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(野菜狂信者は)何とか肉食できんのか?
カラシ菜の栽培・手作りマスタード添え
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ふぅ、オヤッサンにアドバイスを貰いつつ花壇を作って栽培を始めたが何とかシロガラシが育ってくれたか。
これであの黄色い西洋芥子、通称フレンチマスタードが作れる。
ローズマリーは上木鉢で育てているが、本当に成長が早い。
最大の懸念事項だったマレスの試験も無事に終わったし、ペスカタに帰らせる前に羊肉についても教えておきたかったからな。
前もってロリバハアと、アンカーから代替わりしたばかりのグリルに手紙を出して聞いてみたが……返事はまだない。
カーニズに行くのは片道3日、往復で6日も掛かる……そしてシーバスが現れるのは後12日だし早めに済ませたいんだがなぁ。
「パパ、マットおじさんから手紙だよ!【ハニーは羊を非常に可愛がってて食用にする事は出来ない】、だって!」
ロリバハアの方は駄目だったか……
まあ仕方ない、元々この世界じゃ食肉にしてないらしいし。
日本にも肉は好きだが馬は可哀想で食えないって奴も居るし、それを卑下する気は一切ないぞ。
難癖をつけたら野菜狂信者と同類になっちまうからな。
「師匠、グリルさんから手紙です……【羊を美味しく食べられるんならアタシにも食べさせて欲しいっす!】だそうです」
グリルからは許可が出たか……なら早速準備をするか。
タープとマリアは安定期に入るまでは大人しくせねばならんし、今回行くのは俺とマレスに……
「苺心、キャリ、今回は羊肉を料理しに行くんだがどうする?留守番するタープとマリアの為に持ち帰ってもう一度作るし、マレスの事もあるから一泊しかしないが」
「流石にタープさんとマリアさんが心配だし……私は留守番しとくよ」
「キャリは行くー!」
「ンナー!」
「ヒャー!」
可愛い妹は留守番で、ベーコンとエビフライはキャリと一緒に来る気満々だな……
「あー、留守番ならローズマリーが育ち過ぎない様に適度に間引いてくれ……採れた分は好きに使っていいぞ」
「はーい」
ローズマリーはクッキーにも使えるらしいし、乾燥させればハーブティーにもなる。
羊肉に使う以外の用途なら可愛い妹の方が詳しいだろ。
「あ、そうだ……妊婦にローズマリーは毒になりかねないからタープさんとマリアさんには別の物を用意した方がいいよ」
「マジか……とりあえずそれはラム肉を手に入れてから考えよう」
よし、出発は明日としてまずはフレンチマスタードを作ってしまおう。
必要なのはシロガラシの種、いわゆるマスタードシード……これがなければ始まらない。
たまにトゥール様に頼んでいる粒マスタードも作ろうと思えば同じ材料で作れるが、今回はフレンチマスタードのみだ。
頑丈な鉄の板を用意したらそこにマスタードシードを敷いて、頑丈な器の底で粒が粉末状になるまで潰したらボウルに入れておく。
乳鉢があれば手早く出来るがなかったし、作るにしても俺は金属しか加工できないからやたらと重くなりそうで断念した。
またミンサーにかけようにもこれは粒が小さ過ぎて挽けない、俺の変換って技能も試したが粉末には出来なかったからな。
ちくしょう、フードプロセッサーが恋しいぜ。
おっと、続いてボウルに砂糖と塩に酢を入れたらよく混ぜるんだが……酢はレモンワインの蓋を開けて酸化するまで放置しておいたワインビネガーを使う。
この酢の作り方はジョニーさんが珍しく教えてくれた。
本人はベーコン・エクスプロージョンを作ったのを黙ってたお詫びだとか言ってたけどな。
……よし、ネットリしてきた。
試しに味見して、鼻に抜ける刺激や酸味も充分だ。
このまま放置してれば刺激が減って香りだけが残り、明日には色んな料理に使える。
作りたてなら豚まんやメンチカツに付けて食うと美味いんだが今回ばかりは我慢せねばならん。
このマスタードはあのピットメンバーがやり残した事、羊肉の美味さを伝える為に作ったんだから。
「ウメオ、その黄色い調味料は……この前も見たカラシ?」
「あの鼻が痛なる調味料かいな?」
「微妙に違う所はあるが、まあ似た様な物だな」
だから間違っても口にするんじゃないぞ?
結果は解り切ってるしこの前のアレで懲りたとは思うが、タープとマリアが美味しく頂ける様になるには後3日ぐらい掛かる。
因みに和芥子とマスタードの違いは大雑把に言えば粉末にしたマスタードシードをぬるま湯で溶くか酢で溶くか、だ。
和芥子の方が刺激が強く感じるのも酸味があるかないかの差でしかない。
っておいキャリ、それは子供が口にすると大変な事に……
「これ甘酸っぱくて、お鼻がツーンとして美味しい!」
「「「ファッ!」」」
まさかのキャリが芥子の刺激に強いとは……
しかしキャリはこういう刺激や辛味が好きじゃないと思っていたんだがなぁ……実際コショウや生のニンニクは苦手とまでは行かなくても避けてるし。
余談だが可愛い妹も芥子やマスタードは平気だが山葵は苦手らしい。
「ン゛ニ゛ャッ!?」
「ビャッ!?」
あ、ベーコンとエビフライは無理だったか。
和芥子を塗ったメンチカツパンを食ったタープとマリアみたいにのたうち回ってやがる。
念のために言っておくが2匹ともキャリが指で掬ったマスタードを口にしたからボウルに顔を突っ込んではいない。
ベーコンは以前ハンバーグを作ってる最中にボウルへ顔を突っ込んでベーコン抜きにしたからな……ちゃんとエビフライにも教えてある様だ。
って調理台の上で暴れるんじゃねぇ……マスタードを避難させねば。
「この際だから確認しておくか……マレスはどうだ?」
「えっと……んんっ!ち、ちょっと鼻にキましたけど、酸味や甘味もあるしこれぐらいなら平気です」
ふむ、マレスは唐辛子が苦手でマスタードは平気と。
まあ本人も言ってたがこのフレンチマスタードには酸味と甘味があるからな……それがない山葵は無理だろう。
この世界にあるかどうかは知らんが。
「お兄ちゃん、マスタードを作ったんなら夕飯はホットドッグにしない?」
「いいな、そうするか」
となればソーセージを作りつつ出発の準備をするか。
これであの黄色い西洋芥子、通称フレンチマスタードが作れる。
ローズマリーは上木鉢で育てているが、本当に成長が早い。
最大の懸念事項だったマレスの試験も無事に終わったし、ペスカタに帰らせる前に羊肉についても教えておきたかったからな。
前もってロリバハアと、アンカーから代替わりしたばかりのグリルに手紙を出して聞いてみたが……返事はまだない。
カーニズに行くのは片道3日、往復で6日も掛かる……そしてシーバスが現れるのは後12日だし早めに済ませたいんだがなぁ。
「パパ、マットおじさんから手紙だよ!【ハニーは羊を非常に可愛がってて食用にする事は出来ない】、だって!」
ロリバハアの方は駄目だったか……
まあ仕方ない、元々この世界じゃ食肉にしてないらしいし。
日本にも肉は好きだが馬は可哀想で食えないって奴も居るし、それを卑下する気は一切ないぞ。
難癖をつけたら野菜狂信者と同類になっちまうからな。
「師匠、グリルさんから手紙です……【羊を美味しく食べられるんならアタシにも食べさせて欲しいっす!】だそうです」
グリルからは許可が出たか……なら早速準備をするか。
タープとマリアは安定期に入るまでは大人しくせねばならんし、今回行くのは俺とマレスに……
「苺心、キャリ、今回は羊肉を料理しに行くんだがどうする?留守番するタープとマリアの為に持ち帰ってもう一度作るし、マレスの事もあるから一泊しかしないが」
「流石にタープさんとマリアさんが心配だし……私は留守番しとくよ」
「キャリは行くー!」
「ンナー!」
「ヒャー!」
可愛い妹は留守番で、ベーコンとエビフライはキャリと一緒に来る気満々だな……
「あー、留守番ならローズマリーが育ち過ぎない様に適度に間引いてくれ……採れた分は好きに使っていいぞ」
「はーい」
ローズマリーはクッキーにも使えるらしいし、乾燥させればハーブティーにもなる。
羊肉に使う以外の用途なら可愛い妹の方が詳しいだろ。
「あ、そうだ……妊婦にローズマリーは毒になりかねないからタープさんとマリアさんには別の物を用意した方がいいよ」
「マジか……とりあえずそれはラム肉を手に入れてから考えよう」
よし、出発は明日としてまずはフレンチマスタードを作ってしまおう。
必要なのはシロガラシの種、いわゆるマスタードシード……これがなければ始まらない。
たまにトゥール様に頼んでいる粒マスタードも作ろうと思えば同じ材料で作れるが、今回はフレンチマスタードのみだ。
頑丈な鉄の板を用意したらそこにマスタードシードを敷いて、頑丈な器の底で粒が粉末状になるまで潰したらボウルに入れておく。
乳鉢があれば手早く出来るがなかったし、作るにしても俺は金属しか加工できないからやたらと重くなりそうで断念した。
またミンサーにかけようにもこれは粒が小さ過ぎて挽けない、俺の変換って技能も試したが粉末には出来なかったからな。
ちくしょう、フードプロセッサーが恋しいぜ。
おっと、続いてボウルに砂糖と塩に酢を入れたらよく混ぜるんだが……酢はレモンワインの蓋を開けて酸化するまで放置しておいたワインビネガーを使う。
この酢の作り方はジョニーさんが珍しく教えてくれた。
本人はベーコン・エクスプロージョンを作ったのを黙ってたお詫びだとか言ってたけどな。
……よし、ネットリしてきた。
試しに味見して、鼻に抜ける刺激や酸味も充分だ。
このまま放置してれば刺激が減って香りだけが残り、明日には色んな料理に使える。
作りたてなら豚まんやメンチカツに付けて食うと美味いんだが今回ばかりは我慢せねばならん。
このマスタードはあのピットメンバーがやり残した事、羊肉の美味さを伝える為に作ったんだから。
「ウメオ、その黄色い調味料は……この前も見たカラシ?」
「あの鼻が痛なる調味料かいな?」
「微妙に違う所はあるが、まあ似た様な物だな」
だから間違っても口にするんじゃないぞ?
結果は解り切ってるしこの前のアレで懲りたとは思うが、タープとマリアが美味しく頂ける様になるには後3日ぐらい掛かる。
因みに和芥子とマスタードの違いは大雑把に言えば粉末にしたマスタードシードをぬるま湯で溶くか酢で溶くか、だ。
和芥子の方が刺激が強く感じるのも酸味があるかないかの差でしかない。
っておいキャリ、それは子供が口にすると大変な事に……
「これ甘酸っぱくて、お鼻がツーンとして美味しい!」
「「「ファッ!」」」
まさかのキャリが芥子の刺激に強いとは……
しかしキャリはこういう刺激や辛味が好きじゃないと思っていたんだがなぁ……実際コショウや生のニンニクは苦手とまでは行かなくても避けてるし。
余談だが可愛い妹も芥子やマスタードは平気だが山葵は苦手らしい。
「ン゛ニ゛ャッ!?」
「ビャッ!?」
あ、ベーコンとエビフライは無理だったか。
和芥子を塗ったメンチカツパンを食ったタープとマリアみたいにのたうち回ってやがる。
念のために言っておくが2匹ともキャリが指で掬ったマスタードを口にしたからボウルに顔を突っ込んではいない。
ベーコンは以前ハンバーグを作ってる最中にボウルへ顔を突っ込んでベーコン抜きにしたからな……ちゃんとエビフライにも教えてある様だ。
って調理台の上で暴れるんじゃねぇ……マスタードを避難させねば。
「この際だから確認しておくか……マレスはどうだ?」
「えっと……んんっ!ち、ちょっと鼻にキましたけど、酸味や甘味もあるしこれぐらいなら平気です」
ふむ、マレスは唐辛子が苦手でマスタードは平気と。
まあ本人も言ってたがこのフレンチマスタードには酸味と甘味があるからな……それがない山葵は無理だろう。
この世界にあるかどうかは知らんが。
「お兄ちゃん、マスタードを作ったんなら夕飯はホットドッグにしない?」
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