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続編2 手放してしまった公爵令息はもう一度恋をする
25話 事前準備 ※
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その日の夕方。
占い師の所へ行った後は適当に街を回って、特に何の問題も無さそうだと判断し、早めに城へと戻った僕らは。
最近、時折すれ違ってしまっていたベルティーナ様やソフィア様とまた夕食を共にした。
殿下は見回った街の様子を話し、ベルティーナ様は時折頷いて微笑まれる。
が、ソフィア様にその視線が向いた途端、殿下ってば急に口籠って、口数が減ってしまうものだから。
気を利かせて代わりに僕が多めに喋って、変に気を使っちゃったよ。
夕食を終え、僕らはベルティーナ様のお部屋を失礼したが、自室へソフィア様をエスコートする殿下、なんかぎこちなかったな。
その背中をサフィルはサフィルで無表情で見つめているし。
……仕方ない、此処は一肌脱ぎましょうか。
なーんて。
本当は自分の事情だけどね。
同じく自室へ戻った僕は、先にお風呂を失礼して、ただ今入浴中のサフィルが此処に居ない間に、ナイトテーブルの引き出しを開け、その中の物を再度確認する。
そして、もう少ししたら出て来るであろうサフィルのあの色っぽい姿を脳裏に浮かべ、失礼ながら引き出しから彼の物を少し拝借する。
いつもそれを使う相手は僕なんだし、ちょっとくらい…いいよね?
風呂上がりでバスローブは羽織っているものの、その下は何も身に着けていない。
随分即物的な気もするが、まあいいだろう。
分かり易さ重視でいく、今夜は。
(はぁー…うん。よし、や、やってやるっ)
やると決めたものの、いざその小瓶を手に取ると、やっぱり迷いが出て躊躇してしまうが、のんびり考えてもいられない。
彼が戻って来る前に、準備しようって決めたんだから。
引かれないかなぁ……。
なんて不安が心をよぎったが、やると決めたからにはこのタイミングを逃せば、次はいつ決心出来るか分からない。
いい加減に腹を決めると、小瓶の蓋を開けて傾け、中から香油を少し手のひらに垂らした。
それを反対の手の指先に掬い取って、バスローブの裾をめくり上げ、自身の臀部へそっと這わせる。
お風呂で念入りに洗っておいたけど、やっぱりそれだけは足りないから。
興奮より羞恥心でどうにかなってしまいそうだったが、それでも、いつも彼がやってくれている手の感触を思い出して、すぼまりへと触れて。
でも、いざ自分でやってみると、先へ進むのが怖くなって、その縁をゆるゆると香油を塗りたくるのでいっぱいいっぱいだ。
そうしたら、扉の向こうでガタッと音がしたのが聞こえた。
(ど、どうしよ…)
せっかく準備万端で迎えようとしたのに、こんなゆっくりじゃ、間に合いそうにない。
僕は手のひらに残っていた香油を全て指先の方に移して、縁をなぞっていた指先を思い切ってその中へ埋めた。
「う“う”っ……。」
へ、変な感じ…。
違和感が半端じゃない。
サフィルが後ろをほぐしてくれる時は、すんなり受け入れられるのに。
自分でやっても全然上手く出来ない。
もうすぐ彼が来ちゃうのに、こんなんじゃ……。
「……シリル?」
自分の後孔と格闘していると、もう戻って来ちゃっていたサフィルは。
ベッドの上でお尻を突き上げて、グズグズの涙目になりながら後孔をいじくっている僕の間抜けな姿を目にし、びっくりして固まってしまっていた。
「うっ…うぇっ…サフィルぅ……っ」
「え。まさか、自分で後ろの準備してるんですか?」
「うん…。でも、サフィルみたいに上手に出来ないぃ……。」
「そんな、無理しなくても、ちょっと待ってて下されば。」
やっぱり引かれたかも。
僕はもう自分でするのはやめて、香油でベタベタになった手を洗いに行った。
その様子をサフィルは呆気に取られた様子で見送ってて。
でも、トボトボと戻って来た僕をサフィルは無言で抱きしめてくれた。
「戻って来るなり扇情的な貴方の姿を目の当たりにしたから、とてもビックリしましたよ。」
「違うよ。あんなの間抜けな格好なだけだよ……。」
「私の為に、準備しようとしてくれたんですか?」
「いつもサフィルがしてくれてるのを思い出して、やってみようとしたんだけど、上手くいかなかった。……萎えちゃった?」
事前準備が失敗してしょげる僕に、サフィルは乾ききっていない髪を梳く様に撫でてくれながら、優しく答えてくれた。
「いいえ。」
「本当?」
「ええ。だから…」
「本当だね?!じゃあ、待って。」
大丈夫だと言ってくれた彼の返事に気を取り戻した僕は、彼の腕からパッと顔を上げると。
その腕をすり抜け、またあのナイトテーブルの引き出しからもう1個の小瓶を引っ張り出して来た。
「この前、サフィルに寂しい想いをさせてしまったから、今日はその穴埋めもしようと思ってさ。それに、色々気を揉んでいたし。だから、その分も羽目外して、気が済むまで楽しもうよ。」
そう言って、前にお世話になった娼館のリアーヌさんオススメの、前より効力がある媚薬の蓋を勢い良くキュポンと外し。
「って、あ“ぁ———っ!それはダメです!!シリル!」
また媚薬の力を借りようと、小瓶に口を付けようとしたら、物凄い勢いでサフィルに奪い取られてしまった。
ちょっと険しい顔になって怒る彼の顔を見て、僕はまた弱気にしょげてしまう。
「?何で。やっぱり引いちゃった?」
「~~~~違いますっ!むしろ余計火ぃ付けられたというか…」
「だったらいいじゃん!返してよぉっ!」
なんだ、サフィルはその気になってくれてるんだ。
だったら、何も問題ないじゃない。
取り上げられたソレを返して欲しくて、僕は手を伸ばしたが。
サフィルは慌ててソレを持った手を高く上げて、僕から離そうとする。
「もう、媚薬は勘弁して下さいっ!ただでさえ貴方の色香にやられっぱなしなのに、コレまで飲まれたら、もう目に毒なんです!飲むにしたってせめて半分とか…。一気飲みは貴方の体にも良くありませんって。」
「半分じゃ効き目足りないよ。やるなら徹底的に…」
「もー!何処まで私のなけなしの理性ぶち壊せば気が済むんですか?!貴方は!」
「そんなの全部吹っ飛ばせばいいんだよ!」
何故か返してくれないサフィルに対して、売り言葉に買い言葉ではないが、自分でもよく分からないまま言い返して手を伸ばしていたら。
遂にサフィルがキレた。
というか、開き直った。
「あ“ー!でしたらそうしますっ!貴方のお望みでしたら!貴方も一度、その目でご覧になった方がいいかもしれない。美しい貴方の足元にも及びはしませんが、それでも、好いた相手にあられもない姿で容赦なく迫られ続けば、貴方も少しは分かって下さるでしょうっ!」
そう言って、奪った僕の媚薬をサフィルはグイッと飲み干してしまった。
占い師の所へ行った後は適当に街を回って、特に何の問題も無さそうだと判断し、早めに城へと戻った僕らは。
最近、時折すれ違ってしまっていたベルティーナ様やソフィア様とまた夕食を共にした。
殿下は見回った街の様子を話し、ベルティーナ様は時折頷いて微笑まれる。
が、ソフィア様にその視線が向いた途端、殿下ってば急に口籠って、口数が減ってしまうものだから。
気を利かせて代わりに僕が多めに喋って、変に気を使っちゃったよ。
夕食を終え、僕らはベルティーナ様のお部屋を失礼したが、自室へソフィア様をエスコートする殿下、なんかぎこちなかったな。
その背中をサフィルはサフィルで無表情で見つめているし。
……仕方ない、此処は一肌脱ぎましょうか。
なーんて。
本当は自分の事情だけどね。
同じく自室へ戻った僕は、先にお風呂を失礼して、ただ今入浴中のサフィルが此処に居ない間に、ナイトテーブルの引き出しを開け、その中の物を再度確認する。
そして、もう少ししたら出て来るであろうサフィルのあの色っぽい姿を脳裏に浮かべ、失礼ながら引き出しから彼の物を少し拝借する。
いつもそれを使う相手は僕なんだし、ちょっとくらい…いいよね?
風呂上がりでバスローブは羽織っているものの、その下は何も身に着けていない。
随分即物的な気もするが、まあいいだろう。
分かり易さ重視でいく、今夜は。
(はぁー…うん。よし、や、やってやるっ)
やると決めたものの、いざその小瓶を手に取ると、やっぱり迷いが出て躊躇してしまうが、のんびり考えてもいられない。
彼が戻って来る前に、準備しようって決めたんだから。
引かれないかなぁ……。
なんて不安が心をよぎったが、やると決めたからにはこのタイミングを逃せば、次はいつ決心出来るか分からない。
いい加減に腹を決めると、小瓶の蓋を開けて傾け、中から香油を少し手のひらに垂らした。
それを反対の手の指先に掬い取って、バスローブの裾をめくり上げ、自身の臀部へそっと這わせる。
お風呂で念入りに洗っておいたけど、やっぱりそれだけは足りないから。
興奮より羞恥心でどうにかなってしまいそうだったが、それでも、いつも彼がやってくれている手の感触を思い出して、すぼまりへと触れて。
でも、いざ自分でやってみると、先へ進むのが怖くなって、その縁をゆるゆると香油を塗りたくるのでいっぱいいっぱいだ。
そうしたら、扉の向こうでガタッと音がしたのが聞こえた。
(ど、どうしよ…)
せっかく準備万端で迎えようとしたのに、こんなゆっくりじゃ、間に合いそうにない。
僕は手のひらに残っていた香油を全て指先の方に移して、縁をなぞっていた指先を思い切ってその中へ埋めた。
「う“う”っ……。」
へ、変な感じ…。
違和感が半端じゃない。
サフィルが後ろをほぐしてくれる時は、すんなり受け入れられるのに。
自分でやっても全然上手く出来ない。
もうすぐ彼が来ちゃうのに、こんなんじゃ……。
「……シリル?」
自分の後孔と格闘していると、もう戻って来ちゃっていたサフィルは。
ベッドの上でお尻を突き上げて、グズグズの涙目になりながら後孔をいじくっている僕の間抜けな姿を目にし、びっくりして固まってしまっていた。
「うっ…うぇっ…サフィルぅ……っ」
「え。まさか、自分で後ろの準備してるんですか?」
「うん…。でも、サフィルみたいに上手に出来ないぃ……。」
「そんな、無理しなくても、ちょっと待ってて下されば。」
やっぱり引かれたかも。
僕はもう自分でするのはやめて、香油でベタベタになった手を洗いに行った。
その様子をサフィルは呆気に取られた様子で見送ってて。
でも、トボトボと戻って来た僕をサフィルは無言で抱きしめてくれた。
「戻って来るなり扇情的な貴方の姿を目の当たりにしたから、とてもビックリしましたよ。」
「違うよ。あんなの間抜けな格好なだけだよ……。」
「私の為に、準備しようとしてくれたんですか?」
「いつもサフィルがしてくれてるのを思い出して、やってみようとしたんだけど、上手くいかなかった。……萎えちゃった?」
事前準備が失敗してしょげる僕に、サフィルは乾ききっていない髪を梳く様に撫でてくれながら、優しく答えてくれた。
「いいえ。」
「本当?」
「ええ。だから…」
「本当だね?!じゃあ、待って。」
大丈夫だと言ってくれた彼の返事に気を取り戻した僕は、彼の腕からパッと顔を上げると。
その腕をすり抜け、またあのナイトテーブルの引き出しからもう1個の小瓶を引っ張り出して来た。
「この前、サフィルに寂しい想いをさせてしまったから、今日はその穴埋めもしようと思ってさ。それに、色々気を揉んでいたし。だから、その分も羽目外して、気が済むまで楽しもうよ。」
そう言って、前にお世話になった娼館のリアーヌさんオススメの、前より効力がある媚薬の蓋を勢い良くキュポンと外し。
「って、あ“ぁ———っ!それはダメです!!シリル!」
また媚薬の力を借りようと、小瓶に口を付けようとしたら、物凄い勢いでサフィルに奪い取られてしまった。
ちょっと険しい顔になって怒る彼の顔を見て、僕はまた弱気にしょげてしまう。
「?何で。やっぱり引いちゃった?」
「~~~~違いますっ!むしろ余計火ぃ付けられたというか…」
「だったらいいじゃん!返してよぉっ!」
なんだ、サフィルはその気になってくれてるんだ。
だったら、何も問題ないじゃない。
取り上げられたソレを返して欲しくて、僕は手を伸ばしたが。
サフィルは慌ててソレを持った手を高く上げて、僕から離そうとする。
「もう、媚薬は勘弁して下さいっ!ただでさえ貴方の色香にやられっぱなしなのに、コレまで飲まれたら、もう目に毒なんです!飲むにしたってせめて半分とか…。一気飲みは貴方の体にも良くありませんって。」
「半分じゃ効き目足りないよ。やるなら徹底的に…」
「もー!何処まで私のなけなしの理性ぶち壊せば気が済むんですか?!貴方は!」
「そんなの全部吹っ飛ばせばいいんだよ!」
何故か返してくれないサフィルに対して、売り言葉に買い言葉ではないが、自分でもよく分からないまま言い返して手を伸ばしていたら。
遂にサフィルがキレた。
というか、開き直った。
「あ“ー!でしたらそうしますっ!貴方のお望みでしたら!貴方も一度、その目でご覧になった方がいいかもしれない。美しい貴方の足元にも及びはしませんが、それでも、好いた相手にあられもない姿で容赦なく迫られ続けば、貴方も少しは分かって下さるでしょうっ!」
そう言って、奪った僕の媚薬をサフィルはグイッと飲み干してしまった。
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