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第五章 とうとう?カウントダウンか?
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しおりを挟む憂鬱な気持ちで始まる一週間だ。
「ハル、大丈夫か?なんなら休んでも構わないんだよ?」
「うー。でも、でも心配なんだもん。」
そう、心配なんだ。
あの赤いモヤがなんなのかわからないし。
最悪、みんなを周りに連れてきて『サクチュアリーシールド』かませばよくない?
って、思ってるわけ。
まあ、一応……チートですから?
チートに見えないけどね。
だって、弱い。
ギリギリ、アレ以外は助かってるけどー。
実際にはいろいろ被害にあってるもの……何が…チートよ~!
って感じなんですけどね。
純粋にみたらチートでしょ?
本来魔力が∞だよ?
チート以外ないでしょ?
本来なら俺Tueeeeeeeeできちゃうはずのハノエルなんですよ?
まあ、全てこの小さい体と虚弱体質が台無しにしておりますけども。
あと、めんどくさい気もするからやりません。
ハノエルは、ただ兄たちとゆっくり楽しく邪魔されず暮らしたいのに。
「ハル、なんて良い子なの。」
「大丈夫、私たちが守るからね。」
「うん。兄様と姉様とルイとセシウスがいれば大丈夫だよね!」
それに、マッケンくんたちもいるし。
王子?は、いらんなあ。
レンミリオン?もいらんなあ。
学園に着くとやはりというか、モヤモヤモヤーっとまだしている。
とりあえず、直接害らしい害はないんだけど。
ふと、視線を感じて校舎横に目をやると。
「ふざけないでくださいまし?あなた方のような平民が、ここにいること自体間違いでしてよ?」
「「「そうよ、そうよ!」」」
「そんな汚らしい身なりで、よくいらっしゃれますわね。」
「まったくですわ。」
「さっさと出て行きなさいよ。」
えー?
イベント?
なに?
ヒロインいびりのイベント?
いまさら?
ちなみに、本来、コレをやるはずの姉様は……。
あ、走って行っちゃったー。
「あなた方、何をされていらっしゃるのかしら?」
「「「あ、あ、リオーラ様!」」」
「リオーラ様、あの、これは……。」
「言い訳は、結構ですわ。あなた方がこの子たちに仰っていた言葉もしかと聞きましたわ。」
綺麗な綺麗な凍えるような微笑……。
姉様、怖いです。
一瞬で黙る虐めていた女性たち。
「くっ!」
主犯?格の子の背中から赤いモヤが大量に出始めて、さらに魔力が!
姉様が危ない!
「我、望む、結界!」
勝手に口から言葉が飛び出して、そこの全てを包む。
あれ?
そして……。
「ハル、な……にを?」
どうやら、短縮された詠唱は『サクチュアリーシールド』をよんでしまったみたいです。
ただ、俺は姉を助けようとしたのに、その姉ではなく虐めていた子たちを丸ごと包んでしまったようで、中で少女たちがバタバタバタっと倒れた。
うわぁ!
やっちゃった?
えー。
でも、見ていると(たぶん俺しか見えてない)中でモヤが大量に発生、結界から逃げようとしているのか?結界にまとわりつく。
他からも結界の周りにモヤが集まって、結界を取り囲むんだけど……結界に触れた先から消えていく。
すると周りにいたモヤが逃げるように霧散した。
え?生きてるの?
中のモヤもだんだんと薄くなって、最後には消えてしまった。
そして、結界はキラキラと崩れるように消えて行った。
ハノエルは解いてはいないが、必要なくなったのだろうか?
使っておいてなんなんですが、謎だ。
姉様が庇ったのは、やはりというかサリィで……でもサリィだけじゃなく、後ろには泥をかけられて泣いているあの迷惑少女幸がいたのだった。
あーあーあー、また面倒ごとになりそうな予感。
だって、姉は優しいから。
もちろん、公爵令嬢としての敵に対しての冷酷さはある。
でなければ、公爵令嬢として生きてなんていけない。
だけれども姉は、敵じゃなければ優しいのだ。
使用人たちにも優しいご令嬢として大人気なのだ。
そんな姉が、虐められいた少女。
たとえ、変な子でも……助けないわけがない。
……ずっと避けていたヒロイン候補と悪役(の予定だった)令嬢が完全に遭遇してしまったのだ。
それも……攻略キャラ側として!
本来なら、水を被った主人公がルザベルトに……。
「やあ、カレイド、おはよう。それにハノエルくんも、」
って、きちゃったよ。
というか、俺たちより先に来て助けといてよ!
「ん?一体何が?」
「はあ、にいさま。」
「うん、とりあえずご令嬢たちを医務室に運びましょうか。セシウス、ルザベルト、ルイ、頼むよ。」
「ん?なんだかわからないけど。女性には優しくね。」
四人のご令嬢をハノエル以外の男子四人が揃ったので運びます。ルザベルトも華奢な方だけど、さすがこの世界の男性です、女性くらいは軽いのね。
ちなみにルイくんも少女なら軽いよう。
俺には無理ですねえ。
「クリーン。」
姉が泥だらけの迷惑少女を魔法で綺麗にした。
もちろん、もう一人のこの洋服も泥が付いていたので綺麗にしていた。
二人はクリーンが使えなかった……。
なぜ?
医務室にいく……。
その間、ずっと頭の中からモヤと『サクチュアリーシールド』と主人公たちが離れない。
ちょっと?
いや、またまた話が変わってるよね。
もーやだ。おれ。
本来なら、主人公は一人。
泥ではなく水を被っていて。
本当は水くらいって、緑の君のルザベルトが風魔法であっという間に乾かすんだよね。
……助けたのが(天使な)悪役令嬢だし。
……モヤがモヤッとするし!
も。ほんと、攻略本くださいまし?
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