるのは、漏らしてしまったものだけではなく大量の血だ。
かなり出血している。
当たり前だ。
私は10歳の子供だ。
たぶん、見たことはないけど、成人男性のほにゃららの太さ程度はあったはず……の杭をいきなり突き刺されて、裂けないわけがない。
即死しなかったのは、幸いなのか、不幸なのか。
こんなので処女を失わされたというのか?大事にとっておいたわけじゃないけど、こんな怖いことのためにあったわけでもない。
痛い。痛い。いたい。
でも私の中にあるのは『痛くて、怖くて、苦しい』だけだった。
背中を押されて、ど突かれながら歩かされる。
出血がだんだんとひどくなるのもおかまいなしだ。
頭の中は痛いしか考えられない。
痛みと貧血からか、意識を手放しそう。でも、足を止めたらど突かれるだけ。それはさらなる痛みをよぶ。
だから、我慢するしかなかった。涙が滝のように流れる。
無理やり手の中に、手紙のようなものを持たされる。
血を流しながら鉄格子のような門の前に立たされて、指をさされる。
痛みに耐えながら指の先を見ると。
かなり先に門のような入り口が見えた。
たぶん、あそこに行けって言われてる。
この状態で?さらにあそこまで?
この人たちは、人ではない。
鬼か悪魔だ……。私はきっと地獄に落ちてしまったんだ。
手前の鉄格子でできた入り口を開けられ突き飛ばされた。
ダンッと前のめりに倒れた。
痛い痛い痛い。
出血がかなりひどくなった気がする。
体から体温も失われていく。
足が震えて歩きにくい。
頭も朦朧とする。
痛みで股の部分が心臓になったみたい。ズックンズックンと痛みが増していく。
後ろがガシャンッと閉められた。
鬼のような人たちから石を投げつけられて、ここにいるなと言われてるようだった。
指を指され、そこに向かうしかない。歩かなくなると、石が沢山当てられた。
痛い痛い痛い。
これ以上痛いのは嫌だった。
歯を食いしばって、前に歩くしかない。
遥か遠く見える門のような入り口を目指す。
たぶん、指差されたのはそこだから。
足を引きずるように歩き出す。
痛みと寒さで目の前が暗い。
あたりも暗いから余計に見づらい。
フラフラとしながらも少しずつ進むしかない。
アオォォォーン!ウォンウォウォン!
いぬ?
まさか狼?
血の匂いがするから?
声がしたとたん、後ろでニヤついていた男たちは慌てて帰った。石を投げ捨てて。
私は狼の餌?
だからわざと出血させた?
なにも……こんなひどいところでなくてもいいんじゃないかと……。
痛い。
もういいかな?
狼さんの餌なら無駄にはならないからいいかな?
もうダメ……歩けない。
フラッと倒れた瞬間……何か温かいものに包まれたそんな気がした。
痛みと寒さで朦朧となった体はすでに意識はほとんどなく……ただ、食べるなら先に殺してねとか……残さず食べてねとか……無駄なことだけを考えたような気がした。
やがて私は、深い闇に沈んでいったのだった。
目覚めることは、二度とないだろうとおもいながら。
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