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第三章 え?本当?迷惑少女は突然に?

ハチジュウイチ

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ご機嫌でお出迎えです。
当たり前ですよね。

「いらっしゃーい。」
「いらっしゃいませ。」
「よくきたな!ルンバ。」
「お招きにあずかりまして。これは、母から。」
「ありがとう。遠慮なくいただくよ。セバス。」
「かしこまりました。」

たぶん、受け取ったのはお菓子かな?セバスが後でお茶と持ってくるだろう。

「マッケンくん、久しぶり。」
「うん、久しぶり。ハルは体調大丈夫なのか?」
「うん。大丈夫だよ。」
「そっかあ、よかった。」

にへっと笑うマッケンに、マジで癒されるんだけど。

「みゃーん。」
「わ、猫だ!可愛いな。ハルのか?」
「うん。この子はヴァルって言うの。」
「へー。綺麗な子だな!」
「みゃあん。」
「ありがとうって。」

なかなか会えないのは、もちろんマッケンの予定もあったけど、俺が体が弱いからってのもある。
まあ、何だ。
兄とのやらで寝込んだ時に、連絡があったりだしたのも理由だ。
何というか、タイミングがねえ。
なかなか合わなかったわけですよ……。

まあ、そーゆーわけで入学式から今日この日に、ようやく会えたわけなんです。
だから、テンション高いのです。

「マッケンくんは大丈夫だった?」
「何が?」
「だって、僕を庇って。」

陛下に殴られた。吹っ飛んだのを見たんだ。頬も真っ赤に腫れていた。
心配したんだけど。

「そんなの忘れちゃったよ。」
「痛かったでしょう?」
「んー、あれくらいなんてことないよ。」

おっとこまえー!

「さすが、男の子ですわね?」

ふふと笑った姉を見て、真っ赤になるマッケン。
え?
もしかしてもしかする?

「ほら、お客様をいつまでここに立たせたままにするんだい?
今日は誰がホスト?」
「あっ、失礼しましたわ。
ようこそ、おいでくださいました。
ゴールネイ公爵御子息様方。
わたくし、リオーラ・アドレイド、お二方を歓迎いたしますわ。ぜひ、当家の料理長自慢の料理を堪能してくださいませ。」

姉が優雅にカーテシーを決めた。
うん、素敵です。姉様。

「本日はお招きにいただきまして、ありがとうございます。
ゴールネイ公爵が長男ルンバルス・ゴールネイです。」
「弟のマッケンシー・ゴールネイです。今日はありがとうございます。」

うん、爽やかイケメンだよね。ルンバさん。
ルンバさんは兄との交流を深めに深めて、親友になったらしい。
成績は、兄の次席らしいよ?
流石だよね!


ということで、皆でサロンに移動です。
少ししたら昼ごはんをみんなで食べます。
ディナーじゃないのは、大人じゃないからだよ。
子供の集まりは昼って、決まりがあるらしい。
それも軽食をつまみながらのお茶会?ってやつ。
出てくるのは、サンドウィッチやスコーン、パンケーキやミートパイなどなど。しょっぱいものから甘いものまでの、軽めのもの。
とは言ってもハノエルには十分重いんだけども。
ケーキ類やババロアとかもあるから、比較的軽いものを食べる予定。

でね?
ゴールネイ公爵夫人が持たせてくれたのは、夫人のお手製のアップルパイなんだって。
姉や母は作るけど、貴族の奥様がお菓子作りって珍しいって聞いたんだけどな。
それをセバスが切り分けて、持ってきてくれた。
なら、食べるしかないよね!
だって、アップルパイ大好きですし。

よくさー、昔妹と食べたんだよねー。でも、ケーキ屋のアップルパイって、わりと高いじゃない?
だから、ヤマ◯キのアップルパイを買って、オーブントースターでアルミホイルに巻いて焼いてアチアチにして、それにバニラのアイスクリームを落として食べると最高!って、食べたんだよねー。
安いし。
でも、イタ◯アント◯トのケーキもよく食べた。一個ワンコイン以上だったけど。
妹とよくゲームとかクイズとかで賭けして負けて奢らされたなあ……。

閑話休題って話は置いておいて

パクリと一口。

「んっまぁーい!」
「ハル、お行儀悪い。」
「う、申し訳ありません。」

つい、つい、自が出ちゃったよ。
だって、美味いんだもん!
魔法で焼き立てになってて、外はサクサクで中はしっとり、りんごのコンポートは甘すぎず程よい酸味でパイとあっていて……ジュワッとジューシー。
マジで、夫人のお手製?
これ、店で高値で売れまっせ、奥さん?
ってくらい美味しい!
つい、夢中になって食べてしまい………おわっちゃった。
つい、悲しみを込めて空になったお皿を見つめてしまう。

「ふはっ、そんなに美味しかったのか?ハル。んじゃ、お、私のもあげるよ。」
「え?いいよ。マッケンくん食べなよ。」
「お、私はうちに帰れば嫌ってほど、食べれるから……。」
「へぇ、珍しいな。マック。」

クスクス、笑いながらルンバさんが言った。

「何が珍しいんだ?」

兄がそれを聞き返す。

でも、お兄さんはマッケンをマックと呼ぶんだね。不思議な愛称って思うのは感覚が日本人だからかねえ。

でも何が珍しいの?

「いや、好物を人にあげるのが「兄上っ!」……すまん。」
「でも、マッケンくんは前もお菓子をくださいました。それに綺麗なガラス玉ビー玉も。
僕の大切な宝物です。」

兄がくれた綺麗な箱に大事にしまってある。
ふ菓子だって、おっきい方くれたし。

「へぇ。マックがね。母上が言ったとおりなんだなあ。」
「兄上!……違うぞ、俺は本当にいつでも食べれるし、そ、それに、痩せないと、だ。」

真っ赤になって否定しなくても。

「ほらっ!」

とぐいっと俺にアップルパイの皿を押し付けて、プイッと窓を見てしまう。
う、可愛いやつ。

「に、兄様。」
「ふふ、よければ食べてください。」
「……いいの?」
「男に二言はないっ!」

マッケン……マジでいい奴!

「ハル、せっかくだから頂なさい。」
「はい。ありがとう、マッケンくん。」
「おう。」

うわーい。
やっぱりうまーい。
うまうまとニコニコが一緒になった顔で、今度はゆっくりと堪能させてもらった。

「可愛いですね。」
「かわい……だな。」
「可愛いだろう?」
「も、可愛いわ。」

幸せにアップルパイに浸る俺に、皆んなの視線が集まっていたことに、脳内パラダイスの俺は全く気がつかず……気がついた時は、ものすごーく恥ずかしくて……真っ赤になって顔を隠していやんいやんしちゃいました。


「「……鼻血でそう。」」

そんな言葉が聞こえましたが。

だれ?



まあ、そんな恥ずかしめ事件もありましたが。
兄の学園での話を聞いたり、マッケンくんの兄自慢を聞いたりした。
ちょっと恥ずかしかったのは、兄と初めてイタシタ次の日の話。
兄が一日中、ニヤニヤしていたんだって。
ただすごいのが、『心ここにあらず』って感じなのに、授業で指されでもキッチリ正解を答えていたんだとか。

後日兄に聞いたら、まったく幸せで覚えてなかったそうです。
恐るべし、兄様の頭脳!
流石、天才ハノエルくんのお兄様ですなっ!



兄はルンバルスと姉と俺はマッケンシーと友好をものすごく深めることができた、半期休み直前の優雅なひとときだったことは言うまでもない。

ただ、これが嵐の前の静けさだって知るのは、嵐が来たあとだったりするもんです。





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