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第2話 魔法の練習はとっても楽しい
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自分の部屋に戻って来た僕は、魔法の教科書を机の上に置いて椅子に座る。
「魔法の教科書……」
そう、魔法だ。
あのあと母さんからこの世界には魔法が当たり前にあると教えて貰った。
魔法は全ての人間が使えるから、魔法を上手に使う為に学校で学ぶのだと。
つまりこの世界の学校では、通常の授業のほかに魔法の授業があると言う事なんだ。
「ああ! なんて素晴らしい世界なんだろう!」
まぁそれを聞いた瞬間、母さんが凄く悲しい顔をして、
「記憶喪失ってそんな事も忘れちゃうのね」
って言ってたのはちょっと申し訳ないと思ったけどさ。
ともあれ、フィクションの存在である魔法が存在していると知った僕は、夢中になって魔法の教科書を読み漁った。
いや女の子になっちゃった事に対する現実逃避じゃないよ。
この世界は魔法が当たり前にある世界なんだから、勉強と同じく魔法も上手に使えるようにならないといけないからだよ。ほんとだよ!?
そんな訳で僕はさっそく魔法の実践を始める事にした。
「えーっと、魔法には属性があります。自然、エネルギー、身体強化、回復、呪術、そして空間の6属性です……か」
へー、色々体系が分かれてるんだな。
しかし呪術なんてのもあるんだ。ちょっと怖そうだな。
「この世界の人間は誰でも必ず一つの属性を持っています。なので魔法を使えないという人はいません、か。良かった。これなら魔法を使えないなんてがっかりな展開はなさそうだ」
期待に胸を膨らませながら次のページをめくる。
「人によって属性を複数持つ人も居ますが、多いからと言って偉いわけではありません。多い人はそれだけ多くの魔法を制御する為に頑張らないといけませんし、属性が少なくてもとても凄い魔法を使える人も居るからです」
なるほど、レベル上げが大変な万能型と強力な特化型が居るわけだ。
「魔法は才能の一つであり、魔法だけが人の価値ではありません。だから魔法が上手く扱えなくても大丈夫です」
なんか随分と魔法の才能がない人を励ましてるけど、魔法の才能が関係する事件でもあったのかな?
「それでは次の章から魔法の勉強を始めます……よし来た!」
僕は逸る心を抑えながらページをめくると、そこには魔法を使ってみようというタイトルが載っていた。
「まずは安全な魔法を練習してみましょう。ここでは全ての属性の魔法の使い方が載っているので、順番に試していき、自分の属性を知る事から始めましょう」
なるほど、総当たり式で自分に適性のある魔法を判断するのか。
「まずは魔力を感じ取る練習から始めましょう。人間は胸の奥に魔力核を持っています。そこから魔力を取り出す事で魔法を使えるようになるのです……って魔力核!?」
なにその不思議ワード!?
「目を瞑り、胸の奥の魔力核に眠る魔力を感じてみてください。魔力は人によって感じ方が様々ですが、感じとれればそれだと分かります……って、なんで急にすっごいふわふわした説明になるの!?」
大丈夫なのこの教科書!?
僕は不安に襲われながらも、教科書に書かれた通りに目を閉じて胸の奥にある魔力核とかいうのを感じてみる事にする。
「っていっても、何なんだよ魔力核って。心臓みたいにドクドク動いてんのかな?」
ポゥン……ポゥン……
「……なんか……感じた!?」
嘘だろ? ホントになんか感じたぞ!? これが魔力核!?
「え、ええと……とりあえず教科書!」
僕は混乱する頭で教科書のページに戻り、続きを読む。
「魔力を感じたら、頭の中で指先に光が灯るイメージをしましょう。強い光ではなく、小さい光をイメージしてください。そしてライトと唱えてください。へぇ、呪文とかは要らないのか」
まぁ長くて難しい呪文を唱えなくても良いのは楽なんだけど、それはそれでちょっと寂しい感じがする。
いや、呪文があった方がカッコいいとか思ってる訳じゃないぞ!
ともあれ、イメージするだけで魔法が使えるのならさっそくやってみよう。
「むむむむ……光れ光れ光れ。ライト!!」
頭の中で指が光るイメージを行う。
そして目を開けると……
ピカァァァァァァァアァァッ!!
凄まじい光量の光が目の前にあった。
「目が! 目がぁぁぁぁぁ!!」
あまりの眩しさに思わず転げまわる。
「うああああ……」
幸い、暫く安静にしていたら視力が戻って来たのは幸いだった。
「良かった、失明とかしなくて。けどなるほど、そりゃ小さい光って書いてある訳だよね」
きっと同じような失敗をした子供がいっぱい居たんだろうなぁ。
「でも、本当に魔法が使えたんだ……」
僕は自分の指先に灯った小さな光を見つめる。
凄い、本当に魔法が使えるようになったんだ!
「あはははははっ!!」
興奮のあまり思わず笑い声が出てしまう。
「よーし! この勢いで他の魔法も全部覚えるぞー!」
テンションが高くなった僕は、その勢いで教科書に載っている全ての魔法を覚えてしまったのだけど、それが後々大変な出来事を呼び寄せる事になるとは、まだ気づいていないのだった。
「魔法の教科書……」
そう、魔法だ。
あのあと母さんからこの世界には魔法が当たり前にあると教えて貰った。
魔法は全ての人間が使えるから、魔法を上手に使う為に学校で学ぶのだと。
つまりこの世界の学校では、通常の授業のほかに魔法の授業があると言う事なんだ。
「ああ! なんて素晴らしい世界なんだろう!」
まぁそれを聞いた瞬間、母さんが凄く悲しい顔をして、
「記憶喪失ってそんな事も忘れちゃうのね」
って言ってたのはちょっと申し訳ないと思ったけどさ。
ともあれ、フィクションの存在である魔法が存在していると知った僕は、夢中になって魔法の教科書を読み漁った。
いや女の子になっちゃった事に対する現実逃避じゃないよ。
この世界は魔法が当たり前にある世界なんだから、勉強と同じく魔法も上手に使えるようにならないといけないからだよ。ほんとだよ!?
そんな訳で僕はさっそく魔法の実践を始める事にした。
「えーっと、魔法には属性があります。自然、エネルギー、身体強化、回復、呪術、そして空間の6属性です……か」
へー、色々体系が分かれてるんだな。
しかし呪術なんてのもあるんだ。ちょっと怖そうだな。
「この世界の人間は誰でも必ず一つの属性を持っています。なので魔法を使えないという人はいません、か。良かった。これなら魔法を使えないなんてがっかりな展開はなさそうだ」
期待に胸を膨らませながら次のページをめくる。
「人によって属性を複数持つ人も居ますが、多いからと言って偉いわけではありません。多い人はそれだけ多くの魔法を制御する為に頑張らないといけませんし、属性が少なくてもとても凄い魔法を使える人も居るからです」
なるほど、レベル上げが大変な万能型と強力な特化型が居るわけだ。
「魔法は才能の一つであり、魔法だけが人の価値ではありません。だから魔法が上手く扱えなくても大丈夫です」
なんか随分と魔法の才能がない人を励ましてるけど、魔法の才能が関係する事件でもあったのかな?
「それでは次の章から魔法の勉強を始めます……よし来た!」
僕は逸る心を抑えながらページをめくると、そこには魔法を使ってみようというタイトルが載っていた。
「まずは安全な魔法を練習してみましょう。ここでは全ての属性の魔法の使い方が載っているので、順番に試していき、自分の属性を知る事から始めましょう」
なるほど、総当たり式で自分に適性のある魔法を判断するのか。
「まずは魔力を感じ取る練習から始めましょう。人間は胸の奥に魔力核を持っています。そこから魔力を取り出す事で魔法を使えるようになるのです……って魔力核!?」
なにその不思議ワード!?
「目を瞑り、胸の奥の魔力核に眠る魔力を感じてみてください。魔力は人によって感じ方が様々ですが、感じとれればそれだと分かります……って、なんで急にすっごいふわふわした説明になるの!?」
大丈夫なのこの教科書!?
僕は不安に襲われながらも、教科書に書かれた通りに目を閉じて胸の奥にある魔力核とかいうのを感じてみる事にする。
「っていっても、何なんだよ魔力核って。心臓みたいにドクドク動いてんのかな?」
ポゥン……ポゥン……
「……なんか……感じた!?」
嘘だろ? ホントになんか感じたぞ!? これが魔力核!?
「え、ええと……とりあえず教科書!」
僕は混乱する頭で教科書のページに戻り、続きを読む。
「魔力を感じたら、頭の中で指先に光が灯るイメージをしましょう。強い光ではなく、小さい光をイメージしてください。そしてライトと唱えてください。へぇ、呪文とかは要らないのか」
まぁ長くて難しい呪文を唱えなくても良いのは楽なんだけど、それはそれでちょっと寂しい感じがする。
いや、呪文があった方がカッコいいとか思ってる訳じゃないぞ!
ともあれ、イメージするだけで魔法が使えるのならさっそくやってみよう。
「むむむむ……光れ光れ光れ。ライト!!」
頭の中で指が光るイメージを行う。
そして目を開けると……
ピカァァァァァァァアァァッ!!
凄まじい光量の光が目の前にあった。
「目が! 目がぁぁぁぁぁ!!」
あまりの眩しさに思わず転げまわる。
「うああああ……」
幸い、暫く安静にしていたら視力が戻って来たのは幸いだった。
「良かった、失明とかしなくて。けどなるほど、そりゃ小さい光って書いてある訳だよね」
きっと同じような失敗をした子供がいっぱい居たんだろうなぁ。
「でも、本当に魔法が使えたんだ……」
僕は自分の指先に灯った小さな光を見つめる。
凄い、本当に魔法が使えるようになったんだ!
「あはははははっ!!」
興奮のあまり思わず笑い声が出てしまう。
「よーし! この勢いで他の魔法も全部覚えるぞー!」
テンションが高くなった僕は、その勢いで教科書に載っている全ての魔法を覚えてしまったのだけど、それが後々大変な出来事を呼び寄せる事になるとは、まだ気づいていないのだった。
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