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【第1章 】 顔を隠して、声だけで世界とつながるはじまり
10 叔父からの“背景”制作提案
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翌日の昼下がり。寝惚け眼でリビングに行くと、叔父が珍しくパソコンを開いて何やら資料を眺めていた。
いつもは制作机でドールハウスのパーツを細工しているか、SNSに自分の作品を投稿してファンと交流している姿を見るくらいなのに、今日は真剣な顔で画面を見ている。
「道隆……何してるの?」
「お、起きたか。ちょっとな。Vの配信背景って、どんなのがあるんだろうと思って色々見てた」
そう言って叔父が画面をこちらに向ける。そこには人気Vtuberのファンアートや公式背景がたくさん並んでいた。イラストレーターが描いた幻想的な部屋や、バーチャルなスタジオ風のもの、可愛い和室セットなど多岐にわたる。
叔父は自分でドールハウスを作り、その写真をSNSに上げることで多くのファンを獲得している。海外のファンも多いと聞くが、それを“Vの配信背景”に転用できるんじゃないかと考えているらしい。
「俺も詳しいわけじゃないけど、人気のあるVの人たちは結構凝った背景を用意してるんだよね。特に雑談配信で、それっぽい世界観を出すのが大事っていうか……」
曖昧な知識を口にすると、叔父は「なるほどな」と興味深そうにうなずいた。
「お前さ、せっかく配信してるなら、もっと“世界観”を打ち出してみないか? 俺の作ったドールハウスを撮影して、それを背景にするのも面白そうだと思って」
その提案を聞いて、頭に一瞬、具体的なイメージが浮かぶ。叔父の作品は、どこか童話的でいて、細部まで緻密に作り込まれている。そんなミニチュア世界が俺の配信画面の奥に広がる――考えただけでワクワクした。
「めっちゃいいかも……! でも、それどうやって? 写真をそのまま合成とか?」
「写真でもいいし、動画撮影して背景にしてもいいし。最近はリアルタイム合成で色々できるだろ? 技術的なところはお前が詳しいだろうから、協力してくれればいい。俺も何か新しい表現に挑戦してみたいし」
叔父は口調こそそっけないが、瞳には明確な熱を宿していた。やっぱりクリエイター気質なのだろう。一つアイデアが浮かぶと、それをどう形にするか考えずにいられないのだ。
俺も配信活動に慣れ始めたとはいえ、まだ始めて数日。けれど視聴者から「背景かわいい!」とか「世界観好き!」と褒められる未来を想像すると、かなりテンションが上がる。
「まさか叔父さんとコラボするとか思わなかったよ」
「ま、“お前が本気でやるなら手伝ってやる”ってことだ。声だけじゃない、自分の世界を表現するってのは面白いだろ?」
そう言いながら、叔父は自分の作品群をパソコンで見せてくれる。アンティーク風の家具が並ぶ洋館、ファンタジー風の森の中の小さな家、海賊船をイメージした冒険風セット……。どれも小さな箱庭とは思えないほど作り込まれている。
見ているだけで、まるで自分が物語の世界へ吸い込まれていくような感覚がある。これらを配信背景にして“ユウマ”の声が重なったら、いったいどんな雰囲気が生まれるんだろう。
「じゃあ、どれを試しに使おうかな……。この洋館とか、落ち着いた感じで雑談に合いそうじゃない?」
「そうだな。やるなら週末に試し撮りしてみるか。カメラの位置とかライティングとかも考える必要があるし」
こうして、俺と叔父の“配信背景”プロジェクトが動き出した。ほんの少し前までは、学校にも行けず部屋に閉じこもっていた俺が、まさかこんな形でクリエイティブなコラボをするとは思わなかった。
それに、何より――配信を通じて“声”の居場所を得られたからこそ、もっと表現したい、もっと楽しみたいという意欲が湧いてきている。これは、かつて教室にいた頃の閉塞感からは想像もできなかった感覚だ。
誰にも笑われない場所。批判されるかもしれないけど、それでも受け止めてくれる人がいる場所。そんな世界で、俺は少しずつ前に進む準備を始めていた。
いつもは制作机でドールハウスのパーツを細工しているか、SNSに自分の作品を投稿してファンと交流している姿を見るくらいなのに、今日は真剣な顔で画面を見ている。
「道隆……何してるの?」
「お、起きたか。ちょっとな。Vの配信背景って、どんなのがあるんだろうと思って色々見てた」
そう言って叔父が画面をこちらに向ける。そこには人気Vtuberのファンアートや公式背景がたくさん並んでいた。イラストレーターが描いた幻想的な部屋や、バーチャルなスタジオ風のもの、可愛い和室セットなど多岐にわたる。
叔父は自分でドールハウスを作り、その写真をSNSに上げることで多くのファンを獲得している。海外のファンも多いと聞くが、それを“Vの配信背景”に転用できるんじゃないかと考えているらしい。
「俺も詳しいわけじゃないけど、人気のあるVの人たちは結構凝った背景を用意してるんだよね。特に雑談配信で、それっぽい世界観を出すのが大事っていうか……」
曖昧な知識を口にすると、叔父は「なるほどな」と興味深そうにうなずいた。
「お前さ、せっかく配信してるなら、もっと“世界観”を打ち出してみないか? 俺の作ったドールハウスを撮影して、それを背景にするのも面白そうだと思って」
その提案を聞いて、頭に一瞬、具体的なイメージが浮かぶ。叔父の作品は、どこか童話的でいて、細部まで緻密に作り込まれている。そんなミニチュア世界が俺の配信画面の奥に広がる――考えただけでワクワクした。
「めっちゃいいかも……! でも、それどうやって? 写真をそのまま合成とか?」
「写真でもいいし、動画撮影して背景にしてもいいし。最近はリアルタイム合成で色々できるだろ? 技術的なところはお前が詳しいだろうから、協力してくれればいい。俺も何か新しい表現に挑戦してみたいし」
叔父は口調こそそっけないが、瞳には明確な熱を宿していた。やっぱりクリエイター気質なのだろう。一つアイデアが浮かぶと、それをどう形にするか考えずにいられないのだ。
俺も配信活動に慣れ始めたとはいえ、まだ始めて数日。けれど視聴者から「背景かわいい!」とか「世界観好き!」と褒められる未来を想像すると、かなりテンションが上がる。
「まさか叔父さんとコラボするとか思わなかったよ」
「ま、“お前が本気でやるなら手伝ってやる”ってことだ。声だけじゃない、自分の世界を表現するってのは面白いだろ?」
そう言いながら、叔父は自分の作品群をパソコンで見せてくれる。アンティーク風の家具が並ぶ洋館、ファンタジー風の森の中の小さな家、海賊船をイメージした冒険風セット……。どれも小さな箱庭とは思えないほど作り込まれている。
見ているだけで、まるで自分が物語の世界へ吸い込まれていくような感覚がある。これらを配信背景にして“ユウマ”の声が重なったら、いったいどんな雰囲気が生まれるんだろう。
「じゃあ、どれを試しに使おうかな……。この洋館とか、落ち着いた感じで雑談に合いそうじゃない?」
「そうだな。やるなら週末に試し撮りしてみるか。カメラの位置とかライティングとかも考える必要があるし」
こうして、俺と叔父の“配信背景”プロジェクトが動き出した。ほんの少し前までは、学校にも行けず部屋に閉じこもっていた俺が、まさかこんな形でクリエイティブなコラボをするとは思わなかった。
それに、何より――配信を通じて“声”の居場所を得られたからこそ、もっと表現したい、もっと楽しみたいという意欲が湧いてきている。これは、かつて教室にいた頃の閉塞感からは想像もできなかった感覚だ。
誰にも笑われない場所。批判されるかもしれないけど、それでも受け止めてくれる人がいる場所。そんな世界で、俺は少しずつ前に進む準備を始めていた。
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