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(野菜狂信者は)何とか肉食できんのか?
羊の解体・ラムチョップソテー添え
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フレンチマスタード作りで一悶着あったが、ローズマリーも用意してようやく着いたぞ。
今回は一泊のみの強行軍だが、出産を終えて落ち着いたら二泊はしたい所だ。
それにたまにはレクタさんを連れて温泉にも行きたいが、温泉ならペスカタだろうな。
「おー、久しぶりっすねぇウメオっち!マレスっちにキャリちゃんも久しぶりっす!」
「相変わらず馴れ馴れしく呼ぶなお前は……別に構わんが、まず羊を見せて貰えるか?」
「りょーかいっす!前街長からも【美味い物なら積極的に取り入れろ】って言われてるし、ウメオっちの料理は美味しいから期待してるっすよ!」
レシピは俺が考えた訳じゃないけどな……
だが羊肉が美味いのは間違いないから期待していろ。
「そういやアンカーはどうした?」
「前街長なら既に領主の所へ向かったっす!」
つまり引き継ぎは完全に終わった、と。
……一抹の不安を感じるのは俺だけだろうか?
「とりあえずウメオっちが言ってた、歯が生え変わったばかりの羊を何頭か集めといたっすけど」
ほう、流石は肉食文化のカーニズ……肥り過ぎずかつ適度な脂肪を蓄えたいい羊だ。
羊肉はラムとマトンという呼び方がありラムは生後一年未満、マトンはそれ以上を指す。
味はマトンの方が濃厚だが独特な臭みも出てくる。
なので羊の味を教えるならば最初はラムの方がいいだろう。
俺はマトンも好きだけどな。
「……よし、こいつとこいつが食べ頃だな」
「ほー、どっちも性格が荒くて去勢した奴っすけど……お肉はメスの方が美味しくないっすか?」
「牛や豚ならその通りだが、羊はどっちでも美味いんだ」
まあ味に差はないけどマトンと同様に臭みの有無がある。
それも去勢してあれば出ないし、何ならじっくりと脂を落としながら焼けば消える。
「そしたら解体だが、手順や取れる部位は牛や豚と変わらんから任せるけどロースだけは骨を付けたままにしてくれ」
「解ったっす!」
その間に可愛い妹や嫁達への土産を見繕っておこう。
特にこの前の物々交換でありったけ飲まれたラズベリーワインはたっぷり補充しておかねば。
買ってもすぐには飲めんが。
「そういえば師匠、イチゴちゃんからラズベリーをジャムにして持ち帰って欲しいとお願いされたんですけど」
「ああ、何故かここでしか売ってないからなぁ……作り方は解るなら任せる」
「解りました!」
「キャリも手伝う!」
最近キャリはよく可愛い妹と一緒にお菓子を作ろうとしてるからなぁ……
個人的に肉料理を覚えて欲しい所だが、まあ娘のやりたい様にやらせてやるのが親の務めって奴だろう。
この世界なら学歴なんて必要ないし。
よし、土産選びが終わった所で始めるか。
今回使うのは羊の骨付きロース肉、通称ラムチョップをフライパンで焼く。
個人的に牛ならランプ肉、豚ならヒレ肉が一番美味いと思うが羊ならやはりこの部位だろう。
「ンナー……」
「ヒャー……」
お前等……キャリの側に居なくていいのか?
別に見るのは構わんが。
気を取り直して、フライパンにオリーブオイルを馴染ませたらローズマリーを炒めて……そこに塊のままのラムチョップを突っ込む。
焼く時のコツだが、肉は薔薇の色……ミディアムレアに仕上げるのが重要だ。
それ以上に火を通したら固くなる。
いい感じに焼けたら毎度お馴染みのアルミホイルに包んで暫く休ませよう。
このままローズマリーをどかして、フライパンの中に溜まったオリーブオイルと肉汁にマスタードとハチミツを温めながらよく混ぜて、と。
直火から離したらベーコン作りに欠かせないリンゴの木の木片を砕かずにくべてコンロに蓋をして……後は夕飯を待てばいい。
「ベーコンにエビフライ、サイドを作ってる間につまみ食いしたら飯抜きだからな?」
「ンナッ!」
「ヒャッ!」
返事はともかく、猫と鳩なんだから敬礼までせんでいいぞ。
というか何で出来るんだよ。
まあいい、ラムチョップの付け合わせならやはりトマトとポテトが欠かせない。
なので今回はオリーブオイルで炒めた薄切りのジャガイモとベーコンを溶き卵で閉じて、その上に薄切りのトマトを並べつつチーズを削って掛けて暫く放置しておこう。
味付けはベーコンと塩コショウだが、薄いと思うならケチャップを掛けてもいいし醤油を垂らしてもいい。
個人的に醤油のが美味いと思うが、今考えるとチーズに醤油って変わった組み合わせだよな。
でも美味いんだから仕方ない。
「おぉーっ!このリンゴの香りがしてツーンとくるソースに噛むほど肉汁が溢れる羊の肉が美味しいっす!いやぁ羊って毛を取るだけじゃないんっすね」
「コツはミディアムレアに焼く事と、歯が生え変わったばかりの羊の肉を使う事だ……鮮度が良ければローズマリーと塩コショウだけでも美味いからちゃんと覚えておけよ」
「解ったっす!」
一応ローズマリーはここでも栽培する様にしたからな、採れ過ぎても羊や牛が食うから問題はないだろ。
マスタードは……シロガラシはまだしもレモンのワインはペスカタにしかないし作るのは無理だろう。
念のためにイチゴのワインで作った酢でも作ってみたが甘味がマスタードの刺激を殺してしまったからな……多分ラズベリーのワインでも同じ結果になるだろう。
因みにラム肉なら以前にも作ったラズベリーソースで食っても美味いぞ。
「じゃあこれ、ウメオっちに頼まれたお土産用で氷らせた羊のロース肉と肩肉っす」
「スマンな」
「所で一つお願いがあるっすけど……朝になったらあの辛くて美味しいベラバーガーっていうのを作って欲しいっす」
あれを朝飯に食うと申したか?
別に材料を用意するなら幾らでも作ってやるけどな。
……どうせたっぷり食うだろうし、寝る前にバンズを焼いておくか。
今回は一泊のみの強行軍だが、出産を終えて落ち着いたら二泊はしたい所だ。
それにたまにはレクタさんを連れて温泉にも行きたいが、温泉ならペスカタだろうな。
「おー、久しぶりっすねぇウメオっち!マレスっちにキャリちゃんも久しぶりっす!」
「相変わらず馴れ馴れしく呼ぶなお前は……別に構わんが、まず羊を見せて貰えるか?」
「りょーかいっす!前街長からも【美味い物なら積極的に取り入れろ】って言われてるし、ウメオっちの料理は美味しいから期待してるっすよ!」
レシピは俺が考えた訳じゃないけどな……
だが羊肉が美味いのは間違いないから期待していろ。
「そういやアンカーはどうした?」
「前街長なら既に領主の所へ向かったっす!」
つまり引き継ぎは完全に終わった、と。
……一抹の不安を感じるのは俺だけだろうか?
「とりあえずウメオっちが言ってた、歯が生え変わったばかりの羊を何頭か集めといたっすけど」
ほう、流石は肉食文化のカーニズ……肥り過ぎずかつ適度な脂肪を蓄えたいい羊だ。
羊肉はラムとマトンという呼び方がありラムは生後一年未満、マトンはそれ以上を指す。
味はマトンの方が濃厚だが独特な臭みも出てくる。
なので羊の味を教えるならば最初はラムの方がいいだろう。
俺はマトンも好きだけどな。
「……よし、こいつとこいつが食べ頃だな」
「ほー、どっちも性格が荒くて去勢した奴っすけど……お肉はメスの方が美味しくないっすか?」
「牛や豚ならその通りだが、羊はどっちでも美味いんだ」
まあ味に差はないけどマトンと同様に臭みの有無がある。
それも去勢してあれば出ないし、何ならじっくりと脂を落としながら焼けば消える。
「そしたら解体だが、手順や取れる部位は牛や豚と変わらんから任せるけどロースだけは骨を付けたままにしてくれ」
「解ったっす!」
その間に可愛い妹や嫁達への土産を見繕っておこう。
特にこの前の物々交換でありったけ飲まれたラズベリーワインはたっぷり補充しておかねば。
買ってもすぐには飲めんが。
「そういえば師匠、イチゴちゃんからラズベリーをジャムにして持ち帰って欲しいとお願いされたんですけど」
「ああ、何故かここでしか売ってないからなぁ……作り方は解るなら任せる」
「解りました!」
「キャリも手伝う!」
最近キャリはよく可愛い妹と一緒にお菓子を作ろうとしてるからなぁ……
個人的に肉料理を覚えて欲しい所だが、まあ娘のやりたい様にやらせてやるのが親の務めって奴だろう。
この世界なら学歴なんて必要ないし。
よし、土産選びが終わった所で始めるか。
今回使うのは羊の骨付きロース肉、通称ラムチョップをフライパンで焼く。
個人的に牛ならランプ肉、豚ならヒレ肉が一番美味いと思うが羊ならやはりこの部位だろう。
「ンナー……」
「ヒャー……」
お前等……キャリの側に居なくていいのか?
別に見るのは構わんが。
気を取り直して、フライパンにオリーブオイルを馴染ませたらローズマリーを炒めて……そこに塊のままのラムチョップを突っ込む。
焼く時のコツだが、肉は薔薇の色……ミディアムレアに仕上げるのが重要だ。
それ以上に火を通したら固くなる。
いい感じに焼けたら毎度お馴染みのアルミホイルに包んで暫く休ませよう。
このままローズマリーをどかして、フライパンの中に溜まったオリーブオイルと肉汁にマスタードとハチミツを温めながらよく混ぜて、と。
直火から離したらベーコン作りに欠かせないリンゴの木の木片を砕かずにくべてコンロに蓋をして……後は夕飯を待てばいい。
「ベーコンにエビフライ、サイドを作ってる間につまみ食いしたら飯抜きだからな?」
「ンナッ!」
「ヒャッ!」
返事はともかく、猫と鳩なんだから敬礼までせんでいいぞ。
というか何で出来るんだよ。
まあいい、ラムチョップの付け合わせならやはりトマトとポテトが欠かせない。
なので今回はオリーブオイルで炒めた薄切りのジャガイモとベーコンを溶き卵で閉じて、その上に薄切りのトマトを並べつつチーズを削って掛けて暫く放置しておこう。
味付けはベーコンと塩コショウだが、薄いと思うならケチャップを掛けてもいいし醤油を垂らしてもいい。
個人的に醤油のが美味いと思うが、今考えるとチーズに醤油って変わった組み合わせだよな。
でも美味いんだから仕方ない。
「おぉーっ!このリンゴの香りがしてツーンとくるソースに噛むほど肉汁が溢れる羊の肉が美味しいっす!いやぁ羊って毛を取るだけじゃないんっすね」
「コツはミディアムレアに焼く事と、歯が生え変わったばかりの羊の肉を使う事だ……鮮度が良ければローズマリーと塩コショウだけでも美味いからちゃんと覚えておけよ」
「解ったっす!」
一応ローズマリーはここでも栽培する様にしたからな、採れ過ぎても羊や牛が食うから問題はないだろ。
マスタードは……シロガラシはまだしもレモンのワインはペスカタにしかないし作るのは無理だろう。
念のためにイチゴのワインで作った酢でも作ってみたが甘味がマスタードの刺激を殺してしまったからな……多分ラズベリーのワインでも同じ結果になるだろう。
因みにラム肉なら以前にも作ったラズベリーソースで食っても美味いぞ。
「じゃあこれ、ウメオっちに頼まれたお土産用で氷らせた羊のロース肉と肩肉っす」
「スマンな」
「所で一つお願いがあるっすけど……朝になったらあの辛くて美味しいベラバーガーっていうのを作って欲しいっす」
あれを朝飯に食うと申したか?
別に材料を用意するなら幾らでも作ってやるけどな。
……どうせたっぷり食うだろうし、寝る前にバンズを焼いておくか。
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