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1話完結物
壊れた世界で勇者は━━
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古びた不気味な城の最上階に、複数のアンデッドを従える魔物が存在した。
その名もデュラハン。闇の精霊の一種である。
旧式のフルプレートアーマーの姿をしたそれは、元勇者の魂であった。
魔王を倒した際に受けた呪いにより、肉体が滅んだ現在もその魂はこの世界に縛り付けられているのだ。
彼は、次の勇者に倒されるまでずっと苦しみ続ける事だろう。そして、彼を倒した勇者もまた━━
こうしてこの世界は、元勇者だった者達を救済する為だけに回り続ける。
永遠に。
✽✽✽✽✽
この悲劇は、1人の人間の子がとある事故によって生み出されてしまった魔王を倒したところから始まった。
原初の王はデュラハンであった。
この世界には精霊が存在する。人間の眼には見えない不思議な者達だ。
彼等は世界を監視し、常にバランスをとっている。
しかしその殆どが気分屋で、時たま人間や動物達にちょっかいを出したり力を分け与えたりして永い永い時の暇を潰す様に遊んでいた。
だがある時、突然その力が暴走してしまう。
それに巻き込まれてしまったのは闇を司る精霊達。彼等は暴走した巨大な負の魔力に当てられ、次々と理性を刈り取られていった。
そうして出来たのが闇の精霊の集合体『デュラハン』
"彼等"は世界の半分を闇に染めた。その過程で生まれてしまったのが魔物である。
つまり、この世界の悪と思われている者達は全て、闇に侵された同胞達であったのだ。
神はこの事実に嘆き、悲しんだ。
自らの生み出した愛しい子等を失ってしまったから。
だからせめてもと、苦しみ続ける子等を解放しようと決意した。
神は1人の人間の子に、力と神託を授けた。
この力で、魔に染まってしまった愛しい子等を助けて欲しいと。
人間の子は、神の願いを叶える為その人生を捧げ、遂にデュラハンを倒す事に成功した。
神が大いに喜んだのも束の間、再び悲劇が始まった。
デュラハンを倒した人間の子へ、呪いが降りかかったのだ。
神は再び嘆いた。どうして…と。
人間の子の悲鳴を聞き、涙を流した。
そしてまた、決意する。
呪いを受け、魔に染まってしまった人間の子を解放する事を。
世界は同じ事を繰り返すだけだということを知らず、慈悲のままに。
その慈悲はいずれ、狂気に変わり━━
✽✽✽✽✽
ほら、また。次の勇者がやってきた。
神は、ただただ嘆き続ける。
その名もデュラハン。闇の精霊の一種である。
旧式のフルプレートアーマーの姿をしたそれは、元勇者の魂であった。
魔王を倒した際に受けた呪いにより、肉体が滅んだ現在もその魂はこの世界に縛り付けられているのだ。
彼は、次の勇者に倒されるまでずっと苦しみ続ける事だろう。そして、彼を倒した勇者もまた━━
こうしてこの世界は、元勇者だった者達を救済する為だけに回り続ける。
永遠に。
✽✽✽✽✽
この悲劇は、1人の人間の子がとある事故によって生み出されてしまった魔王を倒したところから始まった。
原初の王はデュラハンであった。
この世界には精霊が存在する。人間の眼には見えない不思議な者達だ。
彼等は世界を監視し、常にバランスをとっている。
しかしその殆どが気分屋で、時たま人間や動物達にちょっかいを出したり力を分け与えたりして永い永い時の暇を潰す様に遊んでいた。
だがある時、突然その力が暴走してしまう。
それに巻き込まれてしまったのは闇を司る精霊達。彼等は暴走した巨大な負の魔力に当てられ、次々と理性を刈り取られていった。
そうして出来たのが闇の精霊の集合体『デュラハン』
"彼等"は世界の半分を闇に染めた。その過程で生まれてしまったのが魔物である。
つまり、この世界の悪と思われている者達は全て、闇に侵された同胞達であったのだ。
神はこの事実に嘆き、悲しんだ。
自らの生み出した愛しい子等を失ってしまったから。
だからせめてもと、苦しみ続ける子等を解放しようと決意した。
神は1人の人間の子に、力と神託を授けた。
この力で、魔に染まってしまった愛しい子等を助けて欲しいと。
人間の子は、神の願いを叶える為その人生を捧げ、遂にデュラハンを倒す事に成功した。
神が大いに喜んだのも束の間、再び悲劇が始まった。
デュラハンを倒した人間の子へ、呪いが降りかかったのだ。
神は再び嘆いた。どうして…と。
人間の子の悲鳴を聞き、涙を流した。
そしてまた、決意する。
呪いを受け、魔に染まってしまった人間の子を解放する事を。
世界は同じ事を繰り返すだけだということを知らず、慈悲のままに。
その慈悲はいずれ、狂気に変わり━━
✽✽✽✽✽
ほら、また。次の勇者がやってきた。
神は、ただただ嘆き続ける。
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