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エルフで菜食主義だったら駄目なのかよ

先輩の訪問・先輩の頼み添え

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何やかんやでセバスさんとヒュドラさんがやって来た。

ヒュドラさんはそれなりにおめかしをしているのにセバスさんはいつもの執事服なんだが……これは触れちゃいけない所なんだろうな。

まあ、趣味で執事をやってるらしいし……あの服装もその一環という奴なんだろう。

「トゥール様から話をされていると思いますが、3日ほどお世話になります」

「ああ、好きなだけ寛いでってくれ」

で、ヒュドラさんが早速可愛い妹と組手をしているんだが……新婚旅行はいいのか?

そりゃトゥール様の眷属なセバスさんの奥さんならこの世界の大半は見て回った後なんだろうけど。

「今の妻は空手が趣味の様な物ですから、イチゴさんとの組手も目的なのですよ」

成程な、まあ可愛い妹が怪我さえしなければ構わんけど。

とりあえず俺は……セバスさん達の部屋に案内しつつ夕飯の準備をするか。

とはいえヒュドラさんが居るなら必ずBLTサンドを作らねばならんし、来るのは前もって解ってたから時間の掛かるビーフシチューも仕込めたしで手間はない。

後から温め直しつつ出せば済む。

「そうでした、実は今回ここに来るに当たって自分にも目的がありましてね……ウメオさんやデストさんの使っているバーベキューコンロと同じ物が欲しいのです」

まさかのセバスさんもバーベキューコンロをご所望か。

別に作るのは構わんけど今は魔鉄の在庫がないんだよなぁ。

とはいえセバスさんの腕は申し分ないし、ピットマスターが増えるのは良い事だから何とかしたい。

「材料は明日、自分が用意して来ますのでお願い出来ますか?」

「それなら大丈夫だ、問題ない」

片道3日は掛かる距離もセバスさんなら一瞬だし、加工と組み立ても俺の技能ですぐに出来る。

問題があるとすれば魔鉄を仕入れる資金と例のキノコが嫌いらしいクラゲとかいう野菜狂信者だが、可愛い妹にクティやヒュドラさんが居るなら大丈夫だろ。

そもそも奴にセバスさんを狙う理由もないだろうし、危険なのは俺だけか。

「トゥール様からその話も伺っています、帰りにキノコも仕入れておきますのでいつかの焼き牡蠣もお願いしますよ……資金は自分の私財から出しますので」

「焼き牡蠣だな、解った」

セバスさんが全額出すなら尚更断る理由はない、なら明日は朝からタルタルソースを大量に作っておこう。

それとポン酢も必要になるが……これは直前の方がいいか。

特にポン酢はタコパでも使いたいし、後でレモンを大量に用意しておかねば。

「ふぅ、イチゴさんは思ったよりも腕を上げていましたね」

「いや、私ボロボロなんだけど……皮肉?」

「いえいえ、ちゃんと褒めてますよ……無事に3つの属性を習得した様ですし、私に光を使わせましたからね」

まあ、セバスさんの奥さんとあればそりゃ強いよな。

可愛い妹もこの世界に来て格段に腕を上げた筈なんだが。

「ちょっと気になったんだけど、モモちゃんとクティさんも3つ目の威力がやけに高いのは何で?」

「それはですね……キュアさんなら鋼、クティさんなら水、そして私なら光に【耐性無効】という効果があるからですよ」

耐性無効……字面的に防御を無視する様な効果があるのか?

本当に可愛い妹の友達の人間離れが進んでやしないか?

「とはいえ魔拳が使えれば誰にでも付与される訳じゃないんですよ……現に魔拳を生み出したデュロックさんや、ちょっと特殊な覚え方をしたナクアちゃんにはありませんし」

「ナクアさんも魔拳を使えたんだ……今度やってみようかな?」

「止めておいた方がいいですわよ、ナクアは手加減が出来ませんし……キュアさんとわたくしの二人を同時に相手して勝つ程の実力者ですから」

そういや桃花もそんな事を言ってたな……

あの精神年齢がキャリと大差なさそうな性格で本当に強いのかは疑問だが。

「所でクティさん、イチゴさんの炎……もしかして」

「確実に耐性無効付きですわね、あの我が道を往くキュアさんが友達と認めているなら可能性が高いと思ってはいましたけど」

「私にもあるのは解ったけど……モモちゃんってそっちの世界じゃどんな扱いなの?」

「「……ただの狂信者(プリースト)?」」

怖いから触れないけど、本当に何があってそうなった?



「このビーフシチュー、あの世界の物より深みがありますね……BLTサンドにもよく合いますし」

「おそらく下地にトゥール様のソース、それとトマトソースかケチャップも入っている様ですね」

流石はセバスさんだな……確かに下地のドビソースはトゥール様のソースとケチャップを使っている。

だがヒュドラさんよ、一緒に出しておいて言うのもアレだがBLTサンドはそうやって食う物じゃないぞ。

「あ、もしかしてウメオさんならキュアさんが海辺に行く度に女神様方に捧げている……あのタマゴヤキとかいう球体の料理を作れたりしますか?」

「球体の玉子焼き……明石焼きか?作れなくはないけどここでは無理だ」

これを言うと必ずキレる奴が出てくるんだが……たこ焼きにタコを使う必要はないが、明石焼きにはタコが欠かせない。

そして肝心のタコはペスカタにしかないし、何よりタープはタコにトラウマがあるからな。

まあタコを使わない近い物なら明日辺りにやる予定だが。

「お兄ちゃん、明日は明石焼きみたいに卵を多めに用意しておこうか?」

「そうだな、頼む」

確実にマリアの機嫌が悪くなるがヒュドラさんがご所望だからな……許してくれよ。

「大丈夫、スモークチキンやオリハルコンの剣で予想以上の収入があったし、今回は目を瞑る……それにウメオのタコヤキも食べたいから」

……良かった。
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