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三章「奴隷と大規模戦闘」
戦いが始まりました
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「おい若大将、上がっているよなあれ」
「間違いないな。それも複数だ。それにお前だってもう感じているんだろう?」
「ああ、すごい気配だ。空気が変わったことを察知した奴らが、臨戦体制になっているぜ」
複数個所からのろしが上がっている上に、異様な気配を感じている者が俺含め多数。間違いないだろう。
「ご主人様、何だか寒気がします。それに何だか落ち着きません」
「ルナも感じるか。もう相当近いから杖をきちんと準備しておけよ。それに短刀もすぐに使えるようにしておくんだ。何かあって杖が使えないときに役にたつはずだ」
ルナには杖を買ったときに、短刀も併せて買った。それは、杖だけだと対応できない事象に対応可能になるためだ。今日までの戦闘は俺が側にいたし、そこまで凶悪な魔物に遭遇してはいなかったので、短刀を使うことはなかったし、それを使う可能性があることを示唆することもなかった。でも今回はその示唆が必要だと直感が言っているのだ。
「震えているのか」
「震えているのかもしれません。そんなつもりはないのに……」
ルナは過去のことから本能的にこの事態を避けようとしているのかもしれない。俺がどうこうすることができない、しにくい部分だ。
「さて、若大将自分のガールフレンドとの会話は終わったか? そろそろみんなと仕事の話をしよう。さっき、確認してみたら軍側も臨戦態勢に入ったらしい。俺たち冒険者も当然準備をも進めているから、いつでも戦闘できるぜ」
「分かった。俺たちも臨戦態勢を取ろう」
「了解だ。若大将も無事でいてくれよ」
「お前もな」
何だか死亡フラグにしか聞こえないが、多分大丈夫だろう。あいつだけギャグ時空に生きていると思えば何とかなるだろうきっと。
前の方が何だか騒々しいし戦闘音が近づいてくる。これは来たな。それを確信し、剣を構える。ルナもそれが分かっているようで、杖を構えている。しかしその額からは汗が一筋流れている。冷汗だろうか。
「「「ぎえ”え”え”あ”!!!!」」」
「おお、お前は俺の獲物だよ。かかってこいやア!」
目の前に現れたのは、オークとゴブリン。周囲にはそういった系統の魔物がたくさんいる。個体としての強さはそれほどでなくても、数が多ければそれだけ脅威になる。それに、そんない強い魔物が大群で押し寄せたら、それこそ街どことか国の消滅だ。そんな大群などありえない、ボリュームゾーンはゴブリンとオークという想定で作戦の編成は組まれている。
その何体ものオークとゴブリンは俺を見ると、ニチャアと笑みを浮かべた。俺のこと、一人だし後ろにはルナがいるからそれを見たのだろうか。いずれにせよ、いい気分のするものではない。
「お前らの汚ない顔なんぞ見たかねんだよ。さっさと失せやがれこの野郎! はああああ!!!!!!」
剣を必死で振る。斬撃は魔物たちにあたり当然、出血し俺はその返り血を浴びて始まったばかりだというのに真っ赤に染まっている。血まみれの剣も持っているし、これでは死神か何か不吉なものに、見えてしまうではないか。
「まだまだあ!!」
剣を振る。魔物の首が吹き飛んでいく。同じような血みどろの光景があちらこちらで広がっている。これが魔物を大量に倒すということなのだ。俺が数か月であっても生きるために、その環境に適応せざるを得なかった。だがルナはどうだろうか。
「私の邪魔を、するな!」
その心配は杞憂だった。ルナは血があまり流れない方法で精一杯魔物を倒している。本当なら俺の支援をしてもらおうと思っていたのだが、それも必要ないのかもしれない。ルナも生きるために必死なのだ。我に返った時にはどうなるかは分からないが、少なくとも、戦いに集中している今ならまだ大丈夫だろう。
「しかし始まってすぐだが本当に多いな」
そんな愚痴をこぼしたくもなる魔物の数だ。最前線で戦う者が一戦目を終え、次の魔物たちと戦おうとしているところで、後衛の支援や魔法の攻撃が届き始めた。やっとか遅かったな。でもこれで少し戦いが有意に進められる。
その場で戦う者の身体が淡く光る。これが魔法支援を受けている状態だ。光自体はすぐに収まるが、これでしばらくの間、攻撃力が上がったり、身体能力が上がったりする優れものだ。
「これでもっと戦えるぞルナ!」
「はい!」
ルナも必死だ。俺も必死だ。この中に必死でない奴など一人もいない。必死でなければ死ぬ。ただそれだけだ。
「もっと歯ごたえのあるヤツこいやあ! この俺が相手してやるよ!」
「いい咆哮だ」
「そりゃどうも。そうでも言ってなきゃ、気持ちで負けてしまいそうだ」
「はは、同感だな」
「いくぞ!」
さらに囲まれてる中で、見知ら兵士や冒険者たちと協力してことを進める。この中ではなにも関係ない。そこに戦う者すべてが仲間だ。
剣を構え、魔物の集団に一気に突っ込む。先ほどの強化魔法などのおかげ体の動きが非常に軽い。これならいける!
「間違いないな。それも複数だ。それにお前だってもう感じているんだろう?」
「ああ、すごい気配だ。空気が変わったことを察知した奴らが、臨戦体制になっているぜ」
複数個所からのろしが上がっている上に、異様な気配を感じている者が俺含め多数。間違いないだろう。
「ご主人様、何だか寒気がします。それに何だか落ち着きません」
「ルナも感じるか。もう相当近いから杖をきちんと準備しておけよ。それに短刀もすぐに使えるようにしておくんだ。何かあって杖が使えないときに役にたつはずだ」
ルナには杖を買ったときに、短刀も併せて買った。それは、杖だけだと対応できない事象に対応可能になるためだ。今日までの戦闘は俺が側にいたし、そこまで凶悪な魔物に遭遇してはいなかったので、短刀を使うことはなかったし、それを使う可能性があることを示唆することもなかった。でも今回はその示唆が必要だと直感が言っているのだ。
「震えているのか」
「震えているのかもしれません。そんなつもりはないのに……」
ルナは過去のことから本能的にこの事態を避けようとしているのかもしれない。俺がどうこうすることができない、しにくい部分だ。
「さて、若大将自分のガールフレンドとの会話は終わったか? そろそろみんなと仕事の話をしよう。さっき、確認してみたら軍側も臨戦態勢に入ったらしい。俺たち冒険者も当然準備をも進めているから、いつでも戦闘できるぜ」
「分かった。俺たちも臨戦態勢を取ろう」
「了解だ。若大将も無事でいてくれよ」
「お前もな」
何だか死亡フラグにしか聞こえないが、多分大丈夫だろう。あいつだけギャグ時空に生きていると思えば何とかなるだろうきっと。
前の方が何だか騒々しいし戦闘音が近づいてくる。これは来たな。それを確信し、剣を構える。ルナもそれが分かっているようで、杖を構えている。しかしその額からは汗が一筋流れている。冷汗だろうか。
「「「ぎえ”え”え”あ”!!!!」」」
「おお、お前は俺の獲物だよ。かかってこいやア!」
目の前に現れたのは、オークとゴブリン。周囲にはそういった系統の魔物がたくさんいる。個体としての強さはそれほどでなくても、数が多ければそれだけ脅威になる。それに、そんない強い魔物が大群で押し寄せたら、それこそ街どことか国の消滅だ。そんな大群などありえない、ボリュームゾーンはゴブリンとオークという想定で作戦の編成は組まれている。
その何体ものオークとゴブリンは俺を見ると、ニチャアと笑みを浮かべた。俺のこと、一人だし後ろにはルナがいるからそれを見たのだろうか。いずれにせよ、いい気分のするものではない。
「お前らの汚ない顔なんぞ見たかねんだよ。さっさと失せやがれこの野郎! はああああ!!!!!!」
剣を必死で振る。斬撃は魔物たちにあたり当然、出血し俺はその返り血を浴びて始まったばかりだというのに真っ赤に染まっている。血まみれの剣も持っているし、これでは死神か何か不吉なものに、見えてしまうではないか。
「まだまだあ!!」
剣を振る。魔物の首が吹き飛んでいく。同じような血みどろの光景があちらこちらで広がっている。これが魔物を大量に倒すということなのだ。俺が数か月であっても生きるために、その環境に適応せざるを得なかった。だがルナはどうだろうか。
「私の邪魔を、するな!」
その心配は杞憂だった。ルナは血があまり流れない方法で精一杯魔物を倒している。本当なら俺の支援をしてもらおうと思っていたのだが、それも必要ないのかもしれない。ルナも生きるために必死なのだ。我に返った時にはどうなるかは分からないが、少なくとも、戦いに集中している今ならまだ大丈夫だろう。
「しかし始まってすぐだが本当に多いな」
そんな愚痴をこぼしたくもなる魔物の数だ。最前線で戦う者が一戦目を終え、次の魔物たちと戦おうとしているところで、後衛の支援や魔法の攻撃が届き始めた。やっとか遅かったな。でもこれで少し戦いが有意に進められる。
その場で戦う者の身体が淡く光る。これが魔法支援を受けている状態だ。光自体はすぐに収まるが、これでしばらくの間、攻撃力が上がったり、身体能力が上がったりする優れものだ。
「これでもっと戦えるぞルナ!」
「はい!」
ルナも必死だ。俺も必死だ。この中に必死でない奴など一人もいない。必死でなければ死ぬ。ただそれだけだ。
「もっと歯ごたえのあるヤツこいやあ! この俺が相手してやるよ!」
「いい咆哮だ」
「そりゃどうも。そうでも言ってなきゃ、気持ちで負けてしまいそうだ」
「はは、同感だな」
「いくぞ!」
さらに囲まれてる中で、見知ら兵士や冒険者たちと協力してことを進める。この中ではなにも関係ない。そこに戦う者すべてが仲間だ。
剣を構え、魔物の集団に一気に突っ込む。先ほどの強化魔法などのおかげ体の動きが非常に軽い。これならいける!
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