61 / 178
第二章 あれれ?王都でドキ?はやすぎない?
ロクジュウイチ
しおりを挟むにこやかに始まる?パーティー。
俺的には豪華な場所で豪華に見える料理の立食パーティーにしか思えない。
これが社交界というものか?
まあ、煌びやかだけどね。
「何か食べるか?」
「う…ん。」
料理は全て給仕の者がサーブしてくれるとこが王宮なのかな?
いや、結婚式とかの立食はサーブしてくれたりするよね?たしか。
暗殺の人が紛れやすくもあるけど。
怖いですねえ、恐怖ですねえ。
でも、大丈夫!
ほら、料理人にいろいろ混ぜられたから……『鑑定』ってできないかな?って思ったわけ?
まあ、ゲーム好きな転生者なら一度は試してみる魔法だと思う。
したら、できたわけですよ。
さすが、天才ハノエルだよねー(わーわーパチパチパチパチ)。
ほら、きっとハノエルは使えたかもしれないたくさんの魔法をセーブしていたじゃない?暴走したくなくてね。
でも、俺は頑張って暴走させずにハノエルの心の力と一緒にコントロールすることができたわけ。
なら、するでしょう?
なにせ、魔法に関しちゃ伯母様のお墨付きなんだもん。
家族の身を守れる力だもんね~。
だから、食べる前にちゃんと鑑定します。
だって、毒も嫌だけど媚薬はもっと嫌なんだよ。
でもさ、わからないじゃない?
なにせ変態ホイホイだからさ。
入ってたらどうすんのって。
うちの料理長以外の料理は何が入るかわからないもんよ。
もちろん、作った人ばかりじゃなく給仕の人だってわからないでしょ?
どんな人間かなんてさ。
「兄様、アレが食べてみたいです。」
「わかった。きみ、それをいただけるか?」
「かしこまりました。」
俺が選んだのは小さな花のクリームが乗ったプチケーキをとってもらう。
アレと指したケーキは、白い生クリームの上に藤色の花をあしらったもの。
なのに、お皿には色とりどりの五種類の花のケーキ。
……一個で十分なんだけども……。なのに、なぜ全種類乗せますか?
もしかして五種類で1セットかと思ったけど、他の子は指を指したものだけだ。
解せぬ。
「大丈夫。ハル。一緒に食べましょう?」
「…姉様。」
鑑定すると大丈夫なケーキだったけど、量が多すぎるよ。
お皿を見つめて固まる俺に、姉様が声をかけてくれて、何も乗ってないお皿を持ってきてくれた。
「兄様、あちらに椅子があるわ。」
「そうか、移動しよう。」
「私たちは、少し知人に挨拶をしてくるよ。セシウス、セバス、ルイ。子供達を頼むよ。特にハノエルには人をあまり近づけないように頼む。」
「「かしこまりました。」」
「御意。」
父は母を伴い離れていった。
社交の場でいろんな情報が飛び交うからね。
挨拶という名の偵察だよね。いわゆる表の情報収集ってやつです。
壁際にある椅子にそのまま膝抱っこで座られた。
まあ、いいけど。
一番安心できるし。
姉が俺が食べたいケーキを空皿に入れて、お皿を交換してくれる。
つまり残りは姉が食べてくれるみたいです。優しい!
ちなみに、俺のお皿は兄が持っていますけどね。
フォークを手に取り、小さなケーキをさらに小さく切って口に入れた。
………あまぁー。
すごい、甘すぎた……。
「……甘すぎるわね。」
「はい。」
確か、砂糖は高級品らしい。
だから、それをふんだんに使うケーキは、貴族以外が口にすることはあまりない(うちは、メイドにも菓子やケーキを配りますがね)。
でもさ、こんなに甘くしたら……ケーキが台無しだよね。
「うちの料理長のケーキの方が美味しいわね。」
「はい……。」
どうしよう、一口でもういっぱいなんだけど。甘すぎて無理だー。
俺の顔でいろいろ悟ってくれた兄が、フォークを俺から受け取りパクリと残りを食べてくれた。普通は一口大のケーキなわけだよね。
でも、ハノエルの口は小さすぎるのだよね。春樹だったら一口でいけるんだが。
「確かにあまり上手くないな。ただ、甘いだけだ。」
「本当に。」
姉はパクパクと甘いケーキを全て食べてしまった。
さすがです。
「口直しに何が持ってくるわね?」
「セバス、リオーラについていってくれ。」
「かしこまりました。」
姉は、セバスと食べ物を見に行った。
ルイくんが俺に水をくれる。
「ありがとう。んくっ、はあ、さっぱりした。」
水に少しだけレモンの果汁が垂らされているらしく、口の中がさっぱりした。
なんだろう、砂糖たっぷりなんだけどもさらにこってりなんだよね。
生クリームに油でも入れてるの?ってくらい。バターか?バタークリームの砂糖ましましバージョンなのかもしれない。
たぶん、一個食べたら俺は吐くレベルの油っこさでした。
たまにはさっぱりとしたものがたべたいなあ。
この世界の食事は米もあるけど、基本は洋食なんだよね。
箸を使う文化は今のところ見たことがないです。本にもなかったなあ。
あれ?
確か……箸にまつわるイベントがあった気がする。ほら一応前世をヒロインが思い出すと日本の女性だって話だからさ。
……あのヒロインのことまで思い出してしまったよ。
しっかし、マジでアレがヒロイン?
絶対に男たちなびかなくない?
というか、アレが好きって言われても……『頭、大丈夫?』としか言えないよね。
姉様が持ってきたミモザサラダやスパゲティは……お世辞にもあまり美味しくなかったです。
一言言わせていただけば、コンビニのが美味いです。
「やあ、こんにちは。久しぶりだね。ハノエル。」
げっ、この声は……。
会いたくないけど、会わないわけないよね……だって第一王子だもん。
「クリストファー殿下、ご機嫌よう。」
「ああ、カレイド。でも、私はハノエルに挨拶しているんだ。」
「あら、私には挨拶はないんですの?ハルはまだデビュー前。いわば、兄様のものとしてきていますのよ?まずは私や兄様がお相手になりますわ。」
姉様がずっと前にでて、俺を隠してくれた。
ホッと息を吐く。
クリストファーに恨みはそんなないんだけど、苅野先輩の声のせいでつい、身構えてしまう。
「クリストファー殿下、僕にも紹介していただきたいな。その可愛らしい方々を。」
「ルザベルト……。」
「おや、カレイド様じゃないですか。え?じゃあ、この子が例の?」
例のって何さ。
……ルザベルト?
えー、もしかしてさー。緑の君のルーザ?いやだわ、いやだわ、いやだわ!
またまた、攻略対象じゃないか!
緑の君は、賢也先輩が担当していたはず。
今回、初めて絡んだ先輩なんだよね……。おんなじBL受の声役が多いのに今回は、乙女ゲームの攻略キャラ!羨ましい通り越して妬ましいんじゃ!
っと……いけないいけない、つい本音が。
この頃は攻め役も多いんだって、聞いた。可愛らしい男の子がかっこよくていかにも攻めの男を……って話でね。俺にはそんな話はこなかった……いや、BL自体辞退したい(駄洒落じゃい)。
緑の君は、一応可愛いカッコイイってキャラだったと思う。風魔法が得意で……エッチの時だけ俺様に変わるってタイプ。
……うん、関わりたくないね。
というか、攻略キャラってこんなに会うの?
しかし、会うの早くない?
13
お気に入りに追加
1,420
あなたにおすすめの小説
うさぎの雄嫁さん
志野まつこ
BL
十二支は一年の「お勤め」のご褒美に神様に一つだけ願い事を叶えてもらえます。
昨年の寅は酒池肉林を願いましたが、今年の卯(うさぎ)は何をお願いするのでしょうか。
華奢かわいいウサギ×やんちゃなワイルドイケメン寅の獣人モノ。うさぎ君がせっせとおセッセする年明け早々エロしかない話。
他サイトでも公開しています。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 4巻発売中☆ コミカライズ連載中、2024/08/23よりコミックシーモアにて先行販売開始】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロが苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!
紫蘇
BL
タイトル先行型。
今度こそコメディ路線にしたい。
妙に貞操観念がゆるいR18のBLゲーに転生してしまった当馬譲(とうまゆずる)。
そのゲームとは、スーパー攻様が無双する学園物で、魔法やら剣やらのお決まりの設定にやたらとエロが絡むとんでもない内容で…。
スーパー攻様(王子様)が気になっている男の子にまとわりつき、あの子を落としたいと思わせるためだけに存在する「当て馬君」に転生してしまった譲は、インターネットで見ただけのゲームの知識と前世の知識で、どこまで戦えるのか!?
当て馬君の未来はどっちだ!?
ドS王子✕幼馴染み
※主人公カップル以外の描写もあり
安易に異世界を選んだ結果、食われました。
野鳥
BL
気がつけば白い空間。目の前には金髪碧眼の美形が座っており、役所のような空間が広がっていた。
どうやら俺は死んだようだ。
天国に行きますか?地獄に行きますか?それとも異世界転生しますか?
俺は異世界に転生してみることにした。
そこは男女比が9対1の世界であった。
幼なじみ2人の美形男子に迫られる毎日。
流されるままに溺愛される主人公。
安易に異世界を選んだ俺は性的に即行食われました…。
※不定期投稿です。気が向いたら投稿する形なので、話のストックはないです。
山もオチもないエロを書きたいだけのお話です。ただただ溺愛されるだけの主人公をお楽しみください。
※すみませんまだ人物紹介上げる気無かったのに間違って投稿してました(笑)
たいした情報無かったですが下げましたー( 人˘ω˘ )ごめんなさい
【完結】何度時(とき)が戻っても、私を殺し続けた家族へ贈る言葉「みんな死んでください」
リオール
恋愛
「リリア、お前は要らない子だ」
「リリア、可愛いミリスの為に死んでくれ」
「リリア、お前が死んでも誰も悲しまないさ」
リリア
リリア
リリア
何度も名前を呼ばれた。
何度呼ばれても、けして目が合うことは無かった。
何度話しかけられても、彼らが見つめる視線の先はただ一人。
血の繋がらない、義理の妹ミリス。
父も母も兄も弟も。
誰も彼もが彼女を愛した。
実の娘である、妹である私ではなく。
真っ赤な他人のミリスを。
そして私は彼女の身代わりに死ぬのだ。
何度も何度も何度だって。苦しめられて殺されて。
そして、何度死んでも過去に戻る。繰り返される苦しみ、死の恐怖。私はけしてそこから逃れられない。
だけど、もういい、と思うの。
どうせ繰り返すならば、同じように生きなくて良いと思うの。
どうして貴方達だけ好き勝手生きてるの? どうして幸せになることが許されるの?
そんなこと、許さない。私が許さない。
もう何度目か数える事もしなかった時間の戻りを経て──私はようやく家族に告げる事が出来た。
最初で最後の贈り物。私から贈る、大切な言葉。
「お父様、お母様、兄弟にミリス」
みんなみんな
「死んでください」
どうぞ受け取ってくださいませ。
※ダークシリアス基本に途中明るかったりもします
※他サイトにも掲載してます
死に役はごめんなので好きにさせてもらいます
橋本彩里(Ayari)
恋愛
フェリシアは幼馴染で婚約者のデュークのことが好きで健気に尽くしてきた。
前世の記憶が蘇り、物語冒頭で死ぬ役目の主人公たちのただの盛り上げ要員であると知ったフェリシアは、死んでたまるかと物語のヒーロー枠であるデュークへの恋心を捨てることを決意する。
愛を返されない、いつか違う人とくっつく予定の婚約者なんてごめんだ。しかも自分は死に役。
フェリシアはデューク中心の生活をやめ、なんなら婚約破棄を目指して自分のために好きなことをしようと決める。
どうせ何をしていても気にしないだろうとデュークと距離を置こうとするが……
まったりいきます。5万~10万文字予定。
お付き合いいただけたら幸いです。
たくさんのいいね、エール、感想、誤字報告をありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる