上 下
2 / 4

2

しおりを挟む
「お・・じょ・・ま・・」

誰・・・?
何で、私を呼んでるの、、?

「お嬢様」

「ん、、ッ、、」

・・・クリス?
何でクリスが、、

「お嬢様、大丈夫ですか、、」

「なんで、、クリスが、、」

待って、、何で今私・・・話せたの、、?

「私は貴方の執事であり、従者なので・・・」

そこまで聞いて、意識がはっきりした

「ク、クリス・・なんで生きてるの、、?」

確かに私の目の前でクリスは首を落とされて死んだ、、
私も一緒にその時に死んだのに、、

私は疑問をそのままクリスに伝えると、無表情のまま
「・・・お嬢様は私に死んでほしいのですか」
と聞き返して来た


「ち、、違うのッ
ごめんなさい、、
少し悪い夢を見ていたみたい、、、」

軽率だった・・
もしかして、、時間が巻き戻ったの・・?
ど、、どうしよう、、だとしたらさっきの言葉、、クリスからしたら早く死んでと言ってるようにしか聞こえないわ、、ッ

「今、私に謝ったのですか・・・」

「そ、そうよッ?!
わ、私、あなたに死んでほしいなんて思ったこと一度もないからッ!!
さっきのは、本当に悪い夢を見てただけで夢と現実がごちゃ混ぜになってたの・・
だから、、不快にさせてしまってたならごめんなさい・・」

「何故貴方が私に謝罪など・・」

あ・・
そ、そうよ、、!
これまで人生で一度も誰かに謝罪したことなんでなかったんだったわッ?!
今考えると本当に最低だわ、、

それに私、使用人には特に当たりが強かったのよね・・
みんなそのせいで辞めていってしまったのに、クリスだけは私の仕打ちにずっと耐えて私についていてくれていた

実はいうと、クリスは元々奴隷だった
幼い頃から、屋敷を転々として私がお父様にお願いして奴隷市場で買う前は殺し屋に買われて暗殺をしながら生活していたらしい
それも10歳で、完璧な殺しの技術を身につけて仕事も完璧にこなし100%の確率で殺しを成功していた
だけど、クリスは生活するために人を殺していたけれど本当は優しく人思いな性格だった。それもあって何千人と殺し続け、18歳になった頃ついに限界がきてしまい心が壊れて使い物にならなくなったと、奴隷市場にまた捨てられたそうだ

そんな彼と出会ったのは私が16歳の時お父様の仕事で、街に行った日に奴隷市場に迷い込んでしまったのが始まりだった

護衛もいたため、危ない目には遭うこともなかったけれど初めて目にしたそこは衝撃的なものだった

少し進んだところで、檻に入れられた傷だらけの男の人に目がいった

男の人の目を見てもまったく視線が合わず・・まるで世界のすべてを嫌っているかのようだった

何故かその時、私はこの人なら私を裏切らないかも・・
そう思った

だから私は

「ねぇ、あなた・・
私のものになりなさい」

そう言って、慌てて追いかけて来たお父様にお願いして彼を奴隷市場で買ってもらった

屋敷に連れて帰って、汚れた体を綺麗にし、新しい服を着せた

クリスは最初、全く話そうとしなかった
正直腹がたったけど、話す気がないならどんなに私が言っても無駄だろうと思い私も無理矢理話させようとはしなかった

それから半月が経ち、さすがに何かさせなくてはと思いはじめ、ちょうど使用人が私の仕打ちのせいでいなくなっていたので従者兼執事としてそばに置くことにした

話そうとはしなかったけど、一応話は聞いているみたいで剣術も執事の仕事も教えたらすぐに覚えた

一年経った頃、ようやく必要なことだけは話すようになった
私は相変わらず我儘放題で、手を挙げることともしばしばあったりと最悪だったため更に使用人の数は減っていっていた
だけどクリスだけは、私に忠実だった
私が命令すればなんでもした
足が痛いからマッサージしてと言えばマッサージをして、クッキーが食べたいと言って、持って来てもらったのに、やっぱりケーキが食べたいと言えばすぐに用意をしてくれた
他にもクリスが使用人と話しているのを見て、私が怒り分厚い本を投げつけて頬に傷をつけてしまった時も怒ることなく謝った
それ以来クリスが私以外と話すことも無くなった

でも、、オリビア令嬢を殺してとお願いした時は少し違った

常に無表情で私がどんなに酷いことをしても表情ひとつ変えることなんてなかったのに、私がお願いした時クリスが初めて怯えた顔をした

目が・・・
''そんなことしたくない''
そう言っていた

それを分かっていて、私は

「あなたまで私を裏切るの?!
貴方は私のものなのよ?!!
私の言うことを聞きなさいッ」

そう言って怒鳴りつけた

クリスはすぐにまた無表情に戻り、
「承知しました」とだけ言って任務を遂行した

だけど、それは失敗に終わり結局私のせいでクリスを道連れにしてしまった・・

もう二度とあんな過ちは犯さない

__________________


お読みくださりありがとうございます😊
また続きも読んでいただけると嬉しいです🥲🥲
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

もうすぐ、お別れの時間です

夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。  親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?

七年間の婚約は今日で終わりを迎えます

hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。

【完結】見染められた令嬢

ユユ
恋愛
婚約時の決まり事である定期茶会で、公爵令息と顔を合わせたレイナの中身は転生した麗奈だった。 レイナを疎む婚約者に段々と遠慮なく日本語で悪態をついていく。 自己満足的なストレス発散をして帰るレイナをいつの間にか婚約者が纏わりつく。 *作り話です *完結しています *ほんのちょっとだけ閨表現あり *合わない方はご退室願います

そんなに幼馴染の事が好きなら、婚約者なんていなくてもいいのですね?

新野乃花(大舟)
恋愛
レベック第一王子と婚約関係にあった、貴族令嬢シノン。その関係を手配したのはレベックの父であるユーゲント国王であり、二人の関係を心から嬉しく思っていた。しかしある日、レベックは幼馴染であるユミリアに浮気をし、シノンの事を婚約破棄の上で追放してしまう。事後報告する形であれば国王も怒りはしないだろうと甘く考えていたレベックであったものの、婚約破棄の事を知った国王は激しく憤りを見せ始め…。

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

処理中です...