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(野菜狂信者の)口を割って食わそう

野菜狂信者の伝承・雑談添え

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祭りが終わって3日……特に何事もなくケンタンに帰って来たぞ。

例の奴とは酒場で一人飲みした際に話す機会があったんだが、マジでマッチョがトラウマになっていたらしく孤児院に何かをする事はないだろう。

まあ孤児院にはシェラフが居るし、最悪の場合は貞操の危機も感じるだろうがな。

それとあの時は大金を出して手に入れたソースが口に合わなかっただけで失格にされたのが頭に来ただけらしい……

なのであのロリババアはともかく、俺に恨みはないそうだ。

ついでにあのルールの追加は外部の参加者が増え過ぎた故のやむを得ない措置、だと言ってたな。

考えてみれば審査はあの領主が1人でやってたからな、タープやマリアじゃあるまいし大量には食えんか。

まあ、マリアが苦手意識を持っているのは変わらんから特に対応を代えたりはしないが蟠りは溶けたから次から酒を買わせて貰うぞ。

それとロジーだが、マレスやキャリと同様に料理の才能があったらしく……2年後に孤児院を巣立ったらここへ修行する為に来ると言っていた。

俺の元だとロクな給料は出せんが、立派なピットマスターにはしてやろう。

それにロジーは可愛い妹の婚約者候補だから特に厳しく指導してやる。

「お兄ちゃん、ロジーくんをピットマスターにする必要ってあるの?」

「最重要に決まっているだろう」

可愛い妹を嫁にしたいならば尚更だ。

異論は絶対に認めんぞ。

ついでに言っておくとキャリを嫁にしたいならば、俺が尊敬するダニエルさんと同等の腕がなければ認めん!

「「「親バカ」」」

否定はしない!




「……ふぅ、売り物のベーコンはこれで全部か?」

「うん、後はサーマが取りに来るのを待つだけ」

マリアから聞いた話だと前回サーマに渡したベーコンは既に完売したらしい……

そんな訳で今回は倍の600塊ものベーコンを用意したんだが、本当に売れるのか?

買うと言うなら用意はするけど。

「よう兄ちゃん、またどっか行くんか?」

「ようオヤッサン、こいつは今から来る客に渡す商品だよ」

「はぁー、えらい気前のええ客やなぁ……羨ましいわ」

本当だよ、マリアの幼馴染だとは言ってたが随分と溜め込んでるのは間違いない。

それに俺がマレスに教えたミネストローネやエビフライ、ピクルスなんかも売れてるだろうし……

下手したらマリアよりも稼いでいる可能性が高いな。

今後とも御贔屓に、って言った方がいいだろうか?

「お兄ちゃん、今しがた手紙が来たんだけど……タープさんは手が離せないからマリアさん読んで」

「解った」

相変わらず複数のウナギが絡まっている様にしか見えん文字だな。

何で言葉は通じるのに文字がサッパリなんだ?

それにしても最近はよく手形が来るな……そりゃ電話なんてないだろうけど。

「モモちゃんが転生した世界の文字は全部カタカナらしいのに……何でこの世界の文字は読めないんだろ?」

「それはそれで読み辛そうではあるな……」

因みにタープはキャリを含めた子供達に読み書きと簡単な計算を教えている。

日本なら学校で教える事だが、この世界だと教会で教えるのが普通らしい。

それも月に2回程度でいいとか何とか……毎日勉強しなくていいのは羨ましいな。

「手紙はマットさんから、例のヴィガン族が色々と吐いたらしい」

おっと、ようやく進展しそうだな。

今回は可愛い妹が友達に会うのは勿論、俺があいつに会う為に野菜狂信者共に美味い肉か魚を食わせてやらねばならん。

もっとも俺の家族……タープにマリア、可愛い妹と娘に手を出したなら顎が外れるぐらい固い料理をおみまいしてやるけどな。




「ヴィガン族に伝わる話だと、【黄金の獣と炎の獣、異界の金属に宿り神を打つ剣となり 白銀の甲羅と水の魔物、異界の祭壇に宿り神を封じる楔となる】、と言われている……らしい」

なんじゃそりゃ……

誰か日本語に訳してくれないか?って無理か。

「多分、黄金の獣はウメオが美味しく料理した例のブタの事……だと思う」

「となると……白銀の甲羅ってあのカニか?」

確かにあのイノブタは金色に輝いてたし、カニは白銀だったが……

「あ、もしかしてだけど炎の獣ってあのシカじゃない?それでお兄ちゃんのナイフの切れ味が上がったんじゃ」

「確かにあのシカの角は燃えていたが、この世界なら普通の事じゃないのか?」

「ウメオ、シカの角は乾燥させれば着火材に使えるけど、生きてる時に燃えたりはしない……というか燃えるなら、角より先に全身が火だるまになってる」

言われてみればそうだよな、異世界だからって理由で納得してしまったが今後は注意しよう。

しかしそうか……先にあのシカを仕留めていたから俺自身ではなく聖剣ブッチャーナイフがパワーアップしたんだな。

その2匹を美味しく料理した聖剣ブッチャーナイフなら異界の金属って条件を満たしているし、きっとそうに違いない。

つまり先にあのイノブタから料理していれば俺の筋肉がパンプアップされていた可能性がある?

まあ過ぎた事は仕方ない、俺の筋肉は地道に鍛えるとして……

「じゃあ残りの異界の祭壇と水の魔物って何だ?」

「どっちも解らない、でも水の魔物についてはサーマが知っている可能性がある」

サーマなら今日ベーコンを取りに来るし、聞いてみよう。

仮に知らなくてもまた海に行く理由にはなるからな……その時はキャリに泳ぎ方を教えてやるか。

「……お兄ちゃん、確かカナヅチじゃなかった?」

「……忘れてた」

仕方ない、泳ぎを教えるのは可愛い妹に任せよう。
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