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44 市街地の様子
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厨房に行ったウェイターが申し訳なさそうな顔で戻ってきました。
「料理長は本店に行って今は居ません。もしよろしければ来週にはこちらに戻りますので、またご来店ください」
私は名前を告げて連絡を貰おうかとも思いましたが、ここで本名を名乗るわけにもいきません。
そうなると私がオサシミやワサビ、ソイソースを知っているというのも拙いような気がして、まるで初めてのような顔で料理の説明を受けました。
私と副所長は慣れているのでオサシミを喜んでいただきましたが、王都で暮らす騎士たちは、生の魚が苦手なようで、お付き合い程度で止めてしまいました。
みんなお腹がいっぱいになったようで、今日は早めに帰って明日からの活動に備えることになりましたが、私は今日という一日が勿体なくて帰る気になれません。
「良ければ王宮の近くまで行ってみますか?」
副所長が気を使って声を掛けてくれました。
ジョアンとエスメラルダも頷いてくれたので、その言葉に甘えることにしました。
護衛の騎士が三名ついてきてくれます。
ノース国の繫華街はとても賑わっていて、人通りも多いので迷子にならないように、ジョアンとエスメラルダの手を引いて歩きました。
〈ローゼリア、ちょっとこの通りを覗くから、アレクに送ってみてくれる?〉
エスメラルダが声を掛けてきました。
〈どうしたの?何か気になるの?〉
〈明日からは私だけで情報を送るでしょ?ローゼリアが送るのとどのくらい精度が違うか把握しておきたいから
〈わかったわ〉
私はアレクに話しかけてテストの件を話しました。
〈ではエスメラルダだけで送ってみるね〉
〈わかった。ああ、見えるね。輪郭だけならはっきり見える〉
〈では私を通して送ってみるね〉
〈ああ、これは凄いな。鮮明に見えるよ。その建物の外壁は煉瓦なんだね。エスメラルダだけでは素材までは分からなかったけど〉
〈まあ建物の配置や道が分かれば問題ないものね。明日からはエスメラルダが送るからアレクも頑張ってね〉
テストは成功と言っていいでしょう。
「どう?疲れる?」
エスメラルダに聞きました。
「うん」
「頑張れる?」
「うん」
エスメラルダは笑って頷きました。
私の手を離してその場にしゃがんでいたジョアンが副所長に話しかけました。
「これ」
「ん?何かな?ああ、これは煉瓦の欠片だね。どこから落ちてきたのかな。この壁かな」
「揺れた?」
「そうだね、最近地震でもあったのかな」
そう言うと副所長は近くでおしゃべりをしていた女性に話しかけました。
急に話しかけられた女性たちは少し驚いていましたが、丁寧に答えています。
「ジョアン、去年大きな地震があった時も、相当揺れたらしいけど、最近小さい揺れが何度かあったようだね。この煉瓦は角が丸くなっていないから、最近落ちたのだと判断できる」
「亀裂?」
「そうかもしれない。余震かな、それとも前震?」
「水温と水位は?」
「早急に調べさせよう」
副所長とジョアンは先に宿舎に戻ることになりました。
護衛騎士が一名付き添って、私たちは残った二人の騎士に守られながら王宮周辺まで行きました。
ノース国の王宮の周辺は公園になっていました。
王宮の周りは人口の川で囲まれていて、東西南北にそれぞれ架かる橋を通らなくてはいけない作りです。
護衛で来てくれたアンナお姉さまが言いました。
「これはなかなか守りの堅い城ですね。正門以外の橋は狭いので攻めにくいです。こういう作りにしたのは何度か城攻めにあったのかもしれません」
「皇后陛下に聞けば分かるかも知れないですね。聞いてみましょうか?」
「いいえ、歴史書を調べれば分かることですから。今回は目的だけに絞りましょう」
「そうですね」
「大丈夫、エヴァン様はご無事ですよ」
私は力強く頷きました。
皆さんが私を気遣ってくれるのは嬉しいのですが、足手まといにはなりたくありません。
もっとしっかりしなくちゃと改めて思いました。
城を囲む川の流れを見ていると、急に脳内に声が響きました。
〈ローゼリア、アランは確保した。明日兄上たちが宿舎に行く手筈だから、処遇を話し合ってくれ〉
〈わかりました〉
私はもしかしたらエヴァン様がいるかもしれない王宮を見ながら、彼の無事を祈りました。
ふっと風が吹き、川沿いに植えられた柳の枝を揺らします。
その木陰には密かな愛を育んでいるのでしょうか、人目を忍ぶように語り合うカップルの姿がありました。
長く伸びた柳の枝に隠れていたのに、いたずらな風が二人の中を邪魔したようです。
女性の肩に手を置いた男性の横顔が、夕日に照らされてはっきりと見えました。
「エヴァン様!」
私は口に手を当てて後ずさってしまいました。
アンナお姉さまが後ろから支えてくれます。
「声を出してはいけません」
アンナお姉さまが私の耳元で言いました。
私の心臓がバクバクと音を立てているのが分かります。
あれがエヴァン様だとすると女性は誰なのでしょう?
まさか…マリア王女?
エスメラルダが私の手を放して柳の木の方に歩いて行きました。
まるで少女が木の下に咲く野花を見ているような自然さで、カップルに近寄っています。
〈そこで待っていて〉
エスメラルダからの言葉に私は頷くしかありませんでした。
アンナお姉さまがずっと私を抱きしめていてくれます。
二人はエスメラルダに気づかず、見つめ合ってずっと会話をしています。
エスメラルダは立ち上がるとわざとカップルの視界に入りました。
私は駆け寄って本当にエヴァン様なのか確かめたい衝動を押さえきれませんが、アンナお姉さまは手を緩めてはくれません。
二人と目を合わせたエスメラルダが、今しがた摘んだ野花を女性に渡してこちらに向かって駆けてきました。
「違う」
エスメラルダがそう言って私の手を握ります。
「エヴァン様じゃないの?ねえ!どうなの?」
「違う。ローゼリア、エヴァンじゃない」
「そう…ごめんなさい」
こんな小さな子供に当たり散らす私はダメな大人です。
「帰ろう」
エスメラルダは泣きそうな私の頬に手を伸ばして、優しく言いました。
「料理長は本店に行って今は居ません。もしよろしければ来週にはこちらに戻りますので、またご来店ください」
私は名前を告げて連絡を貰おうかとも思いましたが、ここで本名を名乗るわけにもいきません。
そうなると私がオサシミやワサビ、ソイソースを知っているというのも拙いような気がして、まるで初めてのような顔で料理の説明を受けました。
私と副所長は慣れているのでオサシミを喜んでいただきましたが、王都で暮らす騎士たちは、生の魚が苦手なようで、お付き合い程度で止めてしまいました。
みんなお腹がいっぱいになったようで、今日は早めに帰って明日からの活動に備えることになりましたが、私は今日という一日が勿体なくて帰る気になれません。
「良ければ王宮の近くまで行ってみますか?」
副所長が気を使って声を掛けてくれました。
ジョアンとエスメラルダも頷いてくれたので、その言葉に甘えることにしました。
護衛の騎士が三名ついてきてくれます。
ノース国の繫華街はとても賑わっていて、人通りも多いので迷子にならないように、ジョアンとエスメラルダの手を引いて歩きました。
〈ローゼリア、ちょっとこの通りを覗くから、アレクに送ってみてくれる?〉
エスメラルダが声を掛けてきました。
〈どうしたの?何か気になるの?〉
〈明日からは私だけで情報を送るでしょ?ローゼリアが送るのとどのくらい精度が違うか把握しておきたいから
〈わかったわ〉
私はアレクに話しかけてテストの件を話しました。
〈ではエスメラルダだけで送ってみるね〉
〈わかった。ああ、見えるね。輪郭だけならはっきり見える〉
〈では私を通して送ってみるね〉
〈ああ、これは凄いな。鮮明に見えるよ。その建物の外壁は煉瓦なんだね。エスメラルダだけでは素材までは分からなかったけど〉
〈まあ建物の配置や道が分かれば問題ないものね。明日からはエスメラルダが送るからアレクも頑張ってね〉
テストは成功と言っていいでしょう。
「どう?疲れる?」
エスメラルダに聞きました。
「うん」
「頑張れる?」
「うん」
エスメラルダは笑って頷きました。
私の手を離してその場にしゃがんでいたジョアンが副所長に話しかけました。
「これ」
「ん?何かな?ああ、これは煉瓦の欠片だね。どこから落ちてきたのかな。この壁かな」
「揺れた?」
「そうだね、最近地震でもあったのかな」
そう言うと副所長は近くでおしゃべりをしていた女性に話しかけました。
急に話しかけられた女性たちは少し驚いていましたが、丁寧に答えています。
「ジョアン、去年大きな地震があった時も、相当揺れたらしいけど、最近小さい揺れが何度かあったようだね。この煉瓦は角が丸くなっていないから、最近落ちたのだと判断できる」
「亀裂?」
「そうかもしれない。余震かな、それとも前震?」
「水温と水位は?」
「早急に調べさせよう」
副所長とジョアンは先に宿舎に戻ることになりました。
護衛騎士が一名付き添って、私たちは残った二人の騎士に守られながら王宮周辺まで行きました。
ノース国の王宮の周辺は公園になっていました。
王宮の周りは人口の川で囲まれていて、東西南北にそれぞれ架かる橋を通らなくてはいけない作りです。
護衛で来てくれたアンナお姉さまが言いました。
「これはなかなか守りの堅い城ですね。正門以外の橋は狭いので攻めにくいです。こういう作りにしたのは何度か城攻めにあったのかもしれません」
「皇后陛下に聞けば分かるかも知れないですね。聞いてみましょうか?」
「いいえ、歴史書を調べれば分かることですから。今回は目的だけに絞りましょう」
「そうですね」
「大丈夫、エヴァン様はご無事ですよ」
私は力強く頷きました。
皆さんが私を気遣ってくれるのは嬉しいのですが、足手まといにはなりたくありません。
もっとしっかりしなくちゃと改めて思いました。
城を囲む川の流れを見ていると、急に脳内に声が響きました。
〈ローゼリア、アランは確保した。明日兄上たちが宿舎に行く手筈だから、処遇を話し合ってくれ〉
〈わかりました〉
私はもしかしたらエヴァン様がいるかもしれない王宮を見ながら、彼の無事を祈りました。
ふっと風が吹き、川沿いに植えられた柳の枝を揺らします。
その木陰には密かな愛を育んでいるのでしょうか、人目を忍ぶように語り合うカップルの姿がありました。
長く伸びた柳の枝に隠れていたのに、いたずらな風が二人の中を邪魔したようです。
女性の肩に手を置いた男性の横顔が、夕日に照らされてはっきりと見えました。
「エヴァン様!」
私は口に手を当てて後ずさってしまいました。
アンナお姉さまが後ろから支えてくれます。
「声を出してはいけません」
アンナお姉さまが私の耳元で言いました。
私の心臓がバクバクと音を立てているのが分かります。
あれがエヴァン様だとすると女性は誰なのでしょう?
まさか…マリア王女?
エスメラルダが私の手を放して柳の木の方に歩いて行きました。
まるで少女が木の下に咲く野花を見ているような自然さで、カップルに近寄っています。
〈そこで待っていて〉
エスメラルダからの言葉に私は頷くしかありませんでした。
アンナお姉さまがずっと私を抱きしめていてくれます。
二人はエスメラルダに気づかず、見つめ合ってずっと会話をしています。
エスメラルダは立ち上がるとわざとカップルの視界に入りました。
私は駆け寄って本当にエヴァン様なのか確かめたい衝動を押さえきれませんが、アンナお姉さまは手を緩めてはくれません。
二人と目を合わせたエスメラルダが、今しがた摘んだ野花を女性に渡してこちらに向かって駆けてきました。
「違う」
エスメラルダがそう言って私の手を握ります。
「エヴァン様じゃないの?ねえ!どうなの?」
「違う。ローゼリア、エヴァンじゃない」
「そう…ごめんなさい」
こんな小さな子供に当たり散らす私はダメな大人です。
「帰ろう」
エスメラルダは泣きそうな私の頬に手を伸ばして、優しく言いました。
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