乙女ゲームにこんな設定いらなくない？BL（受）の声優は乙女ゲームに転生する（泣）

第一章 あれ？腐った呪い？

にじゅうはち

時間は流れ……流れて、薬も入れ続けること（泣）更に2週間。
本当は1週間だったのに。
診察に来たアズリア叔父から更にもう1週間……今度は別の薬だって……なんで座薬？って思うじゃない？胃を通る薬だと薬自体が強いものになっちゃうから、粘膜からの直接吸収だと……云々言われたのですよ（泣）。
あ、でも、オムツ生活は卒業しました（喜）。
とは言ってもね、トイレ介助はされます。……兄にね。
赤ちゃんのようにしーしーされてますよ。わかる？
オムツプレイよりはマシと遠い目で頑張る俺……マジで頑張ってるよね？
傷もだいぶ癒えました。
魔法具みたいなもので、固定された腕とか足とか肋骨とかのチマチマした骨折やらヒビやらは、完治だそうです。これは魔法！って思えたのは、完治すると外れる魔法具が外れた時、ほら、固定されたギブスを外すともう片方より細くなったり、痒くなったり……あるじゃない？
それが全くない。
まあ、落ちる筋肉もないんじゃない？って、言われたらそれまでなんですがね。
でも、リハビリなしで自由に動くのは魔法でしょ？
固まった筋肉や関節を動かすってゆー意味でのリハビリはいらないみたい。
ただ、体力的にはもうこれ以上は落ちないだろうというとこまで落ちてますんで、ふらつくふらつく。
結果……一人で歩くのは禁止。
なら、車椅子！っておもうじゃないですか！
座って体を支えられないから無理ですって！……それは魔法でなんとかなんないのかーい。
もし、抱っこがいやならベビーチェアーだけどと言われました。
いわゆるベビーカー的にもなる。
ただ、もちろんだけど、車椅子と違い自力で動くことはできません。
つまり、同様の羞恥がまっているわけで。
なら、ベビー専用のものを使うより……兄か父の抱っこ移動and膝抱っこに耐える方がマシだと思いました。
基本は兄なのですが、たまに父です。
母だと柔らかい大きなお胸のせいで、うまく安定できないのさ。
姉は体が小さいので、普段の俺ならともかくデカイ人形のような俺を安定させるのは、やはり難しいのです。
父にはどーしても最初だけ体がびくつくの……精神的な後遺症だとか。まあ、父以外の男性はびくつくだけにとどまらない、震えが止まらなくなり……最後には吐いて昏倒するのです。
あ、セバスだけは父と同じくらいです。
で、全く症状ナッシングは、兄一人なんですよ。
ねー、やっぱり擦り込みかなあ。
兄がいれば大丈夫的な。
あとは、俺からすると声と纏う雰囲気が憧れの人にそっくりだからかもね。こんなに甘々にはならないけども。
あとは、たぶん魔力の相性的なものもあるのかもしれない。
なので、10歳の兄には申し訳ないがほぼ俺の世話係になってしまっている。
お風呂も寝るのも一緒。トイレはクリーンしてるみたい（俺にもクリーンでしてほしい……体力がない体が恨めしい）です。
ほぼ24時間ずっと一緒に近い。
手を離すとパニクルことがあるため、勉強するときも手を繋いでいるんだよね。
起きてれば大丈夫だけど、寝てる時はだめらしい。だから、剣とかの練習時は母か父が必ず抱きしめているという。それくらいしないと、発作のように不安定になるみたい。
なんでかね？
俺的には安定してるんだけど、いきなり恐怖に負けるっつーの？自分で、自分がコントロールできないんだよ……。
うーん、考えられるのはカエル爆破事件に自分を置き換えちゃったり、過去のトラウマみたいに恐怖に固まったせいかな。……戦士でヒーローな妹がいない代わりに、兄様がその立場になったのかもね。
『にーちゃんはしょうがないなあ。大丈夫！にーちゃんは、あたしが守ったげるからっ！』
って言われるような駄目な兄貴だったもんなあ……。
まあ、何がいいたいかというと……妹に守られるような俺なんで、ハノエルみたいな目にあったら、恐怖的にトラウマ化しても仕方ないだろう！ということ。
だから、恥ずいけど落ち込まないのだ！
開き直るんだ。
だって、兄様は強いから！
だって、父様は強いから！
だって、母様は強いから！
だって、姉様は強いから！
だって、妹は最強だから！
だから、弱っちい俺ハノエルは、素直に守られていようと思う。






毎日、お尻に薬を入れられた日々よ……さらば！
ようやくお薬のない生活に……完全にはなっていませんが、座薬とはおさらばできました。
でもね？
無理をする俺にアズリア叔父が一言……『ハル、もし少しでも無理したら、お薬を全部座薬に変えるからね？』……うん、俺絶対に無理しないよ！もうね、動きたいの我慢するよ！
顎もようやく大丈夫なんで、初お粥だよ！
自分で噛み噛みして飲み込む幸せよー。
え？今まで？前にさらりと触れたじゃないですか。
もう一度なんて言いたくないからね？……もちろん、口移しのままだったに決まってんでしょーが！
……しょうがないじゃん。
一口されたらもう魔力が気持ちよくて……もっとになるんだもん！
まあ、胃袋の限界が早いのが救いかなあ………遠い目。



今日は日差しが暖かいからと兄様がサロンに連れてきてくれた。
うん、ポカポカだー。
1日の大半を眠っている（どうも治癒するために眠るみたいです）ので、日々が過ぎるの早いんだよね……。
ただ、指折り数えてないので……だんだん何日かははっきりしなくなってしまった。
ヴァンが優しく俺の手にすり寄る。
ちなみに、男がだめだと言っても猫はオスでも大丈夫だよ？

ん？扉のところが少し騒がしくなった。

「ハノエルに会わせていただけませんか？」
「だーかーらー！無理だってば。私だって治療にカレイドちゃんがいないと駄目なんだよ？」
「ですが、アズリア医師。私は愚弟のことを謝りたい。」
「ですが、ハノエル坊っちゃまは未だにご家族以外の方を受け付けません。どうか、お部屋にお戻りを。」
「だが、私は明日には王都に出発する。故に今しかないのだ。」
「お言付けでしたら、受けさせていただきますので。」

あーあの声は、クリストファーか。
んー、別に謝罪はいらんよ。
ディンゲルをなんとかしてくれたら。
もう、王子でもね？
世のため人のためには、世間に出しちゃいけないと思うよ？

「せめて、ハノエルに聞いてもらうことはできないだろうか？
だめだと言っているのは君たちであってハノエルではないのだろう？」

まあ、確かに。
でもね？王子。それだけ周りが神経質になってるってことの意味わかってる？
俺は5歳で死にかけたわけ……。
ちなみに日本でもし入院してたらさ、家族以外には会う権利ないんだよね。
厳し目のとこだと15歳未満の子は入室禁止だったりもするよー。それくらい、小さな子はデリケートで病気をもらいやすいんだぞって感じ。

まあ、わからないよねー？だって王子だって9歳のお子様だもんね。
兄がぽそっと漏らしたのは、このやりとりすでに何度もあったみたい。
……王子しつこいんだね。
はあ……声が同じだと似るのかねえ、しつこいとこ。

「だからっ！無理だって言ってんだろうが！ディンゲルの兄弟ってだけで、ハノエルがどんな発作を起こすかわからないって！なんでわかんねんだよ！
てめーの弟の手綱も取れねー奴が、何を謝るってんだ！」

あ、アズリア叔父が切れた？