上 下
16 / 45

明井 花

しおりを挟む



 外は未だ雨が降り続けているようだ。窓を叩く音がそのことを報せてくる。

 雨に打たれてずぶ濡れになった幼馴染のその壊れてしまいそうな顔を見た時はどうなる事かと慌てたが、何とか彼女を励ますことができ、雨が降ったその地も固まろうとしているのだと思ったその矢先、明井花は語り出した。

 どうやら、彼女の表情を曇らせていた憂いは、一つだけではなかったらしい。

「あの日の朝、テンちゃんが言ったこと、覚えてる?」

 既に涙で頬を濡らしている彼女がぽつりと僕を見ないままそう言った。

 ……え、何だっけ? そもそもあの日っていつだ?

「……いや」

「……この先何年、何十年経っても言われるのかと思うと……って」

 ……ああ、そういうことか。

 あの日――友情に破れた僕が次に希望を見出した恋にもまた破れたのだと自覚したその翌日であり、感情を爆発させて取り返しのつかない大立ち回りを演じた中学生活最後の日。 

 確かに覚えている。僕は絶望に心を侵されかかっていた心を救ってくれたハナにそんなことを言ったな、うん。

「あたしはソレに『コレからもずっとからかってあげる』って言ったの……ソレなのに」

「……うん?」

 ハナの頬を伝う涙が一つ、もう一つと増えていく。

「あたしとのことをからかわれたせいで、テンちゃん……キレちゃったんだよね。あたしの、せいで……」

「ソレは違う!」

 僕は即座に否定した。

「違わないよ! そのせいだけではないかもしれないけど、そのことがなければ……テンちゃん一緒に学校行ってたかもしれないじゃん!」

 ハナが僕を見た。瞳に溜め切れずに溢れた涙は頬を伝い膝に落ち、最早水滴で描かれた点どころではなく、しとどに濡れた染みを作っていた。

「いや、時間の問題だったと思う――」

「せめてあたしがその場にいて、そのからかったヤツをぶん殴ってれば、こうはならなかったんだよ!」

 こんなに取り乱すハナを見たのは初めてかもしれない。

「おいおい……ハナにそんなことさせられるかよ」

「テンちゃんだったら! あたしが初めて出来た彼氏にすぐフラれて落ち込んで、目にクマ作ってたらどうする?」

「……そりゃ、慰めるよ」

 ……ハナが何を言いたいか、もう分かっていた。同時に、ハナが僕に絶対的な信頼を持っていることも。

「……そのことであたしがクラスの女子にいじられてたら?」

「……絶対に、ぶっ飛ばす……な」

「そうでしょ!? あたしはソレができなかったの! 朝の会話で満足してたの!『コレからも一緒なんだ』なんて浮かれて舞い上がってたの! テンちゃんがあんなことになってたなんて……なんにも知らずに!」

 感極まったハナが立ち上がりかける。僕はすぐさまソレを制するように、可能な限り落ち着かせようと諭すような口調で言う。

「ソレは、その場に居なかったからだろ。仕方ないよ」

 だが、彼女の気持ちは止められなかった。

「仕方なくないよ! あたしが、心のどこかで『なんだかんだ言ってテンちゃんは一人で何でも出来る』なんて思ってたから! 騒ぎが聞こえてきても、テンちゃんのことだなんて思いもしなかった! 駆けつけなかった! あんな、知った風なこと言ったのに……!」

 ……知った風なこと?

 僕はあの朝の記憶をなぞってみる。

 ――子供だよ。あたしも、テンちゃんも。天才で、何でも出来ちゃうの知ってるけど、本当にびっくりするくらい些細なことで傷ついたり、落ち込んだりするの知ってるんだから。

 ……あぁ、あの言葉を、後悔していたのか。

 ……あの言葉を、嘘にしてしまったと悔いていたのか。

 僕はドレだけ救われたか分からない、あの言葉を……!

「どうやったら、償えるのか、分から……ない……からっ! あたしがテンちゃんを学校に戻して、次からは! 絶対守るからって……ソレしか、思いつかなくて……あたしバカだから、ソレしか! 思いつかなくて……!」

 僕は泣きじゃくるハナの両肩に優しく手を置いた。

「ねぇ、ハナ。聞いて?」

 ……どうして僕はハナにだとこんなに優しくなれるんだろう? こんな声が出せるんだろう? 

 自分でも不思議だ。

「ぐすっ……何?」

 ソレこそ子供の様に僕を見上げるハナの目を見ながら、僕は口を開いた。

「僕はそのことで、ハナを恨んだことなんか一度もないよ? ハナのせいだなんて思ったことも一度もない」

 いつかハナが僕にそうしたように、頭に優しく手を置いてやる。

「……嘘だ」

「本当。アレは僕が我慢できなかったんだ。心のどこかで『どうして何一つ劣ることのない僕がサルどもに気を使わなきゃならないんだ』って思ってたんだ」

「…………」

「ずっと、気にしてたんだね。ずっと、後悔してたんだね。僕のせいで……」

 いつも僕に向けていた花が咲くような笑顔の裏に、こんな影があったなんて。

「違うっ……あたしのせいなの……テンちゃ――」

「な? キリがないだろ? だから、もう止そう? 僕はハナのせいだと思ってないし、ハナも僕のせいだと思ってない」

 僕は泣きじゃくるハナの瞳を見つめながら、いつもの彼女の様に笑ってみせた。慣れないなりの最大の笑顔を作った。

「……ん」

 そう言ってハナが僅かに頷く。

「だから、『ごめん』はもういいんだ。ハナ、僕のことでそんなに心を痛めてくれて……ありがとう」

「テン……ちゃん……」

 ずっと自分だけの問題だと思っていた。

 ずっと誰にも、何の迷惑も掛けていないと思っていた。

 僕のしでかしたことで、こんな近くにいた大切な人を傷つけていたなんて。

「道理で……やたらと『学校行こう』を連呼すると思ったら。……バカだな、ハナ」

「うぅ……バカだもん。でも……」

 ハナが少し拗ねたような目で恥ずかしそうに僕を見る。

「ん?」

「本当は……ちょっとだけ、嘘なの……」

「嘘?」

「あたしの『学校行こう』は、ここに来る理由で……口実」

「口実?」

「だって……テンちゃんに恨まれてると思ったら……怖くて、『役目』だって、自分の『償い』だって思わないと……怖くて、来れないよぉ……!」

 僕がハナを恨むなんて……有り得るワケがないじゃないか。

「そんな、ハナ……なんて面倒くさいことを」

「あたし、バカだもん……最初は、脚震えてたんだよ? 学校行こうって叫んで、もしテンちゃんがあたしを無視したら、無言でカーテンを閉めたらって……怖かったんだよ?」

 またも新たな事実を知った。

 あの時、目一杯元気な笑顔と声で突撃してきたハナが、怯えていたなんて。

「マジか……」

「唇をへの字にして、『行かない』っていつもの拗ねた声で応えてくれて……嬉しかったんだよ? 泣きそうなくらい、嬉しかったんだよ……!」

「何で……そんなに?」

「だって、一緒に居たかったんだもん……」

「……っ」

 僕は思わずハナを抱き締めそうになった。

 ……何でだ!?

 ……コラ、勝手なことをするな腕! 落ち着け、落ち着け……!
 
 僕がそう思っていると、ハナの方から僕の腕の中に飛び込んできた。

「……は、ハナ……!?」

「テン……ちゃん、テンちゃん……!!

「ハナ……大丈夫だ。心配しないでも、ずっと一緒だよ」

「ううえぇぇ……!」

 ハナは僕の胸に顔を埋めて、声を上げて泣いた。

 僕の上着にあっと言う間にハナの涙が染み込んでいく。

 その涙は温かく、僕の固まった心を溶かしてくれたような気がした。

 胸に温かなモノが広がっていくような感覚を覚える。

「ありがとう……ハナ」

 僕はそう言ってハナの背中と頭を腕で包み込んだ。





 数時間後。

 少し目を腫らし頬を赤くし、気恥かしそうに笑うハナを家まで送った後のことだ。

「おかえり。母さん」

 玄関前で母さんの帰りを待っていた僕の顔を見て、母さんはすぐさま何かを悟ったようだった。

「ただいま……決めたの?」

「うん……決めたよ」

「そう、どうするの?」

 僕は、ソレ・・を伝えた。

「そう、すぐ夕飯の支度するわね。パパにも自分の口から伝えなさい」

 そう言って母さんは嬉しそうに笑った。





 時間が流れて、春が来た。

 僕は桜の花びらが舞う道を一人歩きながら、帰路に就こうとしていた。

 まだ真新しいブレザーの胸元には『入学おめでとう』と書かれたコサージュが付いている。

 そんな僕が校門を出ようとした時、声を掛けられた。

「もう帰るの?」

 僕と同じ色のブレザーに同じ位置のコサージュ。

 短く切られた活動的なショートカット。

 胸のリボンにミニスカート。

「うん。そっちは入学式当日から部活?」

 僕がそう返すと、肩に掛かったテニスラケットの入ったケースを嬉しそうに見せつけ、彼女はにんまりと笑った。

「そう! 体験入部から一発かましてくる!!」

「そう。ハナは相変わらず才能ないのに努力してるな」

 僕は抑揚の無い声でふんぞり返っている少女……明井花にそう言った。

「テンちゃんは相変わらず才能あるのに努力してないね。いってきます!!」

 どこまでも嬉しそうにそう言った彼女が僕と逆方向へ駆けて行く。

「いってらっしゃい……て、もういないか」

 僕は改めて校舎に背を向けて帰路へと踏み出した。

「……さて、どんな高校生活になるかな」


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

百合系サキュバス達に一目惚れされた

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鬼の居ぬ間に

名もなき花達
ファンタジー
ある日突然1人の女性と出会うことになる。その女性はなんと鬼だった。鬼が人間にある願いを託す。その願いを叶えることで鬼が人間に能力を与えるという。その能力を使い人間はあることをしようと考える。果たして人間は鬼の願いを叶えることができるのだろうか。また人間はその能力で何をしようとするのか。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。 スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。 ※誤字報告、感想などありがとうございます! 書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました! 電子書籍も出ました。 文庫版が2024年7月5日に発売されました!

おそらくその辺に転がっているラブコメ。

寝癖王子
青春
普遍をこよなく愛する高校生・神野郁はゲーム三昧の日々を過ごしていた。ルーティンの集積の中で時折混ざるスパイスこそが至高。そんな自論を掲げて生きる彼の元に謎多き転校生が現れた。某ラブコメアニメの様になぜか郁に執拗に絡んでくるご都合主義な展開。時折、見せる彼女の表情のわけとは……。  そして、孤高の美女と名高いが、その実口を開けば色々残念な宍戸伊澄。クラスの問題に気を配るクラス委員長。自信家の生徒会長……etc。個性的な登場人物で織りなされるおそらく大衆的なラブコメ。

処理中です...