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復帰した俺に不穏な影

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 急に大人しくなった保護者達。何を考えているのやら…。無事に任務には行けそうではあるので、まぁいいかと考えていたのだが…ハクアが上機嫌に鼻歌を奏でているのが気になる。この状態のハクアは悪い事を考えていることが多い。

 たびたび俺を虐めて遊んでいる時と似た感じなので、悪い事が起きなきゃいいけどなぁと思う。これに関しては俺にだけ悪い事なので他人に被害はないので悪しからず。

 タサファンと話し合いを終え、任務に向かう日になると保護者達はニコニコしながら見送りしにきた。なんだ、気味悪いな…。



 「初めて我らと離れるとなると不安であろう?」
 「いやお前らと会う前までは一人で任務受けてたし…。」
 「これをアルディウスに贈ろう!身につけると良いぞ!ワハハハ!!」
 「人の話を聞きなさいハクア。」



 見送りの場でハクアにかなり無理矢理な形で両手首に金ベースの腕輪を付けられた。重さは感じず、違和感もないので付けている分には問題ないが……怪しい。

 コクヨウも無言で俺の耳に黒い石のついたピアスを付けた。ピアス穴なんて無いのに、カチリと耳についた感覚があって驚く。なんで付いたし…。

 コハクはコハクで、コハクだと思って大事にしてね~?なんて言って白い花が入った小さなペンダントを俺につけた。コハクだと思ってなら多少乱暴にしても問題ないな、うん。



 「………ってか、取れない!」
 「取る必要はないぞ?我らの加護を掛けた宝具じゃ。大事にせい。」
 「派手なんだよ!俺の地味な顔には似合わないんじゃないか?」
 「よう似合っておるわい。……ほら、時間になる。任務に遅れるぞ?」
 「やべっ!じゃあ行ってくるから!大人しく留守番頼むな!」
 「いってらっしゃ~い、アル様頑張ってね~!」
 「気をつけて行って来い。」



 ………なんか妙に潔いな。怪しく思いつつも、確かにタサファンとの待ち合わせの時間になりそうなので急いで家を出る。大人しくしてくれる分には何も問題ないので、不安は残りつつも俺は任務に向かう事にした。

 そんな俺の後ろ姿をハクアは悪い顔をしてニヤニヤ笑って見送っていることにも気づかず……満足げにしているコクヨウとコハクの違和感にも気づかず……付けられた宝具とやらがとんでも無い物だと知りもせず俺は走り出す。



 「よしよし、アルディウスはいつも純粋よなぁ!疑いもせずに行ってしもうたな。」
 「だから俺は心配なんだよ…まぁ、あれが付いてる限りは大丈夫か。さてアルが帰ってきたときの為に部屋を整えておくか。」
 「ほんっとアル様ってば可愛いんだから~!コハクがあげた首飾りが一番似合ってたよね~?」
 「何を言う、我の腕輪こそアルディウスの美貌によう似合っていたではないか!」
 「ハクアのは派手過ぎる。慎ましさこそ美しさを引き出す、俺のピアスが一番だろう?」
 「可愛いアル様にはやっぱ可憐なのが一番似合うも~ん!」
 「コハクのは可愛すぎるだろう。アルは男だぞ?」
 「アルディウスもいい男になったし少し派手でも良いであろう。な?」
 「目立つとアル様の魅力に気づかれちゃうよ~?ただでさえ変なのくっつきやすいのに~。」
 「それは困る。アルが可愛いのもバレてもいいのかコハク?」
 「ダメーッ!」



 
 
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