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全ては葬られ、そして夜が明ける
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高麗はその場で拘束され、全ての過去を吐かされた。
だいたいの流れはあの煙の周皇太后が語ったことと違いはなかった。
だから高麗が新たにしたものは、過去の楊春容、つまり母さまをどうやって罠に嵌めたのかとか、他の先代皇帝の皇子たちをどうやって死に追いやったのかとか、そういった具体的な話だった。
高麗は周皇太后の腹心だったらしく、大抵のことを知っていた。
楊太師はその後、しばらくの間ショックで寝込んでしまった。
私は後宮からは基本出られないのでお手紙しか出せなかったのだが、どうやら弟の優駿が、まめにお見舞いに行ったらしい。
そしてそんな母さまにそっくりな孫息子の慰めのおかげか、しばらくした後に、楊太師はまた皇宮に復帰した。
結局あの時貴妃宮で起ったことは、関係者だけの秘密となった。
そして表向きは、周貴妃の危篤の報は周皇太后の危篤の間違いだったとされ、そして看病の甲斐無く周皇太后は亡くなったという発表になった。
それは全て、周貴妃を守るための白龍の指示であった。
周皇太后の悪事が表沙汰になってしまったら、周貴妃は連座で死罪を免れない。
悪事を働いた本人は罰せられることなくあっさりと死んでしまい、何も知らずにただ指示に従っていたにすぎない、そして逃げられもしなかっただろう娘が罪に問われて死罪ではさすがに可哀相だという白龍の気持ちは私もよくわかる。
周皇太后が愛用していたという毒薬数種とその解毒薬が押収され、その解毒薬の効果でしばらくして周貴妃は目覚めた。
高麗の証言で、周皇太后は白龍の関心を娘に向かせるために、実の娘にも毒をたびたび盛っていたことが明らかになっている。
周貴妃はそのせいで、過去に何度も倒れていたらしい。そして今回も死なないギリギリの量を盛られていたとのことだった。
だが目を覚ました周貴妃には幸いにも後遺症もなく、健康だとのことだ。ただ母親の死を聞かされてショックを受けているとのこと。
しかしそれらもろもろの話は全て、白龍と私と、そしてあの場にいた高官たちとその腹心の宦官たちだけの秘密となり。
唯一表に出されたのは、死に際の周皇太后が、かつて処刑されたはずの従姉妹の楊賢妃が生き延び先代皇帝の娘を産み落としていて、その娘が王淑妃であることを認めたという話だった。
実の娘にも言えなかった重大な秘密を、その責任感からとうとうその死に際に皇帝に告白したという一見美しい話が作り上げられていた。
そしてその結果、私は正式に先代皇帝の皇女という身分になったのだった。
さすがに周皇太后が証言したという公文書があると、誰も疑うことは出来ないようで。
もう何もかもが見事な「死人に口なし」である。
皇帝と高官が結託すると、何でも出来るんだな……と私はちょっと遠い目になった。
そして。
「まあこんなもんだろう。これで障害は全て排除した。だからいいな? お前にもかつての約束を守ってもらうぞ? さあ来い」
そう言って、全ての顛末を改めて報告しにきただけのはずの白龍に、私はなぜか意気揚々と引きずられるように皇宮へと連行され。
気がついたら、正式に皇帝との結婚式が始まっていたのだった。
はて?
いったいいつの間に準備したのか。
この衣装とか装飾とか。なぜかあつらえたように私にぴったりなんだけれど。
え? でも衣装合わせとか人員配置計画とか進行スケジュール調整とか、準備がたくさんいるよね……?
しかし、私は近くで楊太師と李夏さまが、にこにこと満足げな顔で控えているのを見て悟った。
なるほど。皇帝と高官が結託すると以下略。
でもこの急展開に動揺した私が隣を見たら、奴は幸せそうな笑みを浮かべていて。
だから、じゃあいいかと、私も腹をくくった。
なんだかんだと腐れ縁。奴は昔から、そして今でも私と結婚したかったのだという。
ならば、私も添い遂げようじゃないか。私がはるか昔に夢見たように。
ずっと忘れられなくて、今世もやっぱり好きだと思い知らされたこの人と。
ちょっと昔とは状況は変わってしまったけれど。
「皇帝陛下、万歳!」
「皇后陛下、万歳!」
万歳万歳と連呼している沢山の人たちの前に、私たちは並んで立った。
皇帝と皇后だけが身にまとうことの出来る黄の色と、そしてめでたい色である朱の色が美しく融合した豪華な婚礼衣装を身にまとって。
「俺たち、やっと一緒になれたな」
そんな、嬉しそうに笑う奴の顔は前世の時から何も変わらない。
わたしにはずっと忘れられなかった懐かしくて、愛おしいその笑顔。
「そうね。半世紀かかったわね、私たち」
頭の飾りが重すぎて、なかなか顔も自由に動かせないのだけれど。
でもそれが幸せの重さにも思えて。
やっと……やっと私は悪夢から逃れて幸せな夢を実現させたのだった。
……実現……させたよね……?
「あとは、また二十八で死なないようにするだけだな。もう大丈夫だとは思うんだが」
「それよ。とりあえずは結婚式もしたし、もう心残りはないよね? 大丈夫よね?」
そう、二度あることは三度あるとは言うけれど。まさかね?
「心残りか? もう大半は……あとは可愛い子供が二、三人欲しいくらいかな」
「は? あと残り数年でそんなには無理でしょ! 一人……間に合うか……? どうだ……?」
「ま、次があっても今度はちゃんとすぐにお前を迎えに行くからな。住所も覚えたし。任せろ!」
「いやでも私はもう赤ちゃんからなんて嫌なのよ! もうあんな苦労なんてしたくない! せめて繰り返すなら昨日くらいからにして!」
「きゅっ?」
バクちゃんが私の叫びを聞いて、驚いたように私を見上げた。
今日のバクちゃんは、白龍の晴れ姿を祝福して姿を現した、白龍の隣に陣取っている白虎の白から見えないようにひたすら逃げ回った挙句、とうとう私の足を盾にして隠れるように小さくなっていることにしたらしい。
私が歩みを止めると、私の足にくっついたままぺたんと平べったくなるバクちゃん。
白にびくびくと怯えつつも私からは離れようとしないバクちゃん、ほんとになんて可愛いんでしょう。
でもバクちゃんごめん、きっとこの先、ずっと一緒だ私たち。
だから白にも頑張って慣れてね……。
「きゅうーー…………」
ちょうどその時、バクちゃんがうっかり白と目が合ってしまったらしく、弱々しい悲鳴を上げた。
だいたいの流れはあの煙の周皇太后が語ったことと違いはなかった。
だから高麗が新たにしたものは、過去の楊春容、つまり母さまをどうやって罠に嵌めたのかとか、他の先代皇帝の皇子たちをどうやって死に追いやったのかとか、そういった具体的な話だった。
高麗は周皇太后の腹心だったらしく、大抵のことを知っていた。
楊太師はその後、しばらくの間ショックで寝込んでしまった。
私は後宮からは基本出られないのでお手紙しか出せなかったのだが、どうやら弟の優駿が、まめにお見舞いに行ったらしい。
そしてそんな母さまにそっくりな孫息子の慰めのおかげか、しばらくした後に、楊太師はまた皇宮に復帰した。
結局あの時貴妃宮で起ったことは、関係者だけの秘密となった。
そして表向きは、周貴妃の危篤の報は周皇太后の危篤の間違いだったとされ、そして看病の甲斐無く周皇太后は亡くなったという発表になった。
それは全て、周貴妃を守るための白龍の指示であった。
周皇太后の悪事が表沙汰になってしまったら、周貴妃は連座で死罪を免れない。
悪事を働いた本人は罰せられることなくあっさりと死んでしまい、何も知らずにただ指示に従っていたにすぎない、そして逃げられもしなかっただろう娘が罪に問われて死罪ではさすがに可哀相だという白龍の気持ちは私もよくわかる。
周皇太后が愛用していたという毒薬数種とその解毒薬が押収され、その解毒薬の効果でしばらくして周貴妃は目覚めた。
高麗の証言で、周皇太后は白龍の関心を娘に向かせるために、実の娘にも毒をたびたび盛っていたことが明らかになっている。
周貴妃はそのせいで、過去に何度も倒れていたらしい。そして今回も死なないギリギリの量を盛られていたとのことだった。
だが目を覚ました周貴妃には幸いにも後遺症もなく、健康だとのことだ。ただ母親の死を聞かされてショックを受けているとのこと。
しかしそれらもろもろの話は全て、白龍と私と、そしてあの場にいた高官たちとその腹心の宦官たちだけの秘密となり。
唯一表に出されたのは、死に際の周皇太后が、かつて処刑されたはずの従姉妹の楊賢妃が生き延び先代皇帝の娘を産み落としていて、その娘が王淑妃であることを認めたという話だった。
実の娘にも言えなかった重大な秘密を、その責任感からとうとうその死に際に皇帝に告白したという一見美しい話が作り上げられていた。
そしてその結果、私は正式に先代皇帝の皇女という身分になったのだった。
さすがに周皇太后が証言したという公文書があると、誰も疑うことは出来ないようで。
もう何もかもが見事な「死人に口なし」である。
皇帝と高官が結託すると、何でも出来るんだな……と私はちょっと遠い目になった。
そして。
「まあこんなもんだろう。これで障害は全て排除した。だからいいな? お前にもかつての約束を守ってもらうぞ? さあ来い」
そう言って、全ての顛末を改めて報告しにきただけのはずの白龍に、私はなぜか意気揚々と引きずられるように皇宮へと連行され。
気がついたら、正式に皇帝との結婚式が始まっていたのだった。
はて?
いったいいつの間に準備したのか。
この衣装とか装飾とか。なぜかあつらえたように私にぴったりなんだけれど。
え? でも衣装合わせとか人員配置計画とか進行スケジュール調整とか、準備がたくさんいるよね……?
しかし、私は近くで楊太師と李夏さまが、にこにこと満足げな顔で控えているのを見て悟った。
なるほど。皇帝と高官が結託すると以下略。
でもこの急展開に動揺した私が隣を見たら、奴は幸せそうな笑みを浮かべていて。
だから、じゃあいいかと、私も腹をくくった。
なんだかんだと腐れ縁。奴は昔から、そして今でも私と結婚したかったのだという。
ならば、私も添い遂げようじゃないか。私がはるか昔に夢見たように。
ずっと忘れられなくて、今世もやっぱり好きだと思い知らされたこの人と。
ちょっと昔とは状況は変わってしまったけれど。
「皇帝陛下、万歳!」
「皇后陛下、万歳!」
万歳万歳と連呼している沢山の人たちの前に、私たちは並んで立った。
皇帝と皇后だけが身にまとうことの出来る黄の色と、そしてめでたい色である朱の色が美しく融合した豪華な婚礼衣装を身にまとって。
「俺たち、やっと一緒になれたな」
そんな、嬉しそうに笑う奴の顔は前世の時から何も変わらない。
わたしにはずっと忘れられなかった懐かしくて、愛おしいその笑顔。
「そうね。半世紀かかったわね、私たち」
頭の飾りが重すぎて、なかなか顔も自由に動かせないのだけれど。
でもそれが幸せの重さにも思えて。
やっと……やっと私は悪夢から逃れて幸せな夢を実現させたのだった。
……実現……させたよね……?
「あとは、また二十八で死なないようにするだけだな。もう大丈夫だとは思うんだが」
「それよ。とりあえずは結婚式もしたし、もう心残りはないよね? 大丈夫よね?」
そう、二度あることは三度あるとは言うけれど。まさかね?
「心残りか? もう大半は……あとは可愛い子供が二、三人欲しいくらいかな」
「は? あと残り数年でそんなには無理でしょ! 一人……間に合うか……? どうだ……?」
「ま、次があっても今度はちゃんとすぐにお前を迎えに行くからな。住所も覚えたし。任せろ!」
「いやでも私はもう赤ちゃんからなんて嫌なのよ! もうあんな苦労なんてしたくない! せめて繰り返すなら昨日くらいからにして!」
「きゅっ?」
バクちゃんが私の叫びを聞いて、驚いたように私を見上げた。
今日のバクちゃんは、白龍の晴れ姿を祝福して姿を現した、白龍の隣に陣取っている白虎の白から見えないようにひたすら逃げ回った挙句、とうとう私の足を盾にして隠れるように小さくなっていることにしたらしい。
私が歩みを止めると、私の足にくっついたままぺたんと平べったくなるバクちゃん。
白にびくびくと怯えつつも私からは離れようとしないバクちゃん、ほんとになんて可愛いんでしょう。
でもバクちゃんごめん、きっとこの先、ずっと一緒だ私たち。
だから白にも頑張って慣れてね……。
「きゅうーー…………」
ちょうどその時、バクちゃんがうっかり白と目が合ってしまったらしく、弱々しい悲鳴を上げた。
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