77 / 122
森とイノシシと奴隷商人
また頼まれました
しおりを挟む
ナクアちゃんが魔法少女(?)になった翌朝……
王様達を見送って、久しぶりにモンスターを狩る為郊外にコカちゃんと一緒に来ましたよ。
「さて、手甲を装備して……と」
うん、サイズもピッタリだし手によく馴染んでいます。
流石はデストさんですね。
魔力は予め蓄えておきましたのですぐにでも試せますよ。
で、少し歩いてたら熊が1匹……ヒグマっぽい見た目ですが此方に気づいて向かって来ましたね。
「あの熊は害獣ですか?モンスターですか?」
「熊は……害獣だよ、家畜とか……旅人を襲うし、下手なモンスターより……強いの」
ふむ……つまりイノシシ同様食べても問題ないのですね。
とはいえ熊の解体は難しいらしいですし、多分デストさんですら経験がないでしょう。
何よりも人間を襲って食べたりしたかもしれない獣の肉を食べるのは抵抗かありますし、今回は諦めます。
まあ放置する訳にはいかないので倒しますけど。
「まさか異世界で熊と戦う事になるとは思いませんでしたね……」
日本では熊と戦って勝った格闘家に熊殺しという称号が与えられますが……流石に補正はないですよね?
「ふぅ……【鋼】!」
よし、ちゃんと鋼になったし鳩尾に入った……ってうわ、熊の背中から幾つもの骨が!?
ちょっと所ではなくグロい物を見てしまいました……今日はお肉を食べるのは止めておきましょう。
それにしてもこの鋼を相殺したラスカさん……やはり強かったですね。
トゥール様の話通りなら師範も可能でしょうが……あの人なら熊どころかゾウを瞬殺しても不思議ではありませんし。
熊を埋めてモンスターを探して……ゴブリンやコボルトを倒して水晶を拾い、って久しぶりにこの作業をしましたね。
この手甲のお陰で魔力を気にせずに、鋼の持続時間が15秒、攻撃する場合3発まで続きましたし……威力も変わらないから次は両手で使える様に特訓します。
「水晶を独占する人達が居なくなったからか、ちらほらとモンスターが増えましたね」
「うん、キュアちゃんが屋台で使う赤も……確保、出来たね」
ンガイでは行商人の暗黙の決まりとやらで、故郷で屋台は出せないとか言ってましたから使わずに済んでましたがね。
アプさんはンガイの生まれで、その娘のコカちゃんや婚約者であるあたしも商売が出来ないので今の所は問題ないです。
まあ最初に牡丹鍋を作った時とイノシシ狩りの時に焚き火をつけるのに使ってしまい残り1個しかなかったから補充出来たのは有難いのですが。
「そろそろお昼にしますか?」
「うん……それじゃ、戻ろっか」
さて、何を作りますか……なるべくお肉は避けたい所ですが干物は次の村で売る分が減ってしまうし、今から豆腐を作る時間はないですし。
キノコは食べたいですがアプさんが苦手だし……ってそういえば何度か牡丹鍋にキノコを入れましたが普通に食べてましたよね?
もしかしてデストさんの勘違い……それとも別の理由が?
「キノコ?普通に食えるよ」
恐る恐る聞いたらすんなり答えてくれました……
「あたいが嫌いなのはキノコじゃなくて、乾燥したキノコの匂いなんだよ……ンガイでなきゃ生のキノコは食えないし、デストが勘違いするのも無理はないねぇ」
成程……お刺身は食べられても干物が苦手って人も居ますし、納得しました。
そういう事なら昼食はキノコ料理と洒落混みましょう。
リベンさんから売り物にならないキノコは好きに使って良いと言われていますし。
そんなこんなで作ったのはシイタケとキクラゲとマッシュルームの天ぷら、シイタケの照り焼き、キクラゲの卵とじ、シイタケの石突きの味噌汁です。
天ぷらは塩でも美味しいですが今回は醤油か魚醤で食べます。
因みにマッシュルームは日本のスーパーにある様な小さな物ではなく、大きくて傘の開いた物を使わせて頂きました。
勿論売り物にならない傷物や形の悪い物から選びましたよ。
「小麦粉を水でといた物を塗って熱い油に入れただけでこんなに美味くなるとはのぉ……」
だけって言いますが天ぷらは結構難しいんですよ?
特にキクラゲの天ぷらは揚げ過ぎるとこの歯応えが無くなってしまいますし。
まあリベンさんはちょっとコツを教えただけですぐに覚えてしまいましたけど。
「石突きからこんなにいい味が出るなんて……知らなかったわねぇ」
シイタケの石突きって傘の部分程ではないにしろ結構な旨味があるんですよね……
ただ旨味を上回る木材臭さ……もしくはオカクズの臭いがあるんですが味噌汁だと気にならなくなります。
というか食べられるのに捨てるのは勿体ないですからね。
「卵とじ……美味しいね」
生のキクラゲだからこその料理ですからね……
乾燥させたキクラゲじゃこの味が出ませんし、乾物臭さが出てしまいます。
それにしても……傘の開いたマッシュルームは初めて食べましたけど、こんなに味が濃いとは思っていませんでした。
確かにこれならチーズやピザソースにも負けないでしょうね……何で日本では傘の開いていない小さな物しか売られていなかったのでしょうか?
ンガイを立つまで後2日……出来る限り食べておきましょう。
売り物にならない物はまだ沢山ありましたからね。
「所でアプ……昼間から酒はどうかと思うんじゃが?」
さっきから静かだと思ったらアプさん……シイタケの照り焼きを肴に飲んでいたんですね。
夕方……そろそろ夕食の準備をしようと思ったらイブと少年が来ました。
そういえば様子を見ようと思っておきながら忘れてましたね。
「あ、あの……出来ました!」
……え?
まさか、たった3日で出来たのですか?
「……一応、それっぽくなったから試して下さい」
確かに見た目はちゃんとした豆腐ですが……ふむ。
「折角だし、ボクも……んー……ちょっと、しょっぱい?」
うん……多少塩辛さがありますが、まごう事なき豆腐ですね。
「塩を加えて温めて、型に流して置いたら出来たんです」
「良く気が付きましたね……」
この世界の塩はいわゆる昔ながらのやり方で作られていますからね……ミネラルが豊富で、その中にはニガリと同じ成分が含まれているのです。
因みに量は豆乳200ccに対して小さじすりきり1で固まりますが、この味から察するに余分に入れた様ですね。
まあ、イブ達が気付きやすい様にわざとらしく豆乳の側に塩の詰まった袋を置いたりはしましたけど。
「……それで、ちょっとお願いがあるんですけど」
お願い……一体何を?
というか何でイブとクロマ君は顔を赤くしているのですか?
「わ、私達に……キスのやり方を教えて下さい!」
……一体何があってそうなったのですか?
「実は……豆腐が出来た時に、クロマ君に告白されて……お付き合いする事になったんですけど」
クロマ君にはイブの気を引いて欲しいと思っていましたが、予想以上の成果を出しましたね!
良くやってくれました!
「……でも、いざとなったら何をすればいいのかが解らなくて、アーチさんに聞いたら先ずはキスからって」
それでキスのやり方、ですか……
この世界にはいわゆるサブカルチャーが存在しないし、ラブシーンまでやる演劇をする一団は居るそうですがほぼ貴族の娯楽ですからね。
因みにサーグァ様、王様と結婚する前は歌い手としてその一団に入っていたそうです。
「この世界の性教育ってどうなっているのですか?」
「えっと……図書館でそういう本を読むか、成人した時に……そういう講習を受けるか、だね」
つまりまだ成人していないコカちゃんは図書館で覚えたんですね……
仕方ありません……後であたしとロウで実演してあげましょう。
「……ボクとも、して?」
上目遣いで見なくても終わったらしますよ。
「……それと、6年後に僕達の転職と結婚式をして欲しいんですが」
ミラさんからも頼まれましたが、クロマ君とイブもあたしに式を行えと申しますか。
というかあたしとイブは宗派が違うんですが……
まあトゥール様と友達になりましたしそこは問題ないでしょう。
転職は……確か大神官以上の権限が必要だった気がしますが?
うん、あたしが頑張って出世するしかないですね。
「するのは構いませんが転職と式を同時って、大丈夫なんですか?」
主に支払いとか、水晶の代金とか。
結婚資金はよく解りませんが2人の転職だと4万ハウトは掛かりますよ?
「……僕は魔術ギルドに席があるし、アーチさんから個人的な依頼が来るから転職代は問題ありません」
氷の魔法を使える人は少ないって聞いてましたし、魔術ギルド的には得難い人材って奴なんですね……
ましてやアーチさんが育てているらしいから、多少の無茶は聞きそうですね。
聞かなかったら性的に喰われてしまうでしょうから。
「結婚資金はレンに戻ってから、豆腐を売って稼ぎます」
醤油や魚醤の作り方も教えましたがあれは神殿の利益でしたね……
というか売るならもう少し塩加減を調節しないと……まあ正解にたどり着けていますし分量ぐらいは教えてあげますか。
キスの実演を見せつけてコカちゃんともして、ロウはナクアちゃんにねだられて……早速イブ達もしてました。
そして夕食……傘の開いたマッシュルームに炒めたタマネギと角切りにしたレッド、更に千切った豆腐とチーズを敷き詰めて石窯で焼いたキノコグラタンを作りましたよ。
他はコカちゃんが作ったキノコの炊き込みご飯、リベンさんの得意料理というキノコポタージュ、最後にイブへのアドバイスを兼ねたデザートを用意しました。
「これが噂の傘が開いたマッシュルームか……確かに美味いな」
日本じゃまず食べられませんからね……あたしもその味にビックリしましたよ。
「このポタージュ……美味しい」
「そう?それじゃ明日にでも作り方を教えてあげるわね……一応アプにも教えたんだけど」
アプさんは全く料理が出来ませんから……とはいえあたしも教えて欲しいですね。
コカちゃんが習ったらそのままあたしに教えて貰いましょう。
「キノコがいっぱい入ったご飯が美味しー!」
ンガイを離れたらまた当分キノコが食べられませんからね、飽きる程食べておきましょう。
よし、そろそろデザートを出しますか。
「これは……オレンジ色の豆腐、ですか?」
「味は付いてるのでそのまま食べてみて下さい」
「あ、これ……いつかの、ゼリーみたいな味」
「他にもリンゴやイチゴ等も使えますし、美味しいですよ」
「成程……豆腐は白いだけじゃないんですね」
砂糖がなく、かつアマミズの水の存在すら知らなかった時に甘い物が食べたくなって作ったゼリーの応用で……固める前の豆乳にすりおろしたニンジンとオレンジの果汁を加えた、デザート豆腐です。
幸いオレンジは何処にでもありますし、ニンジンも安く買えますからね……
因みに日本でもチョコレートやカルピスを加えて作った豆腐が評判良いそうです……
実際に食べた事はないので鵜呑みにするのは怖いですが。
「アマミズがあればもっと簡単に甘く作れますが……レンにはありませんからね」
「そういえば……鞄に入ってるアマミズ、そろそろ……なくなりそうだね」
ボリアでミラさんに貰ったきりでしたからね……むしろよくここまで持ってくれましたよ。
「ってそういえば……以前デストさんはこの辺りのアマミズを狩り尽くすとか何とかいう騒ぎを起こしたとか言ってましたっけ」
明日はアマミズを探して補充しましょう。
いつ甘い物を食べたくなるか解りませんし、煮物に入れれば味に深みが出ますし、ラーメンに乗せるチャーシューにも欠かせませんからね。
王様達を見送って、久しぶりにモンスターを狩る為郊外にコカちゃんと一緒に来ましたよ。
「さて、手甲を装備して……と」
うん、サイズもピッタリだし手によく馴染んでいます。
流石はデストさんですね。
魔力は予め蓄えておきましたのですぐにでも試せますよ。
で、少し歩いてたら熊が1匹……ヒグマっぽい見た目ですが此方に気づいて向かって来ましたね。
「あの熊は害獣ですか?モンスターですか?」
「熊は……害獣だよ、家畜とか……旅人を襲うし、下手なモンスターより……強いの」
ふむ……つまりイノシシ同様食べても問題ないのですね。
とはいえ熊の解体は難しいらしいですし、多分デストさんですら経験がないでしょう。
何よりも人間を襲って食べたりしたかもしれない獣の肉を食べるのは抵抗かありますし、今回は諦めます。
まあ放置する訳にはいかないので倒しますけど。
「まさか異世界で熊と戦う事になるとは思いませんでしたね……」
日本では熊と戦って勝った格闘家に熊殺しという称号が与えられますが……流石に補正はないですよね?
「ふぅ……【鋼】!」
よし、ちゃんと鋼になったし鳩尾に入った……ってうわ、熊の背中から幾つもの骨が!?
ちょっと所ではなくグロい物を見てしまいました……今日はお肉を食べるのは止めておきましょう。
それにしてもこの鋼を相殺したラスカさん……やはり強かったですね。
トゥール様の話通りなら師範も可能でしょうが……あの人なら熊どころかゾウを瞬殺しても不思議ではありませんし。
熊を埋めてモンスターを探して……ゴブリンやコボルトを倒して水晶を拾い、って久しぶりにこの作業をしましたね。
この手甲のお陰で魔力を気にせずに、鋼の持続時間が15秒、攻撃する場合3発まで続きましたし……威力も変わらないから次は両手で使える様に特訓します。
「水晶を独占する人達が居なくなったからか、ちらほらとモンスターが増えましたね」
「うん、キュアちゃんが屋台で使う赤も……確保、出来たね」
ンガイでは行商人の暗黙の決まりとやらで、故郷で屋台は出せないとか言ってましたから使わずに済んでましたがね。
アプさんはンガイの生まれで、その娘のコカちゃんや婚約者であるあたしも商売が出来ないので今の所は問題ないです。
まあ最初に牡丹鍋を作った時とイノシシ狩りの時に焚き火をつけるのに使ってしまい残り1個しかなかったから補充出来たのは有難いのですが。
「そろそろお昼にしますか?」
「うん……それじゃ、戻ろっか」
さて、何を作りますか……なるべくお肉は避けたい所ですが干物は次の村で売る分が減ってしまうし、今から豆腐を作る時間はないですし。
キノコは食べたいですがアプさんが苦手だし……ってそういえば何度か牡丹鍋にキノコを入れましたが普通に食べてましたよね?
もしかしてデストさんの勘違い……それとも別の理由が?
「キノコ?普通に食えるよ」
恐る恐る聞いたらすんなり答えてくれました……
「あたいが嫌いなのはキノコじゃなくて、乾燥したキノコの匂いなんだよ……ンガイでなきゃ生のキノコは食えないし、デストが勘違いするのも無理はないねぇ」
成程……お刺身は食べられても干物が苦手って人も居ますし、納得しました。
そういう事なら昼食はキノコ料理と洒落混みましょう。
リベンさんから売り物にならないキノコは好きに使って良いと言われていますし。
そんなこんなで作ったのはシイタケとキクラゲとマッシュルームの天ぷら、シイタケの照り焼き、キクラゲの卵とじ、シイタケの石突きの味噌汁です。
天ぷらは塩でも美味しいですが今回は醤油か魚醤で食べます。
因みにマッシュルームは日本のスーパーにある様な小さな物ではなく、大きくて傘の開いた物を使わせて頂きました。
勿論売り物にならない傷物や形の悪い物から選びましたよ。
「小麦粉を水でといた物を塗って熱い油に入れただけでこんなに美味くなるとはのぉ……」
だけって言いますが天ぷらは結構難しいんですよ?
特にキクラゲの天ぷらは揚げ過ぎるとこの歯応えが無くなってしまいますし。
まあリベンさんはちょっとコツを教えただけですぐに覚えてしまいましたけど。
「石突きからこんなにいい味が出るなんて……知らなかったわねぇ」
シイタケの石突きって傘の部分程ではないにしろ結構な旨味があるんですよね……
ただ旨味を上回る木材臭さ……もしくはオカクズの臭いがあるんですが味噌汁だと気にならなくなります。
というか食べられるのに捨てるのは勿体ないですからね。
「卵とじ……美味しいね」
生のキクラゲだからこその料理ですからね……
乾燥させたキクラゲじゃこの味が出ませんし、乾物臭さが出てしまいます。
それにしても……傘の開いたマッシュルームは初めて食べましたけど、こんなに味が濃いとは思っていませんでした。
確かにこれならチーズやピザソースにも負けないでしょうね……何で日本では傘の開いていない小さな物しか売られていなかったのでしょうか?
ンガイを立つまで後2日……出来る限り食べておきましょう。
売り物にならない物はまだ沢山ありましたからね。
「所でアプ……昼間から酒はどうかと思うんじゃが?」
さっきから静かだと思ったらアプさん……シイタケの照り焼きを肴に飲んでいたんですね。
夕方……そろそろ夕食の準備をしようと思ったらイブと少年が来ました。
そういえば様子を見ようと思っておきながら忘れてましたね。
「あ、あの……出来ました!」
……え?
まさか、たった3日で出来たのですか?
「……一応、それっぽくなったから試して下さい」
確かに見た目はちゃんとした豆腐ですが……ふむ。
「折角だし、ボクも……んー……ちょっと、しょっぱい?」
うん……多少塩辛さがありますが、まごう事なき豆腐ですね。
「塩を加えて温めて、型に流して置いたら出来たんです」
「良く気が付きましたね……」
この世界の塩はいわゆる昔ながらのやり方で作られていますからね……ミネラルが豊富で、その中にはニガリと同じ成分が含まれているのです。
因みに量は豆乳200ccに対して小さじすりきり1で固まりますが、この味から察するに余分に入れた様ですね。
まあ、イブ達が気付きやすい様にわざとらしく豆乳の側に塩の詰まった袋を置いたりはしましたけど。
「……それで、ちょっとお願いがあるんですけど」
お願い……一体何を?
というか何でイブとクロマ君は顔を赤くしているのですか?
「わ、私達に……キスのやり方を教えて下さい!」
……一体何があってそうなったのですか?
「実は……豆腐が出来た時に、クロマ君に告白されて……お付き合いする事になったんですけど」
クロマ君にはイブの気を引いて欲しいと思っていましたが、予想以上の成果を出しましたね!
良くやってくれました!
「……でも、いざとなったら何をすればいいのかが解らなくて、アーチさんに聞いたら先ずはキスからって」
それでキスのやり方、ですか……
この世界にはいわゆるサブカルチャーが存在しないし、ラブシーンまでやる演劇をする一団は居るそうですがほぼ貴族の娯楽ですからね。
因みにサーグァ様、王様と結婚する前は歌い手としてその一団に入っていたそうです。
「この世界の性教育ってどうなっているのですか?」
「えっと……図書館でそういう本を読むか、成人した時に……そういう講習を受けるか、だね」
つまりまだ成人していないコカちゃんは図書館で覚えたんですね……
仕方ありません……後であたしとロウで実演してあげましょう。
「……ボクとも、して?」
上目遣いで見なくても終わったらしますよ。
「……それと、6年後に僕達の転職と結婚式をして欲しいんですが」
ミラさんからも頼まれましたが、クロマ君とイブもあたしに式を行えと申しますか。
というかあたしとイブは宗派が違うんですが……
まあトゥール様と友達になりましたしそこは問題ないでしょう。
転職は……確か大神官以上の権限が必要だった気がしますが?
うん、あたしが頑張って出世するしかないですね。
「するのは構いませんが転職と式を同時って、大丈夫なんですか?」
主に支払いとか、水晶の代金とか。
結婚資金はよく解りませんが2人の転職だと4万ハウトは掛かりますよ?
「……僕は魔術ギルドに席があるし、アーチさんから個人的な依頼が来るから転職代は問題ありません」
氷の魔法を使える人は少ないって聞いてましたし、魔術ギルド的には得難い人材って奴なんですね……
ましてやアーチさんが育てているらしいから、多少の無茶は聞きそうですね。
聞かなかったら性的に喰われてしまうでしょうから。
「結婚資金はレンに戻ってから、豆腐を売って稼ぎます」
醤油や魚醤の作り方も教えましたがあれは神殿の利益でしたね……
というか売るならもう少し塩加減を調節しないと……まあ正解にたどり着けていますし分量ぐらいは教えてあげますか。
キスの実演を見せつけてコカちゃんともして、ロウはナクアちゃんにねだられて……早速イブ達もしてました。
そして夕食……傘の開いたマッシュルームに炒めたタマネギと角切りにしたレッド、更に千切った豆腐とチーズを敷き詰めて石窯で焼いたキノコグラタンを作りましたよ。
他はコカちゃんが作ったキノコの炊き込みご飯、リベンさんの得意料理というキノコポタージュ、最後にイブへのアドバイスを兼ねたデザートを用意しました。
「これが噂の傘が開いたマッシュルームか……確かに美味いな」
日本じゃまず食べられませんからね……あたしもその味にビックリしましたよ。
「このポタージュ……美味しい」
「そう?それじゃ明日にでも作り方を教えてあげるわね……一応アプにも教えたんだけど」
アプさんは全く料理が出来ませんから……とはいえあたしも教えて欲しいですね。
コカちゃんが習ったらそのままあたしに教えて貰いましょう。
「キノコがいっぱい入ったご飯が美味しー!」
ンガイを離れたらまた当分キノコが食べられませんからね、飽きる程食べておきましょう。
よし、そろそろデザートを出しますか。
「これは……オレンジ色の豆腐、ですか?」
「味は付いてるのでそのまま食べてみて下さい」
「あ、これ……いつかの、ゼリーみたいな味」
「他にもリンゴやイチゴ等も使えますし、美味しいですよ」
「成程……豆腐は白いだけじゃないんですね」
砂糖がなく、かつアマミズの水の存在すら知らなかった時に甘い物が食べたくなって作ったゼリーの応用で……固める前の豆乳にすりおろしたニンジンとオレンジの果汁を加えた、デザート豆腐です。
幸いオレンジは何処にでもありますし、ニンジンも安く買えますからね……
因みに日本でもチョコレートやカルピスを加えて作った豆腐が評判良いそうです……
実際に食べた事はないので鵜呑みにするのは怖いですが。
「アマミズがあればもっと簡単に甘く作れますが……レンにはありませんからね」
「そういえば……鞄に入ってるアマミズ、そろそろ……なくなりそうだね」
ボリアでミラさんに貰ったきりでしたからね……むしろよくここまで持ってくれましたよ。
「ってそういえば……以前デストさんはこの辺りのアマミズを狩り尽くすとか何とかいう騒ぎを起こしたとか言ってましたっけ」
明日はアマミズを探して補充しましょう。
いつ甘い物を食べたくなるか解りませんし、煮物に入れれば味に深みが出ますし、ラーメンに乗せるチャーシューにも欠かせませんからね。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢になんてさせません。
夜船 紡
ファンタジー
侯爵家に奉公することになった貧乏子爵家の三女 エリゼ。
初めて仕えるマリアにあった時に前世の記憶を思い出す。
マリアは自分の読んでいた小説の悪役令嬢だった。
マリアの環境を見てみると、彼女の両親は彼女に関心が無く、教育も衣食住も使用人に全て任しっきりの精神的ネグレクトを受けていることに気が付く。
そんな彼女に母性が働き、うちの子(マリア)を絶対にいい子にしてみせる!とマリアの侍女見習いとして働くことに・・・
なにがなにやら?
きりか
BL
オメガバースで、絶対的存在は、アルファでなく、オメガだと俺は思うんだ。
それにひきかえ俺は、ベータのなかでも、モブのなかのキングモブ!名前も鈴木次郎って、モブ感満載さ!
ところでオメガのなかでも、スーパーオメガな蜜貴様がなぜに俺の前に?
な、なにがなにやら?
誰か!教えてくれっ?
どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
指輪一つで買われた結婚。~問答無用で溺愛されてるが、身に覚えが無さすぎて怖い~
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約破棄をされて実家であるオリファント子爵邸に出戻った令嬢、シャロン。シャロンはオリファント子爵家のお荷物だと言われ屋敷で使用人として働かされていた。
朝から晩まで家事に追われる日々、薪一つ碌に買えない労働環境の中、耐え忍ぶように日々を過ごしていた。
しかしある時、転機が訪れる。屋敷を訪問した謎の男がシャロンを娶りたいと言い出して指輪一つでシャロンは売り払われるようにしてオリファント子爵邸を出た。
向かった先は婚約破棄をされて去ることになった王都で……彼はクロフォード公爵だと名乗ったのだった。
終盤に差し掛かってきたのでラストスパート頑張ります。ぜひ最後まで付き合ってくださるとうれしいです。
木漏れ日の中で…
きりか
BL
春の桜のような花びらが舞う下で、
その花の美しさに見惚れて佇んでいたところ、
ここは、カラーの名の付く物語の中に転生したことに俺は気づいた。
その時、目の前を故郷の辺境領の雪のような美しい白銀の髪の持ち主が現れ恋をする。
しかし、その人は第二王子の婚約者。決して許されるものではなく…。
攻視点と受け視点が交互になります。
他サイトにあげたのを、書き直してこちらであげさしていただきました。
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる