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(野菜狂信者の)口を割って食わそう
チキンレッグロースト・タープのトラウマ添え
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あれからマレスは可愛い妹やキャリと遊びつつ、サーマはマリアと一緒に酒を飲んでいる。
いや、夕飯の準備もあるから仕方ないとはいえ俺にも酒を飲ませろ。
チクショウ、終わったらしこたま飲んでやる!
とはいえまずは夕飯を作らねば……
チキンレッグは皮付きのままフォークで刺して、塩コショウや香辛料を刷り込んで、と。
可愛い妹とキャリの分……それにマレスの分にはハチミツも塗っておこう。
解りやすい様にアルミホイルを巻いておけば配る時に間違えたりはしないだろ。
これこそダニエルさんが食事のマナーに対して悩んでいた俺を救ってくれた料理……チキンレッグロースト。
これは骨付きだからナイフとフォークじゃ食うのは難しいからな、手掴みで囓りつくのが一番だ。
「マナーなんざ他人に迷惑を掛けず、不快にさせなけりゃそれでいい」、ダニエルさんのこの一言があったからこそ今の俺がある。
おっと……チキンレッグは強火で焼き色を付けたら火から離して、じっくりと熱を通してやれば出来上がり、と。
で、これだけじゃ淋しいので付け合わせも作らねばならん。
可愛い妹に頼んで作って貰っておいた生クリームをベースに、石焼きにして裏漉ししたサツマイモを加えつつ、少量の砂糖と塩で味付けしてからミルクで伸ばす……
以前に話だけは聞いた紫芋のスープを一緒に出そう。
「今、コンロから石焼き芋の匂いがした」
「パパー、またおいも焼いたの?」
「師匠、イシヤキイモって何ですか?」
珍しくキャリと、可愛い妹にマレスまで反応したか……
次にペスカタへ行った時に石焼き芋も作ってやるから、今回は説明だけで勘弁してくれ。
今から追加を焼いていたら朝になってしまう。
「今はその芋でスープを作っている所だからもう少し待ってろよ」
「「はーい!」」
「解りました!」
うん、聞き分けが良いのはいい事だ。
「それとタープ、つまみ食いしたらベーコン抜きだぞ」
「何でバレたんや!?」
いや、普通に足音がしたからな?
それにマリアはサーマの相手をしてるし、キャリは可愛い妹とマレスが一緒に来たばかり……必然的にタープしか居ない。
おっと、タープで思い出したがベーコンも出さねばいかんな。
とはいえ毎度のベーコンステーキじゃ芸がない。
今回は薄切りのベーコンでチーズとリンゴを包み、食べる直前に炙ってチーズが溶けた頃合いを熱々の内に食おう。
こいつは酒のツマミにもなるがコメ酒にだけは合わないんだよなぁ……まあツマミは後で考えよう。
今は夕飯が先決だ。
あ、そういえばベーコンも追加を作らないと俺達が食う分までなくなってしまうな。
明日からは忙しくなりそうだ。
「アルミホイル……あー、その銀色の紙を巻いてある肉はキャリと苺心にマレス用だからな」
「ちゅー事はそれ甘いんやな、りょーかいや」
「甘いお肉も気になる、けど今度でいい」
また作らせる気かマリア……別に焼くのは構わんけどこれ手間が掛かるから、ベーコンを作り終わったらにさせてくれ。
「おいものスープが美味しい!」
「お兄ちゃん、このスープは毎晩の定番にしない?生クリームなら私が作るから」
「いや、サツマイモの在庫には限りがあるからな?精々で週1が限度だ」
前にオヤッサンから聞いた話だとこの辺りじゃサツマイモが美味く育たないらしいからな……ジャガイモは美味かったのに。
その内またカーニズ領まで仕入れに行かんとならんな。
「肉を手掴みで食べるといけない事をしてる気分になるけど、これはナイフとフォークじゃ食えないねぇ」
「これと同じ味付けをオクトパスにしても美味しいかも……あ、このチーとリンゴを包んだベーコンも美味しい」
そういやタコもあるんだよなこの世界……タープがトラウマ抱えてるから食ってないが。
「ああ、そういえば来月は10年に1度だけ巨大オクトパスが現れる日じゃないか」
「もうそんな時期だっけ?」
巨大オクトパス……確かタープの純血を奪いかけたとかいう奴か。
そして話に出ただけなのにタープが震えている……よっぽど怖かったんだな。
「お兄ちゃん、その巨大オクトパス……例の水の魔物って奴じゃない?」
「ああ、確かに可能性はあるな」
もし本当に巨大なタコが水の魔物だとしたら……あの野菜狂信者の伝承とやらに出るのが全部食材という事になるんだが?
しかも内3つは俺が美味しく頂いてしまっている、シカは完全に偶然の産物だったけど。
当然そのタコもバーベキューで美味しく頂いてやりたいんだが……
「タープがオクトパス嫌いだからなぁ……」
「アカン!オクトパスだけはアカンわ!」
味が苦手ならばやり方次第で治せるが、アレルギーやトラウマはどうしようもない。
特にアレルギーだと命に関わるからな……タープのはトラウマが原因だが。
そもそも納豆とグリーンピースを食えない俺が、他人の好き嫌いを治そうっていうのはおこがましい行為という奴だろう。
可愛い妹は食べ物の好き嫌いはないが、無理して食べる必要はないってスタンスだし。
「こうなると、タープには留守番して貰うしかない……でも、タープを1人にしたら、在庫のベーコンを食べ尽くされる可能性が高い」
今の所ベーコンが俺の唯一の収入源、かつ一家のメインの収入源でもあるからな……
だが俺は行かなければならない、何故ならばピットマスターだからだ。
「仕方ないなぁ、私も一緒に留守番してるよ……キャリちゃんじゃタープさんを止められないし、マリアさんは一緒につまみ食いしそうだし」
「……否定は出来ない」
出来ないって認めちまうのかよ……だが正直なのは良い事だ。
可愛い妹ならつまみ食いは阻止出来るし、問題はないだろう。
まあ、俺の留守中はずっとベーコンが食えんだろうけど。
「キャリはどうする?」
「パパと一緒に行くー!」
となると巨大なタコを料理しに行くのは俺とマリアにキャリの3人だな。
どの道行くのは来月だが、それまではひたすらベーコンを作って溜めておかんとならんか。
まあ巨大オクトパスとやらが水の魔物ではなかったら……その時に考えればいいか。
それに異界の祭壇とやらの事は何一つ解らんし調べ様がない。
いや、夕飯の準備もあるから仕方ないとはいえ俺にも酒を飲ませろ。
チクショウ、終わったらしこたま飲んでやる!
とはいえまずは夕飯を作らねば……
チキンレッグは皮付きのままフォークで刺して、塩コショウや香辛料を刷り込んで、と。
可愛い妹とキャリの分……それにマレスの分にはハチミツも塗っておこう。
解りやすい様にアルミホイルを巻いておけば配る時に間違えたりはしないだろ。
これこそダニエルさんが食事のマナーに対して悩んでいた俺を救ってくれた料理……チキンレッグロースト。
これは骨付きだからナイフとフォークじゃ食うのは難しいからな、手掴みで囓りつくのが一番だ。
「マナーなんざ他人に迷惑を掛けず、不快にさせなけりゃそれでいい」、ダニエルさんのこの一言があったからこそ今の俺がある。
おっと……チキンレッグは強火で焼き色を付けたら火から離して、じっくりと熱を通してやれば出来上がり、と。
で、これだけじゃ淋しいので付け合わせも作らねばならん。
可愛い妹に頼んで作って貰っておいた生クリームをベースに、石焼きにして裏漉ししたサツマイモを加えつつ、少量の砂糖と塩で味付けしてからミルクで伸ばす……
以前に話だけは聞いた紫芋のスープを一緒に出そう。
「今、コンロから石焼き芋の匂いがした」
「パパー、またおいも焼いたの?」
「師匠、イシヤキイモって何ですか?」
珍しくキャリと、可愛い妹にマレスまで反応したか……
次にペスカタへ行った時に石焼き芋も作ってやるから、今回は説明だけで勘弁してくれ。
今から追加を焼いていたら朝になってしまう。
「今はその芋でスープを作っている所だからもう少し待ってろよ」
「「はーい!」」
「解りました!」
うん、聞き分けが良いのはいい事だ。
「それとタープ、つまみ食いしたらベーコン抜きだぞ」
「何でバレたんや!?」
いや、普通に足音がしたからな?
それにマリアはサーマの相手をしてるし、キャリは可愛い妹とマレスが一緒に来たばかり……必然的にタープしか居ない。
おっと、タープで思い出したがベーコンも出さねばいかんな。
とはいえ毎度のベーコンステーキじゃ芸がない。
今回は薄切りのベーコンでチーズとリンゴを包み、食べる直前に炙ってチーズが溶けた頃合いを熱々の内に食おう。
こいつは酒のツマミにもなるがコメ酒にだけは合わないんだよなぁ……まあツマミは後で考えよう。
今は夕飯が先決だ。
あ、そういえばベーコンも追加を作らないと俺達が食う分までなくなってしまうな。
明日からは忙しくなりそうだ。
「アルミホイル……あー、その銀色の紙を巻いてある肉はキャリと苺心にマレス用だからな」
「ちゅー事はそれ甘いんやな、りょーかいや」
「甘いお肉も気になる、けど今度でいい」
また作らせる気かマリア……別に焼くのは構わんけどこれ手間が掛かるから、ベーコンを作り終わったらにさせてくれ。
「おいものスープが美味しい!」
「お兄ちゃん、このスープは毎晩の定番にしない?生クリームなら私が作るから」
「いや、サツマイモの在庫には限りがあるからな?精々で週1が限度だ」
前にオヤッサンから聞いた話だとこの辺りじゃサツマイモが美味く育たないらしいからな……ジャガイモは美味かったのに。
その内またカーニズ領まで仕入れに行かんとならんな。
「肉を手掴みで食べるといけない事をしてる気分になるけど、これはナイフとフォークじゃ食えないねぇ」
「これと同じ味付けをオクトパスにしても美味しいかも……あ、このチーとリンゴを包んだベーコンも美味しい」
そういやタコもあるんだよなこの世界……タープがトラウマ抱えてるから食ってないが。
「ああ、そういえば来月は10年に1度だけ巨大オクトパスが現れる日じゃないか」
「もうそんな時期だっけ?」
巨大オクトパス……確かタープの純血を奪いかけたとかいう奴か。
そして話に出ただけなのにタープが震えている……よっぽど怖かったんだな。
「お兄ちゃん、その巨大オクトパス……例の水の魔物って奴じゃない?」
「ああ、確かに可能性はあるな」
もし本当に巨大なタコが水の魔物だとしたら……あの野菜狂信者の伝承とやらに出るのが全部食材という事になるんだが?
しかも内3つは俺が美味しく頂いてしまっている、シカは完全に偶然の産物だったけど。
当然そのタコもバーベキューで美味しく頂いてやりたいんだが……
「タープがオクトパス嫌いだからなぁ……」
「アカン!オクトパスだけはアカンわ!」
味が苦手ならばやり方次第で治せるが、アレルギーやトラウマはどうしようもない。
特にアレルギーだと命に関わるからな……タープのはトラウマが原因だが。
そもそも納豆とグリーンピースを食えない俺が、他人の好き嫌いを治そうっていうのはおこがましい行為という奴だろう。
可愛い妹は食べ物の好き嫌いはないが、無理して食べる必要はないってスタンスだし。
「こうなると、タープには留守番して貰うしかない……でも、タープを1人にしたら、在庫のベーコンを食べ尽くされる可能性が高い」
今の所ベーコンが俺の唯一の収入源、かつ一家のメインの収入源でもあるからな……
だが俺は行かなければならない、何故ならばピットマスターだからだ。
「仕方ないなぁ、私も一緒に留守番してるよ……キャリちゃんじゃタープさんを止められないし、マリアさんは一緒につまみ食いしそうだし」
「……否定は出来ない」
出来ないって認めちまうのかよ……だが正直なのは良い事だ。
可愛い妹ならつまみ食いは阻止出来るし、問題はないだろう。
まあ、俺の留守中はずっとベーコンが食えんだろうけど。
「キャリはどうする?」
「パパと一緒に行くー!」
となると巨大なタコを料理しに行くのは俺とマリアにキャリの3人だな。
どの道行くのは来月だが、それまではひたすらベーコンを作って溜めておかんとならんか。
まあ巨大オクトパスとやらが水の魔物ではなかったら……その時に考えればいいか。
それに異界の祭壇とやらの事は何一つ解らんし調べ様がない。
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